新しい戦いも始まる。
仁奈が目を開いて、最初に見たのは菜々の寝顔だった。
「! 菜々おねーさん! おきてくだせー! このままだとライブに遅刻しちゃうですよ!!」
「はっ!!」
8時49分
「リハーサルは10時開始なので、一応まだ間に合いますね……」
「れっつごー!!」
「あ、待ってください!」
走り出す仁奈を菜々は追いかける。
「……………………」
「?」
仁奈は突然速度を落とし、ついには止まった。
「パパ……、ママ……、どこにいきやがったですか……?」
「っ――――」
菜々は仁奈を抱きしめた。
(仁奈ちゃんを捕まえたこの人達と、ニュースでやっていた犯罪組織……)
(関係があるのは間違いない!)
菜々は近くにあったパソコンを見た。
そこにはいくつか動画があった。
そのひとつを仁奈には見えないように再生する。
「……………………っ!」
菜々の顔は急に青ざめた。
(この前の毒餌の通行人といい、こんなことを平然と行う人が世の中にいるんだ……)
(仁奈ちゃんが襲われたのは、両親がこの人たちに一矢報いたからだ! きっとその腹いせに……)
「守ってあげなきゃ……」
「え?」
「仁奈ちゃん。 もしよければ、菜々のおうちに住みませんか?」
「い、いいですか!?」
仁奈は顔を明るくした。
「うん、お母さんとお父さんが見つかるまではうちを自宅だと思っていいですよ。」
菜々の顔は、決して明るくはなかった。
(仁奈ちゃんは、この動画のことはまだ知らないほうがいい…… 両親がもうこの世にいないという事実も!)
(だから菜々が、この子を守ります!)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――――09:14 346プロ 1号館18階
多田李衣菜は、プロデューサーがいた事務室の扉の前にいる。
「なにか、手がかりがあるかも……」
李衣菜は扉を開けた。
そこには1人の女性が立っていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――――09:48 ライブ会場 控え室
「もうすぐリハーサル始めまーす」
「は……はい!」
卯月は緊張した声で返事をした。
「卯月、緊張してる?」
「り、凛ちゃん! 大丈夫だよ!」
「ねぇ、しまむー、しぶりん……」
「ん?」
「どしたの?」
「私たち、挨拶回りやってないけど、大丈夫かなぁ……」
「あ」
そこに美穂がやって来た。
「大丈夫だよ。 まだ私たち以外の参加者が来てな……」
バタン! 扉が開いた。
「お、遅くなってすみません!」
菜々が入ってきた。
「いえ、大丈夫ですよ。 ほら卯月ちゃん。」
「は、初めまして! 新人の島村卯月、17歳です! よろしくお願いします!!」
「はじめまして、安部菜々です。 よろしくお願いします!」
「あれ」
美穂は菜々が連れている子どもに気付く。
「菜々ちゃん。 その子、誰ですか?」
「えっと、菜々の親戚……ですね。 ライブの見学したがってて! つい!」
「へぇ、名前は?」
「いちはらになです!」
「そう。 仁奈ちゃん、ゆっくり見学していってね!」
そして皆はリハーサルに向かった。
(まだ1人、来てないけど……)
小日向美穂は心配そうな表情をする。
同時に凛もどこか考えているような表情をしていた。
(もしスタンド能力が『うつる』ものだとすれば、安部菜々はもうすでにスタンド能力を身につけている……?)
(まぁ操られていないようだし、卯月や未央もいるから大丈夫だとは思うけど……)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
――――ほぼ同時刻 事務所1号館1階 応接室
「佐久間まゆさん。 新しい仕事を取っていないとのことですが、これからはどうするおつもりでしょうか?」
「はい。 しばらくの間、仕事は取らずにレッスンに専念したいと思っています。」
(……………………)
(2人の女があの部屋に入った…………)
(しかも、片方は感染して発現してしまってる……)
(スタンド能力が!!)
(最初は、入った人をリボンで操って帰すつもりだったけど……)
まゆは、美穂のライブのチラシを手に取った。
(今日行われる『NGの初ライブ』、潰しておきましょう……)
「そのついでに、ひと手間加えますか……」
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――――12:46 ライブ会場 控え室
みくは相変わらず、手と脚を縛られていた。
「ひどいにゃ……」
「その台詞、みくちゃんに言われたくないな。」
美穂が、みくのいる控え室に入った。
そしてみくを縛る縄をほどく。
「な……なんでにゃ……?」
「君にはライブを見る義務がある。」
――――舞台袖
「あ、美穂ちゃん!」
「卯月ちゃん、未央ちゃん。 もうすぐ本番だけど緊張してる?」
卯月は少し下を向く。
「…………ちょっとだけ」
「私、不思議と緊張はしてないかな。」
それに反し、未央は何事もないように言った。
「えっ!?」
「みんなが猫にされたときと比べると、落ち着いてる。」
「そっかぁ……。 凛ちゃんは?」
「私は…………不安かな。 手の震えが止まらなくてさ。」
凛は卯月に震える手を見せた。
「凛ちゃん! 私たちがいるよ!!」
卯月は凛の手を握った。
その瞬間、美穂がものすごい顔をしているのを未央は見た。
だが、
「私たちだけじゃないよ。 猫だらけの会場を見て思ったんだけど、このライブはたくさんのスタッフさんに支えられて出来ている。」
「その人たちやライブを観に来てくれる人たちは、私たちじゃなくみほちーのライブを楽しみにしているのは分かっている。」
「…………」
「いつか、私たちニュージェネレーションだけの力で、これだけの人を集めたいですね。」
「そしたら、しぶりんも私たちだけじゃなくファンのみんなと一緒だから安心できるよね!」
「そのために……」
「わかってる。 このライブで、皆に知ってもらおう。」
『私たちを!』
そして13時、小日向美穂のライブが始まった――
最初は美穂のソロ曲、次に自己紹介とニュージェネレーションの紹介、NGの初ライブ――
それを観客席の後方でみくが見終えた後、次の敵はやって来た。
「うぅ……、う……。 みくは……みくは……おバカにゃあ……」
「へたくそ……だけどっ、つよい……いしを……かんじるにゃあ……」
「それをっ、自分勝手に……、他人の邪魔して……、汚いのは……みくの方だにゃ……」
「それに、りーなちゃんに……顔向けできないにゃ……」
「あ、みくちゃんだ。」
「にゃ? キミはたしか……」
「これ、おいしく出来たからプレゼントするね!」
そいつはプレゼントの箱を持っていた。
「これ、何にゃ?」
『美味しいハンバーグだよ。 みくちゃん。』
「ハンバーグ?」
みくは箱をおそるおそる開けた。
中にある皿の上には、確かにハンバーグが乗っていた。
アツアツで湯気が立っている。
そしてそのつけ合わせには――
「これは、りーなちゃんの!?」
多田李衣菜のヘッドホンが入っていた。
「お料理、得意なんです!」
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
質問や感想等受付中です。
第1章の終わりに、スタンド設定を投稿しました。
よろしければご覧ください。
なお、第2章のスタンド設定は第2章の終了後に投稿する予定です。