曜とルビィの事件簿   作:la55

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曜とルビィの事件簿~消えた○○~ 前編

曜とルビィの事件簿2~消えた○○~

 

「う~、よく寝た!!」

と、ホテルから出てくるなりルビィはその第一声をあげた。ここは熊本のホテル。ハピトレのPVの下見のための旅をしていたルビィと曜は昨日の夜、熊本のホテルで一泊していた。ルビィ、昨日の夜はよく眠れたようだ。一方、ルビィの旅の相方である曜はというと・・・、

「私、興奮して眠れなかったよ!!だって、あのSL「無限大」・・・、ごほん、SL「あそBOY」に乗れたんだもん!!人生初めての経験だよ!!SL、力強くて素敵だな・・・」

と、かなり興奮気味の様子。実は、昨日、曜とルビィはある事件に巻き込まれていた。観光特急「あそぼーい」が大雨の影響などで立ち往生するなか、曜とルビィはある県議の殺人未遂事件に遭遇した。しかし、偶然?居合わせた國鉄公安隊公安特捜班の南たちのおかげでその事件は無事に解決したのだ。さらに、大人気漫画のコラボ列車として走っていたSL「無限大」号、いや、SL人吉、いや、SL「あそBOY」が動けない「あそぼーい」の救援に駆け付けてくれたのである。曜にとって人生で初めてのSL、それも、伝説のSL、SL「あそBOY」に乗れたのである。曜、これによって興奮してしまい、昨日の夜、興奮のあまりあまり眠れなかったようだ。だが、その興奮は一夜たっても消えず、逆にその眠気すら吹き飛ばしてしまうものだった。(詳しくは前作「復活のA」をお読みください)

 そんな興奮状態の曜と元気いっぱいのルビィ、一泊した熊本のホテルからそのまま熊本駅に行くと、

「さてと、今日は福岡を敢行するよ!!大宰府で天神様にお祈りして、それから、博多ラーメン何杯替え玉できるかチャレンジしてみよう!!」

と、曜は昨日からの興奮状態から一転、今日の予定である福岡観光を楽しみにしながら九州新幹線に乗った。もちろん、ルビィも、

「福岡と言ったらアイドルの激戦地!!どんなスクールアイドルに出会えるかな?」

と、福岡のスクールアイドルに出会えるのを楽しみにしていた。

 熊本から博多までは新幹線で33分ぐらいで到着する。SL「無限大」号はこの区間を約3時間半ぐらいかけて走破した。それが新幹線だとたった33分。その差こそまさに列車の技術の進歩は凄いものを感じるものになるかもしれない。そんな33分の旅であったが、福岡観光を楽しみにしている曜とルビィにとって福岡観光への気持ちを高ぶらせるには十分な時間だった

 が、それも車内中に響き渡ったある音によって曜とルビィの事態は急変する。

「福岡ってどんな街なのかな?」

と、曜がわくわくしながら言うと、突然、

「ワンッ!!」

という犬の鳴き声が車内中に響き渡る。これには、ルビィ、

「ピギィ!!」

と、一瞬びくっとしてしまうもすぐに、

「あっ、犬の鳴き声だ・・・。どこから聞こえてきたの?」

と、ルビィ、その犬の鳴き声にちょっと気になってしまう。ルビィにとって犬は身近な存在だったりする。ルビィが所属しているAqoursにおいて千歌のしいたけファミリーや梨子のプレリュードなどなど。さらにAqoursメンバーがよく集まる喫茶店にもマスコット犬がいたりする。それくらいルビィにとって犬は身近な存在であった。そのためか、ルビィ、突然車内に響き渡った犬の鳴き声に少し興味がわいたみたいのようである。

 そして、ルビィはその犬をすぐに見つける。ルビィはまず少し大きめのゲージを見つけた。そして、ゲージの窓をルビィがのぞくとそこにはふさふさした毛におおわれた子犬が入っていた。で、その近くにはこの犬の飼い主であろう40~50歳代くらいのご夫婦が座っていた。これには、ルビィ、

(犬のことが気になるよ・・・。ちょっと声をかけてみよう)

と思ったのか、そのご夫婦に対し、ルビィ、

「あの~、今さっき鳴いたのってその犬ですか?」

と尋ねてみた。

 すると、そのご夫婦はルビィに対し、

「あら、ごめんなさい。ちょっと驚かしたみたいだね」

と、ご夫婦の女性の方がルビィに謝ってしまう。これには、ルビィ、

「いや~、それくらい大丈夫です、大丈夫です・・・」

と、そのご夫婦に対し遠慮してしまった。

 そんなときだった。ルビィの声に反応したのか、曜、

「あれっ、なにかあったの?」

と言ってはルビィのもとに駆け付けてきてしまう。その曜であるが、ゲージを見つけるとそのゲージの窓からなかにいる子犬をのぞくとすぐに、

「あっ、なんかかわいい犬ですね!!」

と、元気よく言ってしまう。ルビィにとって身近な存在である犬、もちろん、曜にとってみても犬は身近な存在である。千歌と梨子と同じ学年ということもあり2人とはよく遊んでいたりする。そのためか、しいたけファミリーやプレリュードと会う機会が多かったりする。それくらい、曜にとってみれば犬がいること自体当たり前ともいえた。そんなわけで、曜、なんと、ルビィ以上にその犬に興味津々でもあった。

 そんな曜とルビィに対しそのご夫婦の女性の方がこう言った。

「あら、2人ともこの犬になんか興味があるみたいだね・・・」

この女性の言葉に、曜、

「うんっ、とても興味があります!!」

と、元気よく答えると、男性の方からも、

「ほ~、それは私としても興味深いよ・・・」

と意味ありげなことを言ってしまう。どうやら、このご夫婦もゲージに入っている犬に興味津々の曜とルビィに対して興味を持った様子・・・。

 そんなわけで、曜とルビィ、ゲージに入っている犬の飼い主であるご夫婦は席を向かい合わせにしてはその犬の入ったゲージを囲む形で座った。そして、すぐに自己紹介が始まる。

