始原の精霊は隠居していたい   作:紀野感無

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「なあ!生まれたって⁉︎」
「あーうるさい。ちょっと黙って。お腹に響く」
「ごめんごめん。感無も大丈夫かい?」
「中級国民ってこととお前が金をそこそこ出してくれたから割と良い方の出産にはなったさ。心配しなくてもすぐに会える」
「それは良かった!で、名前とかどうする?」
「考えてくるって約束だったろうが」
「ごめんごめん、冗談だよ。女の子だったら香恋(かれん)で、男の子だったら(ほむら)あたりかなぁ」
「珍しくまともに考えてきてんじゃん。私は……」

くだらない事で笑い合い、これからのことを思うと、楽しみで仕方がない。

こんな幸せが、些細な幸せがずっと続いてほしいと、心の底から願った瞬間だった。


精霊の狂宴(うたげ)

「で、納得のいく説明をしてもらいますよ」

 

「はいはい。でもこっちも聞きたいことがある覗き魔。私が水浴びしてたあたり見てたろ」

 

「うぐっ……ち、ちがいます!あ、あそこだけです!断じて!一瞬見た程度ですぐに切りました!そのあとに報告貰って見てみたらスレイン法国へ殴り込み行ってるじゃないですか!空いた口が塞がりませんでしたよもう!」

 

「ほーん?見たんだ?で、どうだったよ。人様の裸は」

 

「大変申し訳ございませんでした」

 

「潔くてよろしい。てか裸程度見られたところでなんとも思ってないから安心しろ」

 

今はAOG本拠地にいるが、事の発端は朝に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「腹は満たされたか?」

「はい、それはもう!貴女様には感謝しかありません!」

「では、疾く出立するとしよう。着替えてくるから少しだけ待っておれ」

 

4人の冒険者の見張りを中位精霊に任せ、下半身の甲冑と黒いシャツ、腕輪など全力装備を装着する。念のため世界級アイテムもボックスの中に入れていつでも取り出せる状態にしておく。後は……

 

「姿は……まあいいか、別に」

 

緊急脱出用のアイテムと防護用のアイテム数種類で、魔法や魔法道具で見られたり、追跡されたりをできなくする、くらいかな。

 

魔力検知阻害、その他ステータス検知阻害の指輪、即転移の指輪、あとは総魔力量底上げの指輪、威力上昇の指輪、くらいか。

 

「終わったぞ。準備は済んでおるか」

「はい。いつでも出発できます」

「では少々手荒に行くぞ。舌を噛むなよ」

 

全員を魔法を使い浮かせ、そのまま私自身も飛行(フライ)で飛ぶ。

上へグングン上昇し森の上の、さらに上、雲に届かないギリギリまで飛ぶ。

 

「街が……1つとその先に国がひとつ、真反対に国がもう一つ。んで最後のアレがスレイン法国だから……お前ら、一番近場の街、だったな?」

「え?あ、は、はいっ!そうです!」

「いや待ってほんとに怖え。お姉さん本当に離さないでくださいよ⁉︎」

「すごい…なんて高度な魔法……」

「まさに、生殺与奪を握られてるであるな……」

 

ふーむ、弓持ってる人、それはフリなのか?

 

「……」

「おわっ⁉︎ちょまっ⁉︎」

「ルクルット⁉︎」

「あのっ!お姉さん!本当に死んだと思ったんですが!」

「いや何、許せ。ちょっと面白いかなーって」

「それで死んだらどうするんすか!」

「その時はその時。ほら、我の裸を見ただろ?それとおあいこだ」

「でもねえっ⁉︎」

 

喋らせる前に一気にスピードを出し、一番近場の街へ向かう。

 

 

「ここか」

 

一番近場の街の近くに降り立つ。

不可視化の魔法かけてるからバレてないとは思うけど。

 

「ここで合ってるか?」

「は、は、はい。ここです」

「もう一生分空飛んだ気がする」

「回復魔法かけようか?」

「これからはさらに入念な準備をすべきであるな。反省させられたのである」

 

ぱっと見、そこそこ栄えてそうな街だね。

うん、良いところなんじゃないかな。

 

