テーマパークに着きチケットを使い入場する。
「vip会員ですね」
「はい」
金さえ払えば入場制限がかかる特別な日。通常より5倍の値はするので買うものは多くない。
「何から行く?」
ラインはクリスの希望を優先する。
「ウォータースライダー」
このテーマパークは一般にも公開されているが、実際はVIPをメインに商売をしている。
大きな休みには家族連れの顧客が増え、VIP枠は少なくなる。この時期ならばクリスの同級生に偶然会ったり、知り合いに会うなんてベタな展開はありえない。
計画が順調に進み、後は盛り上げるだけ。幸いこのお嬢様は様々な事に経験不足。学ぶを主軸に置いた生活のため、ラインが特に何かしなくとも好奇心で勝手に喜んでくれるのだ。
入場すると別室に別れ、それぞれ着替える。ここのテーマパークは一風変わっていて、大規模プールが屋内と屋内にそれぞれあり、更に外にジェットコースターやフリーホールなどの遊園地といった作りになっている。遊園地よりプールの方が人気なため余り列ばずに遊具に乗る事が可能だ。しかも水着のままでも遊具に乗る事ができる。迂闊にビキニで来る女性客のポロリは数知れない。
合流したクリスは一身白いワンピースの水着に着替えてた。幼馴染では有るが環境的に一緒にお風呂に入る中でも無かったので、こうして成長したクリスの露出された肌を見る機会は少ない。恋に気づいてからは初めてと言える。ラインはこんなに可愛かったっけ?と昔の自分のセンスの無さに悔いる。
無邪気にはしゃぐクリスはラインよりもアトラクションに夢中であった。
「わ?、見ろライン! 滝だ! 滝があるぞ!」
唯のオブジェの滝ではない。渓流などの滝で行う飛び込みを再現し水と一緒に落ちる仕組みになっている。その下の水深はこのプールで一番低くなっており、当然ラインたちの足は着かない。
「気になるなら行くぞ!」
「ああ!」
ジャングルの様な屋内のオブジェ。密林や山中の川の再現のようだ。模造の植物は虫を寄せ付けないので、さながら快適なジャングルと言った作りだ。
緩いスロープの坂を登り、滝の頂上へでる。
「お、思っていたより高いな?」
「15mだってよ」
こんな物は空中降下より断然安全だ、とラインは鼻で笑う。
「自分も怖くないぞ!」
臆する事を恥だと考えるクリスはできると主張する。
「む、ラインは訓練で色々なところから飛び降りても死なないって、マルさんが言ってたぞ!」
「それ自殺してやるって言いながら何時も飛んでるんだ……」
初めてビル8階から飛べって言われたとき、死ねと言われたと錯覚したほどだ。
「ラインが飛ぶ回数が一番多いと褒めてたぞ?」
マルギッテに褒められ、誇れる技術を何故忌諱するのだとクリスは思う。
「飛ばされてたの! 強いられてたの! クリスも飛ばして上げようか!」
「やめろ、自分は後でいい、後がいい!」
クリスの肩を掴み強引に断崖にまで押し出す。好きな女の子柔肌に直に触れる機会に興奮するが、本気で怖がるクリスの方がもっと面白い。クリスを揶揄うのが何よりも好きなのであった。
「わかった、お手本見せるから続いて飛んできなよ」
「うん……」
本当に飛んでくるのか実に怪しいのでクリスに挑発を入れる。
「ビビんなよ?」
「と、当然だ!」
挑発されて乗らなかった試しの無いクリスはあっさりと引っかる。
「よっ!」
余裕を見せ頭から飛び込む。ダイビングと言えば頭から。訓練の重装備では絶対にできないのでこの時ばかりかと格好つける。
「おおお!」
上から見たら体が綺麗に真っ直ぐ伸びているがわかる。ラインが水中から顔を出しクリスもと呼ぶ。
「いくぞ」
クリスが決意を決め飛び込むとき、ラインの顔が水中に沈む。
「ライン!」
