スタンド『ネイキッド・ロマンス』の能力とは――
――――11:05 渋谷駅の近く
「卯月、大丈夫かな……」
凛は呟いた。
「でも、未央も私のこと心配しているはず。 メールはしたけど。」
「それに、卯月は強い。」
――――11:05 オーディション会場の中
「あっ、ああ……! 足がっ! 地面に着かない!!」
「それどころか、どんどん離れて!」
『スマイリング!』
卯月は自分のスタンドを出し、糸を切ろうとする。
「だっだめ! 糸が切れない!」
「まだダメ…… まだ糸は切れないよ…………」
美穂がゆっくりと卯月に近づく。
卯月は糸に引っ張られ、どんどん天井に近づく
そして卯月の右肩と天井が接した瞬間――
「!!」
糸は切れた。
「うわ!」
「きゃぁぁああ!」
「やむううぅぅうううう!!!」
卯月だけでなく、ほかの人も糸が切れて落ちてゆく。
「おっ落ちる! 私だけじゃなくてほかの子も怪我しちゃう!」
『スマイリング!』
卯月はスタンド『スマイリング!』で地面を触る準備をする。
手から落ちなくても、地面に触れたところから能力を発動すればいい。
「うまくいくかな……」
卯月はそう祈った。
そして卯月達は地面に激突した。
「ふふ……」
「みんな…… まだダメだったね……」
美穂は指でバツを作りながら、そんなことを言う。
「まだ…… 終わってない……」
「!!」
卯月の声を、美穂は聞いた。
卯月達受験生は、『無傷』だった!
「そんな! あの高さから落ちれば足を挫いてもいいはず……」
美穂は驚いた。
そして卯月が言う。
「地面を……、地面を友達にしました…………」
「友達になった地面は私を、私たちを! 『柔らかく』受け入れた!」
「!!!」
美穂の額から汗が流れる……
(これが、『スマイリング!』の能力……! 強い…………!)
「みんな、今のうちに逃げて!」
卯月は受験生達に向けそう言う。
「逃げるんご~~~~」
「#…… 投稿してる場合じゃないな……」
「ひぃぃいいいい!!」
「まずい! 卯月ちゃん達に逃げられたら仲間を呼ばれる!」
『ネイキッド・ロマンス!!』
美穂がそう叫ぶと背中から大きな熊のぬいぐるみが出てきた。
卯月はそれを見た。
「くまのぬいぐるみの形の……もしかしてスタンド?」
すると『ネイキッド・ロマンス』と呼ばれたくまのスタンドの手から糸が飛び出る。
一本だけではない。何十本もある。
「!!」
「卯月ちゃん……。 私のスタンド『ネイキッド・ロマンス』の能力は糸を出して引き寄せること。」
「だから逃げている人を引き寄せるのは、簡単なんだよ。」
「そんな……」
卯月は気付く。
糸は受験生達に向けて発射されていた。
つまり、
「みんなが糸に捕まって逃げられない!!」
「…………」
「小日向、美穂ちゃん! いや、さん!」
「なんで、無関係な人を巻き込むの……?」
卯月は目に涙を浮かべる。
「いや…… 美穂ちゃんじゃない…………! 『リボン』!! 美穂ちゃんを操る『リボン』!!!」
「どうして!!! どうして…………」
どしゅ、どしゅっ!
「!!!!」
卯月は後ろを振り向く。
卯月以外の受験生達に、美穂の糸がくっついた。
(どうしよう…… 美穂ちゃんを止めるには……?)
(!! 美穂ちゃんに触れば! 凛ちゃんのときみたいに止められるかもしれない!)
「でもどうやって!? 私に糸は付いていない! 『スマイリング!』を警戒しているから!」
「つまり、美穂ちゃんは私を近づけて倒すつもりはない……」
卯月が悩む間に、受験生達につながった糸は短くなっていく。
「美穂ちゃんの所に走るしかない!」
卯月は走った、しかしその速度は受験生達が美穂に近づくよりずっと遅い。
「遅いよ卯月ちゃん!」
美穂が笑う。
「…………」
「『摩擦』があるから、遅いんだ! じゃあ、もし!!」
「『地面』と『靴底』が友達になれば!!」
卯月は突然、加速した。 明らかに走るという速度ではない。
「そんな! 速い! なんで!?」
美穂は卯月の走り方を見る。
卯月は走るというより、地面を滑っていた。
「摩擦が! ない!?」
「そうだよ美穂ちゃん! 友達になれば、摩擦はなくなるんだよ!」
卯月の靴と、靴に接する地面との摩擦。
これを取り除いたことで、地面を滑ることに成功した卯月は美穂のもとへと向かう。
「そんな…… どうすれば…………」
美穂は考える……
しかしその間に卯月は美穂のもとにたどり着く。
「ほかの人たちよりも先に、美穂ちゃんに近づいた! あとは触るだけ……」
『スマイリン……』
卯月のスタンドは、美穂に手を伸ばす。
しかし、
「!!?」
「美穂ちゃんが、一瞬で消えた!?」
卯月の手は、むなしく空振りした。
「どっどこ!? あ!」
卯月は上を見る。
すると美穂が、浮いていた。 いや、天井に糸を出して空中にいた。
卯月の頭上、手が届かないくらいに美穂はいた。
「『糸』はこんな使い方もあるんだよ。 卯月ちゃん。」
「これでオーディションの受験生たちを引き寄せて落とせば、みんな逃げられないくらいの怪我を負わせることもできるかな。」
「…………」
卯月は喋らない……
糸に繋がった受験生達は美穂のところに引っ張られる。
そして受験生達が卯月を追い越す瞬間、
「?」
卯月は受験生の一人をつかんだ。
その受験生が美穂に釣られて浮くのと一緒に、卯月はついてくる。
「!!」
卯月は糸を登り、美穂に近づく。
「美穂ちゃん、『糸』はこんな使い方もあるんだね。」
美穂は怯える。
「ひぃ! こ、来ないで卯月ちゃん!!」
卯月は美穂の手に優しく触れた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
糸こんにゃく。