とある学園都市の市街狩猟(シティーハンター) 作:KBS滝原
そこにはリョウとジャッジメントたちの壮絶な経験差があったのだった。
双方の思いはどうなるのだろうか?
第3話 ぶつけられた思い、リョウの思い
涙子の家にいるリョウ。涙子はリョウに心を惹かれ、恩返ししたいという気持ちでリョウを泊めさせているようだ。リョウも一応、あれだけやられたハンマーから逃げられているという安堵感から、思わず気が緩んでいる。
「ねぇ、リョウさんって、運動か何かやってるの?」
涙子がリョウに聞く。外見から、どうやらいい体つきをしているように見えるからだ。リョウはいつも、ボディのトレーニングをやっては、射撃訓練までやっている。精度の高い射撃能力、並外れた察知能力、それはまさに、実力的なものでは超能力者、いわゆるLEVEL5に匹敵するほどであった。
「まぁ、運動はやっているけどな。」
「すごいな~。私って、リョウさんみたいに体つきはあまり良くないし、それに、あの射撃能力は私でも持てないからな~。」
リョウはそれを聞いて、涙子に教える。
「能力があろうとなかろうと、君は君自身で、身を守らなきゃいけない時がくる。学園都市では能力者たちが暴れまわっているし、俺がいた新宿でも、警察から漏れた悪党どもも暴れまわっている。その方法を、お教えしよう。」
涙子に厳しい教えをする。まずは、キックだ。キックの力が弱ければ、相手を成敗することはできないし、自分の命を守ることもできない。そんな訓練をさせて翌日。涙子の携帯に、一本の着信が入る。
「佐天さん?実はあなたにお願いがあるのですけれど、そこにいる冴羽リョウさんを連れてきてほしいんですの。もし来なかったら、得するものが得しなくなるということをお伝えくださいまし。」
黒子がお願いをする。リョウにそれを伝えると、リョウはやる気のない顔をしてジャッジメント一七七支部にむかう。リョウは読めていた。どうせ入隊申請届を書かされるのだろうと。しかし、リョウの考えたものよりは、かなり違っていた。
ジャッジメント一七七支部の事務室にはいると、そこにはなんと、あのバスジャック事件の時の運転士が。
「おぉー!運転士さんじゃないか!待ってたよ~!」
飛び込むリョウ!そこを黒子がキックで仕留める!
「あなたはかなりの変態のようですね!!」
だが、飾利たちは思った。黒子だってそれと同じことをしているのだから、人の事を言えないだろうと。
「実は、あなたにお願いがありまして、こちらに呼んだんですの。ただし条件がありますわ。あなたがジャッジメントに入隊申請届を出すというのでしたら、お願いしたい内容を話してもいいですのよ。」
「まったく汚い手を使うな。最近の中学生はそんな悪だくみまでするようになったのか。」
「よろしいですの?あなたがもし入隊申請届を出さなければ、お願いされている話も水の泡になりますし、何より、この運転士さんとお付き合いができなくなりますわよ。」
「わーったよ。書けばいいんでしょ書けば。」
リョウはやる気のない感じを出したまま、入隊申請書にサインする。書くのを確認した4人は、運転士から用件を話してもらう。
名前は、梶原 桜子(かじわら さくらこ)。学園都市交通自動車の社員で、入社して4年になる。
「実は最近、あることに悩まされているんです。通勤で使っている自動車が時々、ふらついてしまうことがあるんです。別に何もいじっているわけではないんですけど・・・。」
桜子は、リョウに経緯を話す。
事の発端は、1週間前。仕業終業後、帰ろうとしたとき、通勤で使っている車がふらつき、ぶつかりそうになったそうだ。更に自分の家のポストに、身に覚えのない請求書が送られ、どうにかしたいと思っていたところだが、更にこんな警告文が送られてきた。
