戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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第12話:生存競争

「皆さん、お待たせしました。」

「狗竜撃退作戦が整ったよ!」

作戦会議開始から2時間後、スィーヨとナスターシャの2人が、メインルームにやって来た。

 

「おっ、待ってたぜ!」

「こっちも準備万端デース!」

「うん。」

「セレナ、大丈夫よね?」

「大丈夫だよ、マリア姉さん。」

「…では、今から“狗竜撃退作戦”の説明を始めます。」

そう言って、ナスターシャとスィーヨの2人は作戦の説明を始める。

 

「今回の作戦の目的は、ジャギィ及びジャギィノスの総数を減らす事と、群れのリーダーであるドスジャギィを討ち倒し、群れを分散させる事です。」

「平たく説明すると、

“ジャギィ、及びジャギィノスの数を減らす事”と、

“リーダーであるドスジャギィを討伐する事”の2つだよ。」

「ジャギィとジャギィノスの数を減らす事とドスジャギィの討伐…。」

「数を減らすって言ってたデスけど、具体的にはどれくらい減らせば良いデスか?」

「ナスターシャさんから聞いた話から推測、計算してみたんだけど、恐らくジャギィ達の群れの総数は、ドスジャギィを除いて80頭を超えるみたいだから、その半数以上、つまり40頭以上討伐出来れば良いかな。」

「地味に多い…。」

「シンフォギアの力があれば多分40頭なんてあっという間だと思うけど…。

それに、ぼく達も2〜30頭くらいは討伐する事はあるよ。」

「そして、ドスジャギィを討伐する事…ね。」

「今回は、ジャギィの群れの総数を減らすグループと、ドスジャギィを討伐するグループの2つに分かれて貰います。」

「メンバーは、ジャギィの群れは調さん、切歌さん、そしてぼくの3人。

ドスジャギィはマリアさん、セレナさん、アルニの3人に分かれるよ。

僕達がジャギィの群れを小さくしていく間に、アルニ達はドスジャギィに突撃して。」

「わかった。」

「了解デース!」

「わかったわ。」

「分かりました。」

「了解だ!」

「今回は、作戦に支障をきたす恐れがある為、バリケードは撤去しておきます。」

「ドスジャギィは、遠吠えで仲間の応援を呼び寄せる事ができるから、気をつけてね!」

「作戦は、ジャギィの出現と同時に開始します。

各自いつでも出撃できる様に準備を整えておいて下さい。」

『了解(デス)!!』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

…深夜…

 

『グルルルル…。』

森林地帯の高台から、大きな影が研究所を見下ろしていた。

紫色の体毛、頭にはジャギィよりも大きなエリマキ、尾からは棘が生えている。

そして、ジャギィノスよりも大きなドッシリとした屈強な体つきをしており、その様はまさに、群れを収め、束ねるリーダーに相応しい。

ジャギィの群れのリーダー、“狗竜”ドスジャギィだ。

その背後には総数80頭を超えるジャギィやジャギィノスの群れがいる。

 

『クォッ!オーッ!オッオッオーッ!』

『グオッ!グオッ!グオーッ!!』

群れの中のジャギィとジャギィノスが咆哮をあげる。

 

『グオッ…!グオーッ!!

クォオーッオッオッオッオッオッオッ!!』

その途端、特徴的な咆哮を上げて研究所へ向けて走り出す。

ジャギィやジャギィノスも、その後に続いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ドスジャギィの遠吠え…遂に動き出したね!」

その頃、研究所の前には狩猟装備を身に付けたアルニ達と、ギアを纏ったマリア達が待ち構えていた。

 

「いよいよだな…。」

「ここからでも、足音が少し聞こえてくる…。

かなり多いみたい。」

「群れを全員引き連れて来たのかもしれないわね。」

「ああ。

ドスジャギィはどうしてもここを住処にしたいらしいな。」

「でも、そんな事はさせないデス!」

「はい!」

「…話はここまでだ。

おでましみたいだぜ!!」

アルニがそう言った瞬間、森の中からドスジャギィを先頭にした、ジャギィの大群が姿を現した。

 

『!

グォオーッオッオッオッオッオッ!!』

マリア達の姿を視界に確認したドスジャギィは、遠吠えを上げる。

その途端、ジャギィ達の群れの動きが止まった。

 

「…動きが止まった…?」

「多分、ぼくや切歌さん達を初めて見たから、警戒してるのかも。」

「野生の勘ってやつか。

まあ、確かに知らない奴が混ざっていたら俺達も同じ事をするな。」

双剣を構えたままアルニは答える。

それから暫くの間、ジャギィ達と装者達はお互いに睨み合う。

やがて、空気が張り詰めきった時ー

 

『グォッ…オーッ!

ファアォオオオオーン…!!』

『!

クォッ!オーッ!オッオッオーッ!!』

『グオッ!グオーッ!!』

ドスジャギィの遠吠えと共に、ジャギィやジャギィノスが突撃を始めた。

 

「行くぞっ!!」

それと同時にアルニ達も走り始め、生存競争の戦いが始まった。

 

「まずは、ジャギィ達を減らして、ドスジャギィへの道を作るよ!」

「了解…!」

そう言うと同時に、調の脚部とツインテールを覆う装甲から円形のブレードが縦向きに展開され、一輪バイクの様な状態に変形、そのままジャギィの群れに突撃する。

 

ー『非常Σ式・禁月輪』ー

 

突撃ルート上にいたジャギィは、容赦無く切り裂かれて行く。

しかし、小柄ですばしっこいのが特徴のジャギィ。

何頭かは突撃を回避し、逆に調の後を追いかけ始める。

しかも、ジャギィは意外と足が早く、少しすると調と並走し始めた。

鳴き声を上げて両側から威嚇しながら、調に飛び掛かるチャンスを伺う。

 

