戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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第2話:赤面の未確認生物

「全員、集まったな。」

超常災害対策機動タスクフォース

通称『S.O.N.G.』本部潜水艦内司令室にて、司令官の“風鳴 弦十郎”は言った。

彼の前には、7人の少女達ー1人はすでに成人している女性だがーが集まっていた。

 

「はい。装者一同、集まりました。」

その中の青いロングヘアーの少女“風鳴 翼”が答えた。

 

「いきなり招集をかけて来たって事は、何かあったって事だろ?

何があったんだ?」

白い髪をツインテールにした少女“雪音 クリス”が、弦十郎に尋ねる。

 

「うむ。

結論から言うと、“ギャラルホルン”が再びアラートを発した。」

『!!』

弦十郎の放った言葉に、少女達の表情が引き締まった。

 

ー『ギャラルホルン』ー

終焉を告げる笛の名を持つ、他の干渉を一切受け付けない完全聖遺物。

最大の特徴は、その能力。

その能力とは、“他の並行世界を繋げる”という物。

並行世界…パラレルワールドとも呼ばれる、可能性が現実に存在する世界、別名“もしもの世界”。

そんな世界同士を繋げるというギャラルホルンは、いまだに多くの謎に包まれている。

これまで、彼女達は並行世界に飛びその世界で巻き起こっていた事件を解決して来た。

そんなギャラルホルンが、今回もアラートを発したという事の意味を、彼女達は重々に理解していた。

 

「ギャラルホルンがアラートを発したという事は…また何処かの並行世界で異変が起こったという事かしら。」

成人している女性“マリア・カデンツァヴナ・イブ”は自分なりの推測を口にする。

 

「うむ。

そういう事になるんだが…今回はどうも今までとは違うケースである可能性があってな…。」

「今までとは違うケース…?」

黒髪をツインテールにした小柄な少女“月読 調”がその言葉を聞いて首を傾げる。

 

「取り敢えず、これを見て欲しい。

エルフナイン君。」

「はい。映像を出します。」

白衣を着た少女“エルフナイン”がパネルを操作すると、メインモニターに映像が映し出される。

それは、夜中の商店街の映像だった。

人の気配が無く、静まり返った深夜の商店街。

そんな道のど真ん中を、数体の黒い影が走っていっている。

 

「あっ、今何か映ったデス!」

調よりも一回り背が高い少女“暁 切歌”は、影を指差しながら言った。

更に映像が切り替わり、とある店の前の映像になる。

どうやら肉屋のようだ。

そして、肉屋の前に先程の黒い影が集まって来ていた。

ピョンピョン飛び跳ねて、大騒ぎしている様に見える。

そして、その中の内の一体が、偶々街灯の下に入り込み、その姿が明らかになる。

 

『ッ!?』

街灯に照らされたその姿は、小型の肉食恐竜の様な姿だった。

胴体部分は緑色の羽毛で覆われているが、顔の部分だけは素肌が露わになっており、真っ赤になっていた。

尻尾の先端は大きく平たくなっており小さなトゲも生えている。

 

「調!恐竜デス!恐竜デスよ!!」

「切ちゃん、一回落ち着こう。」

興奮する切歌をなだめる調。

そこで映像は止まった。

 

「…えっと…師匠、今のは?」

師匠と呼んだ少女“立花 響”は今映ったモノについて尋ねる。

その問いに対し、弦十郎は苦い顔をしながら答えた。

 

「…残念だが、現段階では俺達にもわからない。

“未確認生物”としか言えないな。」

「未確認…“生物”?ノイズではないんですか?」

弦十郎の答えに対し、響の隣にいた少女“小日向 未来”は疑問を投げかける。

その問いには、エルフナインが答えた。

 

「はい。

この映像を解析した結果、これはノイズでもアルカ・ノイズでもない、普通の生き物である事が判明しました。」

「しかし、こんな生物は今まで見た事がない。

なので、未確認生物と呼んでいるんだ。」

「確かに今まで見た事ない生き物でしたね。

でも、いつから現れていたんですか?」

「この生物が発見されたのは、ギャラルホルンがアラートを発した直後なんだ。」

「ギャラルホルンがアラートを発した直後から?

という事は…。」

「そうです。

この未確認生物は、ギャラルホルン経由で並行世界からやって来たという事です。」

エルフナインの言った事を聞いて、一同は先程の弦十郎の言葉の意味を理解した。

これまでギャラルホルンがアラートを発した時は、並行世界からノイズが流れ込んでくる事はあった。

しかし、今回はノイズではなく、普通の生き物が流れて来たので、今までとは違うケースになっている可能性があるとなったのだ。

 

「ノイズではないにしても、この生物が危険である可能性がある以上、君達にはまた戦ってもらう事になるだろう。

装者一同は、いつでも出撃できる様に、準備を怠らない様に!

以上!」

『了解(デース)!』

 

…この時、後に運命的な出会いが待っているなど、彼女達は知る由もなかった。

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