しかしその次に歌う小日向美穂は、響子にやられて足が使えなくなった。
スタッフは美穂がいなくなったと思っているようで焦っている。
どうにかして菜々は時間を稼ぐが、もうダメ……
そこに現われた少女とは!?
「この状況……」
「どう説明しよう……」
「だ、大丈夫ですか?」
スタッフは卯月のもとへと近寄る。
「ち、近づいちゃだめ!!」
「で、でも下半身が埋まってますけど……」
(まぁそう見えるよね…… 実際は下半身崩れてるんだけど)
「こ、ここらへんは老朽化してて穴が開いちゃったみたいで」
「あれ、セッティングやリハーサルのときはなんともなかったのにな……」
「そ、それは……」
卯月が慌てていると、スタッフは、はっとして自分がなんのためにここに来たのかを思い出した。
「ところで小日向さんはどちらにいるか分かりますか? 探しているんですけど、どこにも見当たらなくて……」
「う」
(どうしよう! 正直に言ったらスタッフさんを戦いに巻き込んでしまう!!)
「わ、わかりません…… お手洗いに籠っているんじゃないんでしょうか……?」
「トイレは女性のスタッフによって確認済ですが……」
「え゛っ!?」
「困ったなぁ…… もうすぐ安部さんのステージが終わりそうなのに……」
スタッフは焦る。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ステージ上では、菜々の曲が終わった。
そして菜々は舞台袖の方向を向くと、フリップが見えた。
『小日向美穂失踪 もうすこし のばしてください』
(えっ、失踪!?)
しかしすぐに時間を延ばす努力をした。
「え、えーっと……、美穂ちゃんは着替えに手間どっているそうなので……」
「手品をします!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「みほちー、間に合うかなぁ……」
「未央ちゃん未央ちゃん!」
「どうしたのしまむー?」
卯月はスタンドを出して地面を触っていた。
「動けそう?」
未央は足が地面に埋まっており動けなかったが……
「あれ、足が抜けた!!」
「地面と友達になって未央ちゃんを助けるようにお願いしたんです!」
「しまむーありがとう!! しぶりんの所行ってくる!」
「待って! みくちゃんを探して。 多分観客席にいると思うから。」
「……協力してくれるかな?」
「それは分からないけど……」
「…………」
未央は観客席のほうを向いた。
「わかった、探してくるね!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一方、菜々はステージで手品をしていた。
「この縦縞のハンカチが……」
手に持ったハンカチをくしゃくしゃにしている。
そして広げると……
「横縞に!!」
ただ向きを変えただけである。
「もうこれ以上引き伸ばせない……」
(仁奈ちゃんのときみたいに美穂ちゃんの居場所を探すこともできると思うけど、服装が変わっちゃう……)
(美穂ちゃんが戻ってくるのを待とう……)
「よ、横縞のハンカチが!! 縦縞に!!!」
案の定、会場がざわめく。
「美穂ちゃん、どうしたのかなぁ……」
「何があったんだろう……」
「縦縞か横縞かってここからじゃ見えないんだけど」
(…………)
菜々の額から冷や汗が出る。
(美穂ちゃん……)
「菜々おねーさん!!」
声の聞こえた方向には、小日向美穂がいた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「みくちゃん、なかなか見つからないなぁ……」
未央はみくを探している。
「菜々おねーさん!!」
未央の前を美穂が横切る。
「あれ、みほちー! なんでここに?」
美穂は未央を気にすることなくステージに上がった。
そして曲が始まる――――
「あれ、この曲って……」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(私の曲です! でもなんで?)
ステージ上の菜々は驚いた。
セトリ上では次は美穂の曲のはずなのに、かかった曲は菜々の曲だった。
舞台袖の方を向くと、そこではまたスタッフがフリップを出していた。
「小日向美穂 発見しました」
スタッフは別のフリップに変える。
「安部さんの曲以外振り付け完全に忘れたらしいです」
(…………振り付けを忘れた?)
(いや、逆にナナの曲の振り付けを覚えている……?)
「まさかっ!! 仁奈ちゃん!?」
美穂は菜々の方を向いた。
「振り付けは、覚えてるですよ!」
(これなら……いけるかも……!!)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「みくちゃんも、やられてたんだね……」
「そうにゃ。 足が崩れたにゃ」
みくは地面に倒れていた。
「そっか…… 今、みくちゃんのようなスタンド使いに襲われて困っていたんだけど……」
未央は後ろを向いた。
「あとで、助けに行くから」
「ま、待つにゃ!!」
みくの呼びかけに、足を止める。
「何?」
「あいつと……戦ってるのかにゃ?」
「しぶりんが、だけどね。 私もすぐに加勢する。」
「じゃあ、これを受け取るにゃ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「美穂ちゃん…… なんで凛ちゃんを置いてライブに戻ったの……?」
卯月は舞台袖から美穂(本当は仁奈)を見て驚いた。
それに反し、スタッフは美穂が見つかったので安心した様子で舞台袖を離れた。
「凛ちゃんは、どうしたの……」
「卯月!! 未央は!?」
凛が戻って来た。
「凛ちゃん!」
「みくちゃんを探しているよ! 猫の能力なら私抜きでもリボンを封じ込めると思って……」
「そう。 美穂は足をやられて動けなくなった」
「え?」
卯月はまた驚いた。
舞台上の美穂は足を怪我していないからだ。
元気に踊っており、彼女らしくない。
「美穂ちゃんって……」
「それより卯月、逃げられた。」
『!!』
1人、近づいてくる。
「誰?」
それは、さっきとは別のスタッフだった。
「なんだ……スタッフさんでしたか……。」
卯月は安心するが、凛の顔は険しい。
「気を抜かないで、卯月」
するとスタッフは近くにあったギターを武器に2人に襲いかかった!
次回の投稿は、1月5日を予定しています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
質問や感想等受付中です。
第1章の終わりに、スタンド設定を投稿しました。
よろしければご覧ください。
なお、第2章のスタンド設定は第2章の終了後に投稿する予定です。