戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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第10話:盗まれて並行世界!

『グァーッ!!』

ゲリョスは、集まって来ていた通行人に襲い掛かっていた。

ゲリョスが飛び掛かる寸前で、集まって来ていた通行人も、これが本物である事を察知した。

 

「きゃああああっ!!」

「おい!これ着ぐるみじゃないぞ!」

「ちょっと!押さないでよ!!」

通行人達は、逃げようと一斉に移動しようとするも、パニックに陥っておりなかなか逃げられないでいた。

 

『グァーッ!!』

「う、うわぁああっ!?」

その内の1人、デジタルカメラで撮影していた男性に、ゲリョスが飛び掛かった。

 

「や・め・ろぉおおおおおおっ!!」

 

ードゲシャアッ!!ー

 

『グァアッ!?』

その直前で、響の飛び蹴りが炸裂し、ゲリョスは転倒する。

 

「た、助かった…!」

「ここは危険です!落ち着いて避難してください!」

「わ、わかった!」

そう言うと、男性はなんとか立ち上がり、走り出した。

そして、それと入れ替わる様に、アメノハバキリのギアを纏った翼が駆けつけた。

 

「大丈夫か、立花!」

「翼さん!」

「それにしても…このモンスターは一体…?」

「私もわかりません…こんなモンスター見た事ないですよ!」

「テインはどうしたんだ?」

「今、あそこの森の中で調査をしています。

多分、もうすぐ戻ってくると思うんですけど…。」

「では、それまで持ち堪えるぞ!

相手はどんな攻撃をしてくるかわからない、僅かな行動も見逃すな!」

「はい!」

叫びながら、2人はゲリョスに飛び掛かる。

それに対し、ゲリョスは立ち上がると足をばたつかせながら飛び上がり、走り出した。

 

「一番槍、行きます!援護を!」

「承知!」

「てりゃあああああっ!!」

地を蹴って高く跳躍し、空中から拳を振るう響。

打ち出された拳は、ゲリョスの胴体に炸裂した。

そう、当たりはしたが…。

 

…グニィッ…!

 

「…?

(あれ…何か手応えが…?)」

拳に伝わる感触に違和感を覚える。

 

「覚悟!はぁあああっ!!」

続いて翼が飛び上がりゲリョスの背中に刀を振り下ろす。

 

…グニィッ…!

 

「っ!?」

その感触に翼は目を見開く。

 

「なんだ…今の感覚は…?」

「翼さんもですか?」

「も、と言う事は、立花もか。

あのモンスターを切った感触…まるで弾力の強いゴムの様な感触だった…。」

「ですよね!?

まるでゴムを殴ってるみたいでした。」

そう言った瞬間ー

 

『グァーッ!!』

 

ードボァアッ!ー

 

ゲリョスの口から、多量の毒々しい液体が吐き出された。

 

「!?避けろ、立花!!」

「うわぁ!?」

咄嗟に跳んで、液体を回避する翼と響。

吐き出された液体は、そのまま地面に落ちてドロドロとした大きな水溜りになった。

 

「な、何か吐き出して来た!?」

「あの色…まさか、毒か!?」

「鋭いな、翼!その通りだ!!」

翼の推測に答えたのは、ハンマーを担いで走って来たテインだった。

 

「テインさん!」

「悪い、少し遅れちまった!」

「いや、大丈夫だ。」

「それにしても、まさかゲリョスがいるとはな。」

「それは、あのモンスターの名前か?」

「そうだ!

詳しい説明は後にするが、吐き出す毒液に気をつけろよ!」

「承知した!」

「わかった!」

「さあ、おっ始めるぞ!