ラインが泳げなくて溺れるはずがない。
「っ!」
心配になったクリスは滝の恐怖など忘れ飛び込みラインを助ける。しかしラインを救助する事に意識が行き過ぎた為、近くに効果しすぎた。水中で藻掻くラインがその場に停滞するはずがない。
ドン! クリスの足に水と人の肌の抵抗を感じる。
「大丈夫か!」
「ぐぇっほ、げほ」
クリスの足の衝撃で大量の酸素が漏れてしまい余計に呼吸困難になる。
「ライン!」
水中からラインを引っ張り出し岸まで運ぶ。肩を組んだ感触に喜ぶ暇もない。岸まで歩くのも一苦労であった。
「はぁ、はぁ、まさか足を釣るとは、はぁ、はぁ……」
飛び込んだ後足を釣り溺れたのだ。ドラマのヒロインの如く溺れる立場が逆なら良かったと今更思う。
「怪我してないか? 足か? 足が痛むのか?」
足を終始もんでいたのに気づき、クリスはならば自分がと代わりに揉み出す。
ラインは序盤から格好良く助けられ、飛び込みで格好つけたのが恥ずかしくなる。
「わるい」
「気にするな、準備運動を忘れてたのがいけないんだ」
「準備運動は朝からやりまくったよ……」
マルギッテと盗人、両人との刺激的な準備運動を終えてクリスと合流したのだ。
「やりすぎも良くないのだぞ!」
お説教を甘んじて受け、足が治ると一緒に準備運動をする。
「これはやりすぎに入らないのか?」
「ラインはこっちで長座だ」
でかいビート板の様な床に座らせられる。
「ほらしっかり膝を伸ばす!」
だらだらとしていたら怒られる。今のクリスは教師気分だった。
仕方がないので真面目に取り組む。背中に小ぶりな手が添えられ湿気でぴとぴと張り付く。
「押すぞ?」
「ああ」
体重をかけながら押すのでクリスの濡れた髪が身体を撫でる。
「? 全然やらかいではないか」
「だから柔軟はちゃんとやってるって」
「お腹まで着くんでわないか?」
「もっと押して」
クリスは手に入れる力を大きくする。
「いたい、いたい、肉! 食い込んでる!」
「すまない、服の上と同じ要領で力を入れすぎた」
ならばと、ラインの背中にまたがり全体重を載せる。
「シリ、あ、これいいかも」
背に乗る尻の感触を楽しみ、もっと頼むと懇願する。
「腰揺らして」
「こうか?」
ぐりぐりと擦れるワンピースの記事とはみ出す肉の感触を堪能する。
結局、開脚から膝を曲げ股関節、腿など協力して貰いたい溺れて良かったと最終的に思った。
「クリス」
「なんだ?」
「女の子って柔らかいんだな……」
柔軟の最中調子にのりクリスに気取られそのまま首を絞められる。
「ギ、ギブ」
廻されたクリスの腕を叩きタップする。
顔を赤く染めたクリスはやけになり。
「どうした、やらかいんだろ?」
好きなだけ堪能しろ意識が落ちるまで、と暗に言っている。
「お、おちる?、……」
「ふん!」
気を失ったラインを床に叩きつける。
「いてっ!」
床に頭を打ち付け反動で目を覚ます。
「調子にのるな!」
「すいません」
「ふん! 自分が真面目に手伝っているのに、ラインときたら!」
「クリスは大概真面目じゃん……」
「揚げ足を取るな?」
ムキになったら最後ラインに揶揄われ終わる。このパターンにクリスが気付くことは一度もない。
「ほら行くぞ?」
元気になりまだまだあるアトラクションに向かう。
「お、置いていくな?」
その後は流れるプールに足を運ぶ。
「競争するか?」
「迷惑になるんじゃないか」
「迷惑をかけるほど狭くないよ、あそこで勝負しようか」
日の当たる屋外に出て太陽光の反射する流れるプールを指差す。
「流れてるな……確かにあそこで泳げばラインに勝てるかもしれないな」
純粋な泳ぎではラインの方が場馴れしているので速い。この条件ならいい勝負ができる。
