ロックマンエグゼ~もしもワイリーが原作前に改心したら~(お試し版)   作:カイナ

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第四話

──バトルオペレーション、セット!!

 

「イン!!」

 

「いくわよ!」

 

 熱斗とロックマンが掛け声を合わせ、同時にラムダリリスも声を張り上げる。同時に彼女の周囲に数体のペンギン──攻性プログラムが出現した。

 

「ゆきなさい、リヴァイアサン!」

 

 ラムダリリスの命令と共にペンギンもといリヴァイアサンがロックマン目掛けて突撃。対してロックマンも右手を前に突き出すように構えると、その右腕がバスターへと変化する。

 

「ロックバスター!」

 

 右腕が変化したバスターから放たれる弾丸がリヴァイアサンの軍団へと直撃、「クゥー」「キュー」と悲鳴を上げながらリヴァイアサンが消滅していくもラムダリリスは気にするそぶりも見せずに凍った床を使って滑るように突進してきていた。

 

──攻撃用バトルチップ、ソード! スロットイン!

 

 熱斗が攻撃用バトルチップを転送、バスターに変化していた右腕が今度は剣へと変化し、ロックマンは凍った床に若干足を取られつつもラムダリリスに真っ向から突っ込んでいった。

 

「くらえ!」

 

 助走をつけてジャンプし、振り上げた剣を振り下ろす。対してラムダリリスもニヤリと笑って左足を踏み込んだ。

 

「バトルチップ、アクアソード。セット」

 

 呟くと同時に右足に水流が走り、その足を振り上げた回し蹴りでソードを受け止める。

 同時にその足から水流が溢れてソードを押し返し、ロックマンは「ぐ」と唸るとソードを弾かれる勢いを利用して距離を取って着地、凍った床で滑り膝を折ってしゃがむように体勢を崩すものの倒れ込むだけは避ける。

 

「バトルチップ、ワイドショット。セット──ブリゼ、エトワール!」

 

「くっ!」

 

 そこにラムダリリスが追撃。踊るように右足を振るうと水流が刃のような弾丸となってロックマンに襲い掛かり、彼はそれを横飛びで回避。凍った床を滑っていく。

 

──攻撃用バトルチップ、ショットガン! スロットイン!

 

「はぁぁっ!!」

 

「く……」

 

 同時に熱斗がバトルチップを転送し、ロックマンの右腕が再びバスターに変化。一気にいくつもの弾丸を放つ連続射撃で、ワイドショットで牽制しながら近づこうとしていたラムダリリスを牽制し足を止めさせる。

 

「フフフ……まあ、このくらいはしてくれないと拍子抜けね。腕が落ちていないようでなによりよ」

 

 ショットガンの弾丸をやり過ごすために足を止めたラムダリリスはニヤニヤとした笑みをロックマンに向け、ショットガンを撃ち終えた後もロックバスターをラムダリリスに向けながら、ロックマンは氷の上に立つ。

 

──サポート用バトルチップ、パネルリターン! スロットイン!

 

 そこに熱斗が新たなバトルチップを転送。それは攻撃用のものではなくサポート用。それを転送されたロックマンの足元から円状に光が伸びていき、その光に触れた氷の床(アイスステージ)ごく普通の床(デフォルトステージ)になっていく。というよりは元の状態に戻っていった。

 

「私のステージを……」

 

──勝負はここからだ! いくぞ、ロックマン!

 

「うん!」

 

 氷のステージをかき消されたラムダリリスが苛立ったように表情を歪め、熱斗が啖呵を切るとロックマンもそれに応えてしっかりと立ち、拳を構え直した。

 

「くらいなさい!」

 

 ラムダリリスが両手を左右に掲げると、そこに一つずつ水球が出来上がり、腕を振るうとまるで意志を持っているようにロックマン目掛けて放たれる。バブルショット系列と思われるそれをロックマンはジャンプで回避。

 

──攻撃用バトルチップ、ラビリング! スロットイン!

 

「くらえ!」

 

 転送されたチップデータにより、ロックマンの右手が兎の耳を模したフィラメントのようなバスターに変化。そこから電撃の輪が生成されてラムダリリスへと射出される。

 威力こそ低いが当たれば一時的に相手を痺れさせて行動不能に出来、さらにラムダリリスには効果抜群となる一撃だ。

 

「くっ!」

 

 流石にそれを受けるわけにはいかずラムダリリスはバックステップで回避。

 

──エリアスチール、エレキソード! ダブルスロットイン!

