始原の精霊は隠居していたい   作:紀野感無

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「冒険者?それって、よくある物語に出てくる、魔物退治だとか、採集クエストだとかそんなのやる人たち?」
「大雑把だけど、そうね」
「それがどしたの。もしかして今の時代の冒険者って強い?」
「まさか。最上位のアダマンタイト級ってのですら中位の精霊とトントン。あってもそれより少し強いくらいよ。今のところはね」
「ふーん」
「ただ、帝国……西側にある国ね。こっちにはワーカーって言う、いわばゴロツキのような冒険者もどきがたくさんいるわ。注意すべきはこっちかもね」
「と、言うと?」
「そいつらは国とかの後ろ盾がない連中。でも金は稼ぎたい連中。だから……」
「ああ、言いたいことはわかった。『手段を選ばない奴ら』ってことだろ?」
「そういうこと。上位精霊を周辺に配置してるここで、中位精霊よりも格下の人間達がどうこうできるわけ無いと思うけれど」
「備えあればなんとやら、だ。警戒するに越したことはないよ」




冒険者とはなんぞや 

「さて、それじゃあお手柔らかに」

「……」

 

アイテムで、半径100メートルくらいの魔法の空間の中に適当に装備をして仁王立ちする。対面には根源の精霊。いつ召喚したのか知らないけど、いい勝負になりそうな子はこの子くらいしかいなかった。

 

レベル上げ兼勘を取り戻すための模擬戦、さあいっちょやってみましょう。

 

 

 

 

 

「じゃあ、これからはみんなも近辺の防衛に回ってちょうだいな。それと高レベルな人間、もしくは弱くてもここまで入り込んでくる輩以外は基本無視で構わないわよ。アテナのそばには基本私が付くから」

 

アテナの模擬戦を観戦しながら精霊達に指示を出す。

さてと、やることは山積みね。

 

「あら、この紅茶の葉、栽培できたのね」

 

香りが、いつもの値段的にそんな高くない紅茶じゃなく、かなりの最高級なものになってて、少し驚いた。

ストックはあるにはあったけど使うのは基本、栽培できる目処が立ったものとお願いしていたから、もう少し時間がかかると思ってた。

 

「……」

「そう、土壌を開拓して水精霊達と協力したの。ありがとう。これユグドラシル産だから難しかったでしょうに」

 

いい紅茶は香りも味も格別ね。

……うん、おいしい。

 

「……」

 

アテナはレベルダウンしていたせいもあるのか、やっぱり火力面で大きく落ちてるわね。後はいくつかの魔法やらスキルが使えなくなってる、だったかしら。

現に前のレベル100の時なら敵じゃなかったはずのレベル80の根源の精霊相手にいい勝負をしている。

 

「始原の精霊関係のスキルは軒並み使えなくなってる、辺りかしら?ステータス見れるかしら」

 

ステータス偽造とか使ってなければいいけど、なんてことを思いながらステータス鑑定の巻物(スクロール)を使って見てみると、偽装とかは一切施しておらず何がどう下がったのかがわかった。

 

「えーと、種族レベルが

始原の精霊 レベル5から1に、

大精霊 レベル15から10に、

至高天の熾天使 レベル5から1。

種族レベルが計9レベルダウンと。

 

クラスレベルは

ガーディアン レベル15から9に。

精霊守護者 レベル10から5に。

クラスレベルは計11レベルダウンか。

 

レベルが総合計80か……だいぶ弱くなったわね」

 

紅茶飲みながら紙に記載していく。これからやること、即座にやること、後に回していいもの何かを、どーーせアテナはやらないだろうだから今のうちに整理しないと。

 

「1番の懸念材料は、ナザリックの奴ら相手だと大半に手も足も出ないってことかしら…。精霊たち総動員しても勝てないわね。……大人しくどこか遠いところ行こうかしら」

 

そんなことできっこないが。

 

「あ゛ーーー疲れた」

「お帰り」

 

一通り情報まとめ切ったところで、アテナは異空間から出てきた。

ライフエッセンスでHP量を見ると、アテナも根源の精霊もどちらも2割弱しかHPは残っていなかった。MPは互いにゼロ。この様子だとスキルも使い切ってるかしら。

 