「アンチスキルやジャッジメントに通報すると、お前の体がどうなっても知らないぞ。」
というメッセージがあり、それが単なる脅しではないという証拠にと、自分の乗務していたバスが空の爆発を起こすという事態に巻き込まれた。そしてこの相談した当日にも、身に覚えのない請求書がまた届いたという。
「RM-Eの請求書に、HR-1の領収書、桜子君は、何かここ最近でキャッシュレス類のものを使った覚えはないか?」
「そもそも私、カードは持たない方なんですよ。なのにこんな莫大な請求が来て、正直困っています。」
飾利がそれを見て、パソコンで調べている。2つの請求書類から会社を割り当ててみたが、どれも該当しない。これはジャッジメント以外にもリョウの手を借りた捜査が必要になってくる。
「分かった。君は俺の家に泊まりなさい。動き一つ違えば、相手も何かしらの動きに出るはずだ。」
「そうですわね。もしかしたら、自分の姿を消せる能力者の仕業かも知れないですからね。」
「というわけで、よろしく。私は常盤台中学2年、御坂美琴よ。」
「同じく常盤台中学の1年、白井黒子ですわ。」
「柵川中学1年、初春飾利です!」
「同じく柵川中学1年、佐天涙子だよ!よろしく!」
5人の連携プレイによる捜査が、幕を切って落とされた!まずは、今までの請求書類をすべて調べる。これを見ると、犯行の行われた初日は、ネックレスや、ピアス類などで、60万円の請求、乗務が妨害された日には、30万円の請求が届いている。ここまで調べると、すべて630万円の請求が来ている!だが、リョウは一つ気になることがある。
「もしかしたら、今、世界で問題となっている、サイバー犯罪の可能性があるな。おそらく犯人は、桜子君の所持している通信機器類に侵入して、あらゆるものを盗んだり、自分には身に覚えのない請求が届く可能性があるんだ。実際に俺が知っている事件では、差出人不明のメールが届いて、見てみたら、自分の顔が写っていた写真が送られてきていた事件もある。犯人はそれを利用したかもしれん。」
「確かに位置情報がかなり正確なのは厄介ですね。しかも今回、梶原さんがアパートに住んでいるのにその場所まで分かってしまうというのは、相当な犯人でしょう。」
飾利がその見解を話す。サイバー犯罪、いわゆるネットワークを使った犯罪がひどくなってきている昨今、執拗に追跡し、こういう迷惑行為を行うことが少なくない。特に今回の場合は悪質である。脅しではない証拠に、桜子の車がいじられていたり、乗務する予定のバスが空の爆発を起こされるなど、これは完全に犯罪行為だ。
夕方、桜子は、リョウとともに、涙子の家に泊まっていた。先述の通り、何が起きるか分からないので、安全上、どうしても必要不可欠なことである。夕食は、涙子特製のカレーライスだ。このカレーライスは、ただのカレーライスではない。かまぼこが入った、特殊なカレーライスである。3人はいただきますというあいさつをするが、桜子は何か浮かない様子だ。その様子に気づく2人。するとリョウが、
「心配は無用さ。いざと言うときには、俺が君を守ってみせる。ほら、浮かない顔をしないでくれたまえ。せっかくの涙子君の作ってくれた料理が冷めてしまうぞ?」
桜子をなだめる。だが歯止めが効かなくなっちゃったのか、
「今日は一緒に僕の部屋でどうですか~!?」
モッコリモードに切り替わってしまった。涙子が何か頬を膨らませている。どうやらあの3人の読みは当たっていたようだ。
「リョウさん?食べ終わったら話をお聞きしましょうか?」
笑っているようだが圧をかけている涙子!リョウはその姿に気づき、落ち着いてくれと諭す。ブレーキが半分効かない会話は夜が深くなるまで続いた。
翌朝。涙子は習慣的にポストを見ているため、確認すると、何か白い封筒が入っていた。するとそこには、脅迫文が書かれていた!
