デレのジョな冒険 スマイリングシンデレラ   作:並び替え

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卯月達の初ライブは、成功だった。
だが誰も守れなかった……


第32話 ライブ終了!!

 

――――18:00 346カフェ

 

『本日の18時のニュースです』

『千葉のライブ会場にて、21人が死亡する事件が起きました』

『この……』ぷつん

 

 凛はテレビの電源を切った。

彼女の視線は、卯月に向いていた。

「守れなかった……」

「須田さんも黒澤さんも徳田さんも萩原さんも赤星さんも……」

 その卯月はテーブルに突っ伏して泣いていた。

「卯月」

 凛は呼びかけるが……

「重村さんも弘田さんも棚瀬さんも松田さんもっ!!」

 聞こえていないようだ。

代わりに卯月の声がよく響く。

「卯月っ!!」

 凛はテーブルを叩いた。

「はっ!!」 

「響子が出てきてから、スタッフは殆どいなくなっていた。」

「私や、卯月や未央や美穂が何をしても…… 助からなかったんだよ!!!」

卯月と凛の目が合った、その目には涙が浮かんでいた。

 

「しぶりん……」

「凛ちゃん……」

 未央と美穂が見ている。

そこに、菜々がやってきてテーブルの上にコーヒーを置く。

「これ、サービスです」

 ことっ、ことっ、ことっ、ことっ。

コーヒーは、4個置かれた。

美穂はそれを飲んだ。

 

バ タ ン ! !

「!!」

 卯月たちのいるカフェの扉が突然開く。

「ダメだった!! みんなっ!」

 涙で顔をぐちゃぐちゃにした響子が入ってきた。

 

「誰も私の話を信じてくれない!!!」

 

「犯人は私なのにっ…………」

「李衣菜ちゃんじゃないのに……!!」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 私、渋谷凛は響子の泣き顔を見て何も言うことができなかった。

響子が目を覚まして卯月たちを治した後、警察が来た。

会場の控え室の一室に、多数の死体があったのをたまたま生き残ったスタッフさんが通報したらしい。

響子が中に入って操られていたスタッフの人は、みんな死んでたんだ。

 

 だが、おかしいのはここからだ。

なんと警察はその犯人を、みくの友人である多田李衣菜と断定した。

死体のあった部屋に、李衣菜の指紋が付いた包丁があったかららしい。

そして彼女は、ライブ会場の屋上から飛び降り自殺したそうだ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「違う…………」

 響子の後ろからもう一人が、店に入って来る。

「りーなちゃんは……、そんなこと絶対にしない……」

「人殺しも……飛び降り自殺も……誰かが仕組んだんだ……」

 みくだ。

みくは響子を睨みながら言っていた。

「思い出して! りーなちゃんをどうしたの!?」

「思い……だせない…………」

 

 コトッ

 

 何かが置かれた音がした。

「!!」

 みくはその方向を見る。

「ビデオカメラ…………? 映像が入ってる……」

 みくはテーブルの上にカメラを置き、再生した。

 

 映ったのは控え室の一室、響子と李衣菜がいた。

「ここにプロデューサーがいるらしいよ」

 響子がそう言って部屋を探す。

「この会場に?」

 李衣菜は部屋を見渡した。

「でも、どこにもいないよ?」

「あれ、響子? どこ?」

 響子は地面に消えた。

そして李衣菜の後ろから――

「ぁ………………」

 響子の能力によって、李衣菜はドロドロの肉塊になってゆく。

そして響子は、どこに持っていたのかガスコンロやフライパンを取り出した。

李衣菜の肉塊の一部を手に取り、こねる。

 

「これは……」

 凛は血の気の引いた顔をしている。

「料理、料理です……ね」

 美穂も顔が少し青い。

 

 じゅぅじゅぅ、じゅうじゅう……

 そうして、ハンバーグが完成した。

それを持って、響子は部屋を出た。

 

 そこで映像は終わった。

 

 

 

 ドンッ!!

「よくも……よくも……」

 みくの声だ。

「ぐ……ぐるし…………」

 みくは響子の首を絞めている。

響子の顔がだんだんと青白くなってゆく

「み、みくちゃん!!」

 卯月がみくを止めに入る。

「みくちゃん! 響子ちゃんは悪くないよ! 操られていただけなんだからっ……」

「そんなの関係ないっ! こいつは……殺すっ!!」

 みくの腕に力が入る。

響子の首に、みくの爪が食い込んで血が流れる。

ぷつぷつと、染み出るように垂れてくる。

「『スマイリング!』『スマイリング!』」

 卯月のスタンド能力では、みくを止めることはできなかった。

結局、凛と未央が止めに入った。

 

「あ……あ……」

 響子は怯えている、自分自身に。

少しずつ彼女の記憶が戻っていく。

「私が……ひとりひとり……」

 下を向いて頭を抱える。

「手を突っ込んで……中をひっかきまわして……」

「こ…………ろ…………」

 

「はっ……。 こっ、この映像を警察に見せれば、私が犯人だと……」

「りーなちゃんの無実…… わか……」

響子がカメラを手に取った直後、それは爆発した。

その衝撃で、響子は自分が操られていたときの行動を完全に思い出してしまった。

「ぎゃああああああああああああああああああああ」

「あああああああああああああああああああああっあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁっぁぁぁぁ!!!!!」

 

 響子は扉を壊して外に出た。

「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 走る。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」

 走る。

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」

 声は遠くなって、聞こえなくなった。

 

「…………」

「響子ちゃん……」

 遠くなる彼女の背中を、卯月はただ見ることしかできなかった。

 

 それに対し凛は、

(動画では李衣菜の死体は部屋の中に放置されていた……)

(でも飛び降り自殺として扱われているってことは、誰かか外に運んだのだろう。)

(それに、動画には証拠品の包丁も無かった。 さらには……)

 四散したビデオカメラを手に取る。

(これ、誰が置いたんだ……?)

「まさかっ!!」

 

「『リボン』の仕業か!!! プロデューサーを探すな、という私たちへの警告なのかっ!!!!」

 

(リボン……? 響子ちゃんを操っていたこれのことか)

みくは、ポケットから響子を操っていたリボンを取り出した。

「卯月ちゃんからくすねてよかった」

ゆっくりとした足取りで、みくは店を出た。

 

(必ず仇は討つ……!!)

 

 




投稿が遅れてしまいすみません。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
質問や感想等受付中です。

次回は第2章のスタンド一覧です。
仁奈ちゃんのスタンド名も公開されます!
さらにその次から、第3章「前川みくと佐久間まゆ」編が始まります。
なお、投稿は週に1度くらいのペースとなります。 
ご理解ください。


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