戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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第4話:夜闇の襲撃者

「…いやぁ…みっともない所見せちゃったな…ハハハ…。」

「奏…落ち着いた?」

「ああ。

それと一緒に、事情も把握できたよ。」

「…理解していただけた様で、何よりだ。」

翼、奏、ゴロウの3人は司令室に向かいながら話していた。

 

「えーと、簡潔に纏めると、だ。

ここにいるゴロウは、並行世界から翼達がいる世界に迷い込んだ人達の1人で、現時点では協力者って事だな。」

「…然り。」

「しっかし、モンスターがいる世界か…まるで夢物語だな…。」

「私も、最初に聞いた時は同じ事を考えた。

でも、実際にこの目で見て戦ったから、信じられる。」

「まあ、あたしも信じるよ。

実際それっぽいのと戦っている訳だし。」

「…それは、ノイズとやらの事か?」

「いや、それもそうだけどそういう事じゃなくて…っと、司令室に着いたな。

続きは報告の後だな。」

そう言って、3人は二課の司令室に入った。

 

「いらっしゃーい!

あらあら?今日は可愛いお客さんもいるのね?」

司令室に入った3人を出迎えたのは、

眼鏡をかけた白衣の女性、“櫻井 了子”だった。

 

「お久しぶりです、櫻井女史。

今日は情報共有の為に参りました。」

「ありがとう。

さて、今回はどんな情報かしら。

見るのが楽しみだわ〜?」

「…ところで、翼。

そちらの子は一体?」

報告書類が入った封筒をウキウキしながら受け取る了子。

そんな中、ゴロウに目を向けて並行世界の弦十郎は尋ねた。

 

「…我は“ゴロウ”。

並行世界からやってきた。」

「彼は、私達のいる世界で起こった異変を解決する協力者です。」

「彼が、か…?」

「…然り。

一応、我も戦う事はできる。」

「そうなのか…?」

「翼から聞いてはいるけど、本当にお前戦えるのか?」

ゴロウの発言を聞いて訝しげな表情を浮かべる弦十郎と奏。

彼はパッと見ただけだと子供にしか見えない為、無理もない。

 

「信じるのは難しいかもしれませんが、彼の戦いの腕は本物です。

ただ、彼が使用するのは普通の武器なので、ノイズとは戦えませんが…。」

「…それ以外の敵であれば、戦う事は可能だ。」

「もらった資料を少し拝見したけど、翼ちゃんが言ってる事は本当みたいよ。」

「了子君がそう言うのであれば、確かなのだろうな。

ともあれ、今回はご苦労だった。」

「ありがとうございます。

…ところで、何かあったのですか?」

「…我も同じ事を思った。

先程から室内の空気が張り詰めている様に感じるぞ。」

ゴロウの言った通り、司令室内の雰囲気は何処かピリピリとしており、何かあったとしか思えなかった。

 

「うむ…実は、見た事のない生物が現れるようになってな…。」

「見た事のない生物…?」

「それについては、あたしから話すよ。」

「ああ、そうだな。

奏、説明を頼む。」

「あいよ。」

そう言うと、奏は翼とゴロウに話し始めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

…あれは、大体数週間程前の曇った日の夜だ。

その時あたしは、街に出現したノイズと戦っていた。

 

「たりゃあああああっ!!」

 

ーザシュッ!ザラサラァ…ー

 

「…ふう。今倒したのでラストだったよな?」

[ああ。こちらでも、作戦領域内に出現していたノイズの全滅を確認した。

今こちらから迎えを送る。それまで待機していてくれ。]

「りょーかい。」

作戦を終えたあたしは、迎えが来るまでその場で待っていた。

…でも、そんな時に、了子さんから通信が入ったんだ。

 

[待って、奏ちゃん。

作戦領域内に別の反応が現れたわ!]

「なっ!?まさか、ノイズがまだ残ってたのか!?」

[ちょっと待ってて…これは…!?]

「了子さん?」

[これはノイズではないわ。生き物の反応よ!]

「生き物?逃げ遅れた人じゃないのか?」

[いいえ、移動速度が人間のそれではないわ。

それに、まだ規制を解除してないから人が入って来れる筈が無いのよ。

数は2、真っ直ぐ向かってくるわよ!]

それを聞いたあたしは、武器をもう一度構えて周囲に目を向けてみた。

そしたら…

 

『ギャギギャギャギャッ!ギャギャァッ!!』

『ギュアーン!ギュアーン!!』

「!?」

後ろの方から足音と共に聞いた事のない鳴き声が聞こえて来たんだ。

そして、後ろを振り向いた瞬間ー

 

『ギャオォッ!ギャギャッ!』

『ギャアッ!ギャアォッ!!』

「うわっ!?」

二つの黒い影がいきなり跳び掛かって来たんだ。

ギリギリの所で躱せたけど、その時、辺りは停電してしまっていて月の光もなかったからかなり暗くてさ。

襲い掛かって来た奴の姿はハッキリ見えなかった。

でも、そいつらが人間じゃない事と、あたしに対して害意を向けているって事だけは分かった。

 

「…あたしとやろうっての?

良いぞ、売られた喧嘩は買うのが礼儀だ!

弦十郎の旦那!迎えが来るまで、少しこいつらとやり合っても大丈夫かい?」

[…どうやら、そいつらは攻撃態勢に入っている様だな。

良いだろう。

ただし、相手がどんな存在なのかまだわからない。

無理だけはするな!]

「りょーかい!

さあ、かかってこい!」

あたしは武器を構えて、そいつらと戦い始めた。

そいつらは、動きは結構単調だったから戦い易かった。

暫く戦っていると、奴らはあたしに攻撃をしなくなって来た。

 

「ほらどうした?まさかもう終わりなんじゃないだろうな?」

…この時、あたしは少し調子に乗って油断していたんだ。

だから、了子さんからの通信を聞いた時の反応が少し遅れてしまった。

 

[奏ちゃん!作戦領域内に新たな生命反応が現れたわよ!]

「…え?」

『グルルル…!ギュァアオォッ!!』

 

ードカッ!ー

 

「うぐあっ!!?」

背後からの奇襲攻撃をまともに喰らってしまったあたしは、地面に倒れた。

奇襲攻撃を仕掛けたソイツは、あたしの目の前に降り立つと、そのままあたしを見下ろして来た。

その時、丁度雲の切れ間から月が顔を出したからソイツの姿がぼんやりと見えた。

ぼんやりと見えたその姿は、大昔に生きていた小型の肉食恐竜みたいな見た目をしていたんだ。

 

「へぇ…お前がこいつらのボスって事か?」

あたしは立ち上がって武器を構えた。

 

『グオッ!グオッ!グォオオオオオオォン!!』

そいつは突然、遠吠えの様な鳴き声を上げたんだ。

そしたらー

 

『ギャギギャギャギャッ!ギャギギャギャギャッ!!』

『ギュアーン!!ギュアーン!!』

「なっ!?まだ仲間がいたのか!」

どこに隠れていたのか、更に2体現れたんだ。

数は5体になって流石にヤバいと思ったよ。

そんな時、了子さんが運転する車がやって来たんだ。

 

「奏ちゃん、乗って!!」

「了子さん!?」

「ちょっとまずいと思って来てみたら、案の定正解ね。」

「ああ!」

そうしてあたしが飛び込むと同時に、了子さんは車を急発進させた。

最初は奴らも追いかけて来たけれど、流石に車のスピードには追いつけなかった。

そうして、あたしはその場からなんとか逃げ出したんだ…。

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