種族レベルダウン、それに伴うステータスの低下。
『
世界級アイテムの盾は未だ健在。
で、その他職業の熟練度もといレベルもダウン。
今の私はレベルが80と。
いくつか使えてたはずの
参った参った。
何がやばいって、根元の精霊種とトントンどころかなんなら低い。
レベル上げ正直めんどくさいんだよなぁ。
仲間はと言うと、パチェが生み出していた下位、中位、上位の精霊がそこそこ。6:3:1の割合で、総合計50体近く。よーやったねほんと。
日の使用回数に制限があるアイテムを惜しみなく、使ってた結果。
いやぁ良くやったよ。集めるだけ集めてた神器級アイテムの中から良くぞ使えるものを探し出した。
にしてもレベルダウンかぁ……
『流れ星の指輪』でどうにかなるかな?
パチェに聞いてから試してみるか。
最悪モモンガに頼めばなんとかしてくれる気はする。
パンドラを引き合いに出したら嫌でもやるだろアイツ。
「それじゃあ、私は森へ帰るわ。その捕虜たちは好きになさい。どうせ殺すでしょうけど」
「良いのか?」
「良いのよ。私としては『不可侵の相手が約束を破った』よりも『得体の知れない者により壊滅』の方がありがたいから」
「そうか、なら貸し1つ、だな」
そこまで言うと、パチュリーは「しまった」と言いながら俺の方を睨んでくる。
……冗談だったんだけど。
そいや、アテナさんにもあまり冗談は通じなかったな。
「冗談さ。私が仲間を助けるのに理由はないさ。ではナザリックへ帰るとしようアルベド」
「はっ」
「パチュリー殿も気が向いたら寄ってくれ。私たちが集めた貴重な本もある。悪いようにはしないさ」
「うぐ……」
どうやらパチュリーにとっては素晴らしい提案なようで、めちゃくちゃ頭を抱えていた。
……ほんとそっくりだな。
「はは。いつかのアテナさんと同じ反応をしているぞ?親子揃って本の虫なんだな」
「どう言う意味よ!」
「そのままの意味さ。では、さらばだ」
指輪を使いナザリックへ転移する。
「……ふぅ」
シモベ達を玉座の間に集め、そこで起こった出来事、俺がモモンガではなくアインズ・ウール・ゴウンと名乗ることを伝えた後に、矢継ぎ早に自分の部屋へ戻り、ベッドへダイブする。
……あ゛あ゛あ゛つかれたぁぁぁぁ。
いや演技つらっ。
なんだよ死の支配者らしいって。ただのトーシロの演技だっつーの。
本来の俺はただの営業サラリーマンだっつーの。
「でもそんなこと言ってられないし……。マジでアテナさんをこの為だけに解放しに行こうかな」
あの人も曲がりなりにもRP勢だ。あの人もいれば俺の仕事ら心労も減る!
多分!きっと!メイビー!
そう思わなきゃやってられるかこんなの!
「とか言ってんだろーなあのガイコツ。1発、からかってみますか」
「そうと決まれば早速デミウルゴスたちに相談を……」
俺の中で改めてアテナさん救出作戦を決心し、動こうとした時。
誰かから
それに思わず眉を(ないけど)潜めてしまうが、すぐに引っ込めて応答する。
「何の用だ?」
『モモンガ様。至急お伝えすべきことがあるのですが……』
「言ってみろ」
『はっ。実は……侵入者なのです』
「…………は?」
侵入者、その一言で固まっていたはずの俺の思考が、別の意味で固まる。
しかしそれも、アンデット特有の精神抑制ですぐに冷静になり、問いかける。
「どの程度入られた?」
『まだ地表です。現在はプレアデスが抑えています。ですが、高位のモンスターを使役しており、突破されるのも時間の問題のようです。至急、階層守護者様達などの増援が欲しい、と』
「わかった。一番近い守護者は……コキュートスだな。コキュートスへ協力を仰げ。私もすぐに向かう。それまで耐えろ」
『承知しました』
メッセージが切れ、俺は今まで以上の激しい怒りに囚われた。
「どこの誰かは知らんが……覚悟しろよ」
「……これでよかったのでしょうか?」
「ああ、ゴメンね。騙す真似をして。そうだね、コキュートスかぁ……今の私の力がどこまで通用するか、試してみますか」
