疑心暗鬼な親友と、たぶん呉牛喘月な私 作:美羽様可愛いヤッター!
誤字脱字とか怪しい文は愛嬌だから、
すいません許してください!何でも許してください!
「あー、アレやな。失敗やわ」
改良したハズの投石車は予定より威力不足の物になった。予定していた石を投げることが出来ず、投げた石は城門にぶち当たり凹みは作るものの、門の前に石が積み重なり城攻めをしにくくするだけだった。むしろオマケ感覚の即興品であるデカい弩の方が優秀ですらある。
並の弩に比べたら大型なぶん、張力も重量も大きくなり地面に据え置きして撃つ形の物に仕上がった。持ち運びは不便になったがそのぶん精度は格段に向上している。
今も城壁の上にいる敵兵を射ち倒しているし、石や鉄球など矢でなくても射つことが出来るので城壁をガリガリと削り取っている。
「ほほう。案外、優秀やな」
カリカリと竹簡を手に性能を記録していく真桜。いや、記録する前に現状をどうにかしようよ。
「…どうしましょうねぇ」
真桜の行動に呆れた様な視線を向ける七乃は、打ち破れる予定だった城門を見て眉をしかめている。狙いを城壁に変えて射ち崩す案は朱儁ら朝廷の軍から却下され、門を打ち破る案も先ほど失敗した。残すは梯子で直接城壁を乗り越え中から門を開ける方法な訳なのだが。
「こんなところで消耗するのもバカらしいですし、被害は極力抑えたいですねぇ」
「私と沙和ちゃんで乗り込もうか?身軽に動けるし、休んでたから体調も万全だし」
「んだら、その間にウチが地面に穴掘ったるわ。…城門破るの失敗しとるし何か別の事で成果挙げんとイカンやろ?」
私と沙和ちゃんの精鋭(自称)で城壁を登り、戦闘をして敵の気を引く。その間に真桜が穴を掘って城壁の下を通り抜け城内へと通ずる通路を作る。そしてその通路を使って兵を雪崩れ込ませ、制圧してしまう。というゴリ押しの力業計画だ。
「…私としてはもっと知的な戦いをしたいんですけどねぇ」
「まぁ、仕方無いね。次の機会までのお楽しみってことにしようや」
「…分かってます。まずは目の前のことに集中しますよ。私はここで城壁上の制圧射を指示してますので、陳紀さん達はササッと登って思いっきり暴れちゃってください。なんならソチラで門を開けてくれて構いませんので」
了解~。と七乃に返事を返し、弓と矢筒を背中に背負う。長めの梯子を担ぎ、頭を上げてこなさそうな城壁に当たりをつける。あの辺かな?
「よっと。沙和ちゃん行くよー?」
「sir,yes,sir!なの~!」
「さーいえっさー?」
え、何それは…(困惑)
謎の掛け声とビシッと音が出そうなほど見事な敬礼をした沙和ちゃんが私の横を通り抜け、先陣として梯子を駆け上がっていく。
「ズルい!私が一番乗りしようと思ったのに!」
「油断した陳紀ちゃんが悪いの!于禁、一番乗りー!なの~!」
ギャーギャー騒ぐ沙和ちゃんの声を聞き付けた敵兵がワラワラと城壁へ集まる。運悪く階段が側にあるせいで次から次へと登ってきては、あっという間に大勢の兵に取り囲まれた。
七乃も私や沙和ちゃんを巻き込むのを考慮してか、この辺りだけ矢が飛んで来ていないため伏せていた兵士も武器を構えて臨戦態勢になっている。
「…これはキツくない?」
「クソ虫め、気合い入れろー!お前のようなクソ虫は口からクソ出してないで目の前の敵を黙って倒してれば良いのー!」
えぇ…。
突如、罵詈雑言が溢れ出した沙和ちゃん。さっきよりもヤル気に満ちた眼をしているのは何故なんだろう。
「ウジ虫共、掛かってくるのー!」
『うおおおお!』
「ヒエッ!?…オラオラ、来いよオラァ!!」
謎の挑発に乗った敵兵が憤怒の表情を浮かべて私と沙和ちゃんへと殺到してくる。下から聞こえるゴリゴリギャウンギャウン鳴ってる"何か"はもはや無視されてるようだ。
☆
「本気で怒らしちゃったねぇ!私のことねぇ!陳紀さんのこと本気で怒らせちゃったねぇ!」
「ぐへぇ!?なんだこのチビガキ強いぞ!」
「チビ↑ガキ↓だとォ?ふざけんじゃねぇよお前!お姉さんだろォ!?」
「お姉さんやめちく(パァン」
「誰が声出して良いつったオイ!」
群がってくる敵兵を射抜き、矢を突き刺す。時には敵の持つ槍や剣を奪って切り伏せ、斬りかかってくる敵の勢いを利用して城壁から放り投げる事もあった。
「陳紀ちゃん、数多いのー!」
