鬼滅の刃~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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もうすぐ今年も終わりますね。皆様もどうか風邪などお召しにならないようお気をつけて……


鬼滅28

 

 空間を斬って道を繋いで向こう側に渡ると、そこには俺の知る御館によく似た男が一人。こいつは確か、97代だったか? 失敗した時に何度か会ってるが、確かそうだったはずだ。名前は忘れた。と言うか今まで俺が名前を憶えられた奴っていたか? いなかった気がするな?

 まあいいや。どうせ覚えられんし。覚えてもすぐ死ぬ奴のを覚える気にはならんし。

 

「……やあ、初めまして、かな?」

「お前は何回会ってもその挨拶だな」

「おや、会ったことは無かったと思ったけど……?」

「お前は一回目だ。ただ色々あってお前じゃないお前と会ったことがあってな」

「ふぅん……? よくわからないけれど、なんとなくわかった気がするよ。君が、星柱だね?」

「正解。そろそろ出てくるようになったころだと思ってな」

「うん、そうだね。五年か、十年くらいかな。それくらいから鬼の被害が増え始めてるよ」

 

 よしよし、それなら十分いけるな。初めての失敗の時のように不意打ちで殺せれば楽なんだが、多分できないよな。失敗した時に色々と調べてみた限りでは失敗した先では上弦の上の方はほとんど残っていた。一回目の時も多分そうだから、ここじゃあ本体が出てくるかどうか。それに本体が出てきたとしてもそんな時まで待ってたら多分こいつ死ぬし。

 だが、随分と調子が良いように見える。あれか、俺が残した波紋の影響か? 周りに波紋使いがいるから多少呪いが緩和されるとかそんな感じか? まあ周りにそれを使う奴がいるだけだとそこまで強い効果が得られない分反動も相当少なそうだが。

 

「実は、昨日からご飯がとても美味しかったんだ。だから、もしかしたら、と思ってね」

「……あー、あれか、怨敵の不幸で飯が美味いってやつか」

「比喩だと思っていたんだけれど、本当にここまで美味しくなるとはね。ちょっとあまりの美味しさに泣きかけたよ」

 

 遺伝子に鬼への憎悪と殺意を刻み込んで百代近く伝えてる奴の言葉は違うなオイ。いろんな意味で流石すぎるわ。まさか本当に怨敵の不幸をおかずに飯が食えるように進化してるとか誰も思わんだろうよ。

 顔合わせも終わったし、とりあえず俺の事は今まで通り存在ごと秘密にしてもらうことで同意した。何しろ態々時間を越えてまで自分の存在を消して鬼の首魁が表に出てくるようにしたってのに、ここで俺の存在がばれたらまた引き籠るのはまず間違いないからな。しかも俺の姿を見れば歳をほとんど取ってないのがばれるから今度は何十年どころか百年単位で引き籠りやがる可能性も無くはない。だからここに来るのにも空間移動で誰にも見られないようにしておいた訳だしな。

 

「所で、何か変わったことはあったか? 人を食わない鬼を連れている奴が鬼殺隊に入ったとか、その鬼が太陽光を克服したとか、ヒノカミ神楽と名前を変えた日の呼吸を扱っている奴が来たとか」

「……克服するのかい? 禰豆子が?」

「かもな。なるほど、そこにしか食いつかないってことは他の二つは知ってると」

「少し前の柱合会議で話題になったよ。左近次……何代か前の水柱から知らせを受けてね。今の水柱である義勇が見つけてきたらしいんだけど、何か知ってるかい?」

「ああ、あの家の奴は知ってるぞ。前に鬼を狩っていた時にヒノカミ神楽とやらを舞っているのを見つけて、しばらく観察して真似たからな。ちゃんと俺が貰った屋敷にも書として残しておいたぞ」

「ああ、うん、そうだ。君には感謝してもしきれないんだ。よくぞ波紋を見つけ出し、広めるように手配してくれた。あれのおかげで産屋敷一族は寿命こそ延びることは無かったけれど、死ぬ寸前まで自分の足で動き回れるようになったんだ」

 

 ……こいつも死にかけか。だが死にかけてても動けるからありがたい、とか言われてもな。困る。

 

 そう言えば、空間を斬ることに慣れてきたせいかちょっとした異空間ならこっちから侵入できるようになった。要するに、今の俺なら昔鬼の首魁が引き籠っていただろう血鬼術で作られているだろう空間にも多分入れる。問題があるとするなら、どの空間に引き籠ってるかわからないからもしかすると別の世界の鬼の首魁の引き籠ってた場所に侵入する可能性があるというところだ。まともに繋がっている場所ならどうとでもなるんだがな。

 ……いや、そうか。まともに繋がってるなら問題無く入れるんだから、繋げさせればいいのか。繋がってさえいればどうとでもなるし、前に手に入れた鬼の首魁に最も近かった鬼の血と、別の世界から持ってきた鬼の首魁の血を使えばこっちから無理矢理繋げることも多分できる。可能ならあの空間を作っている鬼の血が欲しいが、まあできなくは無いだろう。失敗したら流石に面倒臭すぎるからやめておくが。

 

「で、俺以外の兆しはあるか?」

「うん、あるよ。さっき君が言っていた鬼を連れた隊士。彼の妹が太陽を克服するというのならば、必ず鬼舞辻は狙ってくるはずだからね」

「兄の方にも目を向けておけよ。妹が太陽を克服したのだから兄を鬼にしても同じようにできるはずだと考えるかもしれないぞ」

 

 追い詰められた奴ってのは何をするかわからないからな。可能であるならそんなことを思いつかないようにさっさと殺しておくのがお勧めだ。それができるんならの話だが。

 

「君の事を……いや、すまない、忘れておくれ」

「そうだな。知ってる奴は少ない方が良い」

「うん、ありがとうね。……気を付けて」

 

 刀に触れもせず、幻影だけで空間を切り裂いて道を作る。本当に月の呼吸ってのは便利だな。よくぞ作ってくれた。

 さて、それじゃあ本番までゆっくりしていよう。

 

 

次回作

  • 魔王城でおやすみ
  • 鋼の錬金術師
  • なんか適当に止まってるの
  • なんか適当にハマってるの
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