「どう?レベル上がった?」

「大精霊がレベルカンストまで。ガーディアンもレベルカンスト、くらいかな。他の種族スキルとかも使い切ったけどレベル上がってないの見る限り、もっとやんないもいけないかもね。最悪流れ星の指輪で何とかするよ」

「それはもったいないからやめなさい。上がること証明できたんだから地道にレベル上げしましょう」

「そうだね。で、何書いてたの」

「やる事リスト」

「ふーん。まず真っ先にやる事は?」

 

「そうねぇ。1番にやる事は貴女のレベル上げ。次に防衛策の強化。その次は周りの村々にあなたのことを周知させることかしら」

 

「二つ目まではわかるけど、三つ目の利点は?」

 

「幾つかあるわ。中でも一番は、リ・エスティーゼ王国とバハルス帝国からのアクションがなくなる可能性が大きい、ってことかしら」

 

「……どこそれ」

「森を挟んで東西にある国」

「ふーん……」

「詳しい事はこれに書いてるから読んでちょうだいな」

「はいはい。で、他私やる事は?」

「特にないわ。好きに過ごしてちょうだいな」

「じゃあ、その冒険者とやらを少しやってみようか」

「は?」

 

好きに過ごせとは言ったけれどいきなりトンチンカンなことを言い出した。冒険者?大人しく森の中で過ごすとか言ってなかった?

 

「この世界の冒険者とやらにも興味があるからね。人間の生活を体験しておくのも、アイツの子孫を助ける為にも役立つだろうからね。何かを持っていくことがあって、持っていったはいいものの全く使えない、なんなら高価すぎて狙われる、とかなったら本末転倒だから」

「本音は?」

「たまには森以外もぶらぶら遊び歩きたい」

「……でしょうね。私としては構わないけれど……その格好でいくつもり?」

「え?だめ?」

 

予想以上に無計画すぎて頭が痛くなってきた。殴りすぎて頭のネジ数本飛んだかしら。

 

「貴女ねぇ、その格好で街に行ったらただの痴女よ」

「えー、胸とか、局部とか全部隠してるよ」

「……その黒くてうっすいシャツの下何」

「え、何もないけど」

「……」

 

本当にネジ飛んでるわね。

つい思わず、殴ってしまった。

 

「あだっ」

「せめてサラシでも巻きなさいよ。あとその下。局部隠れてるとは言っても太腿上部までしか隠れてないじゃない。それどうするの」

「別にいいでしょ太腿から下くらい」

「もう一発殴ろうか?」

「いや待って待って」

「あと、その顔、割と重要な人物たちに広まってんのよ。面倒なこと起こったらどうするわけ。ただでさえ貴女目立つ容姿してるんだから」

「……」

「それと……」

「わかったわかった、姿変えるから。それでオーケイ?」

「あとせめて一週間後にしなさい」

「分かった」

 

また悩みの種が一つ増えた。…この森の管理、結局私と森の賢王でやらなきゃいけないわけ?

 

「スレイン法国にはいついくのよ」

「明日にMPとスキル回数が回復したらいくよ。今日のうちに精霊に手紙持っていかせたから。明日には準備できてるでしょ。で、ついてくるんでしょ?」

「もちろんよ。他の選出は根源の星霊と根源の水精霊かしらね。他は全部、現地で召喚して頂戴」

「そうする」

「で、狙うのは?」

「さあねー、適当にやる。大元へ乗り込んでもいいけど、それだと腹の虫が収まらないから、スレインの民には悪いけど、半分くらい犠牲になってもらう」

「……そう」

 

その辺は割とどうでも良かったから適当に流すと、アテナはなんか驚いてた。

 

「どしたのよ」

「いやぁ、反対されるもんだと思ってたから」

「するわけないじゃない。貴女のやることには基本、否は唱えないわよ。ただ突発すぎると少し時期を遅らせてもらう案とか出すだけで。スレインに関しては私も少ーし、腹立ってる部分あるからね」

「ほう?」

「少し前に、私が懇意にしてる村を襲ったの、スレイン法国だったから、そのお礼参りを私もしなきゃ、ね」

「……ふふ」

「何がおかしいのよ」

「いや何、パチェも結局、私とアイツの子なんだな、と」

「当たり前のことを今更何を」

 

 

 

 

 

 

『やあ、モモンガ。あいや、アインズだっけ』

 

『はい、どうしました?あとどちらでも構いませんよ。公の場ではアインズと呼んでくれさえすれば』

 

