疑心暗鬼な親友と、たぶん呉牛喘月な私   作:美羽様可愛いヤッター!

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ゴールデンウィーク始まったと思ったらバクシンオーも驚きの早さで終わりました。
ツインターボみたいに逆噴射してくれて良いのよ?


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今か今かと待ち続けていると、意識していないのに訓練に気合いが入る。紀霊も一応副官となっている雪蓮さんとバチバチに自称模擬戦を行っているし、蓮華さんも珍しく思春と一緒に鍛練をしている。そして私は

 

「な、なんじゃと!?」

 

「あれ?そうでしたっけ?」

 

袁術様と七乃と一緒にお茶を飲んでいた。そして明かされる衝撃の新事実!なんて事はなく適当な話をしていたら、皆は真名なのに私が未だに『袁術様』呼びなの何でなの?的な話に辿り着いた。

いや、何でも何も教えて貰ってないからなんですけどね。それを伝えれば袁術様も七乃も忘れてるっていうね。

 

「祝勝会で孫家の者達と交換したのじゃから陳紀とも交換していたと思っておった…」

 

「あー、私は厨房にいるか酔っ払いの介護してたんで袁術様のところに行けませんでしたね」

 

「ぬう…。場の雰囲気と言うか色々台無しじゃが、これからは美羽と呼んで欲しいのじゃ」

 

なんか話の流れで袁術様じゃなくて美羽様から真名を預けられた。呼び慣れないけど、預けて貰ったからにはちゃんと真名で呼ばないと失礼らしい(噂)し、何度か反芻しておこう。美羽様美羽様美羽様…。

 

「そういえば、今回は留守番なんだね。てっきり陣頭指揮とか周りに牽制したりするのかと思ってたよ」

 

「いえいえ~、お披露目するためには私達よりかは炎蓮さん達に出て欲しいじゃないですか。まぁ、他の理由もあるんですけど」

 

「別の理由とな?…分かったのじゃ!城の守りじゃな!」

 

バン!と勢い良く執務机を叩く美羽様。勢い良すぎて湯呑みが跳びはね、少しお茶が溢れてしまい慌てている。

えっと台拭き台拭きは~っと。

 

「それもありますが、将の人達は良いですけど兵の方が少し問題ありまして。どうも元南陽黄巾賊だった人達がいるみたいなんですよねぇ~」

 

「ソイツらが匂うの?」

 

「思い過ごしなら良いんですけどね~。嘘かホントか密会みたいな事をしてる姿が見られているとか報告挙がってるんですよ」

 

昔に比べたら大分余裕が出てきたとは言えど、まだまだ身内だからって安心することが出来ない現状。

冥琳や陸遜、呂蒙と言った優秀な軍師達もいるけれど、七乃と比べたら潜ってきた場数と経験が違いすぎるため、反乱分子に関しては七乃が一手に引き受けている。

 

「なので、兵とは言えど身内を殺されるなんて場面に合わせたら何を言われるか分かりませんから~、遠征されてる間にコッソリと探る予定ですよ。ちなみに陳紀さんと紀霊さんの兵にも怪しいのいますからね?」

 

「…そ奴らが妾を狙っておるのか?」

 

「そこはまだ調査中としか言えません。ただ、美羽様を害そうとする可能性を捨てきれませんから」

 

そう微笑む七乃の目には確かな決意の炎が燃えていた。

例え自分の身が犠牲になろうと美羽様を守り抜くと言う熱い決意が。少し前までは夜みたいな真っ黒い濁った眼をギラギラさせていた癖に、いつの間にか濁りの抜けた綺麗な眼になっていた。

 

「はいはい、んで七乃がそっちに取り掛かってる間は私と紀霊が護衛とか色々やる訳ね」

 

「そう言うことです。ついでに冥琳さんに経験を積ませて軍師として頑張って貰おうと思ってます。彼女、軍略に関しては私より上ですから」

 

「む?ならば七乃はどうするのじゃ?」

 

「私も軍師として頑張りますよ?ただ謀略張り巡らせる方が得意ですから、策を練って敵を倒すのではなく中から敵を潰したりする役目になりますかね~」

 

あー、そう言うことね。完全に理解した(分かっていない)

 

「あ、それとは別ですが既に冥琳さんには言ってますけど陳紀さんに頼み事があるんですよ」

 

「私に?」

 

「可能ならで良いので董卓さんとその軍師である賈詡さんの身を確保して欲しいんですよね~」

 

「董卓ぅ?賈詡ってのも知らないけどさ、良いように嵌められた所のヤツなんていらないでしょ。軍略は冥琳、謀略は七乃がいるんだから不必要じゃないの?」

 

私の頭が良くないのは分かっているけれど、この提案だけは本当に理解できない。美羽様を逆賊にしたくないと言っている七乃が、董卓とその軍師を引き込む危険性を1番理解しているハズなのに。

 

「確かに嵌められてはいますけど、治安改善・維持、賊討伐をしながら密偵の処理を同時に行っているんですよ。ちょうど密書が来る少し前から報告が無くなってますからね」

 

「…それなら七乃もやってるじゃん」

 

「…分かりました。では董卓さんだけお願いします。西涼と洛陽での評判から善政に長けているようですから、私達でも気付かない方法があるのかもしれません。可能なら美羽様の補佐役にしたいと思ってますしね」

 

渋りまくる私に妥協点を提示する七乃。董卓を補佐役にして美羽様をより良い君主にするねぇ。

…董卓の為政者としての腕をそんなに買ってるのか。七乃が言うんだから間違いはないんだろうけど、そこまでして囲う必要があるのだろうか。

 