「渡辺曜です!!全速前進、ヨ~ソロ~!!」

「黒澤・・・ルビィ・・・です・・・」

と、まずは曜とルビィから自己紹介をすると次にご夫婦も、

「私の名前は森、湯布院森と言います。そして、こちらは妻の温子です」

「温子です。2人ともよろしくね」

と、自己紹介を行った。その2人の名前を聞いた途端、曜、

「森さんと温子さんって言うんだね!!2人ともよろしくね!!」

と、元気よく言うと、ルビィ、2人の名字についてあることに気付く。

「あの~、森さんたちの名前って湯布院って言うんだね。でも、それってどこかの有名な温泉地の名前と一緒じゃ・・・」

と、ここで、曜、

ピピー

と、ホイッスルみたいなもので音を鳴らしてルビィの言葉を遮ると、ルビィに向かって、

「ルビィちゃん、イエローカードだよ!!ルビィちゃんが言っていること、それってメタ情報だよ!!大人の事情ってものがあるのだから、これ以上言っては、メッ、だよ!!」

と叱ってしまう。あの~、これってメタ情報じゃ・・・。とはいえ、曜の突然のツッコミに、ルビィ、

「曜ちゃん、ごめんね」

となぜか曜に謝ってしまった。

 まぁ、そんなことはさておき、4人で話していくうちにゲージの中に入っている犬について話題が弾んでいった。温子曰く、

「この犬はね、キースホンドというヨーロッパのある国が原産の犬なんだよ!!」

キースホンド、あまり聞きなれない犬種なのだが、夫の森曰く、

「この犬は私と妻にとって想い出のある場所にゆかりのある国が原産の犬ということで飼っているのです。とてもかわいくてね、私のこと、家族としてとてもなついているんですよ」

と。キースホンド、全身をダフルコートの豊かな毛で覆われている中型犬である。家族と認めた者には大好きな仕草をし、とても忠実であり愛情深い面もみられる・・・のだが、それ以外の者だととても警戒してしまいかなり吠えられてしまう・・・のですが・・・、

「あれっ、タロちゃん、曜ちゃんとルビィちゃんのこと、家族として認めてくれたみたいだね!!」

と、なんと、曜とルビィ、ゲージに入っている犬(タロ)から家族認定されたみたいのようだ。そのためか、タロ、曜とルビィに対し「私をかわいがって」というオーラを出していた。そんなタロの姿をゲージの窓越しに感じてい曜とルビィ、おもわず、

「あの~、ルビィたち、森さんの家にお邪魔してもいいですか?なんか、このワンちゃん(タロ)、ルビィたちともっと遊びたい、そんなこと、言っている・・・みたい・・・」(ルビィ)

と、つい言ってしまう。むろん、そんな犬のオーラなんて飼い主である森夫妻にもわかっていたらしく、

「あら、こりゃ、ルビィちゃん、このタロちゃんのオーラに負けちゃったんだね。それも仕方がないことかも。だって、このタロちゃん、甘え上手、だもんね・・・」(温子)

と、ルビィが根気負けするくらいのタロのルビィに対する愛情の熱さに感心してしまう。それくらいタロのルビィに対する愛情の凄さが強かったのかもしれない・・・。

 

 そんなわけで、曜とルビィは福岡観光から森夫妻のお宅訪問へと予定が代わってしまった。そんな森夫妻のお宅に行く途中、森夫妻の車のなかでは・・・、

「うわ~、タロちゃん、あまり甘えないでよ~!!」

とルビィが言うくらいタロはルビィに相当なついているようだった。これには、温子、

「ルビィちゃんには甘えているタロちゃん、実はまだ子犬なんですよ」

と言うと、曜、

「えっ、これでまだ子犬なの!!」

と、驚いてしまう。どうやら、曜、この犬はもう大人の犬であると思っていたみたいのようだ。

 だが、曜とルビィはこのあとさらに驚くことになる。それは次の森の言葉からだった。

「実は、この子(タロ)を含めて、家には5匹飼っているのですよ、キースホンドがね!!」

これには、ルビィ、

「この子(タロ)が5匹!!このままだと、ルビィ、犬に囲まれて窒息死しちゃうよ・・・」

と、タロと同じモフモフの犬たちに囲まれて窒息死してしまう、そんな自分を想像してぞっとしてしまった。ルビィ、涙目になる・・・。ただ、そんな怖がっているルビィの姿を見て、温子、

「そこは大丈夫ですよ!!だって、お父さん犬のハズちゃん、お母さん犬のワイちゃん、そして、長男のタロちゃんに次男のジロちゃん、三男のサブちゃん、子犬が3匹の計5匹ですけど、お父さん犬のハズちゃんととお母さん犬のワイちゃんは長男のタロちゃんみたいな甘えん坊じゃないから」

と、ルビィをあやすように言うと、ルビィ、

「よ、よかった・・・」

と、一安心する。

 しかし、曜、すぐに、

「でも、ルビィちゃん、(タロちゃんを除いた)残り2匹の子犬に攻められることには変わらないんじゃないの?」

と、これまた不吉なことを言ってしまった。これには、ルビィ、

「曜ちゃん、それ、言わないで!!」

と、とんでもないこと?を言った曜のことを叱ってしまった。

 

 そして、ついに森夫妻のお宅に到着・・・なのだが・・・、

「ルビィ、覚悟を決めたよ・・・、犬にもふもふされて窒息死する覚悟、決めたよ・・・」

と、ルビィ、まるで今から死地に行く、そんな覚悟を決めた様子。だが、これに、温子、

「ルビィちゃん、それ、ちょっと大げさすぎだよ・・・」

と、ルビィに対してそこまで身構えないように諭した。

 そして、ついに森夫妻宅の玄関の扉が開けられた。その瞬間、

「ただいま、ハズちゃん、ワイちゃん、ジロちゃん、サブちゃん!!」

と、温子の犬を呼ぶ声とともに犬たちが3匹温子にめがけて突進してくる。これには、ルビィ、

「つ、ついにくる・・・」

と、犬たちがルビィに向かって飛び込んでくることを予想して警戒する。

 しかし、そのうちの2匹は温子のちょうど目の前まで近づくも、

「ハズちゃん、ワイちゃん、待て!!」

という温子の命令を聞いた2匹の犬は温子の目の前でそのままお座りしてしまった。これには、温子、

「ハズちゃん、ワイちゃん、よしよし、よくできましたね~」

と、2匹の犬に対してなでなでする。これを見て、ルビィ、

「ふ~、よかったよ・・・」

と、一安心してしまう。

 だが、このあと、ルビィに悲劇が起きる。そう、温子やルビィに向かって突進してきた犬は3匹、うち2匹、温子がいう、ハズ、ワイ、は温子の指示で温子の前でお座りしてくれた。だが、3-2=1、そう、あと1匹は・・・。それは・・・、

「ピギャ!!」(ルビィ)

そう、もう1匹はルビィに向かって突進してきたのだ。とはいえ、サイズ的にはタロとほぼ同じ大きさ・・・なのだが、それでもそこまで小さくない、ということで、ルビィ、その1匹の襲撃を受ける!!その1匹はそのままルビィのところに飛び込むと、そのままルビィに対してもふもふアタック!!これには、ルビィ、叫び声をあげながらその場に座りこんでしまった。これには、温子、

「ルビィちゃん、サブちゃんが跳びかかってしまい本当にごめんなさい!!」

と、ルビィに平謝りしていた。

 