『……』

 

『あれ?どうされたんですか?何かあったのですか?』

 

『いや、こないだあれだけやったから、警戒してるもんだと』

 

『警戒はしてますけどね。けれど、アテナさんは信用してるというか』

 

『こんな得体の知れない生物を信用、ねぇ。いつか寝首を狩られるよ?』

 

『アテナさんは……いえ、()()()はその様なことをしないと、はっきりとした理由はないんですが、あの時そう確信できたので』

 

『ふーん……。ま、いいや。それで頼んでおいたスレイン法国の……何だっけニゲンみたいな名前のやつ、なんか聞き出せた?』

 

『余計なことを喋ると魔法で殺される様にされていたので、あまり有益な情報はありませんでしたね。ああ、でも上からは『森の守り神はもうこの世を去った』みたいなことは言われていたらしいですよ。だからアテナさん達のいる森のすぐそばの集落であっても襲撃したとか。それに、魔封じの水晶もあったから、余計強気だったんでしょう』

 

『ほーん』

 

『それに、もうスレインではアテナさんの過去の行いは単なる伝説、噂としか継承されていないので、そもそも信用されていないらしいですが』

 

『なるほどねぇ……すこーしばかり、前よりももっと強く恐怖心植え付けるか』

 

『え?』

 

『何でもないよ。情報どーも、モモンガ』

 

『いえいえ。アテナさんも気をつけてくださいね』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

「あら、おはよう。意外と早いわね」

「おは、よう……。水、浴びて、くる」

「いってらっしゃい」

 

 

「え?侵入者がいる?」

「……」

「どっちの方面?それと目的とかわかる?」

「……」

「それって、アテナが水浴びに行った方面じゃない。目的はわからない、でも何かを探してるのはわかる、と。……大体この森に来るのは、薬草採集か、モンスター狩りだけれど。他何か特徴はあった?」

「……」

「銀色の札を首にかけてるのね……まあ、それなら大丈夫でしょう。特に何もしなくていいと思うわ。迷い込んできてたなら、たとえ出会ったとしても、アテナも慈悲くらいはあげるでしょ。そこはアテナの判断に任せるわ。何かあれば私に連絡来ると思うから。知らせてくれてありがとね」

 

中位精霊の水精霊(ウンディーネ)からの報告を受けて、スレインに行く前の仕事が増えそうな予感はしたけど、まあ、うん、最悪アテナに丸投げしましょう。

 

……この間にも、スレインの人間は皆、警戒してると思うと、滑稽ね。

 

 

 

 

「……」

 

あ゛あ゛あ゛あ゛。気持ちいい…。綺麗な水での水浴びがこんなに気持ちいいとは。

始原の精霊に……自然と一体といってもいい存在となったのも相まってか、転移したての頃に感じていた気持ちよさを上回っている。

 

「……スレインまで行くの、めんどくさくなってきたな」

 

いやでも、わざわざ宣戦布告までしたから、行ってあげないといけないよな。うーん、どうしよう。…‥でも、それ以上に、寝過ぎて、眠い。

 

……このまま、寝ようかな。ほんとに、眠い。

 

「……ってくだ……これい…」

「でも……ないと……が……」

「……に……せい……このま……」

「もしも……を乞……かの森……」

 

 

「……」

 

なんか聞こえた気がするけど、眠気のせいで頭が回らない。……睡眠とか疲労無効をつけないでいるのは、疲れがある状態の方が寝たり食べたりした時の満足感がより向上するとか、アイツも言ってたっけ……。

 

「ん?おい、これ…」

「だよな。鎧……?かなり高そうだぞ」

「こんな森の奥深くに…冒険者?」

「いや、こんな豪華な鎧をつけていた冒険者には見覚えがないのである」

「まさか、他の国の……もしかしてワーカーとか?」

「ありえるな。最近、森の守り神だか何だかが復活したとかいう噂がある。帝国側がそれを調査するために派遣しててもおかしくない」

「それでも、ほんの少しでも食料を分けてもらえないか交渉してみる価値はある。黙秘することを条件に、出口を教えてもらえるかも。でももしかしたら、問答無用の殺し合いになる可能性はある。どうする、みんな」

「俺はリーダーに任せるぜ」

「同じく」

「右に同じ、である」

「……わかった。交渉してみよう。場所からして、この小川の先の湖のそばにいるだろう。……だよな?」

「ああ、この先に湖があるのは間違いない。少なくとも、交渉さえしくじらなければ飲水、運が良ければ食料も手に入るはずだ」

 

声がだんだん近くなってきて、同時に目が少しずつ冴えてきた。ようやくすぐそばまで誰か知らない奴が近づいてきているとわかった。

 

何でこんなところまで入り込まれて何も知らせがない?

