戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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第5話:大怪鳥イャンクック、現る!

「ふぅ〜…大量大量…。

これだけあれば暫くは持つかな。

クリスさん、ありがとうね!」

「いや、まあ…どういたしまして…。」

アオキノコと薬草を発見してから2時間後、調合で完成した回復薬をポーチに詰め込みホクホク顔のスィーヨに、疲労困憊といった状態でクリスは返事をした。

 

「…で、なんでお前達の世界にしか存在しない筈の植物が、こっちに生えていたんだ?」

「そうだね…。

これは完全にぼくの想像なんだけど、ギャラルホルンのゲートが開いた時に、植物の種子やキノコの胞子が巻き込まれたんじゃないかな?

もしくは、モンスターの体にくっついていた種子がこっちに運ばれて繁殖したのかも。」

「なるほどな。

S.O.N.G.に戻ったら、エルフナインやおっさんにも知らせておかないといけないな。」

「うん。

でも、今は怪鳥を探さないと。」

「そうだな。

んじゃ、行くか。」

そうして、2人は再び探索を再開するのであった。

暫くすると、2人は森の奥地にある開けた空間に到着した。

その光景を見て、2人は言葉を失った。

 

「っ!これは…!?

「な…なんだよ…。

一体何があったんだ…!?」

2人の目の前には、まるで大量の爆弾を投下されたかの様な焼け野原が広がっていた。

 

「ひどいね…。

まるで、爆発物が大量にばら撒かれたみたい…。

…いや、実際にそうみたいだ。

よく見たら何かの破片が辺りに飛び散っているし。」

「この辺りで、紛争でもやってたのか…?」

「…ありえるかもね。」

飛び散った破片を集めながら答えるスィーヨ。

そんな中、クリスは足元におかしな物が転がっている事に気付いた。

 

「ん…?

なんだこれ…鱗か?」

それは、焦げた桃色の鱗だった。

 

「ん…?クリスさん、それってー」

その鱗を見て何かを言いかけた時だった。

 

…カサ…カサカサ…

 

「「ん?」」

小さな物音に気付き、その音源に目を向ける2人。

見ると、数匹のクンチュウがこちらに向かって来ていた。

 

「あ、クンチュウだ。」

「ここにもいたのか。

なんか、やる気みたいだが…?」

「ある程度力を付けた個体は、大型モンスターに自らへばり付こうとするからね。

もしかしたら、それと同じかも。」

そう言った時だった。

 

『キシッ…キシキシッ…!』

突然、先頭にいたクンチュウが丸くなってしまった。

すると、他のクンチュウも丸くなったり、地面に潜ったり、何処かへ逃げる様に移動を始めた。

 

「…?なんだ、様子が変だぞ…?」

「どうしたんだろう…?」

首を傾げながら呟いた、その時。

 

…クワァ〜…!

 

「「!」」

上の方から、鳥の様な鳴き声が聞こえて来た。

その音源に目を向けると、鳥の様な影が飛行していた。

遠目から見ても、かなり大きい事がハッキリとわかる大きさだ。

 

「な、なんだアレ!?

鳥にしては大きすぎないか!?」

「ここに降りて来るみたい!

クリスさん、一旦あの木の裏に隠れよう!」

そうして、2人は近くの木の裏に隠れた。

 

『クヮワワワワ…クワァ〜!』

それと同時に、翼を羽ばたかせながらソレは舞い降りて来た。

体は桃色の外殻で覆われており、翼は青色、大きなクチバシはしゃくれた形状をしており、後頭部には扇の様に開く大きな耳がついていた。

 

「桃色の体…青い翼…しゃくれたクチバシに大きな耳…。

アレが村の人達が言ってた“怪鳥”か!」

「やっぱりイャンクック…!

こっちの世界にも来ていたんだね…。」

「イャンクック?

それがアレの名前か?」

「うん。

“怪鳥”という別名を持つから、村の人達の見解も間違いではないけどね。」

「それにしても、イャンクックは何をしに来たんだ?」

「クンチュウを食べに来たんだろうね。

イャンクックはクンチュウが大好物だから。」

「はっ!?アレを食べるのか!?」

そう言って、クリスはイャンクックに目を向ける。

 

『クワッ!』

地面に降りたイャンクックは、近くにいたクンチュウに近付き、クチバシでつっついた。

つつかれたクンチュウは、即座に丸くなって防御姿勢になる。

丸くなったクンチュウを、イャンクックはクチバシで軽く転がす様につつくが、クンチュウは丸まったままウンともスンとも言わない。

それから、小首を傾げる様に顔を動かした瞬間ー

 

ーカプッ ゴックンー

 

丸まったクンチュウを咥えて、そのまま丸呑みにしてしまった。

そして、再び辺りを見回し、気付かれない様にゆっくりと転がっていたクンチュウに駆け寄り、ゴックンと丸呑みする。

それから、コロコロと転がって逃げようとしていたクンチュウにも駆け寄り、ヒョイッと放り投げて丸呑みにしてしまった。

 

「…あれ、大丈夫なのか?

丸呑みして、喉に詰まったりしないのか?」

「そんな事ある訳ないでしょ?

とはいえ、怪鳥の正体はイャンクックだったね。」

「アレって、どんなモンスターなんだ?」

「マッカォやランポスと同じ鳥竜種に分類される大型モンスターだよ。

臆病な性格で、他のモンスターに遭遇すると逃げてしまう事が多いね。

ただ、自分よりも小さい生き物だと攻撃を仕掛ける事があるから、普通の人が出会ってしまったら危険だね。」

「そうなのか…じゃあ、ここで倒した方が良いか?」

「そうだね…イャンクックは大型モンスターだし、討伐した方が良いかな。」

「了解だ。

それじゃあ、早速…って?」

「どうしたの?」

「アイツ、飛び始めたぞ!?」

「えっ!?」

驚いて顔を出すスィーヨ。

確かに、イャンクックが翼を羽ばたかせて上昇を始めている。

何処かへ移動するつもりの様だ。

 

「しまった!」

慌てて駆け寄るが、既にイャンクックはかなり高く上昇しており、もう届かない。

そして、上空で向きを変えると、そのまま飛んで行ってしまった。

 

「逃げられた…。」

「クンチュウを食べ終わっちゃったみたいだね。

それにしても、何処へ飛んで行ったんだろう…?」

イャンクックが飛び去った方向を見ながら呟くスィーヨ。

その方向を見た瞬間、クリスの顔が真っ青になった。

 

「おい…あの方角には村があるぞ!?」

「本当だ…ん?

待てよ、今あの村にはクンチュウが大量発生していたよね…。」

「クンチュウは、アイツの大好物なんだよな?

もしイャンクックが村にクンチュウがいる事に気付いたら…!」

「…マズイね。

イャンクックは大型モンスターだし、火炎攻撃が出来るから村の人達に被害が出るよ!」

「急いで戻るぞ!」

そうして、2人は全速力で村へ向かうのであった。




イャンクックの登場シーンは、モンスターハンター4の登場ムービーをイメージしていただけると良いかと…。
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