デレのジョな冒険 スマイリングシンデレラ   作:並び替え

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ライブ会場を荒らしたみくから、情報を引き出すために未央が用意したものとは……



第19話 え・・・ひどくない?

 

―――― 09:06 ライブ会場 控え室

 

 

「スタッフさんたちのおかげで10時のリハーサルにはなんとか間に合いそうだね。」

「で、それで……」

 

「彼女をこれからどうしよう?」

 

みくはパイプ椅子に座らされ、手と脚を縛られていた。

ちなみに猫耳は美穂が没収した。

「みくは自分を曲げないよ!」

 

「いつまでそんなこと言ってられるか楽しみだね! しまむー、悪いけど買い出し行ってきて!」

「は、はい……」

 

「じゃあ何から聞こうかな……」

凛は考える。

「彼女は私や美穂のように操られていたってわけじゃなさそうだし……」

 

「とりあえず、名前は?」

美穂が代わりに聞くが、

「みくは自分を、曲げないよ!」

「なるほど、みくちゃんか。 じゃあなんで私たちを襲ったの?」

「…………」

みくは黙って美穂を睨み付けた。

「答えるつもりは、ないんだね……」

 

「未央ちゃん、アレある?」

「アレ? あるけどさぁ……」

 

未央は冷蔵庫から、皿を出して渡す。

そして美穂はみくに食べ物を見せる。

「これ、大トロなんだけど、美味しそうだよね?」

 

大トロの刺身が、そこにはあった。

「ひっ……!」

「美味しそうだよね? 答えたら食べていいよ?」

そう言って美穂は箸でつまんだ大トロをみくに近づける。

 

「よ……余計答えないにゃ!!」

「……?」

 

「美穂、もしかしてみくって……」

凛は何かに気付いたようだ。

「魚嫌いなんじゃ……」

 

「…………」

美穂と凛は黙った。

 

「凛ちゃん、私に考えがあるんだけど。」

「うん、まだ聞いてないけど賛成するよ」

 