「……本当に呼ぶのですか?」
「ああ。なんて言ったっけ、プレアデス?の他のメンバーもみんなも呼びなよ。ちゃんと報告を忠実に再現しなきゃ、ね」
「……承知しました」
「心配しなくても君らは死なないさ。多分。死ぬ可能性があるのは私だけだし」
「それを心配しているのです……」
「はっはっは。勝つのは無理だけど死なないだけならどうにかなるさ。それに……そろそろ、異変に気づいた我が子も駆けつけるだろうから。私の近くにいた子には、口止めもしていないしね」
「アルベド」
「はっ」
「至急階層守護者を全員集めろ。場所はナザリックの地表。侵入者だ。お前達の力が必要になるかも知れない全員完全武装で、だ。お前もだアルベド」
「承知しました」
考えうる限りの策を張り巡らせ、指輪を使い地表近くへ転移する。
そこでは、すでに激しい戦闘音が聞こえてきた。
……コキュートスと互角に戦える相手ということか。
気を引き締めなければ。
情報を吐かせるだけ吐かせて、死なんぞ生温い地獄を味合わせてやる。
「アインズ様!」
「ユリか。戦況は?」
「現在コキュートス様が応戦しておられます。私たちでは……手も足も出ませんでした」
「プレアデス全員でか?」
「はい。セバス様はおられませんが……」
「……ちょっとまて、その割には全員無傷だが」
「手加減……だそうです。それに『君らに傷つけたらモモンガの本気見られるかもだけど、そんな自殺行為はゴメンだ』とも言っていました」
「……」
どういう事だ?俺の知り合いか?まさか……俺やアテナさん以外に、プレイヤーが?
「アインズ様。コキュートス、ヴィクティム、ガルガンチュアを除く全階層守護者、揃いました」
「ああ。では行くぞ」
「「「「「はっ!」」」」」
「ねえ、コキュートス」
「ドウサレマシタ?」
「私の見間違いかな?モモンガの後ろに殺気ビンビンな方々が見えるんですけど」
「見間違イデハゴザイマセン」
「……ワーォ死刑宣告ゥ。とにかく、打ち合わせ通りにね」
「ハッ」
「コキュートス!」
「!アインズ様!申シ訳アリマセン。対処シ切レテオリマセン。デスガ、ワタシ一人デモ充分デゴザイマス。オサガリクダサイ」
「気にするな。全員で仕留めるぞ。相手が弱いからと思ってるかも知れんが、油断大敵だぞ?それに、ナザリックの命運をお前一人に背負わせる訳にはいかないからな。お前にもしものことがあっては困る」
「アリガトウゴザイマス」
コキュートスは切り結んでいた侵入者を大きく弾き飛ばし、俺と同じところまで下がってきた。
改めて侵入者の姿を見る。茶色いローブを着ており、顔はフードのせいで見えない。
ついでに掛けておいた
なんだ、これ。適当に組んだレベル100より弱い気がするんだが
「何、私のステータスの低さにでも驚いてる?偽造魔法とかあるの忘れたのかい?それとも耄碌した?」
「ふん。そうでかい口を叩いていられるのも今のうちだ。……アウラ、ステータスなどは見れるか?」
「はい。レベルは80。ステータス……も、普通……で………え?」
「シィーーー。乙女の中身を見るなんて、セクハラですよぉ。まあ見られたところで余り関係ないけどね」
次第にアウラの声が小さくなっていき、それを不思議に思いながらも、改めて侵入者から目を離さずに観察を続ける。
ゲーム時代にしていた、『情報を集めて再戦し勝つ』なんて戦法は出来ないのだから。
とにかく最悪の事態を予測し、対策を重ね続けるべきだ。
「どうした?こないのか?」
「いやぁねぇ、君だけならいくらでも行ったけど……この人数差じゃねぇ、そう易々と突っ込めないわ」
「ならばこちらから行こう。
小手調べのつもりで放った第十位階の魔法。……のつもりだった。
魔法は、普通に、何事もなく
「ちょぉっ⁉︎あんたマジかよ⁉︎ガチすぎん⁉︎そこは小手調で第七位階あたりから使うでしょーが!殺す気か!」
