とある学園都市の市街狩猟(シティーハンター) 作:KBS滝原
公園では、涙子の友達が能力の試しをしていた。すると涙子の友達、アケミが、もう一人の友達を持ち上げることに成功。すると涙子は、能力が使えることに驚いてしまっていた。だがこれは、緊急事態の序章に過ぎなかった!
一七七支部。いつものように、黒子、飾利、リョウがいた。
飾利はレベルアッパーのそのタイトルをダウンロードした。だがこれを聴くだけでレベルアップすることなどできるのだろうか?飾利は疑問に思っていた。黒子は、善意の提供者はそう言っていたと話す。すると飾利はこのレベルアッパーを使ってあんなことやこんなことの倍返しをしようと考えて居たが、黒子に駄々洩れだと指摘。すると、リョウの携帯に、一本の電話が入った。
「どうやらまた、学生たちが暴れてるらしいぜ。飾利君は、あの木山先生に連絡を頼む。黒子君は来てくれ。」
リョウが指示する。
AIMの研究所。春生は飾利からの連絡を受け、現物は届いていると話す。
「音楽ソフトでレベルを上げるなんてことできるんでしょうか?」
春生に尋ねる飾利。
「難しいね。テスタメントならいざ知らず。」
テスタメント?そういう装置があるのかと飾利は尋ねる。だが、やはり音楽ソフトなんて見当違いなのだろうか?飾利は涙子に連絡を取ろうとするが、つながらない。何があったのだろうか?
現場では、リョウが次々とレベルアッパーを回収していた。黒子も同様に。
「まったく、この年の若い者は、ずるをしようとすんだからなぁ。」
リョウが言う。支部に戻ると、黒子が手当てを受けていた。
「日に日に生傷が増えていきますね。」
「仕方ありませんわ。レベルアッパーの使用者が増えているんですもの。」
予想以上の多さに困惑するリョウたち。黒子は成すべきことは三つと話す。
レベルアッパーの拡散阻止。
昏睡した患者の回復。
レベルアッパーの開発者の検挙。
これを開発し、広めた何者かを捕まえるというのが狙いだ。
「本当は、御坂さんに応急処置をしてもらいたいんじゃないんですか?」
「お姉さまにこんな体を見せるのはごめんですわ。」
すると飾利のこの一言で、黒子の堪忍袋の緒が切れる!
「大丈夫ですよ。誰も見たくありませんから。」
その一言を聞いてキレた黒子は、飾利をテレポートさせて、頭から落とそうとした!だがその時、事務所に美琴と睦、そしてこまちが入ってきた!飾利が運の悪いことに、美琴の真上に落下!相当な激突により、気絶してしまった。
「それで、捜査は進んでるんですか?」
睦が尋ねる。
「それが、あの木山先生の話では、短期間に大量の電気的情報を脳に入力するための、テスタメントとかいう特殊な装置があるそうだが、それは人間の五感全てに働きかけるもので・・・」
「レベルアッパーはただの音楽ソフト・・・聴覚作用だけね。」
実際に患者の部屋を捜索しても、音楽ソフト以外何も見つからなかったそう。お湯が沸いたので、飾利が火を止めに行く。するとこまちが、あることを話す。
「仮の話になるんだけど、曲自体に五感に作用する可能性って言うのはないのかしら?」
どういう意味なのか?黒子が尋ねる。
「もしかしたら、かき氷の話かもしれないな。共感覚性というものだ。かき氷とか、昔のアイスは、食べると頭にキーンとくるんだよ。一つの作用で複数の感覚を得る
ってことだと思うな。」
すると、黒子と美琴が思い出したかのように声を上げた。
「ある種の方法で感覚を刺激することで、別の感覚も刺激することよ。」
美琴が話す。すると睦が・・・
「つまり、音楽ソフトの場合は、耳から五感を刺激させて、テスタメントと同じような効果を出しているってことか!」
その話を聞いて、睦もそうかと思い浮かべる!
「その可能性もあるな。なるほど、見落としていた。」
春生が言う。飾利は電話で、その線で調査をお願いしたいと話す。それならツリーダイアグラムの許可も下りるだろうと春生は話す。ツリーダイアグラムを使えることに期待を高める飾利。
「なんだそれ?ツリーダイアグラムとは。」
リョウは知らなかった。
「まぁ入って1箇月しか経ってないですからね。ツリーダイアグラムとは、学園都市最大のスーパーコンピュータなんですよ。正しいデータさえ入力すれば、完全な未来予測(シミュレーション)が可能です。」
「なるほど。つまりこれを使って、レベルアッパーの使用者で次誰に渡されるのかが分かるってわけか。」
その頃、公園では、アケミがレベルアッパーで得た能力で、無人の掃除ロボットを持ち上げていた。するとアケミが倒れた!
