曜とルビィの事件簿   作:la55

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曜とルビィの事件簿 最終章 ソニックを追え!~ある切符の憂鬱~ 後編

「深谷、お前のアリバイはすべて崩れたぞ!!」

この南の言葉に深谷は、

「そんなわけないだろうが!!俺のアリバイは成立しているんだ!!」

と反論する。

 だが、南はある矛盾を深谷に突きつけた。

「たしか、昨日、アプリでソニック28号3号車の指定席をとったといったのよな」

これには、深谷、

「ああ、たしかにその通りだが・・・」

と言うと、南、すぐにこんなことを言い出してきた。

「それ自体嘘ですよね」

これには、深谷、

「なんでそう言えるんだ!!」

とすぐに反論するも、南、こう言い続けた。

「実はアプリで選べる指定席の号車は1・2号車のみなんだよ」

これには、曜、思い出したかのようにこう言ってしまう。

「あっ、たしかに、私たちで選ぶことができたのは1・2号車のみだった!!」

そう、思い出してほしい。曜とルビィが昨日大分から博多まで行く際、アプリで切符を予約したのだが、そのアプリで選べたのは1・2号車のみだったのである。なので、深谷が言う3号車指定席をアプリで予約することは不可能だったのである。

 しかし、深谷はまだ言い張る。

「それでも3号車指定席には座っていたんだ!!」

これだけは譲れないようである。

 ところが、南はそんな深谷に対しこんなことを言ってしまう。

「たしかに途中から3号車に乗っていたみたいだな」

これには、深谷、

「3号車指定席に乗っていたのは事実だ!!」

といまだに言い張るもそんな深谷に対し南はこう言った。

「でもな、深谷が実際に乗っていたのは3号車指定席ではなく3号車自由席だったんだよな」

この言葉に、ルビィ、驚く。

「えっ、ソニックって3号車は指定席じゃなかったの?」

そう、ソニックの3号車は指定席だったはずである。それなのに3号車が自由席というのは驚きである。

 そんなルビィに対し南はこう答えた。

「実はソニックの3号車は一部を除いて途中で指定席から自由席に変わるんだ」

これには、ルビィ、

「えっ、それって本当なの?」

と南に尋ねると南はこう答えた。

「あぁ、小倉を境に3号車は指定席から自由席に変わるんだ」

確かにその通りであった。ソニック下りのみであるが一部の便を除いて3号車指定席は小倉→博多間のみ自由席に変わるのである。これはこの区間は地元の人たちがよくソニックに乗って小倉から福岡まで行くことが多いためでありその利便性を考えてのことだった。

 さらに、南、深谷に対してこんな証拠を提示してきた。

「それに、このソニック24号の車掌から詳しく聞いたところ、深谷を目撃したのは小倉→博多間のみであり、そのときに確認した切符は1枚のみだった、と言っている。それに、お前が小倉到着時に4号車自由席から3号車自由席に移動している姿も動画で確認済みである」

 そして、南は深谷に対しある動画をみせた。そこには深谷が4号車から3号車に移動する姿が映っていたのである。

 ただ、その動画に対し曜はある疑問が出てきた。

「でも、一体誰がこの動画を撮影したの?」

 すると、南がこっそり曜にこの動画の秘密を話してくれた。

「実は曜ちゃんの親友の(ニジガクの)りなちゃんが撮っていてくれたんだ。どうやら偶然深谷と同じ4号車に乗っていたみたいだ」

たしかにこの動画を、小倉到着時にあやしい男こと深谷を撮影したのはりなだった。りな曰く、

「怪しい男の人がいたから撮った」

とのこと。実は、りなを含めたQU4RTZは深谷と同じソニック24号に乗っていたのである。その小倉到着時、4号車から3号車に移動する深谷をりなちゃんボードのカメラ撮影機能を使ってりなが撮っていたのである。そういうことなのでその証拠を突きつけられた深谷はただ、

「う~」

と苦虫をかむような表情をしていた。

 と、ここで、曜、ある疑問がわいてきた。それは・・・、

「でも、深谷さんはそんなややこしいことをしたのかな?」

たしかにその通りであった。深谷がわざわざ小倉で4号車から3号車に移動したのか謎だったのである。そう考えるとなんで深谷がややこしいことをしたのか疑問に感じてもおかしくなかったのだ。