「当たり前だ。殺しても蘇生すればお前から情報は引き出せるからな。守護者達よ、行け。ナザリックの力を思い知らせてやれ」
「「「「「「はっ!」」」」」」
「……調子乗りすぎたかぁ。しょーがない。自業自得かぁ。さーて……いっちょやりますか」
デミウルゴスが転移阻止の為に『
アルベドは私の近くでスキルを使用し守りを固めてくれ、そこで俺とマーレが魔法の準備を……
「……アイツ、中々やるな。全員を相手取って耐えるとは」
侵入者は盾を構え、更に魔法なのかスキルなのかはわからないが、レベル70程度のモンスターを召喚し、壁にしていた。
盾は、かなりの高性能のようで、コキュートスやシャルティア達の攻撃を難なく受けていた。
「キッツ……
「させませんよ?悪魔の諸相・触腕の翼」
「
「風斬!」
3人が同時に攻撃を仕掛け、粉塵が舞うのを確認し、発動し掛けた魔法を一度止める。このままでは巻き込みかねない。
そして改めて遅延発動型にし詠唱し直す。
注意深く見ているとどうやら、3人同時の攻撃でも落とし切れなかったようで、粉塵の中には侵入者がまだ立っていた。
フードはどうやら破壊されたようで、ようやく姿が見える。
足から順に見え始め、その姿を絶対に許しはしないと、目に焼き付ける
つもりだった。とても見覚えのある姿で、思考が停止した。
金色の長髪。紅い目。下は黄金の鎧。上は黒いシャツのようなもので、右腕のみ黄金の鎧がつけてある。
「無理。降参。流石に勝てんわ」
「……………」
そこには、右腕だけを上にあげているアテナさんがいた。
「何やってんですかぁぁぁぁ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎あなっ、あなたねぇ!アルベド!至急治癒のできるものを呼べ!」
「は、はいっ!」
「慌てすぎでしょ。たかだかこの程度。いや確かにHP残り2割しかないけど」
「慌てるに決まってるでしょうがぁ!」
「いやぁ、いきなり第十位階の魔法で腕を切断された時はビビったよ」
「それは大変申し訳ございません!ですが貴女が100パー悪い!」
「確かに。あ、コキュートス、アウラ。手抜きありがとねぇ。アウラに関してはアドリブでしょ?流石ピンクスライムの娘」
「は?」
「実は、最初にモモンガに侵入者って伝えたアンデット、プレアデスのユリ、コキュートスには予め私の正体明かして、その上でこの盛大なドッキリに参加してもらってる。あ、怒っちゃダメよ。悪いの私なんだから」
「それを除いても、悪ふざけにも程があるだろうがぁぁぁぁ!!!!馬鹿なんですか貴女は⁉︎いや断言できるぜっっっっったい馬鹿!アホ!マヌケ!」
「誰が馬鹿だ。てか言いすぎだろ」
「貴女ですよ馬鹿!言い過ぎじゃねえよこれが妥当だよ馬鹿!」
「……流石に心にくるわぁー」
「どーでもいいわとりあえずこれ飲め!」
「お、サンキュー」
馬鹿に向かって本気で赤いポーションの小瓶を投げつける。それをいとも容易く掴み、グビグビと躊躇いなく飲んでいた。
「おー、消し飛んだ腕も生えるのな。これはまた新しい発見だ。それとえーと……なんてったっけ、ワーウルフ?じゃねえ、えーと……β、だっけ」
「ルプスレギナ・ベータですアテナ様!お会い出来て光栄です!」
「お、おう。君も治癒ありがと。さて……実はモモンガ。もう一つ多分、サプライズゲストも登場する」
「は?これ以上何をするつもりですか馬鹿」
「
「……本気で死霊系魔法片っ端からかけてあげましょうか?」
「断る。流石に死ぬ自信がある」
にしても、アテナさんってこんなに活発だったか?ギルド加入の時と人間との戦争の時にしか会ったことないが、こんな雰囲気じゃなかったと思うんだけど。
少なくともこんな悪ふざけする人では絶対なかった。
「お、噂をすればなんとやら」
「……守護者達よ、お前達は通常の業務へ戻れ。ここからは私一人で対処する。こちらが片付いたらまた連絡をアルベドへするので待っていてくれ。尚、アテナさんを傷つけたことに関しては、全てアテナさんが悪いので気にするな。特にデミウルゴスとシャルティア」
