「ふぅ〜…大量大量…。
これだけあれば暫くは持つかな。
クリスさん、ありがとうね!」
「いや、まあ…どういたしまして…。」
アオキノコと薬草を発見してから2時間後、調合で完成した回復薬をポーチに詰め込みホクホク顔のスィーヨに、疲労困憊といった状態でクリスは返事をした。
「…で、なんでお前達の世界にしか存在しない筈の植物が、こっちに生えていたんだ?」
「そうだね…。
これは完全にぼくの想像なんだけど、ギャラルホルンのゲートが開いた時に、植物の種子やキノコの胞子が巻き込まれたんじゃないかな?
もしくは、モンスターの体にくっついていた種子がこっちに運ばれて繁殖したのかも。」
「なるほどな。
S.O.N.G.に戻ったら、エルフナインやおっさんにも知らせておかないといけないな。」
「うん。
でも、今は怪鳥を探さないと。」
「そうだな。
んじゃ、行くか。」
そうして、2人は再び探索を再開するのであった。
暫くすると、2人は森の奥地にある開けた空間に到着した。
その光景を見て、2人は言葉を失った。
「っ!これは…!?
「な…なんだよ…。
一体何があったんだ…!?」
2人の目の前には、まるで大量の爆弾を投下されたかの様な焼け野原が広がっていた。
「ひどいね…。
まるで、爆発物が大量にばら撒かれたみたい…。
…いや、実際にそうみたいだ。
よく見たら何かの破片が辺りに飛び散っているし。」
「この辺りで、紛争でもやってたのか…?」
「…ありえるかもね。」
飛び散った破片を集めながら答えるスィーヨ。
そんな中、クリスは足元におかしな物が転がっている事に気付いた。
「ん…?
なんだこれ…鱗か?」
それは、焦げた桃色の鱗だった。
「ん…?クリスさん、それってー」
その鱗を見て何かを言いかけた時だった。
…カサ…カサカサ…
「「ん?」」
小さな物音に気付き、その音源に目を向ける2人。
見ると、数匹のクンチュウがこちらに向かって来ていた。
「あ、クンチュウだ。」
「ここにもいたのか。
なんか、やる気みたいだが…?」
「ある程度力を付けた個体は、大型モンスターに自らへばり付こうとするからね。
もしかしたら、それと同じかも。」
そう言った時だった。
『キシッ…キシキシッ…!』
突然、先頭にいたクンチュウが丸くなってしまった。
すると、他のクンチュウも丸くなったり、地面に潜ったり、何処かへ逃げる様に移動を始めた。
「…?なんだ、様子が変だぞ…?」
「どうしたんだろう…?」
首を傾げながら呟いた、その時。
…クワァ〜…!
「「!」」
上の方から、鳥の様な鳴き声が聞こえて来た。
その音源に目を向けると、鳥の様な影が飛行していた。
遠目から見ても、かなり大きい事がハッキリとわかる大きさだ。
「な、なんだアレ!?
鳥にしては大きすぎないか!?」
「ここに降りて来るみたい!
クリスさん、一旦あの木の裏に隠れよう!」
そうして、2人は近くの木の裏に隠れた。
『クヮワワワワ…クワァ〜!』
それと同時に、翼を羽ばたかせながらソレは舞い降りて来た。
体は桃色の外殻で覆われており、翼は青色、大きなクチバシはしゃくれた形状をしており、後頭部には扇の様に開く大きな耳がついていた。
「桃色の体…青い翼…しゃくれたクチバシに大きな耳…。
アレが村の人達が言ってた“怪鳥”か!」
「やっぱりイャンクック…!
こっちの世界にも来ていたんだね…。」
「イャンクック?
それがアレの名前か?」
「うん。
“怪鳥”という別名を持つから、村の人達の見解も間違いではないけどね。」
「それにしても、イャンクックは何をしに来たんだ?」
「クンチュウを食べに来たんだろうね。
イャンクックはクンチュウが大好物だから。」
「はっ!?アレを食べるのか!?」
そう言って、クリスはイャンクックに目を向ける。
『クワッ!』
地面に降りたイャンクックは、近くにいたクンチュウに近付き、クチバシでつっついた。
つつかれたクンチュウは、即座に丸くなって防御姿勢になる。
丸くなったクンチュウを、イャンクックはクチバシで軽く転がす様につつくが、クンチュウは丸まったままウンともスンとも言わない。
それから、小首を傾げる様に顔を動かした瞬間ー
ーカプッ ゴックンー
丸まったクンチュウを咥えて、そのまま丸呑みにしてしまった。
そして、再び辺りを見回し、気付かれない様にゆっくりと転がっていたクンチュウに駆け寄り、ゴックンと丸呑みする。
それから、コロコロと転がって逃げようとしていたクンチュウにも駆け寄り、ヒョイッと放り投げて丸呑みにしてしまった。
「…あれ、大丈夫なのか?
丸呑みして、喉に詰まったりしないのか?」
「そんな事ある訳ないでしょ?
とはいえ、怪鳥の正体はイャンクックだったね。」
「アレって、どんなモンスターなんだ?」
「マッカォやランポスと同じ鳥竜種に分類される大型モンスターだよ。
臆病な性格で、他のモンスターに遭遇すると逃げてしまう事が多いね。
ただ、自分よりも小さい生き物だと攻撃を仕掛ける事があるから、普通の人が出会ってしまったら危険だね。」
「そうなのか…じゃあ、ここで倒した方が良いか?」
「そうだね…イャンクックは大型モンスターだし、討伐した方が良いかな。」
「了解だ。
それじゃあ、早速…って?」
「どうしたの?」
「アイツ、飛び始めたぞ!?」
「えっ!?」
驚いて顔を出すスィーヨ。
確かに、イャンクックが翼を羽ばたかせて上昇を始めている。
何処かへ移動するつもりの様だ。
「しまった!」
慌てて駆け寄るが、既にイャンクックはかなり高く上昇しており、もう届かない。
そして、上空で向きを変えると、そのまま飛んで行ってしまった。
「逃げられた…。」
「クンチュウを食べ終わっちゃったみたいだね。
それにしても、何処へ飛んで行ったんだろう…?」
イャンクックが飛び去った方向を見ながら呟くスィーヨ。
その方向を見た瞬間、クリスの顔が真っ青になった。
「おい…あの方角には村があるぞ!?」
「本当だ…ん?
待てよ、今あの村にはクンチュウが大量発生していたよね…。」
「クンチュウは、アイツの大好物なんだよな?
もしイャンクックが村にクンチュウがいる事に気付いたら…!」
「…マズイね。
イャンクックは大型モンスターだし、火炎攻撃が出来るから村の人達に被害が出るよ!」
「急いで戻るぞ!」
そうして、2人は全速力で村へ向かうのであった。
イャンクックの登場シーンは、モンスターハンター4の登場ムービーをイメージしていただけると良いかと…。