「う~、死ぬかと思ったよ・・・」

1分後、突然の子犬のサブの猛烈ラブアタックにより失神したルビィが息を吹き返した。これには、曜、

「ふ~、「ルビィちゃん、子犬の猛烈アタックで死す」なんてニュースにならなくてよかったよ・・・」

と、大事なことにならなくてよかった、そのことで一安心する。

 が、そのとき、大問題がすでに起きていたのである。それは森の突然の言葉からだった。

「おい、1匹いないぞ!!」

そう、勘のいい方ならもう気づいただろう。森は玄関をあげて犬を呼ぶ際、

「ハズちゃん、ワイちゃん、ジロちゃん、サブちゃん」

と、4匹を呼んだのだ。でも、森たちのところに駆け寄ってきたのは3匹だけ。あと1匹は森たちのところに飛び込んでこなかったのだ。これには、曜、

「えっ、たしか森さんは5匹の犬を飼っていて、うち1匹は連れ出していた。残り4匹、うち3匹は森さんに飛び込んできた。そして、あと1匹は・・・、あと1匹はどこにいるの?」

と、あと1匹足りないことを確認するとともにどこにいるのか心配になる。

 そんなわけで、森、どの犬がいないのかもう1度確認する。

「え~と、まず、お父さん犬のハズちゃんとお母さん犬のワイちゃんは温子さんの目の前でお座りしている」(森)

そう、森夫妻の目の前にはお父さん犬のハズとお母さん犬のワイがいる。さらには・・・、

「あと、ルビィちゃんに飛び込んできたのは三男のサブちゃん・・・」

と、サブを確認。南が呼んだ4匹は「ハズちゃん、ワイちゃん、ジロちゃん、サブちゃん」、うち、ハズ、ワイ、サブの3匹はここにいる、というわけで、

「「あっ、次男のジロちゃんがいない!!」」(森・温子)

そう、ここにはジロがいなかったのだ。ちなみに、モル夫妻が飼っている犬は計5匹である。そのうち、タロはまだゲージの中にいる。そして、ハズ、ワイ、サブ、この3匹も見つかった。なので、森夫妻が飼っている5匹の犬のうち次男のジロだけが行方不明、ということになるのだ。

 そんなわけで、森夫妻、ジロを探しに家中を探しまくるも見つからず。これには、温子、

「ジロちゃんが行方不明だなんてどうして?」

と、今にも泣きだしそうになるも、森、

「温子さん、ジロは大丈夫なはずです!!絶対に見つかるはずです!!」

と、温子のことを元気づけようとしていた。

 そんな2人を察してか、曜、

「でも、ジロちゃん、どこかこの家の外に逃げ出した、なんてないことは起きていないのかな?」

と、温子に尋ねてみる。たしかに犬がどこかに逃げしまうことはよくある。

 だが、飼い主である森はというと、

「それはないと思います」

と、曜の考えを否定した。なぜなら・・・、

「だって、(森夫妻が飼っている)キースホンドは飼い主に忠実ですから。それに、私は出かける前、ハズちゃんたちに「家の外に行かないように」って命令していましたから」

そう、キースホンドは自分が認めた飼い主には忠実だったりする。なので、森が出かける前にハズたちに対し家の外に行かないように注意しているなら犬たちがどこかに行くことは少し考えにくい。さらに、

「それに、私はハズちゃんたちが外に出られないよう、家中の鍵を閉めてきましたから!!」

と森は言っている。こうなってくると、ジロ自ら家の外に出てどっかに行くことなんて考えにくい、とも言えてくるのである。

 そんなわけで、いろんなところを一生懸命探した森夫妻、なのだが、どこを探しても見つからないことに、温子、

「ジロちゃ~ん~、ジロちゃ~ン~」

と今にも泣きだしそうな予感。本当にジロがどこにいるのか誰も知らない、そんな状況に陥っていた。

 そんなときだった。突然、森のポケットから、

トゥトゥトゥ トゥトゥトゥ

という呼び出し音が聞こえてきた。この音を聞いて、森、

「うぅ、こんなときに誰からだろう・・・」

と言いながら自分のポケットからスマホを取り出す。すると、誰からかのメールが届いていた。森、そのメールを普通に広げてみると、

「う、うそだろ・・・」

と愕然としてしまった。この森の表情に気づいた曜、、

「えっ、森さん、どうしたの?」

と、森になにがあったか尋ねてみる。すると、森、

「こ、これを見てください・・・」

と、曜、ルビィ、温子に届いたばかりのメールを見せた。

 すると、曜、こんな声をあげてしまった。

「えっ、これ、誘拐したというメールじゃ・・・」

そのメールにはこう書かれていた。

「犬(ジロ)は預かった。返してほしければ俺を探しだせ」

そう、そのメールこそここにいない子犬、ジロを誘拐した、それを指し示すものだった。

 で、このメールを見て森夫妻はともに、

「私たちの大事なジロが・・・、ジロが・・・」(森)

「あ、あなた、落ち着きましょう。でも、でも、私たちにとってジロは・・・、ジロは・・・」(温子)

と、完全に塞ぎこんでいた。

 そんな森夫妻の姿を見てか、ルビィ、

「曜ちゃん、ルビィ、悲しんでいる森さんたちの役に立ちたいよ・・・。どうすればいいの・・・」

と、泣きそうになりながら曜に相談すると、曜、

「う~ん、どうしようか・・・」

と、少し考え込む。

 すると、曜、

「あっ、そうだ!!」

と、あることを思いだしたのかのような表情をするとルビィにある提案をした。

「ねぇ、ルビィちゃん、あの人たちだったらきっとジロを探し出してくれると思うんだけど」

この曜の言葉に、ルビィ、

「あの人たち?」

と、曜にその人が誰なのか尋ねてみると、曜、元気よくこう言った。

「あの人たちだよ!!あの人たちならきっとジロを探し出してくれるはずだよ!!だって、昨日、あんな事件を解決してくれたんだから!!」

この曜の言葉にルビィもそれが誰なのかわかったみたいで、

「あっ、昨日、ルビィたちと一緒にいた南さんたちか!!」

と驚きながらその人の名前を叫んだ。そう、曜が頼ろうとしている人物、それは南たち、公安特捜班の面々であった。昨日の「あそぼーい」で起きた県議殺人未遂事件を解決するくらいの力があればきっとジロも見つけてくれるはず、そう曜はにらんでいたのである。これにはルビィも、

「曜ちゃんの言う通り、南さんたちならきっとジロを見つけてくれるはずだね!!」

と、曜の提案に同意した。

 そんなわけで、曜、すぐに南に連絡を取る。実は南たちと曜、ルビィは、昨日、別れ際にお互いの連絡先を交換していたのである。そして、今、その南の連絡先に曜は連絡をかけようとしているのだ。

