鬼滅の刃~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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鬼滅04

 

 三日ほどで大体のことはできるようになったらしい。水の呼吸の型を十まで覚え、朝食を終えてから昼食まで走り続け、昼食が終わればひたすら型をなぞる。起きている時も寝ている時も全集中の呼吸を続けることでより身体は強くなっていくらしい。

 素の身体能力もかなりのものになっている……と言うか、今まで続けていた呼吸のおかげで異様なほどの体力と身体能力を得ていたようで、最終的な立場が甲である師匠では既に実際の戦闘経験以外ではほぼ互角と言えるようなところまで来ているらしい。これでまだ三つにもならない子供だと言うのが信じられないと言われたが、そんなことを言われても困る。

 

 ただ、まだ年齢的に小さすぎるから最終選別に参加させることはできないと言われてしまった。参加すればまず間違いなく通るくらいの力はあるそうだが、周りの奴が幼いからと妨害してきたりするとわからないそうだ。まあわからなくもないが、鬼というのが俺の家族を襲ったあれくらいであればそんなに困らなさそうだと思ってしまう。

 しかし一応衣食住の世話を受けているのだし、悪意があっての事ではないので言葉に甘えさせてもらう。日常を鍛えることに費やしつつ食事をして眠って走り回って剣を振って……世捨て人か? まあ普通に考えて国家に属さない武装集団見習いなんて国家権力側からすれば破落戸以外の何者でもないわな。命の危機があるからやるけど。

 ちなみに、もしも鬼を普通の武器で殺せるのであれば多分俺は鬼殺隊に入ろうとはしていないと思う。そして鬼殺隊なんて組織も無かったかもしれない。普通に殺せるならわざわざ鬼殺隊なんてものを作らないで元々ある武装戦力に協力していった方がよっぽど楽だし速いからな。

 

 ただ、このままここに居ても基礎をひたすら練り上げることしかできないので師匠の伝手で他の呼吸を使う育手の所に何度かお邪魔させてもらうことになった。そこでそこの弟子に教えている呼吸の方や呼吸を見て学びつつ俺の呼吸に取り込んでいく。師匠はそこそこ顔が広いようで、基礎の五つとされている呼吸、炎、水、風、岩、雷の五つの呼吸の剣士と知り合うことができた。雷の呼吸の使い手の人は今は弟子がいないみたいで俺を弟子にくれと師匠に向かっていったが、俺が目の前でほぼ完璧な水の呼吸の型を見せればぐぬぬと悔しげな顔で引き下がった。多分だがほぼ完成している水の型を崩させてまで雷の型を教えようとは思わなかったんだろう。俺の命のためにも。

 

 およそ一か月かけて師匠の知り合いの様々な呼吸の使い手と顔を合わせ、俺は炎、風、水、岩、雷の五つの呼吸とその型をおよそ覚えきった。しかし態々その技を使う度に呼吸の方法を変えるのが使い勝手が悪かったので、全部俺の呼吸に取り込んでどの技でも俺の呼吸から使えるように少しだけ改変した。

 そして、五つの呼吸とその型を覚えきった際に俺の呼吸に名前を付けた。

 

 星の呼吸。いつからか俺の知識の中に当たり前にある、太陽の周りを回る大きな星。それらに呼吸の種類を一つずつそれっぽく当てはめて一つの呼吸ということにした。

 例えば水の呼吸の壱ノ型であれば、『星の呼吸 水の型一式 水面斬り』とする。同じように風なら金星、岩なら土星、雷は木星、炎は火星と言うようにそれぞれの惑星に当てはめて使っている。

 ここからはそれぞれの呼吸で覚えたそれぞれの型を同時に使ったり組み合わせたりすることと、それぞれの型の精度上げをしていこうと思う。流石にこの状態でできることと言ったらもうそれくらいしかないしな。

 

 

 ~一夏干渉中~

 

 

 いや、ある。あった。五つの型を覚えて、その呼吸を自分の物にした。だったらそれらの要訣だけを集めた俺だけの型を作れるはずだ。五つの呼吸は元々の呼吸から直接分かれた物であるらしいし、できることなら元々の呼吸も知りたいところではあるが……とりあえず形を考えることはできる。

 剣術の基本、頭上から下へ斬り下す唐竹、肩口から逆の腰まで袈裟懸けにする袈裟斬りと逆袈裟、左右から胴を両断する右薙、左薙。斜め下から切り上げる右斬上、左斬上、真下から真上に斬り上げる逆風、そして刺突。呼吸の技を極め尽くした所でそこに壁があるとするならば、それは恐らく自身の純粋な剣の技量。それを適切な瞬間に適切な位置に当てることができれば、恐らく仰々しい技なんてものは必要なくなるのではないだろうか。

 と言ってもそこまで行くのにどれほど時間が必要かはわからないが、まあ暇な時間を潰すなら最終的な目標は高い方が良い。それまでにちょいちょい小さな目標を作っておいて、達成できるようにしておけば恐らく暇は潰せるし飽きもしないと思う。何しろやることは食うことと寝ること以外には体を鍛えるしかないんだからな。

 

 とりあえず、体力をつけるために走り込みをしよう。呼吸は当然全集中のまま。こうしていた方が効率がいいのはわかっているからな。なんでもこの呼吸をしていると普通は疲れるそうだが、俺にとってはもう当たり前の事だからよくわからない。ただ呼吸をしているだけで疲れてしまうとか一体どんな貧弱生物だと思ってしまう。

 ……いや、何故かこの呼吸が割と特殊な技術であるということだけは頭にあるからわからなくもないが、結局のところ呼吸なんて慣れによるものだからな。なんとも言い難い。

 

次回作

  • 魔王城でおやすみ
  • 鋼の錬金術師
  • なんか適当に止まってるの
  • なんか適当にハマってるの
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