「分かってます!それでも切り抜けるしかないですよ!…動くと当たらないだろ、動くと当たらないだろォ!」
奪い取った短剣を敵の首に刺し、柄を殴り付けて確実に止めを刺す。ゴポリと血を噴き出しながら敵は倒れ、それを見ていた周りのヤツは死の恐怖からか2、3歩後ろへと下がった。
「隙アリなのぉ!」
そんな大きすぎる隙を見逃すハズもなく沙和ちゃんが双剣を振り上げ斬りかかる。舞うように剣を振るうと首やら腕やらが切り落とされ、絶叫が辺りに響く。
「今のうち!」
「門を開けに行くの!」
絶叫で疎んでいる兵の間を縫うように走り、沙和ちゃんと共に城内へと飛び降りる。ビーンと足の先から頭まで痺れるような衝撃が走るけれど、我慢して上でワーワー騒いでいる間に城門を押さえている閂へと駆け寄る。
「「せーの!」」
閂を外し、2人で門を引いて開け放つ。城門前に積み重なっていた岩は沙和ちゃんとの友情蹴りで粉砕しようとしたけれど力不足で少しずつしか砕けないし、ビクともしなかった。
「お、エエ感じに来たわ」
予定通りにならなかった岩に焦っていると、ボコッと近くの城壁の下から真桜が通路を開通させて出てきた。岩をゲシゲシ蹴っている私と沙和ちゃんを見て察してくれたのか体に着いた土も払わずにコチラへと駆け寄ってくる。
「そんき、石ころウチに任せぇ!」「そんな」では?
また槍を回転させると道を塞いでいた岩を片っ端からガリガリと削り破壊していく。あっという間に粉砕した真桜は返す槍で私達の後方から迫ってくる敵兵を凪払う。
凪払ったのだ『岩を簡単に削り取る槍で』。
「ぎゃああああ!」
その声は敵兵か、それとも色々と飛び散るのを見た私か。とにかく色々と飛び散った。赤い液体やら白っぽい固形物やら腕やら足やらと。
「い、嫌だ!あんな死に方はしたくねぇ!」
真桜の槍によってアチラコチラが抉り取られた惨たらしい死体が量産されると、見ていた敵兵が恐れて逃げ始める。
「今が好機ですねぇ。全軍、突撃でーす!」
逃げる兵を見て七乃が突撃の号令を出した。岩の無くなった通路、真桜の開けた地下通路を通って兵士達が雪崩れ込み、数にモノを言わせて残っている敵兵を打ち倒す。ここまで来れば勝ったも同然だな。
「お疲れ~。沙和ちゃんは前に出て良いよ。可能なら首の1つでも挙げてくれたら嬉しいんだけど」
「陳紀ちゃんはどうするの~?」
「真桜の頑張りを一緒に見た後、軍師殿の護衛でもするよ。城門制圧したって言っても流石に指揮官を裸にしとくのはマズイしね」
「頑張りも何もただの穴やし、見せれるモンやないで?」
分かったの~!と前線へと走っていく沙和ちゃんを見送り、私と真桜は城壁の辺りへと移動する。
「おー、良いじゃん。(1度に通れる人数は)ナンボなん?」
「こちら、5人用となっとります」
真桜が出てきた地下通路を覗き込む。突発的な作業だったにも関わらず、均一幅に掘られた穴は崩れないように木材の支えが立てられており安全にも配慮された職人技があった。
「5人用、ウソでしょ?あんな突貫工事なのに5人用とか何が軍1だ、漢1だお前」
「ありがとうございます」
馬鹿みたいなやり取りを真桜としながら七乃が来るのを待つ。ポコ、ポコとメチャクチャ歩みの遅い馬がジロジロと城壁やら目につく物を警戒する七乃を乗せていた。
よく見て気付いたけれど馬が遅いんじゃなくて、七乃が1歩進んでは止めて、1歩進んでは止めての繰り返しをしているようだ。そのせいか馬も嫌気がさしてダルそうな顔をしている。
「…ここで何してるんです?」
「ん?真桜の頑張りを見てたのさ。あと、七乃が来るのを待ってた」
「軍師を1人にしとくのは不安やろって陳紀はんが言っとったわ」
「…そうですか」
警戒しすぎて人間不信が見え隠れしている七乃は、一定の距離を保ったまま私達に話し掛けてくる。まだ味方だと分かっているからか、少しトゲはあるけれど会話として成り立っているから問題ないだろう。
「そんじゃ、沙和ちゃんが頑張ってるだろうし前へ行こっか」
「えぇ、護衛は任せますよ陳紀さん、真桜さん」
「任しとき」
またポコポコ歩みを始めた馬の前を私が、後ろを真桜が守るように着いていく。七乃の顔は険しくアッチコッチ警戒しているけれど、さっきみたいに1歩歩いて止まる事は無くなった。
頑張って書きます