 そして、電話をかけてから数十秒後、曜のスマホに南の姿が映る。その南であるが、

「はい、南ですが、曜ちゃん、なにかあったのですか?」

と、曜に尋ねると、曜、ルビィ、ともにうるうるとした表情で南に頼み込んでしまう。

「お願いなんだけど、犬が誘拐されたの。助けて!!」

 しかし、これまでいろんな事件を解決してきた南からすると・・・、

「えっ、犬の捜索!?それならほかを当たってくれ!!ただの犬だろ!!俺の出る幕じゃ・・・」

と南は断る気まんまんだった。

 だが、ルビィ、そんな南に食い下がった。

「南さん、この犬たちの子犬が誘拐されたの!!南さん、助けてください!!」

そして、ルビィはハズら森夫妻の犬たちのほうにスマホのカメラを向けると、画面いっぱいにハズら森夫妻の犬たちの姿が映っていた。その犬たちはまるで「私たちの大事な仲間であるジロをみつけてください」といわんばかりに目をウルウルさせていた。ハズら犬たちのウルウル攻撃、南に対して炸裂していた。

 だが、南からすればそんなあまり効かないようで、

「はい、ただの犬の戯言だろ!!俺には関係ない・・・」

と、完全に断ろうとすると、突然、

「あ~、もふもふとした犬がいっぱい!!かわいい!!」

と、南の電話に梶山が乱入してきた!!その勢いのままに、梶山、

「私、犬、大好き!!こんな犬、飼いたいよ!!」

と、南のスマホに映る犬たちに誘惑されていた。

 と、ここで、曜、ここぞとばかりにルビィにあることをお願いした。

「ルビィちゃん、あれ、やって!!」

これにはルビィも、

「うん、わかった!!」

と、曜の願いを承諾すると犬たちといっしょに曜のスマホのカメラに向かって目をウルウルしながらこう言った。

「南さん、梶山さん、子犬を探して!!」

究極のコンボ、森夫妻の犬たち&ルビィのうるうるお願い攻撃、これほどすごいものなんてないだろう。いや、これに勝てる人なんていないだろう。まぁ、そんなわけで、梶山、

ドキュン

と、犬たちとルビィの攻撃に自分のハートが撃ち抜かれてしまった・・・わけでして、梶山、南に対して、

「南、子犬を探すわよ!!」

と、南に行方不明になった子犬を探すように命令してしまう。でも、南はというと・・・、

「なんで俺が子犬を・・・」

と、現時点でも子犬捜索にあんまり乗り気ではなかったのだが、梶山から、

「やるわよね!!」

と強気で言われてしまう。そんな梶山の強気に根気負けをしてしまったのか、南、

「は、はい・・・」

とうなずくしかなかった。

 

 こうして、南と梶山はリモートでジロの捜索に加担することとなった。まずは、南、

「それでは、まず、その「誘拐した」というメールをよく見せてください」

と言うと、曜、すぐにそのメールを南に転送した。そのメールを確認する南と梶山。そのメールにはこんなことが書かれていた。

「犬(ジロ)は預かった。返してほしければ俺を探しだせ。俺のいる場所に来い!!次のURLから俺のいる場所を探し出せ!!

https;・・・・

このURLにとんでそのブログを読み続けたら俺がいる場所がわかるはずだ!!特に温子という女にはな・・・」

これには、温子、

「えっ、どういうこと・・・」

と、なにがなんだかわからない様子、いや、突然そのことを言われて困惑していた、今の温子だと・・・。

 そんな困惑している温子をしり目に、南、

「そのURLに今接続しましたけど、特にマルウェアみたいなものはありませんでした。ただのブログのようだ。曜ちゃん、ルビィちゃん、すまないがまずはそのURLにとんでブログを開いてくれ」

と、曜とルビィに指示をだす。

 そして、曜とルビィは南の指示通りメールに添付されているURLをクリック。すると、ある人のブログがひらいた。これを見て、ルビィ、そのブログの名前を言ってしまう。

「え~と、「ニノタビ」?これってあのジャニタレのA〇ASHIのニノのブログじゃ・・・」

AR〇SHIのニノ・・・、あの国民的アイドルグループのメンバーの1人のブログ・・・だと思ってしまったのか、ルビィ、びっくりしてしまうも、すぐに梶山から、

「う~ん、それはないかも。だって、この人のブログ、どちらかというと自分の旅行記みたいなものなんだもん・・・」

と言われてしまう。その梶山の言葉を聞いてか、曜、そのブログをざっと見ては、

「たしかにあの大人気アイドルのニノのものじゃないね。たしかにある旅行記みたいなものだもん、このブログって・・・」

と言ってしまう。これには、ルビィ、

「ちょっとがっかり・・・」

と、愕然としてしまった。

 

「それではこのブログを詳しくみていくことにしましょう」

と、南の言葉とともにみんな一緒にこのブログを読むこととなった。まずは最初の投稿にはこう書かれていた。

「今からこの子犬と一緒に九州のいろんなところに行きたいと思います」

そして、子犬を連れて博多駅から旅立とうとしている、そんな写真が掲載されていた。これをみて森夫妻はともに、

「あれ、間違いなくジロちゃんだよ!!」(温子)

「おい、博多駅に行くぞ!!」(森)

と、掲載されている写真に写っている犬が自分たちが大事にしてきたジロだとわかると博多駅に直行しそうな感じになってしまった。

 だが、それは南のあることで2人は思いとどまることに。

「森夫妻、ちょっと待ってください!!まだブログには続きがあります!!」

この南の言葉を聞いてか、

「ああ、そうだった、そうだった」(森)

「あら、これは失礼いたしました!!」(温子)

と、なんとか落ち着くことに。これには、南、

「おい、本当に大丈夫なのか、森夫妻・・・」

と、逆に2人のことを心配してしまう・・・。

 

 そして、曜たちはプロ具の続きを読むことにした。ブログの次のページにとぶとそこには、

「わ~、大きな風車がある!!」(ルビィ)

そう、そこには木々に囲まれている風車をはじめとする外国?の風景が映っていた。これをみて、曜、

「この風景、まるでオランダみたい!!」

と喜んでいた。

 と、いうわけで、ルビィ、それを踏まえてこう発言する。

「もしかして、ジロちゃん、外国に行っちゃったの・・・」

 だが、南はそのルビィの発言を否定した。

「う~ん、それは違うと思うよ、ルビィちゃん。博多駅からオランダまで行くだけでも1日以上かかるから、昨日今日で行ける場所ではないね、オランダという国はね」

たしかに南の言うことはもっともだ。博多からオランダまでは成田などどこかの空港を経由しないといけないし、オランダのあるヨーロッパは博多からだと1日以上かけないと行けなかったりする。

 そんな南の言葉を受けてか、曜、あることを思い出すとこう言った。

「あっ、たしか九州にはオランダみたいなところがあった!!たしか、ハウステンボス、だったっけ!?オランダみたいな外国の建物がいっぱいあることが特徴で夜のイルミネーションがとてもきれいだったりするんだよ!!私、そこ、行ってみたいよ~!!」