リョウの携帯に、涙子から電話が入る。
「涙子君か。心配したぞ。飾利君がいくら電話かけてもつながらないって。」
リョウが言うと、電話の奥から聞こえてきたのは、涙子の今にも泣きそうな声だった。
「アケミが・・・倒れたの。レベルアッパーを使ったら倒れるなんて、私知らなくて・・・私、そんなつもりじゃ・・・。」
涙子から話を聞いて、やはりと思ったリョウ。
「それじゃ、やはり君はレベルアッパーを使っていたのか・・・。」
「うん。所有者を保護するって聞いて、でも捨てられなくて…それで、アケミたちはレベルアッパーが欲しいって・・・いや違う。本当は一人で使うのが怖くて…。」
「とにかく今どこだ?自宅にいるのか?」
すると涙子が、自分も倒れてしまうのかと話す。もう二度と起きられないのかと話す。
「私、何の力もないのがいやで・・・でも、どうしても憧れは捨てられなくて・・・レベル0って、欠陥品なのかな・・・。それで、ずるして手に入れようとしたから罰が当たったのかな・・・危ないものに手を出して・・・」
「何を言ってるんだ!涙子君は欠陥品じゃない!能力が使えなかろうが、皆を引っ張って言ってくれるじゃないか!涙子君は涙子君だ!俺が最も大切にしたい、娘みたいなもんなんだ!そんな悲しいことを、俺に言わないでくれ!」
涙子がそれを聞いて、少し明るくする。
「ありがとね。リョウさん。迷惑ばっかかけてごめんね。」
リョウは急いで涙子の家へ向かった!そこには、倒れている涙子の姿が!
「涙子君!起きてくれ、涙子君!!」
声かけもむなしく、涙子は意識を失っていて、応答がない。
病院に搬送された涙子。そこには、リョウの姿が。
「佐天さんもレベルアッパーを使っていたのか・・・。」
「ええ。データを解析することによって、佐天さんを助けるんだって、初春は木山先生のところへ・・・。」
美琴と黒子が話していた。
「俺が様子がおかしいことに気づいていながら、何一つできなかった。うかつだった・・・。」
リョウが後悔の念を話す。
場を移して屋上へ。
「佐天さん、御守持ってたでしょう?リョウさんも知ってるよね?」
「ああ。あれは確か、お母さんから、学園都市に来る前にもらったそうだ。色々話したかったそうだ。」
美琴が、自分はLEVEL5なのにそういうところに気づけない自分はだめだと話す。美琴自身、目の前にハードルを置かれたらそれを飛び越えないと気が済まないタイプだ。LEVEL5もその結果なだけで、別にすごいとも思わなかったそうだ。だが、個人差があるため、ハードルに立ち止まってしまう人もいる。美琴自身はそういう人がいることを考えたこともなかった。
「レベルなんてどうでもいいじゃない。って・・・無神経な話だよね・・・。」
すると美琴は捜査に協力させてほしいと黒子とリョウにお願いする。
「ちょっと待った。今回ばかりは俺も協力させてもらうぞ。」
「私もよ。」
「佐天さんが倒れてしまった今、レベルアッパーの脅威は計り知れないほど深刻なものになっている。ここで食い止めなければ、若者の未来は・・・。」
睦とこまちも参加。これにより、少し多い人数で行うことになった!
5人が廊下を歩いていると、後ろからカエル顔の医者の先生が呼びかける。美琴がリアルゲコ太と勘違いしてしまった。
診断室に入ると、見せられたのは、患者の脳波パターンだった。
普通であれば、脳波は各々違うのだが、患者を診てみると、共通の脳波パターンがあることが分かった。
「誰かの脳波パターンで無理やり動かされているとしたら、人体に多大な影響が出るだろうね。」
医者が話す。
「つまり、同じ脳波パターンという事は、それを操っている人物。つまり、そいつがレベルアッパーの開発者でもあるということだ。急ごう。」
バスの車内。飾利がAIM研究所の、春生の元へ向かっていた。
「そうか。この間の彼女も・・・。」
春生がそれを聞いて、落胆してしまう。飾利は自分のせいだと話すと、春生は、気を落とすのではないと話し、コーヒーを入れると話す。あまり悠長なことを言っている場合ではないと飾利が話すが、まだ解析結果が出ていない。涙子が目覚めたときに、飾利が倒れていてはと話す。
出てくる涙を抑える飾利。と、その時、突き出ている紙のデスクに目が留まった。実はこの中に、とんでもない真実が隠されていたのであった!
