デレのジョな冒険 スマイリングシンデレラ   作:並び替え

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佐久間まゆは、体力を回復できる場所を探していた。
その過程で、櫻井桃華を強盗から助ける。


桃華は、まゆになにかお礼をするようだ。


第36話 エヴリデイドリームvsキャット・ウィスカーズ その④

 

 

「この櫻井桃華、なにかお礼をいたしますわ!」

 

 

 桃華という少女は、まっすぐとまゆの目を見た。

 それに対しまゆが向けたのは、疑いの目だった。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 この子、怪しいですね……

 たしかに私は、強盗から助けました。

 でもそれはプロデューサーさんをおっさん呼ばわりしたあの男に苛立ってやったこと。

 あくまで偶然だ。 

 

 この子があの猫女の差金でなければの話ですが。

 

「お礼だなんて、要りませんよ。」

 店を出なくては。

「その背中の殿方を――」

 

 !! この女やっぱり狙って……

 

「病院まで、車で運びますわよ」

「病院はだめっ!」

 私はほぼ反射で返した。

 プロデューサーさんを病院に連れて行ったら、

 行ったら……

 

 プロデューサーさんが他の女に触られてしまうかもしれませんし。

 

「病院ではダメなんですよ。」

「そ……そうですの……?」

 

 でも、車がないのも事実ですね。

 運転手を乗っ取る体力はありませんし、ここにいてもいつかは見つかってしまう。

 

「困りましたわ……どうお礼すればよいのかしら」

「どこまで、してくれますか?」

「どこまでもお礼いたしますわ!」

 

 罠かもしれないって、分かってるんです。

 でも逃げ切るには、これしかない……っ。

「私たちを、車にのせてていただけませんか」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

―――― 15:00 レッスン室

 

「もう3時だね、今日はもう終わりにしようか」

「……はい」

 

 

 卯月の表情はあまり良くなかった。

 前日のライブでの出来事が離れないのだろう。

 

 

 美穂が卯月に近づいてくる。

「卯月ちゃん、これ」

「あっポカリ……、ありがとうございます」

 受け取ったペットボトルを、ふたを開けて飲む。

 

 ごくっこっこっこっ……

 

「卯月ちゃん?」

「ぷはっ! はぁ……はぁ……、何ですか?」

「昨日のこと、気にしている?」

 

「…………」

「あの事件が起きたのって、プロデューサーさんを探していたからだよね?」

「ほかの子に聞いてまわったけど、李衣菜ちゃんも響子ちゃんも、プロデューサーさんの情報を集めていたみたい」

「私もだよ」

 淡々と答えた美穂との会話に、凛が入る。

 

「私もプロデューサーのことを調べてた。 有効な情報は集まらなかったけどね」

「ただ、18階にあるプロデューサーの仕事部屋が怪しいとは思う。 私はそこで洗脳された。 あの2人もきっと……」

 

「…………」

「その部屋に、何かあるのかな……?」

 今度は卯月が凛に聞いた。

「少なくとも、私が操られる前に見たときはなにも無かった……ガラスの靴以外は」

 

「もう一度、行けばなにかあるかな?」

 卯月の一言に、凛ははっとした。

 

「卯月、だめだ。 きっとこれは触れちゃいけないことだ、思ったより相手は容赦ない。 博物館の展示物みたいに、触ってはいけないことなんだ!」

 凛は必死に卯月を説得する。

「じゃあ、なんで凛ちゃんは探しているの?」

「納得いかないから。 別にアイドルに興味はないけど、なんであの人が私をスカウトしたのかには興味ある」

「ってのは建前で、本当は私を好き勝手した赤いリボンが許せないだけだよ」

 つまらなさそうに、凛は答える。

「だからもうこのことは忘れて明日からもレッスン……」

 

「私も」

「卯月?」

 

「私も、あのリボンがやったことはむごいと思ってる」

「それを放っておいて私は笑顔になんてなれない」

 

「それは、戦うってこと?」

 今の発言は凛ではなく、美穂が言った。

 だがどちらにしろこの質問はされていただろう。

 

「違うよ。 私は助けたい……でも響子ちゃんは間に合わなかった、もうこんなのは嫌……」

「これ以上それを繰り返せば、『真実の笑顔』にはたどり着けない……」

 

「真実……? それって、」

 凛は不思議に思い聞こうとしたが、美穂に遮られた。

「卯月ちゃん、凛ちゃん! 大変!!」

 2人は、美穂のスマホに表示されたニュース動画を見た。

 

『さきほど、コンビニエンスストアで強盗事件が発生しました』

 現場であるコンビニが映される。

『犯人は地面に倒れており……』

 

 「あ!」

 

 コンビニの窓ガラスに、巨大な猫が走っている様子が映っていた。

 その猫に乗っている少女は――

 

 「みくちゃん!?」

 「凛ちゃん、美穂ちゃん! 行こう!!」

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 道路を一台の車が走る。

 3列シートで、1列目には桃華と彼女が用意した運転手、2列目にはまゆとプロデューサーが座っており、3列目は空席である。

(この質感……! まゆは車に疎いですが、明らかに高級車!)

 まゆは座っている座席を触り、その感触に驚く。

 

(身なりからして相応の金持ちだとは思ってましたが……)

(でもどうして、運転手は用意できるのに護衛は用意しなかったのでしょうか?)

 ルームミラー越しに桃華の顔を見る。

 彼女はそれに、笑顔のようなものを返した。

 

 そんな桃華の座席の下に、『ガラスの左靴』があることをまゆは知らない。

 

 




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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第3章に新登場したスタンド一覧は、第3章の最後のお話の最後に記載する予定です。
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