戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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第11話:襲撃者の目的

「…なるほど。

そんな事があったのか。」

S.O.N.G.司令室で、セレナからの報告を受けて、弦十郎は真剣な表情になった。

 

「まさか、セレナちゃんの世界にもモンスターが現れていたなんて…。」

「マッカォ、ランポスと来て、今度はジャギィ。

小型鳥竜種のオンパレードだな。」

「しかも、ドスジャギィもいるんだって?

今回もまた厄介な事になっちゃってるね…。」

「ええ。

だから、専門家である貴方達の意見が欲しいのよ。」

「ジャギィがその研究所をしつこく狙う理由…か…。」

考え込みながら呟くスィーヨ。

 

「アルニ。

襲撃して来た群れの中には、ジャギィノスも混ざっていたって言ってたよね?」

「ああ。

普段は巣穴からあまり移動しないジャギィノスが、なんで一緒に行動しているのか…ずっと引っかかっているんだ。」

「うーん…。」

ジッと考え込む。

 

「食べ物を求めてやって来たんじゃないデスか?」

「それは最初に考えたけど、食べ物なら他にもたくさんある場所がある筈よ。

研究所に執着する理由にはならないわ。」

切歌が自分なりに推理してみるが、マリアが最初に考えた物と同じだった。

 

「研究所じゃなければならない理由があるのかも?」

「…ここで考えていてもラチが開かないね。

よし、ぼくも並行世界へ行くよ。

直接その研究所を見れば、何かわかるかもしれない。

アインス、良いよね?」

「僕は構わないけど、弦十郎さんがどう判断するか…。」

「ふむ…今回はスィーヨ君の力が必要だからな…わかった。

スィーヨ君、並行世界に渡る事を許可する。」

「ありがとうございます。」

「アタシも行くデス!」

「私もセレナの力になりたい。」

「では、マリア君、切歌君、調君、アルニ君、スィーヨ君、セレナ君。

速やかに、並行世界へ向かってくれ。」

『了解(デース)!』

「それじゃあ、行くぞ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「到着だ!」

それから1時間後、アルニ達はセレナの並行世界にやってきた。

 

「おっとっと…!

ここがセレナさんが暮らす並行世界…。」

「私達は何回か来てるけど、今の所変わった様子は見当たらないね。」

「さて、時間が惜しいわ。

早速研究所へ行きましょう。」

…数分後、アルニ達は研究所前に設置されたバリケードに着いた。

 

「この松明のバリケード…もしかしてアルニが?」

「ああ。

ジャギィ達の侵入を抑え込むためにな。」

「なるほど…それで、あの建物がセレナさんの拠点である研究所なんだね?」

「はい。」

「…ふむ…。」

研究所や周囲を観察しながら、スィーヨは考え込む。

 

「(群れを形成して行動するジャギィ…。

その中に混ざっていたジャギィノス…。

恐らく、攻撃命令を出しているのはドスジャギィだよね…。

ジャギィノスが卵を守らず積極的に攻撃に参加する理由として考えられるのは…。)

…あ。」

何かを閃いたかの様に顔を上げる。

 

「何か閃いたのか?」

「…うん…。

確証はないけど、もしかしたらって言う理由は思い付いたよ。」

「本当ですか!?」

「流石だな。

じゃあ、その理由とやらをナスターシャさんに聞いてもらうとするか。」

そう言うと、一同は研究所内に入って行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「住処を得る為?」

研究所内の会議室で、スィーヨの推測を聞いたナスターシャは呟いた。

 

「そう。

ジャギィ達がここをしつこく狙う理由は、この研究所を自分達の巣穴にする為なんだと思う。

この研究所は、雨風を凌げるし、広さも十分ある。

食料もあるから、ジャギィ達が住むのに適しているんだよ。」

「なるほどな。

群れで住処を変えていた途中だったから、ジャギィノスも混ざっていたって事か。」

「…ですが、ここを渡す事は出来ません。」

「そうデス!

ここは、マムやセレナの家でもあるデス!」

「切ちゃんの言う通り。

ここは私達にとっても大切な場所、渡す事は出来ない。」

「それに、ここには危険な聖遺物も保管されているわ。

ジャギィ達がそれに手を出してしまったら、どうなるか…。」

「ぼくも同じ事を考えたよ。

あの世界に来る前に、ぼく達の世界でも異世界の存在が迷い込んでしまった事があるんだけど、その時の事例の一つに、異世界から流されて来たクリスタルに、クルルヤックって言うモンスターが触れた結果、性質が変化してしまったという事があったんだ。」

「ああ、そんな事もあったな。

あの時はただ巨大化しただけかと思って挑んでみたら、実はかなり強くなってたんだよな…。」

「あの時はそれくらいで済んだから良いけど、もし聖遺物にモンスターが触れて、その性質が変化してしまったら…。」

「…下手をしたら、ネフィリムの様な怪物が生まれる可能性があるという事ね。」

「その“ネフィリム”というのがどんな物なのかは知らないけど、結論的にはそういう事になるね。」

『…。』

かつて、自分達が目覚めさせてしまった存在を思い出し、マリア達は暗い表情になる。

 

「でも、どうすればジャギィはここを諦めるのかな…?」

「大丈夫。

そこもちゃんと考えてある。」

「聞かせてください。」

「ジャギィ達がここを攻撃するのは、リーダーであるドスジャギィが命令しているのと、群れが大きくなり過ぎてしまったのが原因だと考えられる。

だから、群れの総数を減らして、ドスジャギィを討伐すれば、ここを諦めるかもしれない。」

「つまり、ダブル討伐って事だな!」

「なるほど…試してみる価値はありますね。

では、今から詳細な計画を練りましょう。

スィーヨさん、貴方も協力していただけますか?」

「もちろんだよ。

ぼくはその為に来たんだから。」

そうして、ナスターシャとスィーヨは計画を練るのであった。

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