お世話になるかどうかはわからん。

 

「早く冒険者ギルドに報告に行きましょう。依頼の予定日を過ぎてしまっています」

「そうだな。改めて、本当にありがとうございました!貴女のことは一生忘れません!」

 

「我からしたら忘れてくれて構わないんだが。……だが、そうさな。これも何かの縁だ。少しばかりの我からの恵みだ」

 

アイテムボックスから取り出した指輪を一人ずつ乱雑に投げる。

慌てて受け取り、受け取った後かなり困惑していたが。

 

「あの、これは……とても綺麗ですが」

 

「お主らの冒険者稼業の手助けにはなるだろうよ。簡単に言えば力を底上げしてくれる指輪だ。更におまけで成長しやすくなる」

「マジックアイテムなのですか⁉︎受け取れませんよ!」

「まあ聞け。この指輪はお主ら以外が使ったとてタダの金やプラチナ、ルビーエメラルドで出来た多少高価な指輪にすぎん。が、さっき渡す際に所有者をお主達に設定しておいた。つまりは、もう我が持っていても無意味なものというわけだ」

「ですが……」

「それをどう使おうが勝手だ。保管しておくもよし、捨てるもよし、騙されたと思って使ってみるもよし。そうさな、なんなら売却しても構わん。多少なり金策にはなるだろう」

「ですけれど!私たちはこれに見合うものをお渡しできません!」

 

うーん、リーダーの男がかなり強情だ。

さてはて……

 

「ならば取引、ということにしよう。またなにかしらの依頼で森に来ることがあると思うが、その時にそれまでに起こったお主らの冒険譚を我に聞かせよ。我は他人の物語を聞くのが好きでな。それをその指輪や今日お主らを助けたことへの対価としよう」

 

「……」

 

「この取引を破棄したいのなら、森に来なければ良い。心配せずともそれでお主らを殺すようなことはせん。その指輪も我にとっては大量にあるガラクタの一つに過ぎん。この通り、まだまだ大量にある。利点は他にもあるぞ?その指輪をつけておけば、森で我や我の家族に襲われることは無い」

 

黄金の波紋から数百の指輪をジャラジャラと下に落とすと、全員軽く引いていた。

 

「……わかりました。この指輪、ありがたく頂戴します」

 

「それで良い。ではな、我はこれから用事がある。……ああそうそう。その指輪にかけられている効果は他人には基本見えん。だから他人がお主らをみたときに指輪の見た目で言い寄ってくる人間が多いだろう。だが、ごく稀に指輪の見た目ではなく指輪の効果について言ってくる輩がいたらこう伝えろ。『神話の名前をもじった森の精霊に渡された』とな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アテナ」

「ん、いけるよ」

「私も準備できてるわ」

「じゃあさっさとやるとしましょうかね」

 

目の前に見えるのは、一つの国。スレイン法国。

今からここの人間をの半分を、殺し尽くす。

 

だというのに、情けとか慈悲といった思いは一切出てこない。

 

「それじゃ、手筈通りに、ね」

「ええ」

 

下に降り立ち、門番の前まで歩いて行く。

全員がこちらを見てくるが、ひとまずは無視をする。

 

「中に入りたいんだけど」

「し、失礼ですがどんな御用事で?」

「ただの観光。私の大切な人がここ出身でね。故郷を見てみたいというだけさ。この子は娘。その大切な人とのね。で、通してもらえるかい?」

「申し訳ありません。我が国は、今日は厳戒態勢を敷いており、誰も国に入れるなと命令を……」

「じゃあいいや。勝手に入るから。バイバイ」

 

門番の首を薙ぎ払い、胴体と頭をお別れさせる。

悲鳴が一瞬上がるが、その全ての元を絶つ。

 

「えーと……あったあった」

 

金色の砂が入った砂時計を右手に持ち、準備は終わり。

あとはできるだけ街の中央に、立ち向かってくる人間を悉く殺しながら向かう。

 

だいぶ見渡しが良いところでパチェに改めて伝える。

 

「パチェも好きに動いてもらって構わないよ。私を守るもよし。怒りを出鱈目にぶつけるもよし。私からの命令はひとつだけ。絶対に死なないこと」

「わかったわ」

「よーし、んじゃいくよぉ」

 