 

「──っ!」

 

 直後空中にいたロックマンが消える。違う、熱斗の転送したバトルチップ、エリアスチールの効果で高速移動したのだ。

 ラビリングは自分に回避行動を取らせるための囮、そうラムダリリスが認識した次の瞬間、ラムダリリスの背後にロックマンが出現。その右腕は再びソードに変化していた。だが先ほどのソードと違ってその剣には電流が流れており、ロックマンはそれを横薙ぎに一閃。

 

「チッ!」

 

 ソードの一撃だけではなく電撃のおまけから来る痛みに顔をしかめて舌打ちを叩きつつ、こっちも至近距離から蹴りを入れてロックマンを引き剥がす。

 だが己の弱点である電気属性の攻撃を受けたラムダリリスの方がダメージが大きい。それは彼女が膝をついている姿からも明白であり、ロックマンは中距離からエレキソードをラムダリリスに突きつけた。

 

「さあ、アイリスを解放するんだ!」

 

「……フフ、フフフフフ」

 

 ロックマンが降参して大人しくアイリスを解放するように要求するが、ラムダリリスはフフフと怪しく笑い始める。

 

「もう勝ったつもり?」

 

「え?──うわぁっ!?」

 

──ロックマン!?

 

 ラムダリリスがニヤァとした笑みをロックマンに向け、それに彼が不思議そうな目を向けた時、彼女が膝をついているのと一緒についていた手から大量の水が出現して津波になる。

 バトルチップ、ツナミだ。それに気づいた時には既に遅く、津波は一気にロックマンを呑み込んだかと思うと球体状になり、浮遊した。さらにバトルフィールド自体も大量の水に飲まれ、まるで海のど真ん中になったかのようにフィールドが水没する。

 

「しまった!?」

 

「お別れね。最後に恋を教えてあげる──」

 

──ロックマン! 急いで脱出だ! エリアスチールスロットイン!

 

「──くっ。ダメだ、熱斗君、身体が思ったように動かせない……」

 

 水球の中でじたばたと暴れるものの身動きが取れないロックマンに対し、ラムダリリスは水没したフィールドに潜る。そこに二体のリヴァイアサンも援護のため出現した。

 このままではまずいと直感した熱斗が脱出を指示し、高速移動を可能とするエリアスチールを転送するが、そもそも移動出来ない様子のため不発に終わる。

 

──まずい、このままじゃ……バリア、ダメだあいつならバリアごと貫通してくる……

 

「憐れで惨めな水の虜──」

 

──そうだ! ロックマン、耐えてくれ!

 

「うん、分かった。お願い、熱斗君!」

 

 熱斗は向かってくるラムダリリスを見ながら手を考え、何かの手を思いついたのか何枚ものチップを取り出した。

 

──攻撃用バトルチップ、ミニボム! スロットイン!!

 

 声を上げ、ロックマンの手に転送されてすぐに手放され水球を漂うのは何の変哲もないノーマルチップ、ミニボム。

 

──もう一枚、ミニボム! スロットイン!!

 

 だが熱斗はさらにミニボムを転送。それだけではなく「もう一枚!」「まだ一枚!」「さらに一枚!」と次々にミニボムを転送していく。あっという間に水球の中に計十個のミニボムが転送された。

 

「私の棘で、さよならね──その夏露は硝子のように(ブルーサマー・パラディオン)!!」

 

 直後、ラムダリリスが飛び蹴りの構えを取って水の中から飛び出す。二体のリヴァイアサンも突撃体勢を取っており、それはまるで槍のように。

 

「──え?」

ドゴオオオォォォォン

 

 だが、その蹴りが水球に届く前に十個のミニボムが一気に爆発。一つ一つは大したことなくとも十個ともなればその威力は水球を吹き飛ばすほどにもなり、さらにラムダリリスの身体も吹き飛ばす。

 

──作戦成功! ロックマン、脱出だ!

 

「うん!」

 

 ガッツポーズを取る熱斗にロックマンも頷き、脱出。その時、熱斗のPETに赤色のコマンドが浮かび上がった。

 

──ロックマン、スタイルチェンジ!

 

 熱斗がPETのボタンを押すと共にロックマンの身体が赤い光に包まれる。

 同時にロックマンの姿が変化していった。そのアーマーが赤く変色し、特に右肩部分は巨大化、それだけではない。右腕自体も大型化した姿となる。

 これこそロックマンの能力、スタイルチェンジ。赤い炎のようなガッツを持つ攻撃的スタイル──ヒートガッツスタイルだ。

 

──いけ、ロックマン!!