パチェ達が見逃すとは思えない。でも知らせはない。……てことは、知らせるほどじゃないか、それか……

 

「(さては対応全部私にぶん投げたな?パチェ、仕事サボって紅茶でも飲んでるのかな。紅茶は後で淹れてもらうとして……めんどくさいな)」

 

水面にゆーっくりあがりながら近づいてきている奴の居場所をスキルを使って探る。探知系魔法は残念ながら無い。

 

どうやら私の鎧だとか服とかの装備品を置いていた方面にいるらしい。

 

盗られてたら問答無用で殺す。あの装備だけは盗られたら本当に許さん。

 

岸までたどり着いたあたりで、4人の人間がちょうど姿を見せた。

 

「あの……」

「何の用だ」

 

出てきた人間の方を向くと、全員が一斉に振り返った。……何でだよ。お前ら何かしにきたんじゃ無いのか。

 

「おい、なぜこっちを見ない。我を侮辱する気か?」

「いえそうではなく!服を!お、お願いですから着てください!」

「憔悴しすぎて忘れていました…そうです、水場なんですから水浴びしてる可能性もあったのに……」

「服が必要なら、外にそれらしきものがあったから、持ってくるのである!」

「あ、じゃあ俺持ってくるわ!」

 

こっちが何かを言う前に、弓矢を持っていた人間が颯爽とこの場から去っていった。

 

「我の身体を見ておきながらその態度とは、不敬だぞ?むしろ光栄と思わんか。宝とも言えるべき我の裸体をみられたのだぞ?」

 

そいや裸だったな私。それならこっちをみようとしないのも当然か。

 

「い、いえ、本当、申し訳ありません。私達、薬草採集の依頼を受けてこの森へ来たのですが、モンスターの大群に追われ、森の奥深くにきてしまって、食料が尽きてしまいまして……貴女が水浴びをしているかも、という事を考えていませんでした」

 

「薬草採集?」

 

「はい。私達、エ・ランテルで冒険者をしているんです」

 

「……冒険者が薬草採集?魔物退治じゃなくて?」

 

「え?」

 

「んんっ、失礼。この森から基本外出することが無い故の無知だ。許せ。

……で、話を聞いた限りだと、貴様らの願いは食料の確保、ついでに言うならば、森の出口を教えて欲しい、あたりか?」

 

「は、はい!そうです!無論、ただとは言いません!後日に、私たちの方で用意できるものなら何でも用意します!」

 

何でもて、切羽詰まってるのはわかるけど不用心すぎやしないか?

 

「何でも……か。生憎だが、我は今の生活に何一つ不自由は感じておらん。それに、貴様らの姿を見るに、我の望むものを貴様らが用意できるとは到底思えんな」

「う、それは……」

「後、もうこっちを見て良い」

 

裸がアウトなのだろうから、適当な布製の服を上から羽織る。水で体にへばりついているが、まあ、透けてもいないからいいだろ。

 

「持ってきましたぁ!ってなんか裸の時より際ど」

「ちょっと黙れ!」

「へヴっ⁉︎」

 

弓矢を持った奴が、私の鎧とか黒いシャツを纏めて持ってきて、口を滑らせかけて殴られていた。

 

うん、床にばら撒いてたらその目を潰してたぞ。

 

「どうも。で、何だっけ。君らの差し出せるものは何でも差し出すから、出口と、できれば食料を恵んでくれ、だっけ」

 

「はい」

 

「……まあ良いが、貴様、このパーティのリーダーか?」

 

「え?そうですが……」

 

「ならば、貴様へアドバイスだ。『何でも差し出す』なんて不用心な発言は避けることだ。パーティリーダーならば、貴様ら全員が助かる道を模索する努力を積め。たとえ正体不明の我との交渉にも、己の利益を考え行動せよ。でなければ……良いように利用されるだけだ」