私の中で使える、最上位の魔法を唱える。

 

「超位魔法『始原精霊の宴』」

 

本当なら唱え切るまでのタイムラグがあり、狙われる隙になるけどそこはアイテムで解決させる。

即発動させ、周りにはレベル80〜90の上位精霊達が20体と中位以下の精霊がおよそ50体。

 

実は見た目ほどそんなに強く無い。ボス性能でもなければ普通のちょい高難易度ダンジョンにいたレベルのモンスター達だから、なんならレベル100が数人いれば対処できたりする。

 

 

まあ、この世界でこの子達を止められる存在なんてほとんどいないが。

 

 

「アテナの名のものに告げる。精霊達よ、私についてこい。そして目につく人間の半分を殺せ。ここの人間達は、私の敵だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ストップ」

 

私の言葉でパチェと精霊達が一斉に止まる。

多分城っぽいところに向かっていたら、途中で5〜6人程度のレベル自体は高レベルな集団が立ちはだかってきた。

 

「……強いね。特にあのエルフ」

「そうね。でもなんとかなりそうだけれど」

「でも、だからと言って強行突破も難しそうだし、あんまりそうも言ってられない。なんせ、派手に宴をしすぎた」

 

突破はできるだろうけど、時間稼ぎだろうし、だいぶ気は晴れたしで正直長居する必要もない。

 

相手から何かしら色々と言われているが、まあ、うん、なんも聞いとらんからわからない。

 

「ねえねえ、お姉さん。無視してないで私と遊ぼう……よっ!」

 

エルフがじれったくなったのか、大鎌を振りかざしてくるので、後ろに跳んで避ける。

やだよ。君、私より強いじゃん。

 

「っと」

 

いつの間にか後ろから槍を持った奴が殴りかかって来ていた。

ふーむ、こいつとエルフが厄介だねぇ。これを強引に突破してまでこれ以上やる意味もあまりなさそうだし……。

 

「パチェ。撤退しよう」

「させると思いですか?カイレ様。使ってください」

 

カイレと呼ばれた見た目ババアが、何やら高級そうな服を来て出てくる。

なんだっけあれ……見たことあるような。

 

めちゃくちゃヤな感じがすることだけは確かだから、マジで撤退した方が良さそう。

 

「……他の精霊たちは先に森に避難させたのか。うん、上出来」

「当たり前じゃない。アテナの考えてることは大体わかるわよ」

「じゃあ今私に引っ付いてるのもわかった上で?」

「もちろん」

「はは、嬉しいことを言ってくれる」

 

「逃がす訳ないじゃない。やっと敗北を教えてくれそうなモノに出会えたのに」

 

「逃げるさ。君らから逃げるだけなら幾らでも手段はある。悪いけど死にたくないんでね。君らのところにはまた後日、遣いを送る。私と君らとの約束事を改めて決めようじゃ無いか。んじゃパチェ、目眩しは任せた」

「任されたわ」

 

パチェが爆発系の第十位階魔法を範囲拡大で撃ってくれたから、その隙に森へテレポートを試みる。

転移阻害の魔法とかスキルとかされてなければラッキー程度に考えていたけど、阻害はされていないらしくすんなり森に帰ることができた。

 

 

 

けど、予想外だったのはここからだった。

 

 

 

「……」

「アテナ様。アインズ様が至急来てくれ、との事です」

「……」

「あの…どうされました?」

 

帰ったらそこにいたのは森の賢王ふわふわクッションではなくてAOGのNPC。しかも階層守護者だかなんだかで100レベルの奴。確か……。

 

「えーと、マーレ、だっけか」

 

「は、はい!」

 

「アインズに伝えておいてくれ。絶対嫌だ、って」

 

「ええっ⁉︎いや、その……アインズ様には、絶対に連れてきてくれと言われていまして……」

 

「……どう思うパチェ」

「十中八九さっきのスレインでのことでしょ」

「だろうねぇ。水浴びの時一瞬覗き魔がいたのと、スレインにいる間ずっと見てたやつがいたのはわかってたけど、それ冒険者とスレインの人間じゃなかったのかね……。カマかけてみるか。