 

 熱斗がソードのバトルチップをスロットインしながら叫ぶ。同時にロックマンの右腕の手部分だけが巨大なソードへと変形。手甲に合わせて巨大化したソードはまさしく大剣となっていた。

 

「ヒートガッツ──ソード!!!」

 

 空中で身動き取れないラムダリリス、その機を逃すわけにはいかないとロックマンはソードを構えて宙を駆けるようにラムダリリスに突進。ラムダリリスに回避の術はなく、彼女は「く」と唸り声を上げた。

 

 

 

 

 

令呪をもって命じます(ラムダリリス制御用絶対命令システム起動)

 

 そこに一人の女の子の声が挟まれる。ロックマンが「え?」と声を上げ、ラムダリリスが「チッ」と舌打ちを叩いた。

 

「ラムダリリス、エスケープを発動して離脱してください」

 

「ここまでね──」

 

 少女の声がエコーが籠ったように響くと共にラムダリリスの姿が消滅、直後そこを振り抜いたヒートガッツソードが空振りした。

 

「えぇ?」

──えぇ?

 

 予想だにしない展開にロックマンと熱斗は呆けた声を重ね、ロックマンが水が引いたフィールドに降り立つ。

 

「この声──」

 

 ヒートガッツスタイルを解除し、ノーマルスタイルに戻ったロックマンが声の方を向く。そこには気まずそうな申し訳なさそうな表情をしているアイリスと、その隣で腕組みしながらふんっと顔を逸らしているラムダリリスの姿があった。

 

「アイリス! 怪我はない!?」

 

「ロックマン、光くん……ごめんなさい!」

 

「え?」

──え?

 

 安心したように駆け寄ってアイリスの安否を尋ねるロックマンに、アイリスはぺこりと頭を下げて謝罪の声を出す。

 

「じ、実は、私別に捕まってたんじゃなくって──」

 

 それからアイリスが説明を開始する。

 実は元々アイリスはあの水球の中に閉じ込められていたわけではなく、ロックマンと本気で戦いたいと駄々をこねたラムダリリスにシエルとアイリス共々根負け。ラムダリリスのステータスを一部抑制していた拘束具のみの解除とアイリスにラムダリリスへの絶対命令システム、通称令呪の使用許可を出すことを条件にロックマンと戦う事を許可。

 その上でさらにそうでもしなきゃあいつは本気を出さないからと、アイリスを水球に閉じ込めて人質に見せかけるように偽装したらしい。

 

「それで、勝負がつきそうになったらどっちかが消去(デリート)されないようにエスケープで強制離脱させるのが条件だったから……」

 

「……それが条件だものね。文句はないわ」

 

 嘘だなと熱斗とロックマンは思う。そう言っているラムダリリス自身が納得してないというようなジト目でロックマンを見ているのだから。

 しかしそれが条件だとしっかり言い含められているのだろう。ぷいと完全にロックマンから顔を逸らして終わらせるとリヴァイアサンが持ってきてくれた、リヴァイアサンを模したパーカー型ステータス抑制用拘束具を羽織り始めた。

 

 

 

 

 

「……はぁ、一時はどうなる事かと思ったぜ」

 

 とりあえず戦いが終わり、熱斗はパソコンの前に置いていた椅子に座ってはぁと安堵と脱力の混じったため息を漏らす。

 

「あ、終わったの?」

 

「わあっ!?」

 

 そこに後ろから覗き込むような格好でシエルが登場。熱斗も悲鳴を上げてガタンッと椅子から落っこち、「いでっ」と小さく悲鳴を上げる。その状態で見上げたシエルはお気に入りらしいピンク色のパジャマを着ていた。

 

「あ、ごめん光君。ラムダ、もう気は済んだわよね?」

 

「まあね。正直まだ不満は残るけど、約束通り大人しくしてあげるわ。感謝しなさい」

 

「もう……」

 

 パソコンの画面に映るラムダと会話したシエルは呆れたように項垂れる。風呂に入ったばかりでまだ僅かなり湿り気のある長い金髪が重力に従ってぺたりと垂れた。

 

「まあ、ロックマン。これからしばらくアイリスとラムダと仲良くしてあげてね?」

 

「は、はい……」

 

