艦これ、復帰しました   作:something1945

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初期母港って、質素すぎる。



初めての母港、なのです

電に案内されて、廊下を歩く。

 

ふと出てきた扉を振り返ると、上部には「提督の私室」と小さく名札が振られていたのを見た。

学校のような、木材で出来た床板。

 

左側には窓が、右側にはいくつもの扉がある。自分の部屋はどうやら廊下の突き当りにあったようだ。位置的に、角部屋の、所謂「スイートルーム」の位置。

 

電の歩幅は小さいので、歩きながらでも後ろや左右を確認する余裕が優にあった。

窓の外に広がる蒼い海に目を奪われてしまいそうになるが、右側のいくつもの扉も気にはなる。

扉の名札には「空室」とあった。

 

建物は島の沿岸に建てられているようで、島の形に沿って廊下がいくつかに折れ曲がって続く。

突き当りまで進むと、外に出る扉。その一番近い位置の右側の扉には「電」と振られていた。

ここが電の部屋のようだ。だが、電の他にも3か所名札を入れる空欄がある。

 

「4人部屋なのです」

怪訝そうな自分を見てか、電が補足を入れてくれた。狭くないのだろうか…。

 

電が、外に続く扉を開いた。

コンクリート…にしては小石の多いが、舗装された道。

 

道の先に、プレハブのような小屋があった。

なんだか…嫌な予感がする。

 

もしかして。

「あれが『母港』?」

「はいなのです!」

元気よく返された声に、絶望を抱く。

 

どうみても…掘っ立て小屋のような見た目だ。

「どうぞ!」

扉を開けて、お先にどうぞと、電が扉を押さえてくれた。

 

「ありがとう…」

中へ入ると、まず目に入るのは、積み重ねられた段ボール箱。

部屋の窓からは艦の建造クレーンが見える。カーテンはドレープのたっぷりきいた重厚な赤い色で、そこだけが「本国から持ってきました」感を漂わせている。

 

それしかない、部屋だった。

 

「ああ…初期部屋…」

思わず出た自分の呟きに「?」を顔に浮かべつつ、電が部屋の中央に立つ。

 

そして、何も言わない。

指示を待っている顔つきだった。

 

「えっと…」

思い返してみれば、どうして電はすんなりと自分を受け入れているのだろう。

 

「前任の提督とかって…いたの?」

「いましたが、すぐいなくなられました。

入れ替わりが激しいのです。いつも新しい提督が部屋にいるのです。…慣れっこなのです」

 

困り顔のまま、淡々と語る電。

 

「新しい提督が、部屋に…?どうやって来てるか、電は知ってるの?」

「知らないのです。」

 

まるで興味がないと言いたげな口調だった。

普通、そこは気になる…というか、違和感を覚えるべき所なんじゃないだろうか。

 

そう思うのだが、彼女らは…「艦娘」だ。

通常の人間とは…考え方が少し違うのかもしれない、と思い直す。

 

これ以上聞いて、電を異質なものとして見てしまうような…藪を突っついて蛇を出すようなことはしたくなかった。

 

段ボールの上に、青い装丁で、「Tutorial」の文字がある。

パラパラとめくると、母港で出来ることの一覧が目次としてあり、各項目には詳細な説明が記載されていた。

…これがあれば、とりあえず「提督」として行動することに困ることはなさそうだ。

 

 

Tutorial1…工廠ね。

でもそもそも任務を受けてから建造したほうがいい。

 

えっと…任務…「詳細は大淀に。」

ってそれだけ!?

 

「電」

「はいなのです!」

初めての指令が来ると思い、電が背筋をピンと正した。

 

「…大淀さんのところに案内してくれる?」

「はい!…えっ?!…あ、はい、なのです…」

 

意気込みを空振りさせられてちょっとガッカリした電。

可愛いなあ。

 

 




次回、大淀さん。
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