「何言ってんの? 逆走に決まってるじゃん」
「何!? それじゃ水着が……」
「脱げるほど胸は大きくないでしょ」
思春期の乙女に言ってはならないことを口走る。
「なんだと、自分は確かにエリー達と比べると小さいが、これからマルさん位になるのだからな!」
「はいはい、でもおれはエリー達よりクリスの方がいいよ」
「……そんな事言って恥ずかしくないのか……」
聴いてる本人の方が恥ずかしがり、ラインにも伝染する。
「そう言われると、恥ずかしいな……」
沈黙が訪れ、互いにより紅潮する。高くなる一方の羞恥心をクリスは話題の修正をする。
「いいから勝負だ」
「おう!」
中国では見える水より人の方が水面の大半を占める。このプールは反対にの人影が少なすぎる。ぷかぷかと浮き輪に乗り流れるおっさんが一番に多いエリアだった。
「これならクロールしても大丈夫だな」
「だろ? コースは?、あの橋のから一周でいいか?」
「いいぞ!」
軽く800m近くあるコースを気軽に了承する。
「合図はどうする?」
「普通によーいどん!でいい」
着水して水面から顔を出し合図を待つ。
「いいか? 位置について、よーいドン!」
壁をキックできないので、初速は遅い。流れに逆らうので抵抗は大きいが、二人はそれを物ともせず水しぶきをあげる。
息継ぎのために水中から何度も顔を出すクリスとは対処に、最小限の酸素で潜り泳ぎ続けるライン。
「はやい!」
横目にはラインが通り過ぎるのが見える。負けじとクリスも回転数をあげる。
しかしラインは思った以上に自分が速すぎクリスを5身ほど突き放す。このままでは決着がついてしまうので、クリスにハンデを与える。
「半分、行ったら、バタフライに、してやるよ!」
「いったな! 負けたらも、しらないぞ!」
口に水が入り呂律が回っていない。
半分に差し掛かると宣言道理バタフライで水を弾く。クロールより水はけが良くないので前半の優勢を上塗りされ追い詰められていく。
「あと少し」
ゴールまでもう少し、ラインの言葉にクリスは僅かに残していた体力を全て注ぐ。
「うおおおおおおーーー」
激しいクリスの追い上げに10m手前で遂に抜かされる。
「こなりゃ全力だ!」
ラインは脚部に気を集中し一気に蹴り上げる。蹴った衝撃でラインの体は中を浮き。あの裸になり空中をダイブするルパンダイブの様に飛び出す。
クリスの上をラインが飛び水の抵抗を受けない分加速する。
「かった!」
「残念!」
ごる直前で顔を出すクリスの上を全裸のラインが通りすぎる。
「な!?」
上空をすぎる光景にクリスは仰天する。
「なんで、裸なんだーーー!」
そのまま水の抵抗に流され、ラインの海パンと共に漂流する。
「……」
腰に布の感触がしないので恐る恐る下半身に視線を移す。
「ない……、クリス?、パンツがない」
「ゆっくりと流されクリスに近寄る」
「しね! この変態!」
変態の罵りと海パンが投げつけられる。
「サンキュ」
「ぞうさんを見てしまった」
ハプニングの連続でポロリしたのはラインであった。
「ピーーーー! そこの子供たち逆走は他のお客様に迷惑です!」
用務員のお兄さんがプールサイドから走り注意する。
「次やったら退場して貰いますからね!」
本気で怒っているので先程のポロリを忘れ二人は反省する。
「「ごめんなさい」」
「気を付けて下さい!」
厳重注意で済まされたので今後は自重しなければいけない二人であった。
「あれ?」
「どうしたんだ?」
プールサイドに上がる際パンツがずれ落ちる。
「何かパンツが落ちるんだよ」
「ま、またか!」
「あ、紐が切れてる……」
「大丈夫なのか? また脱げかもしれないだろ?」
紐を引き抜きゴムだけになったパンツのゴムを弾き確かめる。