そう、九州にはオランダの街並みを模したところがある。それがハウステンボスである。ハウステンボスはオランダの街並みを再現したテーマパークであり、夜のイルミネーションはあるサイトのイルミネーションランキングで全国1位になるくらい有名でありとてもきれいである。なので、曜、写真に写っているところがハウステンボスではないかと推測していたのである。

 が、それも、南、

「いや、ハウステンボスじゃないな」

と、曜の推測を否定してしまう。これには、曜、

「え~、なんで・・・」

と、南に問い直すと、南、こう答えた。

「実はハウステンボスの風車ってチューリップ畑のなかにあるんだ。でも、この風車は木々に囲まれている。だからハウステンボスじゃないと言い切れるんだ」

これを聞いて、曜、

「じゃ、この場所ってどこなの?」

と困惑してしまう。

 そんな曜を見てか、南、曜とルビィに対してこう言った。

「でもね、九州にはハウステンボスとは別にもう一か所オランダの街並みを再現した場所があるんだ!!」

これを聞いて、曜、ルビィ、ともに、

「「?」」

と、頭にハテナマークを浮かべてしまった。しかし、南夫妻はというと、

「なんかこの写真を見て懐かしく思えてくるよ」(森)

「そうだね」(温子)

と、その写真に映る場所がどこなのかわかった様子。これには、曜、

「お二人(森夫妻)にとって想い出のある地なのですか、この写真に映っている場所が?」

と、森夫妻に尋ねると、

「はい、昔、そこに2人で行くことが多かったんですよ。今でいうところの、デート、かもしれませんね」

と、温子が優しく答えてくれた。

 そんな森夫妻の様子をネット越しで見ているのか、写真に写っているところがどこなのかいまだにわからない曜とルビィに対し南はその場所がどこなのか教えてあげた。

「曜ちゃん、ルビィちゃん、この写真に写っている場所はね、ハウステンボスから南西にある西海市の入り江にある廃墟あんだ。昔、そこに日本でとても有名なテーマパークがあってそこが発展してハウステンボスができたんだ」

これには、ルビィ、

「えっ、この写真に写っている場所って元テーマパークだったわけ!!」

とびっくりしてしまうと曜も、

「ハウステンボス以外にもオランダの街並みを再現した場所があったんだ!!」

とこちらもびっくりしてしまった。そりゃそうだろう。オランダの街並みを再現した場所なんて日本でもそんなに多くはない。そのなかでもハウステンボスは有名だがそのルーツが西海市の入り江のところにあるなんて曜とルビィにとって初耳であった。

 だが、そんな2人をしり目に、森夫妻、また動き出す。

「よしっ、温子さん、その場所に行きましょう!!」(森)

「はい、森さん!!」(温子)

と、その場所に行こうとしてしまう。

 しかし、南はそんな森夫妻をまた止める。

「森夫妻、ちょっと待ってください。ブログにはまだ続きがあります!!」

これを聞いて、森夫妻、

「あっ、そうだった!!すまない、すまない」(森)

と、南に対して謝ってしまう。

 そんなわけで、森夫妻、ブログの次のページへととぼうとする。が、そんなとき、曜、あるブログの文章に目がいってしまう。

「え~と、「昔、俺の父母がここでよくデートをしていました」・・・」

この文章を読んで、曜、ついこんなことを考えてしまう。

(ふ~ん、森夫妻みたいなカップルがほかにもいたんだ・・・)

 が、その横からルビィが、

「曜ちゃん、はやく次のページにとんで!!」

と催促されると曜も、

(あっ、そうだったね!!)

と、その文章のことは忘れて次のページへととんでしまった。

 

 そして、続きのブログには「この列車は自分にとって想い出のある列車です」という文言とともにある列車の大きな窓が特徴的なミニロビーとミニビュッフェが写っていた。これを見て、ルビィ、その列車がなんなのかすぐに答えた。

「あっ、これって、「ゆふいんの森」号、だね!!昨日、ルビィ、それに乗ったもん!!」

そう、ルビィの言う通り、それは「ゆふいんの森」号だった。で、なんでこの写真を見てすぐにルビィが「ゆふいんの森」号だとわかったかというと、実は昨日、ハピトレのPVの下見のために豊後森機関庫に行くときに「ゆふいんの森」号を使ったからである。昨日、曜とルビィは「ゆふいんの森」1号で豊後森まで行くとその足で豊後森機関庫まで行き見学、そのまま「ゆふいんの森」3号で「あそぼーい」の待つ別府まで移動していたのだ。なので、ルビィは「ゆふいんの森」号の存在を知っていたのである。

 そして、この写真を見て、南、あることに気付く。

「この列車って「ゆふいんの森」Ⅲ世だね!!」

これには、曜、

「えっ、Ⅲ世なの!?」

と、びっくりしてしまう。「ゆふいんの森」Ⅲ世があるなんて初めて聞いたからだった。これには、南、それについて詳しく説明する。

「実は「ゆふいんの森」号にはⅠ世とⅢ世の2つがあるんだ。最初のころから走っているⅠ世、新しく作られたⅢ世のふたつ。そして、この写真に写っているのが新しいほうの三世なんだ!!」

 これを聞いて、ルビィ、あることを思い出す。

「あっ、たしかにそうかも!!だって、昨日乗った「ゆふいんの森」号、1号と3号で列車が違ったよ!!」

そう、昨日曜とルビィが乗った1号と3号では列車の形も内装も少し違うところがあったのだ。ルビィ曰く、

「たしか、1号の方は列車前方が少し角ばっていたけど、3号の方は列車前方が丸みを帯びた滑らかな曲線だったよ!!」

とのこと。これについても南は曜とルビィに説明する。

「現在、「ゆふいんの森」1・2・5・6号は博多~由布院間をⅢ世が、3・4号は博多~(久大本線経由)~別府間を1世が走っているんだ。で、、ルビィちゃんは2つの列車に乗ったからその列車の違いに気づいたんだね」

 そんな南の言葉に、ルビィ、

「あっ、だからルビィは2つの「ゆふいんの森」号に乗ってその違いに気づいたんだね!!」

と、納得の表情をみせる。

 だが、ここで曜はあることに気付く。

(Ⅰ世とⅢ世、って、あれっ、なにか抜けている・・・。あっ、もしかして!?)

