戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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新年あけましておめでとうございます!


第4話:存在しない筈の物

…その日の深夜…

 

「そう…やはり、貴方の世界のモンスターだったのね。」

スィーヨとクリスからの報告を聞いて、フィーネは呟いた。

 

「なあ、あの時はステファンがいたから嘘も混ぜて説明していただろ?

あのモンスター…クンチュウについて、改めて教えてくれないか?」

「勿論だよ。

フィーネさんにも説明するね。」

「お願いするわ。」

「コホン…“クンチュウ”。

“甲虫種”に分類される小型モンスターで、別名は“盾虫”と言うよ。」

「あの大きさで小型なのか…。」

「それにしても、“盾虫”とは中々大きく出たわね。」

「実際、クンチュウの背面全体を覆っている甲殻の硬さは正に盾と呼ぶのにふさわしい硬さを持ってるよ。

ただ、お腹の部分は柔らかいんだけどね。」

「それで、これからクンチュウをどうするんだ?」

「クンチュウは、刺激しなければ攻撃してくる事はない大人しいモンスターだけど、数が増えると色々問題が起こる可能性もあるんだよね…。」

「さっきの体当たりとかか?」

「いや、それもそうだけど…。」

「…少し良いかしら?」

そこで、フィーネが口を開いた。

 

「フィーネ?」

「どうしたの?」

「貴方達がクンチュウの調査をしていた間に、あの2人からこの村で他に何か異変が起こっていないかを聞いてみたのよ。」

「…何か起こっていたのか?」

「ええ、最近村の近辺で巨大な鳥が目撃されている事がわかったわ。」

「巨大な…鳥?」

「外見もかなり異質で、村の人達は“怪鳥”と呼んでいるらしいわ。

今ここに、貴方の世界のモンスターが現れている事も考えると、その怪鳥も同じである可能性があるわね。」

「確かにな。よし、明日あたしらでそれを調べてみるか。」

「そうだね。

因みに、その怪鳥の特徴とかってわかってるかな?」

「明日、出発する時にその特徴を書いたメモを渡すわ。

それを参考にしてちょうだい。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、スィーヨとクリスは村の近辺に広がる森の中にいた。

クリスは、イチイバルのギアを纏っている。

 

「…という事でもらったメモがコレなんだけど…。」

「えーっと、特徴は…。

 

・体は桃色

・翼は青色

・しゃくれた形のクチバシ

・大きな耳

 

…。」

メモを見たクリスの脳内には、とてもひょうきんな見た目の鳥がイメージされていた。

 

「フィーネさんや村の人達の話だと、怪鳥はこの辺りでよく姿を見かけるって話だったよね。」

「ああ。

とりあえず、それっぽい見た目の鳥を探すか。」

そうして、2人は森の中を歩き始めた。

 

「…ところで、一つ聞きたい事があるんだけど…。」

「ん?」

「お前…そんな格好で暑くないのか?」

少しジト目になりながら尋ねる。

クリスの言った通り、スィーヨは羽毛や毛皮が多いマフモフシリーズの狩猟装束を着ているので、側から見れば暑苦しい事この上ないのだ。

 

「ああ、そこは大丈夫だよ。

ぼくは基本的にどんな場所でもこの格好で狩りに行くし、“クーラードリンク”もあるからね。」

「なんだそれ?」

「一定時間の間、暑さを和らげる事ができるアイテムだよ。

砂漠や火山に行く時の必須アイテムだね。」

「アイテム…そういえば、回復薬がどうのこうのって話もしてたよな?

あの回復薬ってどうやって作っているんだ?」

「ああ…回復薬は、フィールドに生えている材料から作る事が多いんだ。

回復薬を作るには、“薬草”と“アオキノコ”の2つを調合すると作れるよ。」

「なるほど…薬草はこっちにもあるかもだけど、“アオキノコ”なんて絶対無いよな…。」

「そうだよね…でも、ぼく達ハンターにとって、回復薬は絶対に必要なアイテムなんだ。

これが無いと、いざという時に戦う事ができなくなる…。」

「…そうか。

まあ、怪我をした時はゆっくり体を休めると良いさ。

その間は、あたしらで頑張るからさ。」

「うん…。

ところで、怪鳥みたいな鳥は見つかった?」

「いや…何処にも見当たらないな。

怪鳥どころか、足跡みたいな物も見つからない。」

「そっか…。

そう簡単には姿を見せないか…。」

小さくため息を吐くスィーヨ。

しかし、ため息を吐く時に顔を下に向けた時…

 

「…ん?」

ある物が視界に入り、その場で足を止めた。

 

「…どうした?」

「いや…今、見覚えのある物が見えた様な…?」

小さく呟きながら近くの草むらをガサガサと漁るスィーヨ。

そこから、小さな植物を引っ張り出した。

 

「何だそれ…見た事ないな…?」

引っ張り出した植物を見て、クリスは首を傾げる。

 

「…これって、もしかして…?」

そんな中、スィーヨは植物の葉っぱを1枚千切り、近くで見たり、匂いを嗅いだり、口に入れて味を確かめる。

 

「…ど、どうした?」

「…やっぱりそうだ…!

これ、ぼく達の世界に生えていた“薬草”だよ!」

「…なっ、なんだと!?」

スィーヨのその言葉に、クリスは目を丸くする。

 

「間違いじゃなくて、か?」

「間違いな訳ない!

これは、ぼく達の世界に生えていた薬草だよ!

でも、何でこんな所に…いや、ちょっと待って…!

薬草があったという事は、もしかしたらアレも…!?」

小さくボソボソと独り言を呟くと、急に血眼になって何かを探し始めた。

 

「お、おい…。」

「どこだ…どこだ…!?

薬草があったという事は、きっとアレもこの近くに…!」

「さっきから何をs」

「あっ!あったァアアアアアアアア!!!!」

「っ!!?」

突然歓喜の奇声をあげるスィーヨに思わずビクッとするクリス。

その手には、真っ青な傘の明らかにキノコが握られていた。

 

「うっ…!?

な、何だそれ…どう見ても毒キノコだろ…。」

「いやっ!

この見た目、この匂い、そしてこの味…。

間違いない、“アオキノコ”だよ!」

「…はあ!?

それって、さっき言ってた…いや、まだわからないぞ。

見た目が似てるだけの別物かもしれないだろ?」

「じゃあ、確かめてみよう!」

そう言うと、スィーヨは腰に下げていたポーチからお椀と胡麻擂りに使用する棒を取り出す。

その中に、先ほど見つけた薬草とキノコを入れて、慎重に混ぜ始めた。

暫くすると、お椀の中に青緑色の液体が出来た。

指で掬い取り、味を確かめるスィーヨ。

そして、確信した様に頷きながら呟いた。

 

「うん…うん…!

この味…間違いない、回復薬だ!」

「マジか…!?」

「良かったぁ…!

これで何とか問題解決出来そうだよ!

そうだ!もしかしたら、この辺りにまだ生えているかもしれない!

クリスさん!

このポーチを貸すから、今見つけたのと同じ植物とキノコを集めて!」

「え!?わ、わかった…!?」

…それから暫くの間、クリスは薬草とアオキノコ集めに付き合わされるのであった…。

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