(…い…きて…!)
「(…?…誰だよ…?)」
(ね…お…て…!)
「…んん…?」
(…いい加減に…起きろぉおおおおお!!!!」
「うおぁああああっ!?」
突然の大ボリュームの怒鳴り声に、テインの意識は一気に覚醒した。
「おっ、やっと起きた!」
「あ、アインス?
あれ、ここは…?確かオレ達は…。」
ムクリと起き上がりながらテインは記憶を辿る。
確か、採取クエストを終えて帰ろうとした時に、どこからか歌声が聞こえて来たのだ。
そして、歌声の正体を探ってた時、突然地震が起こって、地面が崩落。
不気味な音を立てる虹色の穴に飛び込んでしまった所で、記憶が途絶えている。
「…そうだ…オレ達あの穴に入っちまって…。
ん?アルニ達はどうした!?」
「心配しなくても全員いるぜ。」
「目が覚めて良かったよ、テイン。」
後ろから声が聞こえて来る。
振り返ると、そこにはアルニとスィーヨがいた。
しかし、メンバーが1人足りない事にテインは気づいた。
「あれ、ゴロウはどこ行った?」
「ゴロウなら周囲の偵察に行ってるよ。
どうやら、とんでもない事になってるみたいでね。」
「とんでもねぇ事?どういうこった?」
「そこから外を見ればわかると思うよ。
静かにね。」
アインスに言われるがままにソッと隙間から顔を出すテイン。
「…あ!?」
己の目が信じられず、目を擦るテイン。
そこには、自分達が見た事もない様な高い建物が立ち並び、その下を多くの人達が行き交う光景が広がっていた。
「…な…な…な…!?
なんだこりゃぁああああああ!?」
「シーッ!!」
「あ、わりい…!」
思わず大絶叫を上げかけるが、アインスに言われて慌てて口を閉ざす。
そのまま、ビルの隙間の中に顔を引っ込めた。
「お、おいおいおいおいおい!?
一体全体何がどうなってやがるんだ!?」
「落ち着け、テイン。
混乱しているのは俺達も同じだ。」
「むしろ、この状況で落ち着いて行動できているアインスとゴロウの方が凄いよ。」
「焦っても良い事はないからね。
取り敢えず、今はゴロウが戻るのを待つしかないよ。
…って、言う必要もなかったかな。」
アインスがそう言った瞬間、その背後に1人の少年、ゴロウは降りて来た。
「…アインス、ただいま戻った。」
「偵察ご苦労様。
それで、首尾の方は?」
「…アインスの推測の通りだ。
ここは、我々がいた大陸どころか、我々がいた世界ですらない様だ。」
「あ!?
て事は、オレ達異世界に来ちまったってのかよ!?」
「…左様。」
「以前、異世界からゲラルドっていう人が僕達のいた世界に来た事があったよね?」
「あー、そういやそんな事もあったな。」
「今回の場合、僕達はその逆のパターンになってしまったっていう事だよ。」
「ウッソだろおい…。」
「…問題はそれだけに留まらない。
更に調べてみた所、どうやらこの国では、我々が持っている様な武器を持つ事は、法によって禁止されているらしい。」
「え?そうなの?」
「…。(コクリ)」
「あれ、ちょっと待てよ?
じゃあ、今このまま外に出てったら俺達…。」
「…問答無用で逮捕だろうね。
下手したらとんでもない事になるかも。」
「う…嘘だろォォオオオオオオオオオッ!!!?」
心の底からの絶叫を上げるテインであった…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
…一方その頃…
「うーん…。」
「…響。
昨日弦十郎さんか言ってた事が気になるの?」
「うん。
あの映像に映っていたあの生き物…あれって何なのかな〜って。」
あの生き物…昨日、弦十郎から言われた“未確認生物”だ。
あの生き物は、ギャラルホルンを経由してやって来たと言っていた。
しかし、なぜこの世界にやって来たのだろうか…?