 

~~~10分後~~~

 

「みんな、買ってきたよ……?」

卯月は控え室での異様な光景を目にする。

 

凛は箸を持ち、みくの口にイカの刺身を押しつける。

「や……、もうやめてにゃ……! やめてください……」

美穂はみくの口を無理矢理開け、凛が刺身を突っ込む。

 

「あ……、おかえり…… しまむー……」

そして未央は、青ざめた顔でそれを見ていた。

 

「ゲホッ、ゲホッ! みくは……、みくは…… 自分を曲げます……」

「卯月、買い出しの金を返すよ。」

凛はさっきみくの財布から抜き取った金を卯月に渡す。

 

「それで、どうして私たちを襲ったの?」

「……なかったからにゃ」

「?」

「気に入らなかったからにゃ!」

「は?」

「私より後に来たのに、私より先にライブをしたからにゃ!」

 

「待って 会場を用意するのはアイドルの仕事だよね?」

美穂がみくに言う。

「それは……」

 

「アイドルの友達がいないからじゃない?」

「ちょ、しぶりん言い過ぎ……」

 

「そうにゃ」

「みくひとりじゃ会場を用意できないから、裏方の仕事とかで金を集めていたんだにゃ。」

「それでやっと……ライブのお誘いが来たのにゃ。 だから夜遅くまで何度も練習したにゃ。」

「でも…… 直前にキャンセルされたにゃ……」

「私の代わりにステージに上がった子は、入ったばかりの新人だったにゃ。」

「それはもう、ひどかったにゃ……」

 

「…………」

みくの話を、みんなは静かに聞いていた。

 

「口パクの歌ですらヘタクソで、しかも意図的にスカートの中を見せていたにゃ。 ドルオタ大熱狂にゃ。」

「その後にゃ、そのライブ会場のオーナーが未成年淫行で逮捕されたのは……」

「つまり枕にゃ! 確かにアイドルは身体が一番の商売道具。 多少の露出なら私も別に厭わないし、負けないにゃ。」

「でも、『それ』は違うんだよ…… あんたらも!」

「私は見えるにゃ! あんたらのこれからやる口パクで振り付け間違えまくりのクソみたいなライブが!! 細部まで!!」

「どうせお前らも枕で取ったんだにゃ! ライブのフライヤーに3人の名前がなかったのがその証拠にゃ! 直前で決まったってことの!」

「私も3日前にキャンセルさせられた…… 自分の名前を黒塗りにされたにゃ!!」

「お前らが汚い手でマイクを握るのが、許せなかった! だから手に入れたスタンドで、このライブをめちゃくちゃにしてやるって決めたんだにゃ!」

 

急にみくは下を向いた。

 

「でも…… わかったんだ…… 汚いのはみくのほうだって……」

「未央ちゃんを見ればわかるにゃ…… アイドルの『覚悟』…… それが私にはまだ、足りなかった。」

「みくは、力を手に入れて強いって思った。 今ならどんな理不尽にも立ち向かえるって。 それを覚悟と勘違いしてた。」

「でも、今度はみくが理不尽になるんだにゃ。 みくの覚悟は理不尽に変わったにゃ。」

「みくは弱かった…… 力に溺れた…… うぅ…………」

みくは涙を流す。

そして急に上を向き、

「みくに、会場の設営を手伝わせて欲しいにゃ! 会場を荒らしたのはみくの力、だからみくにも……」

 

「その必要はないよ」

美穂はみくを止めた。

「もう設営はほぼ終わっているから。 それに説明も面倒だし。」

 

「そう…… わかったにゃ……」

 

「よーし、じゃあ事情聴取も終わったし!」

「うん。」

「卯月ちゃん、電話で言った『あれ』、買った?」

「はい、未央ちゃんがさっき使った『ぶどうジュース』と……」

「にゃ? (ーAー) 未央ちゃんがさっき使った? あれってワインじゃ……」

「? 似てますけどぶどうジュースですよ?」

「私も一瞬ワインだと思ったんだけど、後で聞いたらぶどうジュースだって……」

「でも、み……未央ちゃんは『ワイン』を撒くって……」

 

もし未央が猫に撒いたのがワインではなくぶどうジュースなら、

みくは能力を解除する必要もなかったため、今頃ネコちゃんライブが始まっていただろう。

 

「あー、あれぶどうジュースだよ。 つまりハッタリ。」

「まぁもしみくがスタッフさん達の命を気にしなければバレてたけど。」

 

「…………にゃ。 そうだったのかにゃ。 みくの完敗にゃ。」

 

「じゃあ卯月、『それ』も出して。」

「はい! でも『これ』どうするんですか?」

 

「みくちゃんの大好物なんだって」

そう言って凛が手に持ったのは……

 

「に゛ゃ!?」

魚の刺身(4人前1980円)だった。

 

「そうなんですか! じゃあみくちゃんに食べさせてあげますね!」

卯月は刺身を箸で持ち上げみくの口に持って行く。

 

「に゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

みくは全部話したにもかかわらず、口に魚を入れられ悶える。

 

「うちら……、うちらアイドルにゃぞ!」

「いいのか! いいのか! そんな(酷い)ことしていいのか!」

 

「わっはっはっはっは……(卯月以外全員大爆笑)」

 卯月はみくの口に刺身を突っ込みながら、頭にはてなを浮かべていた。

 

―――― 06:37(NGが出発する前) 表参道駅

 

朝の都会の電車というのは常に満員である。

しかし今日は日曜日。人はそこそこいるが満員ではなく、

 

「はぁ……」

 

いま乗った少女?が座席に座れるほどだ。

 

「ナナとしたことが携帯電話を忘れるなんて……」

そしてもう1人、電車に乗ってくる。

 

「ナナおねーさん……」

 

電車は定刻通り発車した。

 

 

 




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
質問や感想等は、受付中です。

サーモンの刺身が好きです。

第1章の終わりに、スタンド設定を投稿しました。
よろしければご覧ください。
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