百年と言うのは一人の人間には随分と長い時間だ。百年生きている人間はそうおらず、居たとしてもいつ死ぬかもわからないような状態。それこそ人間なのだが……例外というのが幾らか存在する。
まず俺。常中させた波紋の呼吸により若いを通り越して幼さすら感じられる外見のままそれだけの時が流れた。
次にかなたとくいな。俺の波紋を最も近くで浴び続けた二人も同じように幼いまま百年を過ごした。
そして波紋を覚えたかつて隠の波紋部隊の隊長として生きた男。名前は……
「
「名は
そうだった、ジョジョだったな。
それから俺が時を超えている間に波紋を覚え、全集中の呼吸と同じかそれ以上に使っていたのが二人。水の呼吸の使い手で雫波紋突きに波紋を乗せるのが得意な女と、毒と波紋で戦っていた女。ジョジョ曰く、目を離したら死んでるんじゃないかと言うくらいに自分を追い込みながら修行していた二人らしい。名前は忘れた。
「水の呼吸を扱う方は真菰様です。鱗滝殿の養子となり、鱗滝真菰と名乗っております」
「毒使いの方は冨岡しのぶ様です」
ああ、そんな名前だったか。
ともかく、波紋使いは基本的に長く生きるので、百年程度では大して威張れない。そして波紋を覚えていないにもかかわらず百年を生きたかつての御館の息子もここにいた。
「相変わらず皆さん元気でなにより……」
「七十年くらい前から年1で波紋使いの集まる場を作ったが、正直お前さんがまだ生きてるって事に驚いてる」
「おやおや星柱さん、御館様になんて口を利きますか」
「いつものことでしょしのぶちゃん」
そんな感じに緩く会議は始まる。まあ何かまずいことが起きたわけでもないし、大事があったわけでもないのでこんなもんだ。
作った当時は世界大戦が終わった頃で、どれだけ生きているのかをかなたとくいなが心配そうにしていたから作ったものだったが、なかなか続くものだ。まあやめる理由も見つからないし、やめる時が来たならそれは集まるほどの人数がいなくなったら、だろうな。
基本的に長く生きると表舞台から引っ込んでくるものだ。蝶娘はかつての両親がやっていたのより遥かに大きな医院を作り、人間に戻った女鬼と一緒に経営していた。しかし女鬼が寿命で死んだ頃に子供だか孫だかに跡を継がせて自分は引っ込んできたんだったか。
水娘は養父を看取った後にその地に剣術道場を開き、呼吸の技を後世に細々と繋いでいる。なお、細々とってのは自称だ。実際には教え子が警察学校で剣道として教えているため実質警官の多くが呼吸の技を一部扱うことができている。基礎の五つの呼吸の型を一通り見て覚えたからこそ出来ることだろうな。
ジョジョは産屋敷本家の庭師をしている。波紋の出力は前の二人に抜かされたものの、扱いなら未だに最優秀。つい先日も輝利哉の体内の癌を波紋を収束させて焼き切り、更に即座に正常な組織を再生させてみせたとか。
ちなみに俺は本家から貰った山と屋敷で楽隠居している。たまに山から馬鹿でかい波紋猪が現れて庭で日向ぼっこして行ったり、畑を耕してついでに不揃いだったりして売れないやつを駄賃がわりに食っていったり、私有地に勝手に入り込んでくるやつが行方不明になったりするが、知らん。何も知らん。猪も牛も猿も狼もちゃんと水浴びして血を落としてから来るから俺は知らん。
「知ってる言い方ですね」
「実際、星柱様は自身の張られた波紋結界の中の出来事でしたらおよそ把握できておられますので」
「まあ、わざわざ危険な所に自分から行ったんだから覚悟はできてて当然かな。できてないならしてない方が悪い」
ちゃんと『行方不明者多発地域のため立入禁止』と書いてあったんだから、無視する方が悪いよな。ちょっと波紋で機械の位置情報とか磁石とか方向感覚とかを狂わせてあるのと、中の獣達に『逃げきれない奴が入って来たら食っていい』と伝えてあるせいかもしれないが、入らなければ行方不明になる事もないんだからな。
「……しかし、何年経っても星柱さんを見ると不死川さんの暴れっぷりを思い出してしまいますね」
「スケベ柱のか」
「だからwwwスケベ柱はwwwやめてください笑い死にますよわたしがwwwwwww」
「そういやあいつ最後まであのスケベスタイルだったのか?」
「胸元はだけた状態をスケベスタイルって言うのはやめてくださいお茶がさっきから飲めないんですよwwwwww」
「あー、そう言えば星柱様は他の柱の方々に特徴的なあだ名付けてらしたなぁ」
「天狗柱とかな」
「鱗滝さんのこと?」
「まあ同期だったんでな。まあ筆頭というか一番最初に出てくるのはスケベ柱か幼女柱かだが」
「幼女のこと冨岡さん柱って言うのやめてください私の腹筋が死にますよ」
「いやあなたも冨岡でしょうよ」
「あとはネチ柱にキュン柱に南無柱、代々ギョロ目柱に派手柱か」
「バブ柱もいらっしゃいませんでしたか?」
「ああ、スケベ柱とくっついたアイツな。母親みが強くてスケベ柱が『バブゥ……』ってなってたのを見てから思い出す度吹き出しそうになるから思い出すのやめてた」
「初耳なんですが」
「姉のそんな話聞きたいか?」
「聞きたくないです」
「妹の話もしてやろうか?」
「カナヲの方はだいたい知ってるのでいいです」
「弟弟子の方は聞いてみたい気もする」
「愛しているって全身で伝えてきて受け取っても受け取っても終わらなくて愛に溺れそうで辛い、という惚気を受けた当日に言葉を伝えるのが苦手な幼女柱に愛を伝えまくってみたら真っ赤になったその姿を見て可愛いメーターが振り切れて押し倒して食っちゃった挙句にデキ婚した奴がいるってマジ?」
「なんで知ってるんですか殺しますよ」
「いいじゃん別に。男なら思いは自分から伝えてこそとか言いそうなのに実際には直前で指輪忘れる大事故起こして固まって、その直後に彼女の方が縁日で取った指輪で逆プロポーズされた奴だっているんだし」
「なんで知ってるの? 見てた? 斬っていい?」
「産屋敷になってからなんか直感が冴えてな。『こんなことあるんじゃね?』と思って適当に言ったらそういう反応が返って来て私はとても驚いています」
流石は俺を除いた鬼殺隊における最速争いトップ陣。なお雷の呼吸使いの最速時には流石に劣るが平均速度だとやや勝る。はっやい。俺じゃなかったら死んでたな。
次回作
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魔王城でおやすみ
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鋼の錬金術師
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なんか適当に止まってるの
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なんか適当にハマってるの