そこで、曜、南に対してあることを尋ねた。

「南さん、「ゆふいんの森」号ってⅠ世とⅢ世があるでしょ。でも、あともう一つ、Ⅱ世は?」

これには、南、こう答えた。

「あぁ、Ⅱ世だね。Ⅱ世は昔あったんだけど、今はⅡ世としては運用していないんだ」

これには、曜、

「えっ、Ⅱ世としては運用していない・・・」

と、その事実に愕然となるも、すぐに、

「それじゃ、そのⅡ世って今は・・・」

と、もう一度南に尋ねる。すると、南、

「実はそのⅡ世はね、今・・・」

と何かいおうとしていた。

 だが、そのときだった。

「よしっ、「ゆふいんの森」号はたしか別府か湯布院に行くのだろ!!なら、そこに行くぞ!!」(南)

「はい、森さん!!」(温子)

と、森夫妻、別府、もしくは湯布院に行く様子をみせてしまう。森夫妻、どうやら、考えるより即行動、そんな人たちみたいのようだ。

 だが、それを見てか、ネットの向こう側にいる南から、森夫妻、止められる。南、すぐに、

「森夫妻、まだブログには続きがあります!!」

と言っては2人を止める。それに対して、森、

「た、たしかにそうだな!!すまない、すまない」

と、立ち止まっては南に謝ってしまう。

 が、そんなときだった。温子はこのブログの記事を見てあることに気づいたのか、下を向いては、

「まさか、まさかね・・・」

となにかをつぶやいていていた。これには、曜、

(あれっ、温子さん、なにかつぶやいていたような気が・・・)

と、ふと思ってしまうも、すぐに、

(ちょっと気になるけど、それはそれとして・・・、ブログの続きを読まないと・・・)

と思ってはブログの次のページへととんでしまった。

 だが、このとき、南はふとこんなことを考えていた。

(でも、なんで「ゆふいんの森」号のことをこのブログで取り扱ったのだろうか?いや、そうじゃない。この「ゆふいんの森」号を取り扱うことで犯人は何かを言いたいのかもしれない。もしかすると、それ自体、大切ななにか、大切な存在、それを犯人は言いたいのかもしれない・・・)

(お詫び:この作品が投稿された2020年12月現在、久大本線豊後森~庄内間は夏の大雨のために不通になっております。今のところ、博多~豊後森間をⅢ世で2往復しております。ですが、この物語では大雨前のダイヤをもとに物語を作っております。その点はご了承ください。なお、Ⅰ世のほうはただいまある駅で閉じ込められております。理由はその駅の両側の路線で線路流出などがあって動けないからです。自分としてもⅠ世が久大本線で元気に走る姿が見れるように久大本線全線復旧を切に願っております)

 

 ブログの次のページには「ここの風景は自分にとって想い出のある場所です」という文言と共に夕日が沈むある海岸の写真が写っていた。その写真であるが夕日のところに大きな鳥みたいなものが写っていた。これには、曜、

「うわ~、きれいな夕日!!でも、その夕日のところに写っている大きな鳥みたいなもの、なんなの?」

と、南に尋ねると南はこう言い返した。

「それって鳥じゃないと思うよ。でも、鳥みたいに空を飛んでいるものであるのはたしかだね」

 これを聞いて、森、

「鳥みたいに空を飛ぶもの・・・、飛ぶもの・・・、って、もしかして!!」

とあることに気付いたみたい。

 そして、森は夕日に写るものが何であるか答えた。

「もしかして、それって、飛行機、ではないですかね」

これには、南、こう答えた。

「ずばり、正解!!」

そう、夕日に写る鳥みたいなものは飛行機であった。そして、それについて、南、こう付け加えた。

「その飛行機ですが、沈む夕日をバックに写っているのですからどこかに着陸しようとしているのではありませんか?」

 この南の一言でルビィはあることを言いだす。

「南さんの言うことなら、この海岸近くに空港があるってことだよね。じゃないと、飛行機、このままだと海に不時着しちゃうもん・・・」

 このルビィの言葉を聞いたのか、南、

「ルビィちゃん、するどいね!!」

と、ルビィのことをほめると続けて、

「たしかにこの近くに空港がある。でも、夕日の見える海岸の先は海だけ。さて、そんな都合のいい空港って九州内にあるのかな?」

と、曜たちに問いかけてくる。これには、曜、

「もしかして、そんな空港って九州内にあるの?」

と考えては九州の地図を持ってきてみんなでその空港を探す。福岡空港、北九州空港、熊本空港などなど。

 そんななか、曜、ある空港に目を引くとこう言いだしてきた。

「あった・・・、そんな都合のいい空港があった!!」

そして、その空港の名を曜は口にした。

「長崎空港・・・」

 その曜の言葉に対して南はこう言いだした。

「そう、この写真が撮られた場所、そこは長崎大村湾の大村側の海岸のちかくだね。飛行機が長崎空港に着陸しようとしているところを夕日と重ねて撮ったのだろうね」

長崎空港、本格的な空港としては世界初の海上空港である。今は、関空、セントレア、北九州、神戸と海上空港は日本中で見られるようになったが、ここ長崎空港こそ本格的な海上空港第1号であった。大村湾にある小島に空港施設を作り開場したのが長崎空港である。そんな長崎空港のシンボルは丘陵部分のところに花文字で作られた「NAGASAKI」である。

 そんなとても美しい写真・・・なのだが、とうの森夫妻はというと・・・、

「とてもきれいなところだな。なら、そこにジロちゃんが・・・」(森)

「たしかにそこにジロちゃんが・・・」(温子)

と、こちらはこちらで移動する気満々。それを見てか、南、

「ちょっと待ってください!!動くのは時期早々です!!まだブログには続きがあります!!」

と言って2人を止める。これには、森夫妻、ともに、

「た、たしかにそうだね・・・」(森)

「ご、ごめんなさい・・・」(温子)

と、ついつい謝ってしまう。

 だが、このときの温子はというと・・・、

「も、もしかして・・・」

と、なにかに気づいた様子。これには、ルビィ、

(あれっ、また温子さん、つぶやいている・・・。なにか隠しているのかな・・・)

と、温子のことを疑いはじめるようになる。

 一方、南、これまでのブログに記事をみてあることに気付く。

(これってもしかして、森夫妻にあてた犯人からのメッセージ、じゃ・・・)

 

 そして、ブログの次のページへと進むと、そこには「自分はこの子犬と同じように忘れ去られるのかもしれない・・・」という文言とともにグリーン車?みたいな座席の写真と今にも動きそうなSLとそのバックに写るある機関庫が写る写真が掲載されていた。

