第1話:似た者親子?
「…前々から思ってたんだけどよ…お前らって似てるよな。」
S.O.N.G.の食堂で朝食を食べていたテインは、翼とゴロウを見ながらそう言った。
「そうだろうか?」
「…朝から何を言っている。」
「いや、だってお前らって髪色も似てるし言動とかまで似てるだろ?」
「確かにな。
俺、最初に翼を見た時、ゴロウの母親かと思ったくらいだし。」
「は、母親!?」
アルニの爆弾発言に、思わず吹き出しかける翼。
「…偶々似ていただけであろう。
我と翼殿は親子ではない。」
「いや、そうなんだろうけどさ。
本当によく似てる事は変わらないだろ?」
「…くだらない。
今は食事中だ。食べるのに集中せよ。」
テイン達の言葉を軽く受け流して食事を続けるゴロウ。
その時、アルニとテインはお互いの顔を見つめて、ニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべた。
朝食を食べ終わった後…。
「なあ、2人共。
ちょっとそこに立ってくれねぇか?」
「む?食事も食べ終わったから、別に構わないが…。」
「…何を企んでいる。」
「いや、大した事じゃないさ。」
「そうだぜ。
いいからそこで横に並んで立ってくれよ。」
「…わかった。」
訝しみながらも、翼の隣に立つゴロウ。
「よし。
ゴロウ、ちょっとそのまま動かないでくれよ…。」
そう言うと、アルニとテインはゴロウの髪をいじり始めた。
「えーと、ここをこうして…こんな感じで…。」
「これを使って止めれば…出来たぜ!」
少しすると、ゴロウの髪をいじるのを止める。
「?…なっ!?」
翼が不思議に思いながらゴロウに目を向けると、髪型が自分とそっくりにされたゴロウの姿があった。
「どうした。」
「ちょっと…コレを…。」
「?…っ!?」
首を傾げるゴロウに手鏡を渡す翼。
その鏡面に映った自分の姿に、流石のゴロウも目を丸くした。
弄ったアルニ達はというと、腹を抱えて大爆笑していた。
「ブッハハハハハ!?
やっぱどう見たって親子にしか見えねぇよ!?」
「ハハハハハ!
本当それな!その髪型にすると益々そっくりだな!?」
「…笑うのもその辺りにしろ。
さもなくば、この太刀で2人とも斬り捨てる…!!」
「ッてオイ!?
マジで抜刀しようとすんなバカ!?」
「わかったわかった!
俺達が悪かったから、太刀から手を離せ!?」
背中に背負っていた太刀を握りながら言うゴロウを見て顔を青ざめさせながら言う。
「…チッ。」
小さく舌打ちを打ち、太刀から手を離すゴロウ。
そこへアインスとスィーヨ、エルフナインがやってきた。
「…やれやれ。
相変わらずだね…。」
「うん。」
「あの…放っておいても大丈夫なんですか?
先程、大変な事になりかけていた様な…。」
「大丈夫だよ。
ああやってじゃれ合っているだけだから。」
「ゴロウ本人も、顔に出さないだけでそれをわかっているからね。」
「…む、アインス達か。」
「皆、おはよう。」
「なーなー、アインス!
翼とゴロウって似てると思わねーか!?」
「どうしたの藪から棒に。」
「いや、翼とゴロウって側から見たら親子に見えるよなって話をしてたんだよ。」
「ああ…それであの髪型なんだ。
…まあ、確かに似てるよね。」
「なっ…!?」
「うん。
初めて見たら親子って言われたら信じちゃいそうだよ。」
「スィーヨ!?」
「僕もそう思います。」
「エルフナイン殿まで…!?」
まさかのエルフナインにまで肯定されてしまい、顔を真っ赤にするゴロウ。
それを見て、翼はクスッと微笑んだ。
「…翼殿、何がおかしいのだ。」
「いや、ゴロウもそんな可愛らしい表情をするのだなと思って。」
「…ふん。」
頬をまだ赤くしながら拗ねた子供の様なため息を吐くゴロウに対し、再びクスッと微笑む翼なのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…それから数分後、S.O.N.G.司令室に集合する様にというアナウンスが流れた為、一同は司令室に集まっていた。
「…なんか人数少なくねーか?」
「確かに、響さん達が見当たらないね。」
「響ちゃん達は、今は学校の時間だからね。」
「そういやアイツ等って本来なら学校行ってる年齢だったな。」
「司令。
今回集まった理由は?」
「今回は、ギャラルホルンで並行世界に向かってもらおうと思っている。」
「ギャラルホルンがアラートを発したのですか?」
「いや、今回は並行世界間での情報共有が目的だ。
ここ最近の出来事と同じ様な事が、並行世界の方でも起こらないとは言えないからな。」
「それなら、今回は私が向かいます。
今ここにいる装者は、私だけですから。」
「ああ。よろしく頼むぞ、翼。」
「本当はぼくも一緒に行きたい所なんだけど…無理なんだよね。」
残念そうな表情になるスィーヨ。
弦十郎も似た表情を浮かべる。
「うむ…流石にコレばかりは我々でも対応できないのでな…。」
「つーか、こないだザックリ説明してもらった上での疑問なんだけどよ。
なんで、ギャラルホルンはシンフォギア装者しか通さないんだ?」
テインの放った疑問には、エルフナインが答えた。
「その理由は、僕達でもハッキリとはわかっていないんです。
ただ、ギャラルホルンが装者だけを通すのは、その並行世界での異変を解決出来る力を持った存在を選別しているのではないかと言われています。」
「選別…つまり、ギャラルホルンがその世界の異変を解決出来る力を持ってる奴を選んでるってのか?」
「まるで生き物だね。
聞けば聞く程謎が深まる物だね、ギャラルホルンって。」
「ましてや、俺たちがこの世界に来た原因でもあるからな。」
「しっかし、そこまで言われると、どんな物なのか実物を見てみたくなって来ちまったぜ!」
「僕も気になるね。
弦十郎さん。
僕達にそのギャラルホルンを見せてもらえないかな?」
「む…しかしな…。」
アインスのお願いに対し、難しい表情になる弦十郎。
ギャラルホルンは異世界を繋げるというあまりにも強力な特性を持った完全聖遺物。
簡単に見せて良い物ではないのだが、アインス達はそのギャラルホルンによってこの世界に迷い込んでしまったので、その原因である物を見てみたい気持ちはよくわかっていた。
「…僕達からギャラルホルンに関する情報が漏れてしまうかもしれないって思ってるのなら、大丈夫だよ。」
「ああ。
オレ達も、事の重大さは理解してるからな。
誰にも言わねーよ。
それに、どーせオレ達はそのギャラルホルンのゲートを通れないんだしな。」
「…ふむ…わかった。
では、翼を見送るという事で君達にギャラルホルンを見せてあげよう。」
「そうこなくっちゃな!」
「ありがとうございます。」
「では、翼はギャラルホルンを渡る準備をしていてくれ。」
「分かりました。」
「アインスさん達は、先にギャラルホルンの元へ案内しますね。」
「エルフナインさん。
ありがとう。」
「それでは、ついて来てください。」
こうして、アインス達はエルフナインに案内されて、完全聖遺物『ギャラルホルン』を保管している部屋へと案内された。
…この後想定外な出来事が起こる事は、まだ誰も知らない。
いよいよ新章突入!
物語はここからが本番です!