鬼滅27
何度か失敗してから、これについても練習することにした。一応二秒とか三秒とかそのくらいの時間であれば問題なく移動できるのは確認していたんだが、流石に年単位となると大分ずれてくるらしい。まあ当たり前ではあるな。
そんなわけで世界を越えるのも含めて練習の日々。世界間移動はそれなりに狙った場所に行けるようになったんだが、時間移動が難しい。この世界では時間移動に関する制限が結構緩いのが一応救いだな。厳しい世界だと剣だけで移動とかまず無理だし。
不思議なのは、世界間と時間を纏めて移動して失敗すると大抵目の前に鬼の首魁がいることだ。一回平安時代っぽい所に出て喰らいついてきた所を波紋で焼き殺したりもしたし、誰かを鬼にしようとしているところに遭遇して焼き殺したり、誰かを殺そうとしているところに遭遇して焼き殺したり、なんか人間の振りしているところに遭遇して焼き殺したり……いったい何回焼き殺したっけか?
それはそれとして、ようやく安定して狙ったところに移動できるようになったので俺が初めて移動した時間からおよそ四十年ほど、時代としては……明治の次だから、大正か。その時代に移動した。時間も世界もちゃんと狙ったところに行けたと思われる。流石に正確な位置までは合わせるのは無理だったけど。
えーっと……山だな、山。思いっきり山。自分の位置が分からないと空間を斬って移動するのは危ないからやりたくない。何かと重なったところで切り裂かれた先にあるものが両断されるだけで済むが、それが人間だったら致命傷だしな。
とりあえず跳んで周囲を確認してみると……見覚えが無くもない小さな家を発見。あれは多分ヒノカミ神楽とか言うのを継承していた炭焼きの家だな。一回ここの前で鬼の首魁を殺したから覚えている。
覗いてみたが、そこはもぬけの殻だった。暫く誰も入っていないのがわかるが、それなりに綺麗に掃除されている。小屋の前にあった墓を考えれば……まあ、そういうことだろうな。
掃除されているからわかりにくいが、使われなくなってから二年は過ぎていないような気がする。一年か、長くても一年半と言ったところか。元々の状態がどうだったのかを知らないからもう少しすぎているかもしれないが、それでも三年には届かないはずだ。柱は変えられない作りのようだしな。
とりあえずここで一泊させてもらって、そしたら俺の屋敷に戻るとしよう。空間を斬って繋げれば一瞬で移動できないこともないが、帰ってきたばっかりだし安心したい。流石にここでまた鬼が来るとか無いだろうしな。
墓に手を合わせ、ちょっと小屋を借りることを告げる。代わりに軽く掃除はするし、小屋の中の物も勝手に使うことはしない。寝るのに布団なんかは必要ないしな。あったら使うが。
前に泊めてもらった時に比べると色々と物が増えている印象だ。多分世代が変わって子供がたくさんできたんだろうな。その子供たちもどうやらほとんどいなくなっているようだが。多分小屋の前の墓がそれだろう。
まあ一応縁があるわけだし、前に見せてもらった神楽でも舞っておこうか。明らかに日の呼吸の型であっても神楽として練り上げてきたのはこの一族だし、神楽として捧げても問題ないだろ。多分。
深く息を吸う。深く息を吸う。深く深く息を吸う。強く波紋を練り、大地に叩き込む。
眠っていた植物が目を覚ます。作られた墓の周りには既に幾度か花が供えられたことがあったらしく、様々な花が咲き乱れている。
舞う。俺に合わせた星の呼吸に取り込んだ日の呼吸ではなく、恐らく原点だと思われる円環を成す十二の型を。
円舞
碧羅の天
烈日紅鏡
幻日虹
火車
灼骨炎陽
陽華突
飛輪陽炎
斜陽転身
輝輝恩光
日暈の龍・頭舞い
炎舞
普段の呼吸と違って呼吸音が無駄に五月蠅い。炎が燃えるような音が喉から響く。
炎の呼吸の朱色とは違う、赫々とした炎が刀に纏わりついて形を成す。今気が付いたが、この型を使っていると波紋の乗りがいい。普段の刀であれば波紋を流すと銀色になるが、こうして赫刀にしてから流せば波紋も金色に染まる。より威力が高い証だろう。鬼を殺すのはいつも使ってるので間に合ってるから多分使わんだろうけど。
しばらく舞って、眠くなってきたので小屋に引っ込む。明日は早いし寝よう寝よう。
次回作
-
魔王城でおやすみ
-
鋼の錬金術師
-
なんか適当に止まってるの
-
なんか適当にハマってるの