 そんな曜に対し南はこう答えたのである。

「それは深谷が使ったチケットのせいなんだ」

これには、ルビィ、

「えっ、そのチケットって?」

と南に尋ねると南はこう答えてくれた。

「窓口で買える2枚切符を使ったのさ」

そう、深谷が使ったチケットというが2枚切符であった。この2枚切符は窓口で買える切符である。昔、安さで勝る高速バスに対抗するため、安い切符として2枚切符、4枚切符を九州総局(JR九州)が発売、回数券として高速バスの安さに対抗していたのである。むろん、高速バスも同じような回数券を発売し列車に対抗したのである。だが、今はネットやアプリで安い切符が買えるようになったことなどもあり九州総局は4枚切符を廃止したり2枚切符の発売区間を縮小したりしているもののそれでも主要区間は今でも発売している。なお、2枚切符には指定席タイプと自由席タイプがあり、福岡~別府大分間の2枚切符は指定席タイプである。

 ただ、これに対して、ルビィ、南に質問する。

「でも、2枚切符買うよりアプリやネットで買ったほうがいいんじゃないの?」

たしかにその通りである。アプリやネットで買ったほうが安くすむはずである。それにこんなまどろっこしいことを深谷がしなくても済むはずである。

 と、ここで南がその真実を伝えた。

「まぁ、深谷はそれくらいネットやアプリを嫌っていたんじゃないのかな」

たしかにそれは一理ある。深谷はネットが大嫌いである。なので、ネットを使わずに窓口で博多~別府大分間の2枚切符(6600円)で買ったというのがオチかもしれなかった。まぁ、通常ならこの2枚切符ならある期間を除いて指定席に座れるのですがね・・・。

 と、ここでそれを踏まえた上で、曜、2枚切符について調べたのか南に対しこう尋ねたのである。

「でも、博多~別府大分間の2枚切符って指定席タイプなのになんで深谷さんは自由席を使っていたわけ?」

たしかに博多~別府大分間の2枚切符は指定席タイプであるために深谷は指定席に乗れるはずである。でも、深谷は自由席を使っていた。それはなぜなのか?

 それについても南はこう答えてくれた。

「実は、2枚切符、繁忙期は指定席券がないと指定席には乗れないんだ」

そう、2枚切符指定席タイプであるが繁忙期には別途指定席券を買わないといけなかったのだ。で、今回の場合は1月4日5日ともに繁忙期にはいっていた。そんなこともあり、深谷は指定席ではなく自由席に座っていたのである。

 しかし、なぜ深谷はわざわざアプリで指定席のネット切符を買ったという嘘をついていたのだろうか。いや、なんで4号車から3号車に移動するというややこしいことをやったのか。そんな疑問が残る。それについても南がこう説明した。

「そして、深谷がややこしいことをしたのだけど、まぁ、指定席に座ったことにすればあまりに幼稚すぎるアリバイということで疑われずにすんだことと2枚切符の片割れになにか見られたくないなにかがあったのかもしれないね」

これには、深谷、

「ぐぐぐ・・・」

と図星を突かれたような表情になる。たしかに深谷が指定席を使ったと言い張ったことによりあまりに幼稚すぎるアリバイとして警察がスルーしてしまったような節がある。それくらい深谷の用意した偽のアリバイは幼稚すぎたと錯覚するものだったのである。

 そして、南は深谷に対して1月5日のことについても話してくれた。

「そして、1月5日の列車のトリックもわかりました。深谷さん、ソニック58号に乗ったのって大分→別府間のみですね」

これには、曜、驚く。

「えっ、たったその区間だけなの?」

これには、南、こう答えた。

「まぁ、別府で降りたときに無効印を押して持っておくことでソニック58号に乗って福岡に来たという証拠を作りたかったのでしょうね」

 ところが、深谷、南に対してこう反論する。

「でも、ソニック58号に福岡に来ないと任意同行した時間帯に間に合わないだろうが!!」

たしかにその通りであった。ソニック58号で福岡に来ないと任意同行した23時45分ごろに間に合わないのである。

 すると、南は時刻表を取り出しこんなことを言い出してきた。

「たしかに大分別府→博多に直通する列車はソニック58号と60号のあいだにはありません。ですが、小倉で乗り継げば別府から博多まで行くことが可能なのです、にちりん16号小倉行きとかささぎ201号佐賀行きに乗ればね・・・・」

