戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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第2話:先史文明の巫女と、OTONA …後、英雄(自称)

「着いたぞ。」

「ほ、本当に大丈夫なんだよね…?」

ギャラルホルンを渡り、並行世界にやって来たクリスとスィーヨは、二課司令室の入り口に来ていた。

クリスはいつもと変わらないが、スィーヨはかなり緊張した様子だった。

並行世界間で協力関係であるとはいえ、この先にはかつて大事変を引き起こした存在、フィーネがいるので無理もない。

 

「あー…。

まあ、万が一フィーネが何かしでかそうとしても、こっちのおっさんが全力で止めるだろうから安心しろって。な?」

「そうなの…?」

「あたしらが全力で挑んでも圧倒する程だぞ?

大丈夫だって。ほら行くぞ。」

そう言って、クリスは司令室の中にさっさと入って行った。

スィーヨも少し迷ったが、勇気を振り絞って後に続いて行った。

 

「邪魔するぞ、おっさん。」

「クリス君か。よく来てくれた。

…む?後ろの子は…。」

「はじめまして…で良いんだよね?

ぼくはスィーヨって言います。」

「並行世界から来た…ハンターだ。

あたしらの世界で起こってる異変解決の為に、協力してくれているんだ。」

「そうなのか。」

「ところで、今日はどんな用で来たのかしら?」

「っ!!!」

女性の声に反応し、思わず狩猟笛を構えるスィーヨ。

そこには、白衣を纏い、腰まで届くロングヘアーの女性が立っていた。

 

「も、もしかして…貴女が…。」

「その子から聞いたのね。私が“フィーネ”よ。」

「…ところで、なんで武器を構えているんだ!?」

「はっ!

ご、ごめんなさい…思わず…。」

ハッと我に帰り構えていた狩猟笛を背中に戻す。

 

「随分警戒されているみたいね。」

「…なんか、悪かったな。」

「別に気にしていないわよ。

それで、今回はどんな用で来たの?」

「今回は…今話した異変に関する事で来たんだ。」

「詳しく説明してもらえるか?」

「ああ。

ここに、これまでの異変で集まったデータもあるから、それも見てくれ。」

「わかったわ。」

それから、クリスはこれまで起こって来た戦いの事を話した。

 

「…という事が起こっているんだ。」

「スィーヨ君のいた世界にいるモンスターが、君達の世界に…。」

「しかも、他の並行世界にも出現しているのね。」

「ああ。

もしかしたら、こっちの世界でも同じ様な事が起きているんじゃないかという事で、調べに来たって訳だ。」

「なるほど…。事情は把握した。」

「それで、こっちの世界では、そう言った事は起こっているのかな?」

「…いや、今の所特にそう言った事件は起こっていないな。」

「そうか。

なら、良いんだけどな…。」

「…いや、待ってちょうだい。」

そこへ、フィーネが待ったをかけた。

 

「フィーネ…?」

「どうした?」

「確かに、日本ではそう言った事件は起こっていないけど、海外のとある地域でそれに似た様な異変が起こっているみたいよ。」

「海外で?」

「因みに、どんな事が起こっているんだ?」

「なんでも、見た事がない昆虫が大量発生しているらしいわ。」

「見た事がない昆虫?

それだけだと、なんとも言えないかな…。」

「場所はどこなんだ?」

「…貴女が一番よく知ってる場所…と言えばわかるかしら?」

「あたしが一番良く知る場所…まさかっ!?」

異変が起こっている場所が何処なのかを悟り、クリスはハッと顔を上げる。

 

「そう、“バルベルデ”よ。」

「バルベルデ…?」

「…あたしのパパとママがいる場所だ。」

「クリスさんのお父さんとお母さんが?」

「…行きたいって顔をしてるわね。」

「当たり前だ!

あそこで大変な事が起こっているなら、行かないと!」

「ぼくも行くよ!

その、バルベルデに大量発生している昆虫が、僕達の世界のモンスターだったら、まずい事になるかもしれないからね。」

「そう来ると思っていたわ。

二課にも、バルベルデの方から調査依頼が来ていたのよ。

そして、丁度これから出発する所だったわ。」

「それじゃあ…!」

「ええ。

今からでもバルベルデに行けるわよ。」

「それじゃあ早速…と行きたい所だけど、その前に頼んでおきたい事があるんだ。」

「頼んでおきたい事?」

「こっちには“ウェル”って言う人がいるって聞いたんだけど…。

その人に頼みたい事があってね。」

「彼なら、今は研究室にいるわよ。

連れて来るから少し待ちなさい。」

「分かりました。」

…それから数分後。

 

「お待たせしました!

君が英雄である僕に頼みたい事があるという、並行世界から来た人ですね!?」

白衣を身に纏い、眼鏡をかけたテンションが高い男性がやって来た。

片腕は何故か異様な形状と大きさになっている。

 

「あ、はい…えっと…貴方が…?」

「そうっ!

僕こそ、世界を救う英雄になる男っ!

ドクタアァァァ・ウェルゥッ!!!」

「え、えっと…。」

「…コイツはいつでもこんな感じだ。慣れろ。」

ウェルのキャラの濃さに戸惑うスィーヨに、耳打ちするクリス。

 

「それで、僕に頼みたい事とは!?」

「えーと…コレなんですけど…。」

そう言いながら、スィーヨは回復薬が入った瓶を取り出し、ウェルに差し出す。

 

「?なんですコレは?」

「ぼく達の世界で使われている回復薬だよ。

ただ、持って来た分が底をつきかけていて…それで、コレの成分を解析して同じ物を作れないかなと思って…。

ウェル博士はとても頭が良いって聞いたから…お願い出来ませんか?」

「なるほど、つまり!

英雄となる僕の天才的な頭脳が必要だと言う事ですね!!」

「えと…そうです。」

「分かりました。

こちらの方で解析をしてみましょう。」

「よろしくお願いします。」

「さて、そちらはもう良いかしら?」

「うん。」

「あたしも大丈夫だ。」

「あなた達の事は、私の護衛と伝えておくわ。

では、行きましょうか。バルベルデへ。」

そうして、スィーヨ達は異変が起こっている地、バルベルデへと向かうのであった。

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