 

いいよマーレ。アインズの言う通りにしてやる。けどこう伝えておいて。パチェも連れて行く。3人の他に誰も部屋にいれるな。話すことは他言無用。それと私からも聞きたいことがある。この条件を飲むなら行ってやるってね。できるなる今すぐアインズに聞いてくれ」

 

「は、はいっ!わかりました!少々お待ちください!」

 

 

 

 

で、その後は受理されて最初の場面に戻る、と言うわけ。

 

 

 

 

「人様の裸を見て、私生活を覗いた挙句、それが気に入らないから呼び出すって、何アンタ、私のストーカー?」

「いや違うんです。元々アテナさんに用事があったんですけど急に行ったら悪いと思ってたんです。でもどうすればいいのか迷ってしまって」

「で、覗いた、と」

「うぐっ…」

「普通に使い魔でもなんでも送ればいいものを。馬鹿なのかお前?」

「しょうがないじゃないですか!女性経験皆無なんですから!」

「いやそう言う問題か?お前一応リアルでは営業マンだったんだろ?」

「うぅ…」

「どういった用件なのか知らんが、普通に来い。伝言でもなんでも良いからアポ取ってからな。……で、本題にさっと入ろうか覗き魔さん」

「いつまでいじる気で?」

「気の済むまで」

「俺が悪いから何も言い返せないのが悔しい……。オホン、じゃあ改めて本題に。なぜあんなことを?」

 

「あんなこと、とは?」

 

「とぼけないでください。スレイン法国の事です。貴女途中から阻害魔法使ってたから見れませんでしたが」

 

「ああ、そんな事か。お前が助けた村はパチェ(このこ)が懇意にしてた村だった。だから報復ついでに改めて不可侵条約を結ぼうじゃないか、と話し合いに行っただけだ」

 

「あれが話し合いと」

 

「まだ全国民を皆殺しにしてないだけマシだと思って欲しいな。あれでもかなり抑えた方だ。本当ならスレイン法国の全国民を皆殺しにしてもまだ過去の怒りは収まらないんだから」

 

「……っ!そうでした、申し訳ない。失言でした」

 

 

アテナの表情を見たアインズが深く頭を下げる。

目から出ていた一雫の液体を見て、パチュリーに言われたことを思い出したから。

 

 

「ああ、アイツのこと話したんだっけパチェ」

「悪いとは思ってるわ」

「構わないよ。それなら話が早いから。

 

……こんなことをしたところでアイツが喜ぶわけでも、生き返るわけでもないのはわかってる。でもどうしようもないんだよ。この憎悪を忘れてしまったら、もうそれは私ですらない。彼を好きな私ではない。

 

答えになった?そろそろ帰らせてもらうよ。行こうパチェ」

「はいはい」

 

「…………。あのっ!」

 

帰ろうと立ち上がると、アインズが引き止めてくる。何さ。もう話すことないんだけど。

 

「アテナさん、改めてご提案です。俺たちと共に行動しませんか?もちろん基本いる場所は森で構いません。それに守護者たちはアテナさんと会えないのを悲しんでいます。

貴女がどう思っていようとも、俺たちからしたら貴女は仲間で、守るべき存在なんです。ですから……」

 

「前も言ったろ。私はそっちに行く気はない。

 

なぁ、私からこれ以上奪おうとしないでくれないか?私は、もう何も奪われたくないんだよ」

 

アテナの言葉で、アインズの表情が固まる。

何を言われたのかよくわかっていない。わかりたくない。そんな雰囲気だった。

 

 

「そうやって、私以外の他人は、私から全てを奪おうとする。幸せも、家族の時間も、子も、私が抱いた僅かな願望も、何もかもを。

 

 

ある時期、私とアイツが同時期にゲームに来なかった時期、あったろ。アイツがよく催促のメールをAOGだとかいろんなフレから来てたって聞いたからあの時はよく覚えてる。

 

その時に私はアイツと子を成してた。

 

でもソレはあの世界のせいで奪われた。

 

私は、子を産みはしたが終ぞアイツに見せることは叶わなかった。

 