 シエルの苦笑しながらのお願いにロックマンも苦笑で返す。隣でラムダリリスがぷいと顔を背けた。

 そして挨拶も終わったのかシエルはパソコンから目を逸らし、その隣に置かれている本棚に目を向ける。

 

「じゃ、光君。晩ご飯はもうすぐ出来るらしいし、私それまでここで漫画読ませてもらうから。あと、これから一週間よろしくね」

 

「え、あ、はい……って、え?」

 

 シエルの言葉に空返事で答える熱斗だが少ししてその言葉の内容に疑問を持つ。

 しかし既に遅く、シエルは熱斗の本棚から適当に漫画を数冊取り出してベッドに運ぶと、熱斗のベッドに寝転んで漫画を読み始める。完全にくつろぐ雰囲気だった。

 

「えぇ~……」

 

 思わず熱斗も困惑の声を出す。

 それからゼロが夕飯の準備が出来たと呼びに来るまで、シエルはベッドに投げ出した足をパタパタさせながら漫画を読み続け、熱斗はどうしようとオロオロを続けるのだった。




 第三話までは比較的早いペースで書き進められてたのにいきなり遅れて申し訳ありませんでした。
 ラムダリリスの戦法をどう再現するかとか宝具をどうやるかとか考えてたり年末だから色々と忙しくなってたらいつの間にかこんな時期になってしまってました。(汗)

 そして短い間でしたが応援ありがとうございました。今回のお話を以てこのお試し版は終了の予定となります。
 いや、感想でも指摘されてるんですけどね。ワイリーが悪堕ちしなかったらロックマンエグゼの本編ストーリーって全く成立しなくなるんですよ……。
 1、3、6:ラスボスワイリーだから悪堕ちしない以上WWWは存在自体が消える
 2:ゴスペルは帯広シュン君がワイリーに唆されて立ち上げた以上、ワイリーが悪堕ちしなければ立ち上げること自体なくなる……なおそのせいで(結果的に)シュン君救済ルート潰れました。どうしよう?
 4、5:リーガルも悪堕ちしなかった以上ネビュラのリーダーも消える。
 とまあ完全に全てのストーリーの悪の組織が消え去る。改めてワイリーどんだけ暗躍してんの?なんかリーガルが悪落ちした理由も「父親を追放したネットワーク社会への復讐」らしいし……というか本作ってさらに元を正せばワイリーが悪堕ちしなかった理由自体が「リーガルが愛する人を見つけられたから」に尽きるかもしれん……実はリーガルって本作の隠れた超キーキャラクターだった?

 まあフォルテやデューオはワイリー関係ないし、最悪ネビュラに関しても原作リーガルポジションのキャラをオリジナルで作ってどうにかするとか、いざとなったらなんかよく知らんけどアニメのビヨンダード?とかいうなんかオリジナルの敵っぽいの?使うとかやれない事はないんですけど……正直書きたいとこ(ロックマンVSラムダ)終わった以上、面倒。


 いやね、あるんですよ?
 ネビュラ関係のダークチップがなんやかんやとか闇の力がなんやかんやとかで、ロックマンの中のダークソウルから生まれたダークロックマンが、なんやかんやで善堕ちしてシエル陣営についてアイリスとカップリングとか、ネタ自体はあるんですよ?なんなら敢えてロックマン×アイリス、ダークロックマン×ロールとか書いてやろうかとかひねくれた事考えてますよ?
 でもそこだけで書くなんて気力が持ちません!そこに辿り着くまでにどれだけ時間かかんのさ!?

 あともう一つ言うと、これをマジで連載開始するとしても前日譚がね……ラムダリリスとの会話でちょっとほのめかしてるつもりなんですけど、実はラムダリリスが何か大事件を引き起こして、それを熱斗とロックマンが解決したっていう二人が世界を救った系事件が前日譚として存在してるんですこのストーリー。
 そこで既にロックマンはスタイルチェンジを会得してるし下手したらフォルテとも邂逅してる可能性もあったりなかったりで……。(フォルテサイトスタイル大好き)
 そんな前日譚全部ほっぽり出して書くのは読者に不親切だしだからといって前日譚から書くだけの余裕ないしで難しいんですよこれ……。

 まあそんなわけで、その辺上手く解決できる方法でも思いつけば話は別ですけど、そうでもなければ本作はこれで終わりという事にさせていただきます。まあ基本これで終わりだと思っておいてください。
 そんなわけで短い間でしたが本作へのお付き合いありがとうございました。ご意見ご指摘ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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