「そーそー。むしろ君らとは初対面なはずだから分かれって方が無理がある。だから気にしちゃダメだよ。寧ろここまで気づかなかった
「わかりました」「畏まりました」
「……とにかく、今は私たちだけにしてくれ。また連絡を飛ばす」
『『『『はっ!!』』』』
他の皆を仕事に戻し、アテナさんと二人きりになる。
その瞬間に頭を再度、杖でぶん殴っておいた。
「いったいなぁ!」
「自業自得です。さあ、色々と話してもらいましょうか?」
「その前に……多分もう一個盛大に怒られるイベントが待ってる」
「当たり前だ」
少し前から感じていた魔力は、すぐ近くの上空まで。
そこから急降下して降りてきた。
てかなんならアテナさんへ激突した。
その衝撃で吹っ飛ばされたかと思いきや、金の煌びやかな髪を乱雑に誰かに掴まれていた。
「さあ、帰るわよアテナ。色々と聞きたいことはあるけれど、まずは一発ぶん殴らせてもらったわ」
「殴るの意味をちゃんと辞書で調べてきてくれない?」
それはアテナさんの作ったNPCのパチュリー・ノーレッジだった。
うん、てか当たり前だ。パチュリーの創り出した精霊に何も口止めしてないんだから、行動は筒抜けだよ。
てかこうなるの絶対わかってただろ。
「パチェ、ひとまずステイ」
「ああ、貴女の心臓を無理やりステイさせましょうか?」
「物騒すぎない?私としても情報欲しいからひとまずここに顔出し兼ドッキリ仕掛けただけなのに何この仕打ち」
「貴女ねえ!100年も閉じこもってた癖にいきなり出てきて何にも言わずにこんなところに来てたのを知った私の気持ちわかってんの⁉︎」
そうだもっと言ってやれ。
「わかった上でやった」
「……」
「パチュリー殿。遠慮はいらない。このバカをふっ飛ばしてくれ」
「ええ、そうするわ。
「ごめんなさいもうしません許してください」
マジで魔法を打ち込まれる寸前で、アテナさんは綺麗な土下座を繰り出したことで、ひとまずは、放たれることはなかった。
「おっかしいなぁ、予定としては私が起きたことでみんな少なからず祝福するものだと思ってたんだけど」
「とにかく、貴女の知ってることを洗いざらい吐いてもらいますよアテナさん」
「それはこっちのセリフ。なんでモモンガが転移したのかとか、他のギルメンについても聞きたい。てか聞きたいことは私も山ほどある。……パチェも、念のためついてて。私今、レベル80しかないから」
「「……は?」」
アテナさんの言葉に、俺とパチュリーが全く同じ反応をした。
え?は?アテナさんレベル100プレイヤーじゃなかったっけ?
「だから、レベル80しかないの。だからそばに居て。それについても詳しく話すから」
「はぁ……わかったわよ」
「よし。んじゃ落ち着ける場所は?」
「本来アテナさんにあてがう予定だった個室があります。そこでどうですか?」
「OK」
【日記 30日目】
転移してからどれほど経ったのか、もう覚えていない。
この日記の日にちは、ユウと出会ってからの日にちなのだから。
それまで、何日、何ヶ月立っているのか、数えてすらいなかった。
そして、わかったことがある。
ボクは、ボクの精神は、徐々に蝕まれつつある、という事だ。
パチェとユウ以外の全てに、興味を持てなくなった。
周りから魔力を貰えはするけれど、何の感情も湧かない。
今まで唯一楽しめていた読書にすら、何も感じなくなった。
おそらく、コイツが取っていた【始原の精霊】という種族の精神が、ボクの精神を蝕んでいるのだろう。
怖い、いつかユウにすら興味がなくなり、ボク自身の手で、ユウを傷つけてしまうのかと考えると、途端にボク自身が怖くなった。
この命ある限り、ユウとその家族は守るが、ボクという精神・意識が消えた時、何をしでかすのかわからない。
頼む、その時は誰かボクを、止めてくれ