アイツはそれでも慰めてくれた。一番辛いのは私だろう、とね。

 

しばらく精神状態が不安定になって、普通の生活すらまともにできなかったさ。

 

次はそれを良い機会だと思ったのか、普段から快く思ってないクソ野郎に居場所を奪われた。

 

彼はそんな私を養ってくれた。

 

でも、次は彼が死んだ。

せっかく、私が精神的にも立ち直れた矢先に、癌で死刑宣告を、されていた。

 

でも彼はずっと気丈に振る舞って、なんとか、少しでも私との繋がりを残したいってことで、もう一度子を作ろうと思った。

 

でも私の体は元からボロボロだったのか2度と子を望めなかった。

それでも彼は諦めずに、ゲームで子を作ろうと、話になった。そうしてできたのが、パチェ(このこ)だ。

 

そのすぐ後に、リアルで彼を看取った。何も、何できなかった。医者は私達が上級国民とやらじゃないからと、碌な治療をしなかった。

 

次に発覚したのが私の心臓病だ。

手遅れの、ね。

 

ゲームの中でパチェと最期の時を過ごせたのに、何の因果かこの世界は、神は、私に2度目の人生を歩ませた。

 

吐き気しか覚えなかった。

 

なんで死なせてくれなかった。私はもう、嫌だったのに。生きるのが。

 

 

そう思ってた。

 

 

そんな矢先に出会ったのが、アイツの生まれ変わりだったんだよ。

 

生きるのが嫌だった私に、生きる意味を与えてくれた。

 

アイツの為なら私はなんでもした。教えれる限りのことを教えて、教えてもらって。アイツはリアルで死んだんじゃなくてこっちに転移したと知って、その子孫がこの世界で生き長らえてたとしって、心の底から嬉しかった。

 

 

それを踏みにじったのが、スレイン法国。

私を狩るために、アイツの子孫を、餌に使ったんだと。

私の目の前で滅多刺しにして、最後の言葉を言いかけてくれたけど、それを聞くことすら叶わず首を刎ねてくれたよ。

 

 

その時に悟った。

 

 

この世界は、私の敵だ、と。

 

元ギルメンでも、関係ない。

 

私に仇なす者は、何人(なんびと)であろうと、地の果てまで追い詰めて、殺してやる。

 

そう決めたんだよ。

 

なあ、アインズ・ウール・ゴウン。ここまで言えばわかるだろ?」

 

アインズはじっとアテナを見つめるも、口は開こうとしない。

開けないのか、信じたくないのか、わからなかったが、それでもアテナは続けていう。

 

 

「これ以上、私から何かを奪おうとしてみろ。その時はお前が大層大事にしているNPCを一人ずつ殺してやるよ」




「……疲れた」
「お疲れ様。紅茶飲む?」
「飲む」

パチェが紅茶を淹れてくれるのを待ちながら、指輪装備のほとんどを外しアイテムボックスの中にシュートする。ついでに鎧も外してシュート。ほぼ下着状態になったから鎧の代わりに巫女服を着る。
ただ一言言えるのは金髪×巫女服は合わん。異論は認めるが。というかアイツは『全然いける』と言ってたっけ。

「……大口叩きすぎなぁ。100レベNPCにはそもそも勝てねえってのに」
「後先考えて喋らないからよ」
「感情が爆発してたんだから許して。最悪、森の賢王達と一緒にどこかに 遠くに行こうよ。今はいいけど、AOGが近くにいるんじゃいつ平穏が崩されるかわかったものじゃない」
「いいわね。東の島国とか、いいんじゃない?」
「そうだねぇ。でもひとまずは、出来る限りの防衛策、張り巡らせましょうか。それから冒険者稼業する準備するよ」
「はいはい。気をつけなさいよ。はい紅茶。水精霊達が栽培してくれた高級なやつ」
「ありがと。パチェ。…………ねぇ」
「何よ」
「パチェは絶対に、私の元から消えないでよ?私を1人にしないでよ?」
「当たり前じゃない。私はいつまでも貴女と一緒よ」
「あ、でも結婚する時は遠慮なく言ってよ。応援してるから」
「ぶっ飛ばすわよ?」
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