「調に気を取られ過ぎデスよ!!」

しかし、声が響くと同時に高速回転する大鎌が飛んで来て、同時に切歌がそれを掴み、左側で並走していたジャギィ達を纏めて切り裂いた。

 

ー『断遂・愚れェぇテ瑠』ー

 

「その通りだ…ねっ!!」

更に、スィーヨが狩猟笛をまるで野球のバットのホームランを打つかの如くフルスイングし、反対側を並走していたジャギィ達を吹っ飛ばした。

 

「2人共、ありがとう。」

「これくらいどうって事ないデス!」

「作戦はまだ始まったばかり。

気を引き締めて行こう!」

「「了解(デス)!」」

3人で背中合わせになりながらスィーヨ達は自分達の武器を構えるのであった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、アルニ、マリア、セレナの3人は、ジャギィの群れの数が少なくなった所から突撃していた。

 

「行手を阻むジャギィは!」

「わたしとマリア姉さんで突破します!」

「それなら、俺は後ろから追撃してくる奴をやる!

背中は任せろ!」

「任せたわよ!」

そう言うと、マリアの持つ剣の刀身がワイヤーで連結された刃を持つ武器、蛇腹剣に変化、鞭の様に振り回しジャギィの群れを纏めて斬り伏せた。

 

ー『EMPRESS†REBELLION』ー

 

「行きます!」

同時に、二つの短剣が宙を舞う。

それを操り、凄まじい速度の連続斬撃を仕掛ける。

 

ー『FAIRIAL†TRICK』ー

 

姉妹の連携による連続攻撃によって、3人の行手を阻むジャギィの数はかなり少なくなった。

しかし、2人の背後からジャギィノスがタックルを仕掛けようとする。

 

「させるかよ!!」

だが、タックルを仕掛ける前にアルニの双剣によって阻まれる。

そのまま3人は突き進み続け、遂にドスジャギィの元に到着した。

 

『グルルル…!』

唸り声を上げながらアルニ達を睨むドスジャギィ。

口からは、微かに白い煙の様な物が漏れ出ており、周囲にいるジャギィも弱腰になっている。

 

「…初めから怒り状態か。

まあ、仲間をあれだけ倒されたらそりゃ怒るよな。」

「心なしか、ジャギィも怯えている様に見えるわね…。」

「ですが、わたし達も負けるわけにはいかないんです…!」

「そうだな。

そんじゃ、一狩り行くぞ!!」

「ええ!」

「行きます!」

そう言うと同時に、アルニ達はドスジャギィに斬り込んで行った。

 

『グォーッオッオッオッオッオッ!!』

ドスジャギィも、咆哮をあげながら走り始める。

 

「初めから本気で行くぜ!」

そう言うと、アルニは双剣の刃を重ね合わせた。

すると、双剣の二つの刃が赤い光を纏った。

 

「ぉおおおおおおおっ!!」

叫び声を上げながら、双剣を振るうアルニ。

しかし、その様はマリア達が知っているソレとはまるで別物だった。

赤光を纏う刃が、振るわれる度に軌道を描き、ドスジャギィの体を切り裂く。

その姿は、まさに“鬼人”と呼ぶべき姿だった。

やがて、刃をひとしきり振るった瞬間、アルニの体が赤い光を纏い、周囲に火の粉の様な物が舞い始めた。

 

「…鬼人強化完了ってな。」

「貴方…その姿は…?」

「双剣の特性みたいな物とだけ言っておく。

詳しい説明は後だ!」

「わかったわ。

続いていくわよ!」

そう言うと、短剣を構えて斬り込む。

白く煌めく刃が、ドスジャギィの体を斬り裂こうと振るわれる。

 

『グォッ!!』

しかし、その攻撃を後ろに跳び退いて回避した。

だがー

 

「セレナッ!!」

「うんっ!やあっ!!」

 

ーザンッ!ー

 

『グォッ!?』

跳び退いた先にセレナが回り込み、ドスジャギィに斬撃を仕掛けた。

ドスジャギィもこれは回避出来ず、斬撃を喰らう。

 

「更に、追い討ちってな!」

そこへ、アルニが飛び込んで連続斬撃をお見舞いする。

更に、マリアが追撃しようとする。

…が。

 

『グォッグオーッ!』

 

ーブンッ!バシイッ!ー

 

「ぐあっ!?」

「姉さん!」

ドスジャギィが全身を回転させて、尻尾による一撃をお見舞いした。

セレナが助けようとマリアに駆け寄る。

 

『ファアォオオオオーオッオッオッオッオッオッ…!!』

だが、その前にドスジャギィが聞いた事のない遠吠えを上げる。

その瞬間、周囲にいたジャギィノスがセレナを取り囲んだ。

 

「くっ!

邪魔をしないでください!」

「うりゃああああっ!」

 

ーザザザンッ!ー

 

「アルニさん!」

「大丈夫か!?」

「はい。

でも、このままだと…。」

「ちょっとまずいかもな。

ジャギィやジャギィノスの数が思ってたよりも多い。」

「せめて、ドスジャギィが命令出来なければ良いんですけど…。」

「…ドスジャギィを抑えれば良いんだな?」

「え、はい…。」

「なら、俺に任せろ!」

そう言うと、ジャギィノスの群れを突貫し、アルニはドスジャギィへ疾走する。

真っ直ぐに突撃して来るアルニに対し、ドスジャギィはタックルを仕掛ける。

…だが、それがアルニの狙いだった。

 

「そう来るのを待ってたぜ!」

地を蹴りながら叫ぶと、アルニはタックルして来たドスジャギィを踏み台にし、高く跳躍しー

 

ドスジャギィの背中に飛び乗った。

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