「切歌ちゃんは“恐竜デス!”って言ってたけど…。
恐竜って大昔に絶滅してるよね?」
「現在でも、鳥に進化して生き残ってるとは聞くけど…。」
「うーん…でも、本当に恐竜だったら面白いかも!」
「ええ…。」
そんな話をしていた時ー
『キャアアアアッ!!!!』
「「!?」」
突然、鋭い悲鳴が響き渡った。
それと同時に、2人が持つ通信機から緊急通信のアラームが鳴る。
「はい!こちら響です!」
[君達の近くに、例の未確認生物が姿を現した!
どうやら、街の人達を攻撃しているらしい!
大至急、現場に急行してくれ!]
「了解です!…未来!」
「わかってる、一緒に行こう!」
通信機をしまうと、逃げ惑う人達を避けながら2人は現場へ向かった。
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「う、うわぁ!?なんだこいつらは!?」
「いや、来ないで!」
「イタッ!?噛みつくな!!」
現場では逃げ遅れた人達が未確認生物に襲われていた。
『ギャァッ!ギャァッ!!』
『ギィッ!』
未確認生物は、甲高く喧しい鳴き声を上げながら、逃げ遅れた人達に飛びかかっている。
そのうちの一頭が、逃げ遅れた人を壁際まで追い詰め、飛びかかろうとしたその時ー
ーBalwisyall Nescell gungnir tronー
ーRei shen shou jing rei zizzlー
カオスとなったその場に、美しい“歌声”が響き渡る。
ーズドオオン!ー
その次の瞬間、凄まじい衝撃音と共に、飛びかかろうとしていた未確認生物が吹っ飛ばされた。
他の仲間がその音源に顔を向ける。
そこには、黄色い装甲を身に纏った少女と、黒紫の装甲を纏った少女がいた。
ー『シンフォギア』ー
歌を力に変えるという性質を秘めた彼女達の武器である。
「皆さん!ここにいると危険です!
この生き物は私達がなんとかしますので、早く避難してください!」
呆然とする人々に、声を張り上げる響。
それによって我に帰った人達は、慌ててその場から逃げ出した。
未確認生物も、それを追いかけようとするが、未来が放った光線に阻まれる。
新たな敵と認識した未確認生物達は、唸り声をあげながら響達に襲いかかる。
それに対し、未来は扇子を、響は拳を握りしめて、未確認生物の群れと戦いを始めた。
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…騒ぎが起こる少し前…
「…で、これからどうすんだよ。
このままだとオレ達ここで野垂れ死にだぜ?」
「うーん…取り敢えず拠点を手に入れないといけないね…。」
「拠点って言っても、俺達この世界の通貨なんて一銭も持ってないぜ?」
ビルの隙間でこれからについて話し合うアインス達。
その時間は、突然響き渡った悲鳴によって終わりを迎えた。
『っ!!?』
「な、なんだ!?」
「悲鳴が聞こえたぞオイ!」
「何が起こってるの…?
ゴロウ!」
「…承知。」
名前を呼んだ瞬間、その場から姿を消すゴロウ。
そして、すぐに戻って来た。
「調べて来た。
どうやら、“マッカォ”の群れが人を襲っているらしい。」
「何っ!?マッカォだと!?」
その名を聞いて、テインは驚きの声を上げる。
それは、アインス達も同様だった。
何故なら、彼等はマッカォを“狩った”事があるのだから。
さらに、ゴロウが放ったもう1つの知らせが彼等を驚かせる。
「更に、現在そのマッカォの群れと戦闘を開始した者達も確認した。」
「「「「!?」」」」
マッカォは、小型とはいえ肉食モンスター。
それらに対抗できるのは、彼等の様なハンターくらいの筈。
しかし、それと戦っている者達がいる。
ならば、行くしかないであろう。
「何が起こってるのかよくわからないけど、とにかく行ってみよう!」
「ああ!この目で確かめないと!」
「だな!」
「そうと決まれば、急ごう!」
何が起こっているのか確かめる為、アインス達は荷物と武器を持ち、走り出すのであった。