柱が自分の刀を使ってないのはちょっと問題だからと御館に言われ、やってきました鍛冶師の隠れ里。あからさまなキチガイと常人に見えるキチガイが暮らしているキチガイの里だと言う話も聞いていたが、なるほどと思った。
こいつら基本的に自分の作った物に対しての愛情が凄まじい。刀を作る奴は刀へと向ける愛情が異常だし、人形を扱う奴は人形への愛情が異様だ。用途からして使い捨てであろう物ですら一つ一つ丹精を込めて作り上げるし、長く使われることが想定されるものであればその熱の入れようは間違いなくキ〇ガイだ。生まれた瞬間に付喪神が憑いていてそれが見えるのかってくらいに大事にするし、大事にさせる。はっきり言って頭がおかしい。
まあそれは良い。問題はこの里には俺に刀を渡すのを嫌がって俺に「じゃあいいや」で切り捨てられた奴がいるということで、俺はそいつが自作の包丁を持って襲い掛かってこようとして止められているのを眺めていた。拳が届く範囲に来たなら持ってる包丁を殴り折ってやるつもりだが。
「放せっ!あいつは俺の刀をっ!刀をォォォォォッ!!」
「いや、お前さんが渡したくないって言うから『よくもまあそんな自分の作った物を他人に渡すことに躊躇いを覚えるくらいのものしか持ってこれない程度の腕しかないくせに鍛冶師とか名乗った挙句に火の神でもあり転じて鍛冶を司る神格を表すひょっとこのお面を被っていられるな? あんたが自分の作る刀を他人に渡すには自分の実力も作った刀も大したことが無いって言うなら別にいいよ今の刀でも困ってないし』と返しただけだろ」
「キッサマァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」(クッソ汚い高音)
「めっちゃ煽るじゃん少し笑う」
「で、あんた名前なんだっけ? ハバネロかだっけ?」
「ハガネヅカァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」(超絶汚い高音)
「星柱様!これ以上鋼鐵塚殿を煽らないでいただきたい!」
「いや、これは単純に俺が他人の名前を一切覚えられないからこうならざるを得ないってだけなんだわ。お陰で自分の名前も覚えられてないし、御館の苗字も名前も覚えてない。当然今聞いたばかりのカラマネロの名前も変な感じにしか覚えていない」
「じゃあいいや」
「うわぁ急に落ち着いた!?」
まあこれで話がまともに進む。とりあえず刀についてはひたすらに頑丈さに特化してもらうことにした。多少の切れ味の悪さは俺の方で多分なんとかなるし、そもそも波紋を流しながら切っているのなら切れ味はそこまで大事じゃない。
だが、切れ味を犠牲にしてまで頑丈さを求めると言うのに理由を知りたくなったらしいので、そこらに有った模造刀を腕だけで振ったその衝撃で根元からへし折って見せると納得された。要するに、俺の全力についてこれてないからもっと頑丈にしてほしいと言う訳だな。今のも全力じゃないし、なんなら刀とか関係なしに多分俺の全力に耐えられる物って現状この世界に存在しないと思うが。
で、ついでに俺もとにかく頑丈な刀を作っておいたので最低限これくらいの頑丈さは欲しいなと一振り自作の……作った覚えは無いのに枕元においてあってなんでか『これは俺が作った』と確信させてきた不思議な刀を渡しておいた。名前は付けるつもりはなかったのだが、なんでか湧いてきたと言うか降ってきた名前があったので『鉋』と名付けておいた。なんでこんな名前が出たかは知らない。
注文はしたので俺は刀が出来上がるまでここでのんびりすることにした。この里にはいい温泉が湧いているし、さっき言った人形師の一家が代々継いでいる絡繰人形があるとの事なのでそれを相手に多少は修行をすることもできる。壊さないように加減しないといけないのは少し面倒だが、結構いい動きをするのでそこそこ楽しめている。ついでに俺の動きを見て人形師の家の奴が指を弄るとその度に対応が変わってくるのも面白い。
そして鍛冶場の方から人間が出すものとは到底思えないような絶叫のような悲鳴のような恐らく火金不可の声が響き渡るのもまた面白い。五月蠅いけどそれはまあ鍛冶場が近くにある時点で半ば諦めている。泊っているところは半地下なので聞こえないからまあいいとする。
そんな日常がそれなりに続いて、俺の刀は最も鍛冶が上手いと言う里長が打つことになった。残念なことにパパ根付はどう頑張っても鉋の強度を越えられず、それどころか鉋の横っ腹にブチ当てた刀の方がポキポキと折れていく事に心をやられてしまったらしい。里長は『未熟なのが悪い』と言っていたから気にすることはしないでおく。まあ言われなくとも気にしなかったと思うが。
そしてそんなこんなで三か月。未だ俺の刀は完成しない。仕方ないので元々作っていた刀で一旦仕事を再開することにした。鉋については頑丈な刀を打つ際の見本にしたいと言われたので置いてきた。俺が作ったが俺が打ったわけじゃないから仕方ねーわな。
ちなみに、この刀を打った鍛冶師の名前を聞かれた際にするりと「四季崎記紀」と言う名前が出てきた。多分、俺は自分にとって印象深い相手しか覚えられないんだろう。……じゃあ俺自身と言うある意味最も印象深いはずの存在の名前を憶えていないのかよくわからんが。
次回作
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魔王城でおやすみ
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鋼の錬金術師
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なんか適当に止まってるの
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なんか適当にハマってるの