デレのジョな冒険 スマイリングシンデレラ   作:並び替え

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ニュージェネレーションズが出発する前、
安部菜々は美穂主催のライブに呼ばれていた。
移動のために乗った電車、そこに一人の女の子が――




第20話 ウサミン星 その①

 

 

 

「ナナおねーさん……」

一人の女の子が座席に座る菜々を見て呟いた。

 

その子の名は市原仁奈。

 

仁奈は菜々のところへ近づき、彼女の目の前に立った。

「菜々おねーさん……」

「へ?」

 

そして仁奈は抱きついた。

「えぇ~~~~!?」

菜々は大声を出して驚く。

 

そして周囲の視線が彼女に集まった。

 

「あぁ、すみませんすみません!」

 

 

 

 

 

「市原仁奈ちゃん……っていうんですか。」

「はい! そうでごぜーます!」

「それで、なんで名前を知って……」

「おねーさんのことがだいすきだからでごぜーます!」

「えっと、それって……」

 

「ファンってことですか……?」

「ふぁん……? にな、ななおねーさんのふぁんでやがりますか?。」

 

菜々は一瞬考えて、

「はい!」

 

「やったぁ! にな、ふぁんのきもちになったでごぜーます!」

「…………」

(まさかこんなところで、ファンのかたに会えるなんて…… ナナ、今日はついてます!)

 

「ななおねーさん! プレゼントをもってきたでごぜーます!」

「プレゼントですか……! あ、ありがとうございます!」

 

仁奈はポケットからプレゼントを取り出す。

菜々はそれを見て、訝しげな顔をする。

「これは…… 象牙?」

 

「むかし、パパが言ってたです! ぞうげはすげーたけーって!」

「に、仁奈ちゃん……。 き、気持ちは嬉しいんですけど、ちょっとこんな大切なもの、受け取れないかな……?」

 

菜々は象牙を返した。

すると仁奈は、しょんぼりした顔になった。

 

「あぁ、で、でも嬉しいですよ! とっても! すごく! になちゃんに会えたことが!」

 

 仁奈の顔が、間接照明のように明るくなる。

「ほんとですか! ななおねーさん!!」

 

菜々は仁奈の顔が明るくなったのを見て、安心する。

(ほっ、よかった…… でもこの象牙は、家から勝手に持ち出したものなんでしょうか……)

(だとしたら……いや、冷静に考えてこの状況は…… 少しおかしい!)

 

仁奈の着ている服は、すこし汚れていて洗濯されているとは思えない。

それにお金を持っているようにも見えない。

 

(もしかして、家出……? いやそれなら象牙じゃなくてお金を持ち出すはず……)

(それにさっきの台詞から、パパを嫌っているってわけではないみたいだし……)

(ナナの早とちりであってほしいですが……)

 

「ところで仁奈ちゃん。」

「なんですかー?」

「パパやママは、どこにいるのかな?」

 

「……………………」

仁奈の表情がすこし暗くなる。

菜々は姿勢を正した。

 

「お仕事ですげー忙しいです。 それで家で待ってろって言われて……」

「じゃあなんでそと

「それで、ぴんぽんが鳴って、出たらパパじゃないやろーに追い出されたですよ」

「え……」

「やちんがどーとかいってやがりましたけど、それでになは階段でまってたです。」

「そしたら今度は追い出したやろーとは違うこわいやろーに追いかけられたですよ。 でんわがどうのって……」

「になのパパとママはどこいきやがったのですか?」

「にな、ひとりはいやです…… うぅ……」

 

仁奈は泣き出す。

菜々は慌てることなく仁奈を抱きしめる。

 

「……………………」

(家賃、追い出された、変な野郎……)

(仁奈ちゃんをここで放っておくのは、マズい気がします……)

 

「仁奈ちゃん、菜々と一緒にパパとママを探しましょう!」

 

「え! ななおねーさんほんとでやがりますか!」

「はい! ナナに二言はありません!」

「やったー!」

 

喜ぶ仁奈をよそに、菜々は考えていた。

(市原……? この名前、どこかで聞いたような……?)

 

―――― 06:53 新御茶ノ水駅

「ななおねーさん、どこにむかってやがりますか?」

「実はナナ、これからライブなんです!」

 

仁奈と菜々は電車を降り、改札へと向かう。

 

「らいぶ……って何ですか?」

「それはですね…… あ、もうすぐ改札ですね。」

 

菜々は改札を通るが……

 

ばたん

 

「うっ」

 

仁奈ちゃんが、改札の扉に挟まれてしまった。

「仁奈ちゃん!? 切符を入れて―― え?」

 

改札の扉は完全に閉じており、そこに仁奈の姿は無かった。

 

「あれ、仁奈ちゃん!?」

 

にゃー

 

すると菜々の足下に一匹の猫が改札を通ってやってきた。

「あ、この猫は…… 昨日餌をあげた……」

「なんでこんなところに……?」

(いや、それよりも)

「仁奈ちゃんはどこに……」

 

「ここですよ!」

 

「うわぁ!」

仁奈は菜々の後ろに立っていた。

 

「に……仁奈ちゃん? あれ?」

さっき見た猫は、もういなくなっていた。

 

「気のせい……でしょうか?」

 

 

 

菜々と仁奈は徒歩で御茶ノ水駅へと向かう。

 

「そういえば、になちゃんはお腹空いてませんか?」

「になは…… 大丈……」

 

ぐ~~

 

仁奈の腹の音を聞いた菜々は、鞄からローストビーフサンドイッチ(オニオンと卵入り)を出して渡した。

仁奈はそれを、おいしそうに食べる。

 

ぐ~~

 

今度は菜々の腹の音が鳴った。

それを聞いた仁奈は、菜々に半分ほど残ったサンドイッチを渡すのであった。

 

そして駅に着き、次の電車に乗ろうとしたが……

 

駅から大量に人がやってくる。

「うわあああ」

「きゃあああああ」

「皆さん、落ち着いて避難を!」

 

「え? すみません一体何があったんでしょうか?」

菜々は避難を促す警備員に聞いた。

「先ほど輸送車から熊が脱走しまして、貴女も早く避難を!」

 

警備員の後ろには大きな黒い熊が立っていた。

その腕の動きで菜々に赤い液体が降り注ぐ。

 

警備員は物になり、倒れた。

 

そして黒い物体と菜々の間には、なにもない。

熊は、菜々を見ていた。

 

「ひっ――――」

 

警備員の血に染まった菜々は、何もできなかった。

それでも仁奈を逃がそうとして探したが、どこにもいなかった。

 

その代わり、

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

 

もう一体の熊を、背後に見つけた。

菜々は恐怖のあまり考えることを止めた――――

 

背後にいた熊が、菜々を襲おうとしていた熊を突き飛ばした。

 

「え?」

 

 

 




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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第1章の終わりに、スタンド設定を投稿しました。
よろしければご覧ください。
なお、第2章のスタンド設定は第2章の終了後に投稿する予定です。
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