 

「……はい。わかりました」

 

己のミスを認めたのか、重く受け止め深妙な顔になったいた。うん、いいリーダーだ。己の非を認めることのできる人間は大体が大成する。

 

「だが、森の外へ出たいなら運が良いな。これから我も森の外へ行く用事がある為、支度を済ませ次第出るつもりだ。そのついでに貴様も森の外へ連れ出してやろう」

 

「本当ですか⁉︎ありがとうございます!」

 

ここで無下に追い返して、何か騒がれるのも面倒だし、ここは大人しく森の外へ連れ出す方が得策、だと思う、うん。しらん、なんか面倒ごとになったら今度は私がパチェに投げる。

 

「だが、二つ程条件がある」

 

「何でしょうか」

 

「一つ目。我に関する一切の情報伝えることを禁ずる。我はこの森で大人しく過ごしたいだけだ。故に面倒事は好かん。我のことを知った金の亡者やブタどもが我目当てに侵略してくる、なんてことも昔あったからな」

 

「わかりました。貴女に助けて頂いたことは絶対に喋りません」

 

「では二つ目だ。貴様のもつこの近辺の情報を我に差し出せ。何を聞くかは我が決める。詮索は許さん」

 

「私の持つ情報程度でいいならいくらでも差し出します」

 

「よかろう。ならば交渉成立だ。では最初の取引だ。水はここにいくらでもある。食料は……持ってこさせる故、少し待て。で、怪我人は?」

 

「重症のメンバーはいません。少し怪我を負っている程度ですが…生憎、ポーションも尽きていて、回復魔法を使える彼も、魔力が尽きてしまっていて」

 

「ふむ……そうか。取引を交わした貴様らが死ぬのも困るな……精霊の癒し(エレメンタル・ヒール)。精霊召喚・下位水精霊。下位炎精霊」

 

全員に第2位階の回復魔法をかけ、続け様に下位精霊を2体呼び出し湖の中にいる魚と森の中の食料を持って来させるよう命じる。

 

「……」

「どうした間抜け面になりおって」

「い、いえ。精霊を召喚する方は初めて見たもので……。先程の魔法…?も初めて聞きました」

 

そう言ってくるのは杖を持った……女?だよねこいつ。マジックキャスターだからこそなのか、私の使った魔法にも興味を示していた。

 

「我は生まれつき精霊と心を通じることができてな。先の魔法も精霊に教えてもらったものだ」

 

「精霊に…?」

 

「ああ、今のところその精霊より強い輩は見たことがない。貴様らの国で言う、王国戦士長も敵ではないだろうな」

 

「それは……!すごいですね!」

 

「我からしたらそれが当たり前だったからな。そら、精霊達が食料を持ってきたぞ」

 

本当に、ほんっとうによほど腹が減っていたのか、水精霊が持ってきた魚や食べれる果実なんかを持ってきて、炎精霊が軽く調理したものを、もう私に目もくれずバクバクと食べ始めた。

てか、果実とかパチェが植えてたやつか。そりゃ食べれるかどうかわからないわな。魔力も尽きていたから、解毒魔法も使えないから一か八かもできない。だから食料が尽きたわけか。不運だね。

 

「……もう少し水浴びするか」

 

もちろん水着着用。2度も同じ過ちはしない。

 

あーー気持ちぃぃ。

 

……スレイン法国へは、もう今日いいかもなぁ……。




『付き合ってください!』

『……は?』

いつも通りの人間種プレイヤーとの狩りが終わったら、急にそんなことを言われた。
付きあう?もう狩りに付き合ってるが?

「俺の恋人になってください!」

「いや断る」

「何でですか!」

「リアルの顔も名前も知らんやつと付き合えるか」

「俺の名前は……」

「バカここで大声で言うな。せめて個人チャットでおくれ」

「てことは受け入れてもらえるんですか!」

「違うわ言葉のあやだ。送られたところで付き合う気はない」

「ではお友達からでも!」

「もうフレンドだろうが」

「とりあえず私の仕事先の連絡先と名前送りますんで、気が向いたら連絡ください!あとアテナさんの名前も教えてください!」

「あーわかったわかった名前程度なら教えてやるからちょっと黙れ」

「わかりました!」






二日後、まさか名前から職場を探し当てて職場に凸してくる奴とは思わなかった。
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