そんな彼女には、小学生時代ある友達がいた――
何年前だったかな。
「ちょっと…… 筆箱、返してください!!」
「ほぉら、届かねぇだろう~ ほらほら~」
そう、菜々が小学生だったころ。
男子たちに筆箱を取られたり、スカートをめくられたり、箒で叩かれたりされた時期がありました。
でも私には、
「こらーーー!! ななちゃん泣いているだろ!!」
「うわっ、また来やがった!」
「うるせー、ばーかっ!」
「あ゛? ぶん殴るぞ☆」
「ぎゃー、ぼうりょくはんたい!」
「ちっ…… 行こうぜ……」
「そうだな」
「…………」
「…………ふぅ。 ななちゃん、もう大丈夫ですよ。」
「いつも、ありがとう…… ぐすっ」
助けてくれる人がいました。
彼女は私よりひとつ下の学年で、でもしっかりしていたんです。
私がいじめられているのを、いつも助けてくれて。
強くて、かわいくて……
「ななちゃん。 今日もアレ、やりますか!」
「魔法少女ナナ、参上っ!」
「まほーしょうじょさんじょう~」
見ているアニメのものまねをして、はなしをしてくれて。
私を守ってくれた魔法のような、少女。
でも……
「ななちゃん、私……もうすぐ長野の学校に転校するんだ。」
「そ、そんな…… 転入して1年もたってないのに……」
(これから、どうすればいいのかな……)
(だれも、私を助けてくれる人がいなくなっちゃう……)
「…………」
「ななちゃん、手出して。」
「?」
私は、いわれるがままに手をだした。
「はぁぁ~~~!!」
彼女は気合いを入れて手を握る。
力を入れている訳ではないから痛くはなく、むしろ温かい。
数秒間それが続いた。
そして彼女が手を放すと、
「私の力、ぜんぶあげたから。」
「!!」
「これで立派な…… 魔法少女になってね☆」
「ええっ!?」
それっきり彼女には会っていないけどきっと今も元気でいるはず……。
なぜだか分からないけど、分かります……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「仁奈ちゃん。 菜々が時間を稼ぐからその隙に人間に戻ってさっきの警官のところに逃げて。」
その台詞が菜々の頭に浮かんだときには、
頭から血を流して地面に倒れていた。
「菜々おねぇさん!!」
仁奈は人間に戻り、菜々の身体をゆらした。
菜々を撃った男の人達は、騒いでいる。
「おい、一般人を殺害してしまったぞ!」
「わ、私は仕方なく撃っただけで……」
「おいお前ら落ち着け。熊の駆除を邪魔したあの女が悪い。」
「そう……だよな。」
仁奈は泣きながら菜々の身体に抱きつく。
「それよりあの子ども……、熊じゃなかったか? いや気のせいだよな。」
「!!」
「私も、熊が子どもに変化したようにしか見えなかった……」
「落ち着けよ……あの子どもは幻覚だ。 俺は騙されない。」
「じゃあどうするの?」
「駆除するっ、熊は2頭出ていたとの情報だ。 両方殺すまで終わらない……俺は騙されない!」
「……外すなよ」
男の一人が仁奈に銃を向ける。
その時、菜々の身体が輝きだした。
―――― 07:07 菜々が頭を撃たれた時刻 NGがライブ会場へ向かう途中
ブロロロロ……
「…………」
凛は、景色を眺めている。
(喫茶店で見た、未央の後ろにあった星…… あれはスタンドじゃないのか? もしそうなら、なんでガラスの靴を履いていない未央に出たの?)
(靴を履く以外にもスタンドを手に入れる方法があるのかもしれない)
(それと、卯月の傷が治ったのは未央の能力……?)
(いや、あのとき近くにいた人間は)
「ねぇしまむー、なんか変な感じしない?」
「え? それってどういうことですか?」
「!!」
「兎が居る!!」
車の外には、兎が走っていた。
「一匹や二匹じゃない、大群だ!! どこかに向かって移動している!!!」
「しかも何匹が轢いてしまっているはずなのに、死体どころか傷すらない!!」
「な、なんだこの兎はぁ!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
―――― 東京都内
「おなかへった~」
「犬が、動物が言葉を喋ったあぁ!!!」
「うわぁあああ!!!!!
今度は空からお菓子が降ってきたあああ!!!」
「か、枯れてしまった桜のっ、花が咲いたぁっ!!」
「いったい!? 一体何が起こったんだあああぁぁぁ!!?」
ツイッターに様々な動画が投稿された。
結局は、全部偽物と認識されてしまったが……
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
菜々の身体は光り続けたままだ。
そのまぶしさで、男は銃で狙えないでいる。
「なんだ、この光……?」
「あたたかいような……?」
「菜々おねーさん……?」
仁奈は菜々の顔を心配そうに見る。
「仁奈ちゃん、ナナはもう大丈夫だよ。」
菜々は静かに目を開いた。
そして起き上がった彼女の服は、さっきまでと違うものになっていた。
戦闘に最適化されていて、アイドルのように可愛いらしいその服はまるで――
「魔法少女ナナ、参上っ!」
アニメから出てきた魔法少女そのものだった。
「おい、あの女死んだはずなのに起き上が」
「なんで仁奈ちゃんに銃を向けているんですか?」
ナナは男に、まばたきより速く近づく。
「ひっ、俺たちは熊の駆除のために出動しただけで……」
「でも、熊じゃなくて女の子に銃向けましたよね? なんでですか?」
「それは……その…………、すみませんでした!!」
男達は菜々に向けて頭を下げた。
「対象が違います! 仁奈ちゃんに謝ってください!」
「すいませんでしたっ!!!」
男達は仁奈に謝った。
「もう熊は出ませんから安心してください。」
「……ってなんですかこの服は!!」
菜々はようやっと、自分の服が変わったことに気付いた。
頭の銃創も、きれいさっぱり消えていた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
質問や感想等受付中です。
第1章の終わりに、スタンド設定を投稿しました。
よろしければご覧ください。
なお、第2章のスタンド設定は第2章の終了後に投稿する予定です。