「可能なら確保するってところは変わらないよね?」

 

「えぇ、可能ならで構いません。…無理を言ってごめんなさいね」

 

「ま、期待に応えられるよう努力はしてみるさ」

 

「ありがとうございます。でも、自分の身を最優先にしてください。危険なら董卓さんはいりませんから」

 

「あいあい。んじゃ私は部屋に戻るよ。美羽様、お茶とお菓子美味しかったです。また来て良いですか?」

 

「うむ、いつでも来るが良い!」

 

 

「…董卓の確保っすか?」

 

「だってさ」

 

部屋を出て日が高くなってるのを知った私は、その辺を歩いていた紀霊と共に飯屋へと繰り出していた。

人は増えたけど城内の食堂を利用しており、私みたいに外で食べようとするのは未だに少数派で内1人が紀霊なわけだ。…外食派は私と紀霊しかいないかもしれないが。

 

「でも風聞的に良くないっすよね。仮にも逆賊なんですし」

 

「それ言ったけど、美羽様の補佐にしたいんだって」

 

「へー。…ところで何食います?」

 

やっぱり私と紀霊じゃこう言う話は長続きしないな。腹が減ってるから考えるのが面倒ってのもあるけど、七乃風に言えば頭の中身が足りてないから小難しい話をしてもチンプンカンなんだよなぁ。

 

「なんか美味いとこ無いの?」

 

「美味いとこって言われてもなぁ…。あーし甘味系しか回ったこと無いんすよ。地元の時は凪っちが結構な食通なんで食う店は全部任せてましたわ」

 

「沙和ちゃんと真桜は?」

 

「沙和っちはあーしと雑誌に載ってた可愛い甘味屋巡りして、真桜はカラクリ弄りしてる片手間に食えれば何でも良いって感じでしたね」

 

なんか想像通りだった。

 

「凪っちは元から料理したりするのが好きだったみたいで、店の味を再現してたらしいんっすよね。んで、再現したら次の店~、再現したら次の店~って感じで食べ歩きしてたんだって」

 

「へー、なんか意外。人は外見じゃ無いんだねぇ」

 

「ねー。視線鋭かったり動き易さを優先した可愛くない服だったりで女子力低そうに見えて、うちらの中で女子力一番高いんじゃね?って思いましたわ」

 

結局、良い案も出なくて駄弁りながら辿り着いたのは前に美羽様と七乃と一緒に来た店だった。店主の腕は良いし、唐辛子ビタビタは頼めるしで私の中では間違いなく最高に良い店だ。

 

「いらっしゃい!お、将軍今日も来てくださったんですか!いつもの席にどうぞ!」

 

威勢の良い店主に窓際の席へと通され、品書きを開く。さてと、何にしよっかなぁ~。私も紀霊も大体決めるのが早いからか既に店員が注文を取りに来ている。

 

「あーしは青椒肉絲と回鍋肉に白飯かな。…青椒肉絲は大盛りで」

 

「はや…。う~んとビタビタの辣子鶏と白飯で。余裕あるし大盛りにしよっかな」

 

「ビ、ビタビタですね。注文承りやした!」

 

本気かみたいな顔した店員が厨房へと入っていくのを見送る。表情豊かなのは良いことかもしれないけど、客に対して見せて良いものじゃなかったなぁ。

 

「なーんか不満気な顔してますけどビタビタなんて言われたら、あんな顔しますって」

 

「だからって注文した本人の前でしちゃいかんでしょ」

 

紀霊の言葉にペシペシと机を叩いて抗議するも、そんな私の姿を紀霊は苦笑いしながら見詰める。

…私だって理解は出来るんだけど1度ビタビタに魅入られてしまったこの身は、唐辛子の刺激を熱さを求めて止まないのだ。

 

「お待たせしやした!青椒肉絲に回鍋肉、白飯です。ビタビタもすぐお持ちしやす」

 

「お、来た来た」

 

愚痴っては慰められてを延々と繰り返していたら料理が運ばれてきた。…たまには青椒肉絲とかも頼もうかなぁ。紀霊の見てたら妙に食べたくなったけどビタビタってあるのかな?

 

「辣子鶏ビタビタお待ちしやした!」

 

ムワッと実に刺激的で食欲をそそる香りと共に私の前に何時もの辣子鶏が置かれた。店主は馴れてるから平気なようだけど、白飯を持ってきた若い店員は唐辛子の香りでか噎せていた。

 

「うん、美味しい!」

 

「…1つ貰っても良いっすか。ここの揚げ物美味いんすよね」

 

「ん。なら青椒肉絲少し頂戴」

 

鶏の唐揚げ(唐辛子タップリ)を紀霊の皿に渡し、青椒肉絲を貰っていると唐揚げを見た紀霊が絶句している。あれ?辛いの苦手だっけ?

 

「あー、まぁ、チビチビ食えばいけるか。…オホッ!?」

 

唐辛子を皿の端へと避けてカプッと噛み付いた紀霊から変な声がしたかと思えば、そのまま俯いてプルプル震えている。

 

「あー、辛かった?でもジワーッとくる辛さが良いよね」

 

「フーッ、クゥ!?…ジワーと言うかドンッ!みたいな感じでしたよ」

 

額に汗を滲ませた紀霊は水を飲むと漸く落ち着いたようだった。

 

「うまうま。そう?ジワーと口の中に辛味と旨味が広がって最高じゃない?」

 

「分かんねぇすわ」

 

…あれぇ?私の味覚おかしくなったかな?たまにはビタビタ以外のも頼もうかな。

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