刀が届いたが、俺みたいなガキに振らせるのかとか言ってきたからじゃあいらねと返しておいた。実際今使っているのでもあまり困っていないし、俺の呼吸の事は大体わかってるしな。
だが、自分から俺みたいなガキに使わせるのは嫌だと言っていたくせに俺がいらないと言うとキレだすのはどういうことだ? 使わせたくないんじゃなかったのか? と聞き返したくなる。まあこういった輩は何言っても通じないと思ったので襲い掛かってきた所を手刀で返り討ちにしておいた。あー、めんどくさ。
刀は渡したがっていなかったのでとりあえず隊服だけもらってさっさとこの場を後にした。そしたらさっそく任務が鎹烏から伝えられてきたのでそこに向かって鬼を斬った。移動速度に烏がついてこれてないのが明らかだったし、全速力で飛んできて鬼を殺していたのを確認して次の任務を俺に出す時にかなり息切れしていたのが目についたので、移動の時には懐に入ってもらうことにした。その結果移動速度は稼げたし任務遂行が確認されるまでも早くなったのでいいとする。
続けて四件ほどを解決すると、鎹烏が覚えていた任務が無くなったそうなので俺は一旦休みになる。鎹烏はほんの半日程度で四件の任務を終わらせた俺にドン引きしているような気配を醸し出していたが知らん。俺はできることをやっているだけだからな。
「……そうか。そんな子が」
鬼殺隊の93代の当主、産屋敷
事前に今年の最終選別に自身の息子よりも幼い子供が参加しているという報告を受けていた。その子供は二歳にして鬼によって家族を失い、育手の元に預けられた。しかしその育手も鬼に殺されたが再びその子供は生き延びて最終選別に来ているのだと。
この時点ではわずか四歳の幼子が最終選別を通過するなど考えてもいなかったが、当の本人は何事もなかったかのように最終選別を突破した。
そして今、自分のために作られたわけでもない刀を使い、ほんの半日で四体もの鬼を狩って見せたと言う。うち一体は鎹烏を振り切った先で既に討伐されていたため直接の確認はしていないそうだが、残りの三体は懐に入れられたまま移動し、昼間のうちに斬り捨てていたという。
晃羅哉の直感は、その子供がそれだけの存在ではないと訴えかけていた。ここまでの事をしておいて、それでもなお『その程度』の存在ではないと告げる自身の勘に一瞬疑いを抱き、しかし晃羅哉はいつもの通りにその直感を信じて受け入れた。
その少年は、間違いなくそれ以上の何かを隠している。いや、隠していると言うよりは必要ないから使っていないだけだと自身の直感が教えてくれる。そして同時に自身の直感がつい先ほど知った彼に関しての事には繰り返し繰り返し五月蠅いくらいに語り掛けてくる。
『決して逃がすな』
『決して手放すな』
『しかし決して、決して敵対するな』
繰り返し、繰り返し、同じような言葉が頭をよぎる。
決して逃がしてはならない。決して手放すようなことがあってはならない。そして決して、決して敵に回すようなことがあってはならない。
敵にしないために何ができるのかを思えば、自身の直感、あるいは先見の明は明らかにそれに即座に、何を置いてでもそれだけは伝えなければならないと言うかのような怒涛の勢いで感覚を流し込んでくる。
『眠りを妨げてはならない』
『決して眠りを妨げてはならない』
『決して、決して、眠りを妨げてはならない』
『何があろうとどんなことがあろうと例えそれで自身が死ぬことになろうと鬼殺隊が解体されることになろうと鬼舞辻無惨を取り逃がすことになろうとも、その者の眠りを妨げることをしてはならない』
『眠れる狂イ神を起こしてはならない』
自身の直感からくるその忠告は、晃羅哉の脳裏に深く刻みつけられた。もしもこれから子供が生まれたのなら、その子供にも受け継がれかねないほどに深く、鮮明に。
だからこそ晃羅哉は鎹烏に言付けた。任務をいくらか果たしたら、その子が起きているのを見計らってこの場に連れてきて欲しいこと。そして、その子供が眠っている時に無理矢理起こすことはしてはならないと。
鎹烏はその理由はわからないようだったが、それでも自身の主である産屋敷家の当主、産屋敷晃羅哉の言葉に従うことを決めた。そして自身の同僚から鬼の情報を仕入れ、自分が付くことになった新しい鬼狩りのいる場所から近い物を頭の中で並べながら飛んでいく。任務をこなしながら少しずつ産屋敷家に近付くように仕事の順番を並べ替えながら。
「……そう言えば、その子の名前を聞いていなかったな。次に来た時には聞いておかないと」
ちなみにみなさんご存じ産屋敷耀哉は97代目の当主ですね。
次回作
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魔王城でおやすみ
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鋼の錬金術師
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なんか適当に止まってるの
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なんか適当にハマってるの