 すると、ルビィ、その機関庫の写真を見てその機関庫の場所がどこかすぐにわかった。

「あっ、ここって、昨日、ルビィたちが行った豊後森の機関庫だ!!」

そう、機関庫の写真、実は豊後森機関庫であった。つい最近、豊後森機関庫は町の有志によって観光施設として整備されることとなった。さらに、國鉄の炭鉱があった福岡志免の鉄道公園に静態保存されていたSLを移設して豊後森機関庫で静態保存するなど町をあげて力を入れている、そんな観光施設としての機関庫であった。で、その機関庫のことを高校を卒業したものの今度千歌たちと一緒にAqoursオリジンとしてリリースされる曲「ハピトレ」のセンターとして抜擢された果南がそれを知り、その機関庫の写真を見て、「この場所で「ハピトレ」のPVを撮りたい!!」と言いだしてきたのだ。そして、この果南の進言は「ハピトレ」のPVのロケ地を探していた月にしても朗報だったらしく、月、この豊後森機関庫を「ハピトレ」のPVのロケ地に決めてしまったのだ。で、月が曜とルビィに対して「PVのロケ地の下見に行ってほしい」とお願いされたのが曜とルビィの旅のきっかけとなるのだが、それは置いといて、曜、こんなことを言いだす。

「ってことは、この機関庫に関係する列車にこのグリーン車?みたいな座席があるの?」

これには、森、

「なら、この機関庫の近くを走る路線、久大線に関係ある列車が・・・」

と言うと、曜、すぐにその答えを言いだす。

「もしかして、「ゆふいんの森」号?」

 だが、これには、ルビィ、曜の答えに対し、

「でも、こんな座席、昨日、見ていないよ!!」

と否定する。今ある「ゆふいんの森」号の2列車すべてに昨日乗っているルビィからするとその写真の座席は2列車とも違うものだった。このルビィの意見に、曜、

「た、たしかに、ふたつの「ゆふいんの森」号にはこの(写真の)座席なんてなかったね・・・」

と、ルビィと同じくふたつの「ゆふいんの森」号に乗車していた曜、そのことを悟ると、

「じゃ、いったい、なんの列車なの~!!」

と、困惑してしまう。

 そんな曜を見てか、ネットの向こう側で曜の様子を見ていた梶山はすぐに、

「南、曜ちゃんにからかうんじゃないの!!」

と、南にツッコミを入れると、南、

「別にからかっていないよ・・・」

と、だだをこねるもこのままだと曜とルビィをさらに困惑させると思ったのか写真に写るグリーン車?みたいな座席のある列車の正体を教えた。

「実はこの列車の正体は「ゆふいんの森」号と同じ路線久大線を走る特急「ゆふ」号なんだ」

そう、グリーン車?みたいな座席のある列車の名は「ゆふいんの森」号と同じ路線久大線を走る特急「ゆふ」号だった。

 だが、ここで森が「ゆふ」号にまつわるある事実を話す。

「でも、「ゆふ」号ってたしか全席自由車じゃ・・・」

そう、「ゆふ」号は普通車自由席・指定席はあるもののグリーン車どころかグリーン室・グリーン席なんて設けていないのだ。だが、

「でも、この座席ってグリーン車並みじゃ・・・」

と、曜、さらに困惑してしまう。

 そんな曜を見てか、「これではまずい!!また梶山から怒られる」と思ってしまい、南、この座席の正体をみんなに教えた。

「実はこのグリーン車みたいな座席なんだけど、今は普通車指定席?として使っているけど、昔はグリーン車の座席として使っていたわけ。だって、「ゆふ」号に使っているキハ185系はもともと國鉄四国総局の列車んだから!!」

そう、國鉄九州総局が「ゆふ」号と(豊肥線熊本~大分間を走る)「九州横断特急」んい使用されているキハ185系はもともと四国総局が使っていた列車であった。1980年代に登場したキハ185系は最初のころは四国総局の特急においてフラッグシップ的存在であったが、四国での高速道路網の発達によりキハ185系より高性能な2000系が登場、それにより主力路線から退いていった。そして、それによって余ったキハ185系であるが、当時老朽化した急行型の置き換えを検討していた九州総局がそれを買い取ったのだ。その列車こそ現在「ゆふ」などで使われているキハ185系なのだ。

 そんな説明を曜とルビィにする南、続けて、

「キハ185系を買い取った九州総局なんだけど、運用する際、すべて普通車として使うことにした。そして、そのキハ185系で四国総局時代にグリーン室として使っていた座席もモケット(座席の座面・背もたれ部分に張られている布)を変えただけでグリーン車並みの座席のままで普通車指定席?として使うことにしたんだ。こうして、今でも「ゆふ」号に使われているキハ185系にはときどきグリーン車並みの座席がある列車が来ることがあるんだ」

 この事実に九州に住み続けていた森夫妻すら、

「あぁ、なるほど・・・」

と、納得してしまった。

 と、そんなわけで、森、

「それならば、今はジロは豊後森にいるのでは!!」(森)

と、豊後森に行こうとするも、これには、南、

「行ってもいいですけど、ジロはおろか犯人すらすでに豊後森にはいないと思いますよ」

と、言って森をけん制すると、森、

「うむ、それはたしかに・・・」

と、顔を少しゆがませながら答えるとそのままもとの場所へと戻った。

 しかし、そんな森に対し、温子、

「もしかして・・・、もしかして・・・」

と、なにか不安そうな顔になってしまう。これには、ルビィ、

(あっ、また、温子さん、苦しんでいる・・・。またなにかあったのかな?)

と、温子のことを心配そうに思ってしまった。

 だが、この温子の少しの変化に気づいた者がもう一人いた。

(これは温子さん、なにかを隠しているのでは・・・)(南)

そう、南である。カメラ越しとはいえ、南が温子の微妙な変化に気づいたのはすごいの一言であった。いや、それどころか、南、

(もしかすると、温子さんとジロを連れ出した犯人になんか接点があるのではないかな?)

と、そんなところまで疑うところまできていた。

 

 そして、曜たちはブログの次のページに飛ぶ。すると、そこには、ただ・・・、

「この子犬と列車とともに私の消えたものを追い求める旅は続く」

この文言だけ残してこの「ニノタビ」という名のブログは終わりを迎えてしまった。

 このブログの終わり方に、森、

「このブログからなにがわかるのかさっぱりわからない!!いったい犯人は何を言いたいんだ!!」

と、困惑してしまうと、すぐに、

「なぁ、温子さん!!」

と、温子に対して自分の意見に同意を求めようとするも、温子、

「う、うん、そうだね・・・」

と、歯切れ悪いような言い方ながらも森の意見に同意してしまう。

 で、曜とルビィにいたっては、

「このブログってただの旅行記じゃないのかな?」(曜)

「それよりも、ルビィ、ジロちゃんのことが気になるよ・・・」(ルビィ)

と、こちらも犯人の意図がわからず、さらにどこかにいったジロのことが気になるほど困惑の度合いを深めていた。

 だが、南はそんな4人とは違ってあることを考えていた。

(このブログ自体犯人のメッセージなんだ!!これまで、「長崎西海市の入り江にあるオランダみたいな街並みの写真→「ゆふいんの森」号の写真→大村湾の夕日が沈む海岸を写した写真→「ゆふ」号の写真」といった順番でブログは進んでいた。そして、「列車とともに消えたものを追い求める旅は続く」でこのブログは締められている。これって犯人がなにか俺たちになにかのメッセージを残してくれていたのでは・・・)

 そして、ついに、南、

(あっ、もしかして、これって犯人が今いる場所を示しているのでは!!)

