仁奈を安心させるために菜々は――
「えっ、この服いつの間に着替えたのでしょうかっ」
「それに、右手に握られたこのステッキは…… アニメで主人公が持っているものと似ている……?」
「いや、服も…… いったいこれは……、なんのコスプレですか……?」
「菜々おねーさん? 元のきもちになりたいなら、願えばいいですよ!」
仁奈が菜々に助言をする。
「元に? えっと、神様仏様ウサミン神さまどうかナナを元にお戻しください……」
菜々は目を閉じて祈る。
再び目を開くと――
「あれ? 服が元に戻ってます!!?」
「仁奈ちゃん、いったいこれは!?」
「になとおんなじですよ! なりたいものになれるです!」
「なりたい……もの……?」
「ちょっと、いいですか?」
男が走ってこっちにやってくる。
「あ、さっき会った警官さん!」
「…………」
仁奈は菜々の後ろに隠れる。
「さ、さっきはすみませんでした……」
「いえ、大丈夫です。 それよりもその子を渡していただけますね?」
「それについてなんですけど…… 親元に帰すってことは、仁奈ちゃんの親とは連絡が取れているんですよね?」
「ええ、まぁ」
「じゃあそれなら、菜々が仁奈ちゃんの親のところまで一緒について行くことって出来ますか?」
「は?」
「仁奈ちゃんは、怖がっているみたいで……、でも私と一緒ならきっと安心すると思うんです! お願いします!」
菜々が頭を下げると、警官は渋々了承した。
「それでは、ついてきてください。」
「はい!!」
菜々と仁奈がついていった先は、事務所みたいな建物だった。
「もうすぐ、仁奈ちゃんのパパとママが来るんですよ」
警官は、そう言いながら菜々と仁奈にお茶を出した。
「ありがとうございます。」
菜々はそのお茶を飲み――
ゴトッ
倒れた。
「菜々おねーさ……もごっ!?」
仁奈は口を布で塞がれ、気を失った。
「はっ!」
菜々が目を覚ますと、そこには誰もいなかった。
「に、仁奈ちゃん!?」
「えっと、たしか仁奈ちゃんの両親がここに迎えに来るって……」
「それで、お茶を飲んで……」
『そいつおまわりさんの気持ちになれてないですよ!』
「まさか、嘘だった……?」
「この、警官の名刺も仁奈ちゃんを両親に会わせるって話も、嘘……?」
「仁奈ちゃん!? どこですか!!?」
(はっ、時計……)
「は、8時……7分…………。」
(1時間も経っている! もう仁奈ちゃんはどこかに―― !?)
ふと頭に、ひらめきのような感覚が生まれた。
「仁奈ちゃんは、南南西の方にいる?」
(これって気のせい……? なんの根拠もないけど、確かにそこにいる気がする!)
「でも、気のせいだよね? この事務所に手掛かりみたいなものはない、かな?」
菜々は、事務所の引き出しを開けるがそこには何もなかった。
「っ! 南南西に行かなきゃいけない気がする…… とっても……」
菜々は走りだした、魔法少女の服装で。
「……」
「…………」
「………………?」
仁奈は目を開いた。
(床が……、つめてーです……ここ…………どこでやがりますか……)
仁奈は口をテープで塞がれ、両手両足を縄で縛られている。
「おい、例のクソガキ思ったより早く起きたぞ。」
菜々と会った偽警官は、どこかに向けてそう言った。
すると、さらに2人の男が出てきた。
どちらも手にマチェット(中南米の現地人が使う山刀)を持っている。
「はぁ…… ったくなんでわざわざこんな面倒くせぇことしなきゃいけねぇんだ。」
「仕方ないだろう。 万に一つでも取引情報が流出する可能性を無くすためさ」
「ってことで嬢ちゃん。 恨むならその取引を目撃して警察とあんたに連絡しようとした親を恨めよ。」
男は仁奈の腕をつかみ、マチェットで勢いよく右手を切り落とした。
――――数日前の朝
「先月、動画投稿サイトに殺人の動画が投稿され、大きな話題となりました。」
「今のところ犯人は特定されておらず、動画の内容からして世界的な犯罪組織である可能性が非常に高く――」
「本日は専門家から話を聞きたいと思っております。」
「うん、今回はね。 これはね、見せしめの意味が強いと思うよ。」
「なんでも被害者は、海外で働いている日本人だよ? 別に警察とか、(その人が)麻薬に関わっているわけじゃないの」
「それか偶然、関わってしまったって可能性もあるけどね。」
「まぁどっちにしろ、迂闊に近づくのは危ないね。」
「2人の被害者は結婚していて子どもが日本にいる、という噂がありますが。」
「まぁ子どもを置いて外国で働く親ってどうなんですかね (子どもは)いないんじゃないんですか。」
菜々は自宅で、テレビを見ながら朝の支度をする。
「恐ろしい事件ですね……」
ばたん、がちゃ。
そうして菜々は、346カフェへと向かう。
入口から入ろうとしたとき――
にゃー
足下に1匹の猫がいた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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第1章の終わりに、スタンド設定を投稿しました。
よろしければご覧ください。
なお、第2章のスタンド設定は第2章の終了後に投稿する予定です。