その頭のトサカを、このハンマーで叩き折ってやるぜ!!」

ハンマーを地面に叩きつけながら叫ぶテイン。

叩き付けた衝撃で、地面が僅かに揺れた。

 

『グァー!』

ゲリョスは、翼を広げると後退する様に飛ぶ。

そして、響達から少し離れた場所に降り立つとー

 

『グァー!グァー!』

 

ードバァ!ドバァ!ドバァ!ドバァ!ドバァ!ー

 

毒液を吐き散らしながら突撃して来た。

翼と響は散開する様に避けるが、テインだけはハンマーを構えて力を溜める。

 

「毒液を吐き散らすんじゃねぇ、この野郎!!」

 

ードッゴォンッ!!ー

 

『グァアッ!!?』

力が最大まで溜まった瞬間、ハンマーを振り上げて、突撃して来たゲリョスの顔面に振り下ろした。

重量のあるハンマーを顔面に叩き蹴られ、ゲリョスはその場で大きく転倒する。

 

「今だ、畳み掛けろ!」

「承知した!」

叫ぶと同時に空中で刀を振るう。

その瞬間、衝撃波の刃が放たれる。

 

ー『絶空ノ型』ー

 

放たれた衝撃波の刃は、ゲリョスの背に傷を作る。

 

「続け、立花!」

「行きます!!」

更にそこへ片足を大きく振り上げた響が落ちてくる。

それと同時に、足部のギアが変形、そのまま踵落としを打ち込む。

 

ー『我流・空鎚脚』ー

 

だがー

 

ーグッニィイッ!ー

 

皮膚がグニッと変形し、衝撃を吸収した。

 

「な、何で私の技はあまり効かないの!?」

「チッ!

やっぱりシンフォギアでも効果は薄いのか!!」

「やっぱり?どう言う事だ!?」

「ゲリョスの皮膚はゴムみたいな性質をしてんだよ!

だから、オレや響が使う様な打撃系の技はあまり効かねーんだ!」

「そんな!?」

「しかし、全く効かないと言うわけではない!

点滴岩を穿つ、幾ら打撃に強くても打ち込み続ければ決定打になる!」

「わかってるじゃねぇか!

それに、ゲリョスでも打撃が効きやすい場所はある!」

「本当!?」

「頭を狙え!

大抵のモンスターは頭が弱点になってるからな!

それに、ゲリョスはトサカを先に破壊しないと面倒な事になるぞ!」

「面倒な事って!?」

「説明は後だ!」

「わ、わかった!それじゃあ…って?」

ゲリョスに目線を戻した響は首を傾げた。

ゲリョスが、響達とは全く別の方向に顔を向けていたからだ。

翼とテインもそれに気付き、首を傾げる。

 

「なんだ…?どこを見てんだ、コイツ?」

「警戒を解くな、2人共。

何をしてくるかわからないぞ。」

そう言った瞬間だった。

 

『グァーッ!!』

いきなり鳴き声をあげると、先程まで響達がいた森の方へ走り始めた。

 

「!?」

「なっ!?」

「おい!どこ行くつもりだ!?」

慌ててゲリョスの後を追いかけるテイン達。

その方向を見て、響は顔を青ざめさせた。

 

「た、大変…あっちにはシャロンちゃんが!!」

「なんだと!?」

響の言った通り、ゲリョスが向かう先には、恐怖に怯えているシャロンの姿があった。

 

「まさか、彼女を狙っているのか!?

しかし、何故?」

「まさか、ゲリョスもあの時のオートマシンと同じ様に…!?」

この世界に初めて訪れた際に起こった事変を思い出し、響と翼は表情が厳しくなる。

テインはそれを知らないので首を傾げていたが。

 

「それにしても、ゲリョスの足が速い!」

「アイツ、アホな位スタミナあるからな…。

どっちにしろ、このままだと間にあわねぇ!」

「くっ!どうすれば…!」

「こうなりゃ、一か八かだ!響!

ハンマーでお前をシャロンのとこまで吹っ飛ばす!

上手く乗りやがれ!」

「え、ええっ!?」

ハンマーを振り上げながら叫ぶテインに、響は目を丸くする。

 

「行くぞオラァアアアアアッ!!」

そんな事などお構いなしに、テインはハンマーをバットの様にスイングする。

それに対し、響は直感的に軽くジャンプし、ハンマーの面に足を乗せると、フルスイングと同時に思い切り跳躍した。

猛スピードで跳躍した響は、走るゲリョスを追い越し、一気にシャロンの元に到着した。

シャロンの元に到着した響は、そのままシャロンを抱き抱えて転がる。

 

『グァーッ!!』

 

ーダスッダスッダスッダスッ!ー

 

