鎹烏は俺の知らないことをいろいろと教えてくれた。それはたとえば自分の鬼殺隊における階級の示し方だったり、隊服を破ったりした場合の修繕をどこに頼めばいいかということだったり、鬼殺隊の頭である御館様が俺に興味を持っているということだったり、何故か眠っている時に邪魔をしてはいけないと繰り返し忠告されていることだったり、今ある任務を終わらせたら一度御館様の所に顔を出すようにと頼まれている事とか……最後のは情報ではないな。かと言って命令ではなく、単純なお願いになるらしい。
一隊士に命令ではなくお願いをしてくるって言うのが少し理解できないが、まあそういう人なんだろうと勝手に思っておく。ちなみにあくまでお願いらしいので、気分が乗ったら来てくれればいいとか。しかもこれを聞いた後だったら本当にいつでもいいと言われているようで、本当にどこまで気にかけられているのか不思議に思う。
あと学んだことは、鬼は藤の花を嫌うということ。だからあんな小さい山一つにあれだけの数の鬼がいて山の外に逃げるようなこともしなかったわけだな。
それとは逆に稀血と言うものがあり、稀血は鬼を呼び寄せると同時にそれを食った鬼を強化するとか。それも人を何十人、下手をすれば何百人も食った時と同じくらいの強化をその一人を食うだけですることもあるらしいので、そういう奴を見つけたら藤の香のお守りを渡して鬼殺隊に助けを求めるようにするらしい。
それから強い鬼として十二鬼月と言う鬼達がいて、それぞれが上弦の壱から陸、下弦の壱から陸と言う順に強いらしい。見分け方は結構簡単で、瞳に文字が書かれていてそれでわかるらしい。
下弦ならば片目に『下』と言う文字と位を表す漢数字が。上弦ならば片目に『上弦』、もう片方の目に位を表す漢数字が刻まれているとか。
……ん? 目に文字が刻まれていて、上弦と漢数字?
俺、そんな奴一体狩ったな? 師匠を殺した奴の目にそんなのがあったわ。確か上弦の肆だったか? いや、本体の方は見てないから何とも言えないが、切り刻むたびに増えていった方にはどいつもこいつもそんなんが刻まれていたような気がする。まあ結局本体らしいやつを殺したら全部消えたが。
考えていると何かあったかと聞かれたので、確か師匠を殺した鬼が上弦の肆とか刻まれてたと返したら本気で驚かれた。その上弦の肆はどうしたと聞かれたが、殺したと返したが半信半疑のようだった。まあ普通に考えれば最低でもここ百年以上入れ替わりが起きていない上弦の鬼とやらを鬼殺隊は入りたての俺がぶち殺しておいたとか言っても信用はできんよな。当たり前だわ。普通信じん。俺だって信じん。
そんな感じで話をしながら近場の鬼を斬って回る。俺の手の甲にある階級を示す彫り物は斬った鬼の数やその強さによって自動で階級が上がっていくようだが、理屈がよくわからない。素振りでは上がらず時間でも上がらず、鬼を斬ったものの逃がしては上がらず、しかし鬼の首を斬り落とした数が一定数になると上がる。本当に何がどうなってこういうものになっているのかがわからない。これも鬼の使う血鬼術の一つと言われた方がまだわかる。違うんだろうが。
ちなみに俺が鬼殺隊に入る前に殺した鬼は昇進の材料にはならないそうだ。まあ当然っちゃ当然だな。
鎹烏が持ってきた任務は十六件。鬼殺隊の基本規則は『鬼狩りは早い者勝ち』らしいのでとにかくさっさと斬っていく。走り回って気配を感じたらそっちに行って斬る。そして新しい鬼の位置を探って感知できる距離に気配が無ければまた鬼の情報を任務と言う形で得てその方向に向かい、途中で鬼の気配を感じたら斬りに行く。
そんな感じの流れでおよそ三日で十六件の任務と道中に遭遇した五体の鬼を狩った。鎹烏曰く、俺が寝ている間にもう一体来たそうだが寝ながら片づけたらしい。まあ全集中の常中ができるんだから寝ながら戦えてもおかしくは……いやおかしいな? 呼吸するのと戦うのは寝ながらやるとなると難易度の上がり方が尋常じゃないな? しかも俺自身に自覚が無いままそれやるとかどうなってんだろうな?
と言っても寝ている間に襲われて死ぬことはまずないってだけで十分か。鬼の事を知ってたら普通は夜には休めないよな。なんでか俺は気を張ろうとしても張れないと言うか、張らなくていいと思ってしまうせいか休めるけれども。
まあ仕事だし、仕事で金貰ってるし、やることはやる感じでよかろ。それにあまり苦労らしい苦労はしてないし、まともな方法だと対処が難しいものに対しての対処方法を得られただけでも結構な収穫だ。仕事が入ると夜に動くことが多くなるのが玉に瑕、って所かね。あー眠い。
次回作
-
魔王城でおやすみ
-
鋼の錬金術師
-
なんか適当に止まってるの
-
なんか適当にハマってるの