と、ある答えにたどり着いた。それは・・・、

(あっ、これってあの列車のことをいっているのでは!!犯人はその列車の中にいる!!いや、それだけじゃない!!その列車にはいろんなものが詰まっている!!そう、あの消えてしまったものまでもが・・・)

と、犯人の居場所・・・どころか犯人がなにを言いたいのはわかってしまった様子。さらには・・・、

(それに、あの「ゆふいんの森」号のページで感じたもの、大切な存在、いや、消えてしまった「ゆふいんの森」号、消えた子犬のジロ、それに、犯人、それにはある共通項で結ばれている、そう思えてしまう。いや、もしかすると、それはあの温子さんと関係しているのでは。いや、温子さんだけじゃない!!森さんとも関係している!!)

と、犯人が、森、温子にも関係性があるのではと疑問を持つようになる。

 だが、そんな疑問を持ちつつも南は、曜、ルビィ、森、温子に対しこう言いだしてきた。

「曜ちゃん、ルビィちゃん、そして、森夫妻、犯人の居場所がどこなのかわかりました!!」

これには、ルビィ、

「えっ、南さん、あのブログを読んだだけで犯人の居場所がわかっちゃったの!?」

と、びっくりしてしまうも、南、そんなことはスルーして曜たちにこう命令した。

「4人とも今すぐ指定する場所に来てください!!今なら間に合うと思います!!」

これには、4人とも、

「「「「えっ!!」」」」

と、驚いてしまうも、南、つかさずこう言いだしてきた。

「そうです!!あなたたちが指定する場所に到着するころには犯人もその場所に到着するはずです、その場所、

 

熊本

 

にね!!」

 

 こうして、曜たち4人は南に指示されるまま博多駅まで行くと九州新幹線で熊本まで行くことに。その車中において、

「森さん、あなたには子どもは何人いるのですか?」

と、南がタブレットを通じて森に質問してきた。これには、森、

「私の子どもは3人いますが・・・」

と答えるとすぐに温子が、

「実は、私たち、お互いバツイチなんです。バツイチ同士で再婚している仲です」

と森の言うことに付け加えて言った。これには、曜、

「えっ、再婚しているわけ!!」

とびっくりするも森はそれについて説明した。

「実は、私たち、昔、付き合っていたのですが、私たちの親からの猛反対があって別れてしまったのです。そして、お互い親が決めた別々の人と結婚することになったのです。けれど、お互いともよりが合わなかったのか離婚してしまいお互いバツイチになりました。けれど、つい最近温子さんと会う機会がありまして話をしていくうちに「結婚しようか」という話になって温子さんと結婚した、というわけです」

 これには、ルビィ、

「昔付き合っていたのに別れてしまった2人が再会して結ばれるなんてなんかすごいよ!!」

と、目をキラキラさせながら言うも、森、

「でも、そんなに美しいものではありませんよ」

と言うと、続けて、

「で、私たちには子どもが3人いるのですが、長男と三男が私の連れ子、次男は温子さんの連れ子なんです」

と、自分の子どもについて説明する。

 が、突然、温子が、

「でも・・・、でも・・・」

と泣き出すと続けてこんなことを言いだしてきた。

「でも、森さんの連れ子である長男の太郎さんと三男の三郎さんは私の結婚に賛成なのですが、私の連れ子である次男の次郎だけが私たちの結婚に反対しているのです」

これには、曜、

「たしかに人それぞれにいろんな意見があるけど、まさか自分の子どもに結婚を反対されているのはなんか温子さんにとって悲しいことだね」

と、温子に同情するも、南、

「でも、それは俺たちが解決することじゃない。森夫妻が解決することだ」

と、断言してしまう。そう、これは森夫婦と次男である次郎との問題である。他人の曜がツッコむような案件ではなかった。そのためか、曜、

「たしかに南さんの言う通りだね・・・」

と、南の言葉に納得せざるを得なかった。

 だが、この森から森夫妻の子どもたちの話を聞いて、南、ついにある結論に達する。

(森夫妻の子どもたちか。子どもたち・・・、あっ、そうだったんだ!!これですべてがつながった!!消えてしまった「ゆふいんの森」号、森夫妻の前から消えてしまった(ハズちゃんとワイちゃんの)次男であるジロ、犯人、その共通項が見つかった!!犯人はあの人で間違いない!!)

 そして、南は森に対しあるお願いをしていた。

「ところで、森さん、2人で少し話したいことがあるので、この(南が映っている)タブレットを持って席を外してくれませんでしょうか」

これには、森、

「ああ、いいが」

と言うと、泣いている温子を曜たちに任せ1人で列車のデッキに移ると、南、

「ところで、あなたの名字の湯布院なのですが、もしかして、つい最近改名しませんでしたか?」

と、森に対して質問をした。この南の突然の質問に、森、少しはっとしたのか、

「た、たしかについ最近改名しました・・・」

と、南に正直に話した。

 この森の言葉を聞いて、南、こう言った。

「もしかして・・・」

 このあと、南は森から改名したことについていろいろと聞いていくうちにある結論へとたどり着く。そして、南、

「森さん、もしかすると、これであなた方の問題も解決するかもしれませんね」

そう言うとともに、

「今、私の関係者が1人犯人らしき人物と同じ列車に乗っております。その関係者の話とあなた方の話を聞いてわかりました。いや、温子さんが心配していることなどあなた方抱えている問題すべて解決できるかもしれません!!」

と、元気よく言うと、森、

「それは本当ですか!!」

と、南に尋ねると、南、

「そのためにもはやく熊本駅に来てください!!」

と答えた。これには、森、

「南さん、ありがとうございます!!」

と、南にお礼を言った。

 その後、南も任務の拠点にしているところから動くことにした。そのとき、南に同行す梶山からこんなことを尋ねられた。

「南が言っていた関係者なんだけど、その関係者からの「なんか犯人らしき人物、いろんなことを言っているよ!!「俺の名字が消えてしまう!!名家と呼ばれる名字が・・・」「俺の名字が消えてしまうなんて嫌だ!!」ってね」という情報を受けて、南、すべてわかったのですか?」

これには、南、

「あぁ、すべてわかったとも!!今森夫妻に起きている問題はその犯人と森夫妻とのとある誤解、いや、大切な情報の欠如が招いたものだ!!そして、その3人にとってある意味悲劇になろうとしている!!いや、その悲劇を俺が感動ものに変えてやる!!」

と言うと梶山に対してこう言った。

「さて、いくぞ、梶山!!俺たちも熊本駅に向かうぞ!!」

これには、梶山、

「はいはい、南、行きますよ・・・」

と、たんたんと答えていた。

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