その頃、凛は346カフェへと向かっていた――
――――11:13 オーディション会場の廊下
美穂は立っていた。
彼女は自分が操られていたことも含め、全てを理解していた。
そして、足下に倒れる卯月を見た。
美穂は口を開く。
「島村卯月、合格。」
――――11:22 346カフェ
346カフェ。
それは、凛が所属する芸能事務所『346プロダクション』の近くにある喫茶店。
ここで働く店員、安部菜々(自称 延々と17歳)が可愛いと評判である。
一般人でも入店可能。
コーヒー700円、パスタ1400円。
(事務所の関係者は3割引き)
そこに、一人の少女が入店した。
「いらっしゃいませ。こちらのお席へ……」
「あ、いえ。 人と待ち合わせてて……」」
「あっ、しぶりん!」
「未央。」
未央と呼ばれた少女は席に座っていたが、立ち上がり凛を抱きしめた。
「大丈夫だった? 2日も連絡寄こさないから、心配で……うぅ……」
「私は、大丈夫。 それより……」
「? しぶりん? どうしたの??」
「未央の後ろ……何かが浮いているんだけど」
未央の後ろに顔と同じサイズの星が浮かんでいた。
「ん? 星?」
しかし未央が振り向くと星は逃げてしまった。
凛と未央が席に着くと、店員の菜々がやってきた。
「こちら当店のメニューです」
「やったよ!凛ちゃん!」バアン!
凛と未央にメニューが渡されたと同時に、ドアが勢いよく開く。
「私……、合格……したよ!!」
「卯月!?」
店に突如入ってきた卯月は、頭の出血や全身の怪我がひどく、すぐに倒れてしまった。
「な……」
「きゅ、救急車呼びますね!?」
店員の菜々が携帯を持つが、手から滑り落ちてしまった。
携帯は卯月の腹の上へ落ち、菜々がそれを拾った瞬間――
「え?」
卯月の怪我が少し治っていた。
「…………うん?」
そして卯月も目を覚ます。
「あれ……、卯月? もう怪我は大丈夫なの?」
「あ……、はい。 なぜかは分かりませんけど、血が止まって痛みもないです。」
「…………?」
菜々は少しの間自分の手を見た。
「あ、救急車は呼んだほうがいいんじゃないんですかね……」
菜々はそう言うが、
「あ、えっと大丈夫です。 ちょっとぶつかっただけですので……」
「じゃ、じゃあ…… 救急箱持ってきますね、一応……」
卯月は、菜々に怪我の手当をしてもらった。
「それで、ここに来たってことは卯月は合格したんだよね?」
凛が卯月に渡したメモを確認する。
そして凛は未央と顔を合わせ頷く。
「私たちのユニットに入らない?」
「ユニット……?」
「そう、ユニット。 一応、今は私と隣に居る未央でユニットを組んでいるんだけど、まだデビューライブもしてないんだ。」
「だから、ユニットに入るなら今がチャンスだよ!」
凛と未央は口を開いた。
凛は未央を見てから、卯月に目を向ける
「プロデューサーがいない今、アイドル達はセルフプロデュースを強いられている。でもその代わり、ユニットは自由に組めるんだ。」
「それにユニットを組んでいると、自然と一緒にいる機会が多くなる。 卯月一人でいるよりかは安全なはずだけど……」
「は、入ります! 凛ちゃんと未央ちゃんのユニットに、私も加えてください!」
「卯月…………」
「凛ちゃん、プロデューサーさんを一緒に探しましょう!」
「…………うん。」
「ちょ、ちょっと!? 私も忘れないでね!? 私もプロデューサー、探すから!!」
未央が割って入る。
「凛ちゃん。 こちらの未央ちゃんって…… 私たちと同じ……」
「いいや、スタンド使いじゃなかったよ……、 さっきまでは。」
「え?」
未央は驚く。
凛は言葉を続ける。
「未央の後ろに、スタンドが出ていた……」
「え?」
「まっさか~ 私はガラスの靴なんて履かなかったよ? しぶりんの言うに、それを履いたらスタンドが出るんでしょ?」
「…………」
「ところで…… 凛ちゃん、未央ちゃん?」
卯月が質問する。
「そのスタンドって呼び名は誰から聞いたの?」
「私が勝手にそう呼んでるだけ。」
凛が言う。
「スタンドアップ トゥー シング 、歌うために立つ……。略して、『スタンド』……」
「いいや!」
未央が立ち上がる。
「私の考えた呼び名のほうがかっこいい! Star and Me! (星と共に輝く私) で『スタンド』!」
「む」
「ぬんっ!」
(どっちも一緒なんじゃ……)
卯月は苦笑した。
「こちら、ご注文の紅茶とケーキになります」
菜々が皿を運ぶ。
「あ、ありがとうございます。」
「紅茶も来たことだし、お茶でも飲んで話でもしようか、しまむー」
「!? しまむー?」
未央の呼び方に驚く卯月。
そして3人は自己紹介ついでに楽しい時間を過ごした――
「じゃあ、行こうか」
凛が席を立つ。
「…………」
2人も席を立った。
本田未央、渋谷凛、島村卯月。
3人は出会った。
彼女たちのアイドル活動、そして戦いが始まる――
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
コーヒー700円、パスタ1400円って高いな……