「不安だな?、都合よく紐とか持ってない?」
「あるにはあるが、ビキニ用の紐だぞ?」
ビキニの紐などは取り外せるのでそれを代用できるかと問う。
「それ普通の女の子は嫌がるだろ」
「そ、それもそうだな」
自身の出した案の常識の無さをラインに言われショックを受ける。
「売店で何か買ってくるよ、そろそろお昼だし休憩しよ」
「そうだな」
売店で代用できそうな紐を買い、飲食コーナで食事をとる。
「こう言う時女の子がお弁当とか作ってきてくれたらな?」
「自分は作れないぞ」
クリスは何を今更とキョトンとした表情でラインを見る。
「わ?、なんて純粋な目」
「そう言われてもお母様も余り料理しないぞ」
「おれはサバイバルで自炊する位だな、寮では食堂があるから自炊はしないな?」
お互い市販の高い食品を食べながら手作りの話をすると、となりでカップルがおべ弁当を持参して食べている。
「あ?ん」
「ぱく」
擬音を口に出しウザいったらない。
「よくできるな、なぁ?」
「……」
無言で真横を寄り目で凝視する。
「何想像してんだ!」
頭を揺らし正常に戻す。
「ほんとうにあるのだな……」
創作だけの世界の出来事を目の前で見れるとは夢にも思っていなかった。
「デートなら普通なのかな……」
ラインの常識にも影響し出す。
「やってみる?」
「じ、自分たちはデートなどではない!」
クリスはそう思っている。しかしラインは違う。
「今日さ、デートの積りで誘ったんだ」
横のカップルを見てると、一方通行のデートなどデートとは言えない。そう思えた。
「き、聞いてないぞ!」
「でも、あの酔っ払いに言われてすぐだぞ? 少しは考えたでしょ?」
「そ、それは」
意識しないはずがない。その上で遠出したのだ。
「や、やっぱりダメだ」
照れが先に回ってしまい、肯定できない。
「な、なら、普通に遊ぶか!!」
「だ、だな」
無理やりな方向転換。あとひと押しあれば強引に納得させられたが、たった一度の拒絶が勇気を打ち砕く。
その後はお互いに意識しすぎてしまい、満足に遊べなかった。
「なぁクリス」
「何だ?」
クリスを門限になる前の早い時間に送り出す。フリードリヒ邸を門前に気持ちを言に出す。
「今日一日どうだった?」
「う、うむ、ラインが変な事言わなければもっと楽しかった」
「……おれなクリスが好きなんだ」
「!? 急にどうしたんだ」
「今日もデートの積もりって言ったろ。 クリス、おれと付き合ってください」
脈絡も場の雰囲気もへったくれもない。伝えると決めていたのだ、唯それだけ。
「と、突然何を……」
突然ではない。昨日の誘いの電話から昼食まで予兆はたくさん見られた。それが気にもならない程トラブルも多かったが。
「返事、聞かせて」
「む、無理だ! 自分にはよくわからない!」
クリスの動揺は収まらない。
「ラインとは昔から仲が良かったが、好きとか、そういうのは自分には……ラインとは友達で居たい……」
時期尚早すぎた。気持ちを抑えられず焦りすぎた。
「だ、だよな?、おれ達まだ子供だもんな?」
「そ、そうだろ」
「じゃ、じゃあな?」
中から使用人が出迎えに来たので逃げ出す。
自分本位で余計な事をしてしまったかも知れない、クリスに嫌われたかもしれない。無いと解っていても拒絶されるのは怖い。
体力に物を言わせ軍の宿舎に戻る。マルギッテには報告しなければならない。幸い恋仲になるという、中将にとって最悪の事態にならなかった。
落ち込んだいたが、まだふられた訳ではない。クリスがまだ子供だっただけだ。
軍に帰るを少し周りが慌ただしい。
「何々? なんの騒ぎ?」
ラインが帰ってきたことに気づくと何人かの武装した兵士に囲まれる。
「何なのこれ……」