そう、深谷は小倉で乗り継いで別府から博多まで来たのである。にちりんは、通常、シーガイアを除いて大分~宮崎間の特急であるがこのにちりん16号は宮崎→小倉へと行く特急であった。これだと別府21時04分発小倉22時27分着である。その後、小倉でかささぎ201号(小倉22時31分発博多23時21分着)に乗り換えれば任意同行が求められた23時45分ごろに福岡に来ることが可能なのである。

 ただ、それにも、曜、噛みつく。

「でも、それだと逆に高くなるのでは?」

たしかにその通りであった。2つの特急を乗り継ぐため、これだと料金が跳ね上がったりするのである。それを金にがめつい深谷がするとは考えにくいものである。

 ところが、それすら南は覆した。

「実は2枚切符なら乗り継ぐことができるのだよ」

たしかにその通りであった。2枚切符の場合、それ自体が乗車券であり特急券であった。そのため、2つの特急を乗り継ぐことすらできたのである。これには、深谷、

「その証拠はあるのか?」

と言うと、南、曜がりなから送られてきたメールに添付されていた動画を深谷に見せた。これには、深谷、

「く~」

と悔しがる姿をみせた。これには、曜、こう思ってしまう。

(まさか、ここでりなちゃんの動画が役に立つなんて・・・)

実は、りなが曜に送った動画、それは深谷がにちりん16号に乗って小倉に向かっている動画だったのである。どうやら、りなたちQU4RTZの4人はまたもや深谷と同じ列車に乗っていたようである。

 そして、南は警察に対しある指示を出した。

「すぐにでも九州総局にお願いして血痕がついた2枚切符を探してくれ!!」

これには、深谷、

「もうやめてくれ!!俺の負けだ・・・」

と白旗を上げてしまった・・・。

 その後、血痕がついた2枚切符がみつかった。その血痕や切符から採取した指紋からその血痕が深谷の元奥さんである立石のものであること、その2枚切符には深谷の指紋がついていたことがわかった。深谷が2人を殺した理由、それはやはり慰謝料を払いたくないためであった。深谷は1月4日に慰謝料について立石に払うか払わないか口論になった際、近くにあったナイフで立石を殺したのだが、そのときに偶然2枚切符の片割れに立石の血が付着したため、立石は仕方なくあんなややこしいことをしたのである。そして、翌日の1月5日も今の奥さんと慰謝料についてひと悶着があったために殺した上で2枚切符を使ったトリックを使ったのだという。ただ、これについては最初から計画にあったらしく、部下にわざとアプリから早得3の切符を購入させた上での犯行であったらしい。

 とはいえ、深谷は南の推理によりすべてが明るみになったため、逮捕されることとなtった・・・。ただ、これについては、南、

「あまりに身勝手すぎる犯行だな・・・」

と深谷に呆れるばかりであった・・・。

 

 とはいえ、今回も南の活躍もあり無事に事件を解決することができた。だが、これは、今回3回目の、南、この世界における最後の事件の幕開けを意味することになるとはこのときの南には知る由もなかった・・・。

 

(おまけ)

「今回はご苦労さん、QU4RTZのみんな!!」(千歌)

「陰の仕事は大変でしたよ!!」(かすみ)

「でも、楽しかったよ~」(エマ)

「彼方ちゃんもだよ~」(彼方)

「でも、まさか、私のボートの機能、ここで役に立つなんて、嬉しい!!」(りな)

「でも、本当に助かったよ!!本当にありがとう!!」(千歌)

「「「「こちらこそ!!」」」」(QU4RTZのみんな)

 

「立石さん、千歌、やったよ!!あの深谷をやっつけたよ!!これで成仏してね!!」(千歌)

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