「本来であれば、君だけを攻撃して何食わぬ顔で事を終わらせる予定だったが、どうやら邪魔が入ったようだ。何があっても君の責任になる。不始末なことをした自分自身を呪うがいい。」
こう書かれていた。すると涙子の叫び声が!黒い準中型のワゴンに、黒ずくめの男たちが涙子を引きずり込む!リョウが拳銃を出そうとするが、
「その銃から弾丸を放ってみろ!こいつの命はないぞ!」
警告され、銃を引っ込めてしまう!誘拐される涙子。車は学園都市の大通りに逃げ込み、そのまま消えていった。
ジャッジメント一七七支部では····
「まったく何やってるのよ!あんたそれでもスイーパーなのかしら!?脅迫文の手紙に気を取られて、佐天さんを誘拐されるなんて、頼りないわね!」
美琴が激怒していた。黒子はとりあえず落ち着いてほしいと言い、リョウに話を聞く。
「冴羽さん。とりあえず、どういう脅迫文が来たのかお見せいただけますの?」
そう言われ、リョウはこの脅迫文を見せる。書かれている内容、そして筆跡がほぼ同じだ。そして分かったことは、犯人はただの愉快犯というわけではなく、脅しではない証拠にと、犯行を実行しているということだ。更に黒子は、どういう車だったかを聞く。
「黒の、TOYOTAの準中型ワゴンだった。ナンバープレートは、東京307 か 564だったな。」
そういい、黒子は検索をかける。すると車は、第6学区の、廃ビルにいる。
その頃、廃ビルでは、木製の椅子に腕を後ろに縛り付けられ、口にタオルを巻かれていた涙子の姿があった。犯人の1人が、タオルを外す。
「どうだ?誘拐された気分は。」
答えない涙子。
「誘拐されたのは誰のせいだと思う?君でもあの男でもない。君たちが匿ったあの女のせいだ。俺は女に警告をするために、君を誘拐した。まぁ心配するな。あの女を連れてくるよう言っておいたさ。女が来れば君は解放される。」
男の1人が言う。だが涙子は、
「それで私が納得すると思う?どうしてあの女性を狙ったの?」
と聞く。男は、桜子が同じワイヤレス接続にひっかかってくれたからだと話す。おかげで桜子に興味が湧いたそうだ。だが涙子は、
「そんなことであの桜子さんを狙ったの?卑怯よ。あなたたちがやったことは紛れもない犯罪よ。よーく理解しておいた方がいいよ。」
男は激高し、涙子の椅子を倒し、蹴り続ける。
「学生の分際で、分かったこと言ってんじゃねぇぞ!」
「しかし、あなたたちは分かっていないようだね。強い味方がいることを。もうそろそろ到着するんじゃない?」
涙子が突然話す。すると、後ろからリョウの声が!
「学園都市のジャッジメント事務所にあるコンピュータが語ってくれたよ。お前たちがここにいるとな。さぁそこの涙子君を解放してもらおうか。」
「わりぃが、そうはさせねぇ。あの女を連れてきてもらわねぇと解放する気はおきねぇな。」
するとリョウが、パイソン357マグナムの弾丸を一発発砲する!足元に一発着弾!
「あまり長引かせると、俺よりもっと痛い奴の参上になるぞ。」
弾丸を放ち続けるリョウ。男たちは焦ったのか、涙子を解放する。涙子がリョウに抱きつく。
「もう心配はない。あとはこいつらをどう料理するかだな。」
と言った、その時、背後からもう一人の男がリョウに襲いかかろうとしていた!リョウが銃を向けた次の瞬間、電撃が男に放たれる!そこに現れたのは、美琴だった!
「まったく、遅いじゃない。手こずってると思って来てみたらこの通りね。」
3人はその後、アンチスキルに連行された。すると、リョウの前に現れたのは、黄泉川だった。
「冴羽リョウというのは君か。私はアンチスキルの黄泉川じゃん。よろしく頼むじゃん。」
するとリョウは、黄泉川の姿を見て、モッコリ美女発見!と、黄泉川を誘う。
「終わったらお茶しないー?」
とその時、美琴の怒りのボルテージが上がり、電撃を放たれる!
「くたばれナンパエロ野郎!」
リョウは逃げるが、美琴は追い続ける。こんな無邪気な姿に、笑う3人だった。
最初の仕事が終わり、ようやくジャッジメントに入隊したリョウ。体の強さとその体の動きから、彼はミッションに抜擢されることが多くなる。だがジャッジメントでは、不思議なことが起きるのであった!
次回 ついにリョウが!認められた異世界のスイーパー