一七七支部。
5人が犯人のデータを調べている。
「ったく、何を騒いでいるの?って、大曲先輩!」
そこにいたのは美偉だった。
脳波が同じパターンであるなら、バンクへのアクセスは可能だと話す。
大人の履歴データもある。だがなぜレベルアッパーの使用者で同じ脳波パターンが観測されたのかの理由が分からない。すると睦は、
「レベルアッパーの能力を使ってネットワークを使ったのではないかな?」
その話に疑問を向ける全員。
「コンピュータは、直列だと一つの回線でさばかなきゃいけないから、演算能力は上がらないけど、並列でさばけば、演算能力が上がるんだ。これは電車の技術でもつかわれていて、俺の友達が勤めている、HR平城電気鉄道は、旧型車両だと、TORSと呼ばれている装置を使っているんだ。だがこれは一つの回線でさばいていたから、何かあった際の情報収集に時間がかかっていたんだ。だがBYDIROSという装置を使う事で、複数の回線でさばけるから、時間がもっと早くなったのさ。」
「だけどどうやってネットワークをつなぐのかしら?各々が持っているにしても、繋がりづらいと思うんだけど?」
こまちが話す。すると美偉は、AIM拡散力場を使った可能性を話した。能力者は、無自覚に周囲に力を放出していることを話した。それを使った可能性があると話すが、美琴は、それはあくまでに無自覚に過ぎないと話す。能力者は、コンピュータで言えば、使っているOSはバラバラだ。繋がっても意味はないだろうと話す。言語も違う。
「だがネットワークがあるのは、プロトコルがあるからじゃないかい?脳波パターンがプロトコルの役割をしているというのなら、それを並列でつなげば、莫大な量の計算をすることができるわけだ。」
リョウが話す。
「そういうことか!単独では弱い能力しか持っていない人でも、ネットワークと一体化することで、処理能力が上がる。それに加えて、同系統の能力者の思考パターンが共有されることで、より効率的に能力を扱えるようになる!」
美琴が話す。
「おそらく患者は、脳をネットワークとして使われているんじゃないかしら?」
そして美偉が脳波を基に色々打ち込んでいくと、ヒットした!一致率99%、それは意外な人物だった!
そして研究所では、飾利がデスクを開けて調べていた。どれを調べても、共感覚性の論文。するとそこに、春生がやってきた!
「登録者名、木山春生!?」
美琴が言う。
「飾利君が危ないぞ!急いで向かうぞ!」
リョウが言う!
「アンチスキルに連絡!木山春生を確保!ただし人質がいる可能性あり!」
そして春生は、飾利に手錠をつけて、ランボルギーニガヤルドで、高速道路を走行していた。
「ところで、以前から気になっていたんだが、その頭の花はなんだ?君の能力と関係あるのか?」
飾利は聞かれると、答える義務はない!そんなことよりどうしてこんなことをしたのか!?レベルアッパーはなんだ!?倒れた患者はどうなるんだと聞く!
「やれやれ、矢継ぎ早だな。こっちの質問にも答えてくれないなんて。」
春生は言う。
「誰かの能力を上げてぬか喜びして、何がそんなに楽しいんですか!?佐天さんだって・・・」
すると春生は、他人の能力に興味はない、自分の目的はそんなことより大きい物だと話す!
その頃一七七支部では、美琴も行くと話す!本来一般人を巻き込むわけにはいかないが、LEVEL5の美琴が手伝うのならと同意。すると黒子は、飾利はジャッジメントの橋呉であり、いざとなれば自分でおそらくなんとかするのではと話す。美琴は苦い顔をする。
「それに、一科学者に過ぎない木山に、アンチスキルを退ける術はないかと!」
黒子が話す。美琴はそれを聞いて、何千人もの患者の命が握られているし、何か嫌な予感がすると話す!だったら黒子が行くと話すが、美琴には黒子のケガが分かっていた!
「そんな体で動こうっての?」
黒子が気づいていたのかと話すと、美琴は当たり前だと話す。黒子は美琴の後輩だから、こんなときぐらい私に頼れと話す!
「冴羽さん!奴は車に乗っています!初春さんを連れて乗っています!現在地は高速道路、42kmポスト付近!」
「分かった。行くぞ!」
ミニクーパーに乗り、リョウはこまちと睦を連れて、後を追った!
高速道路を走っていた春生の車。中には飾利が人質になっていた。そんな事態を能力を使ってチェイスしている睦たち!ついにアンチスキルが登場!いまだかつてない、脳を統べる科学者と、能力者、そしてシティーハンターの攻防戦が始まる!
次回 統治者VS能力者・リョウ!マグナムと能力をぶつけろ!