その瞬間、シャロンがいた所についばみ攻撃をするゲリョス。

しかし、肝心のシャロンがいない事に気付き、ゲリョスはアリャ?という様に辺りを見回す。

 

「あ、危なかった…!シャロンちゃん、大丈夫!?」

「うん!」

「ギリギリ上手く行ってよかったな!」

「理由はどうあれ、シャロンに手出しをさせる訳にはいかない!」

シャロンを庇う様にゲリョスに立ち塞がる3人。

 

『グァッ!グアッ!グアッ!グアッ!』

 

ーバチンッ!バチンッ!バチンッ!バチンッ!ー

 

その時、突然自分の頭を前後に揺らし始めるゲリョス。

頭を揺らす度に、硬い物が打ち突けられる様な音が聞こえてくる。

それを見て、響と翼は首を傾げる。

 

「?何をしているんだ?」

「それに、この音は?」

その時ー

 

「ッ!やばい!お前ら、目を守れぇえ!!」

叫びながら咄嗟に目を隠すテイン。

 

『グァアアアーッ!!!』

 

ーッ!!!!!!!!!!!!!

 

頭を上げて、トサカを天に掲げるゲリョス。

その瞬間、トサカから凄まじい閃光が放たれた。

 

「「「っ!!?」」」

反応が遅れてしまった響、翼、シャロンの3人はその強烈な閃光を直に見てしまった。

視界が白一色に染まり、何も見えなくなると同時に3人の意識が混乱状態になる。

 

「うわぁっ!!?」

「くっ…なんだ…!?今の光は…!」

「何も見えないよ…!響お姉ちゃん…どこ…?」

目を潰され、3人共フラフラと足元がおぼつかない。

 

「おい、しっかりしろ!!

ピヨってる場合じゃねぇぞ!!」

3人の元に駆け寄ろうとするテイン。

 

『グァーッ!!』

「うおっ!?」

「うわっ!?」

「くうっ!!」

しかし、そこへゲリョスが突撃して来た。

突撃を喰らい、3人は別々な方向に吹っ飛ばされてしまう。

ゲリョスはそのままシャロンに飛び掛かるとー

 

『グァーッ!!』

 

ーダスッダスッダスッ…プチンッ!ー

 

「っ!!」

ついばみ攻撃をシャロンにお見舞いした。

ついばみ攻撃を受けたシャロンは、その際に弾き飛ばされる。

 

「なっ…!?

…テンメェエエエッ!!」

それを見たテインは怒りの叫び声を上げながらゲリョスに突撃する。

…が。

 

『グァッ!』

 

ーバサッ!バサッ!バサッ!バサッ!バサッ!ー

 

その瞬間、翼を羽ばたかせて上昇を始める。

 

「はっ!?待ちやがれ!!」

テインの呼び掛けも虚しく、高く上昇すると、そのまま何処かへ飛び去って行ってしまった。

 

「…チッ。」

舌打ちをしてゲリョスが飛んで行った方を睨むテイン。

そこへ、意識が戻った響達がやって来た。

 

「大丈夫か?テイン。」

「まあな。」

「ゲリョスは…?」

「ゲリョスなら、お前らがピヨってる間に逃げやがった。

シャロンを一回つっついてそのまま逃走って、何がしたかったんだアイツ?」

「待て!シャロンがゲリョスに攻撃されたのか!?」

「あ、ああ…って!

そうだ!シャロン、大丈夫か!?」

慌てて地面に倒れるシャロンの元に向かう。

 

「シャロンちゃん!シャロンちゃん!!」

倒れるシャロンを抱き上げて体を揺らす響。

 

「…っ。

響…お姉ちゃん?」

「っ!良かった…!大丈夫?」

「うん…。大丈夫だよ。」

「大型モンスターであるゲリョスにつつかれて平気なのかよ!?」

「う、うん。

そんなに痛くなかったよ?」

「だが、万が一という事もある。

本部に戻って診てもらった方が良いだろう。」

「そうですね。」

「そんじゃあ、一旦戻るか…ん?」

シャロンを見ながら答えるテイン。

その時、シャロンに違和感を感じ、首を傾げた。

その視線に気付き、シャロンは首を傾げる。

 

「テインさん?」

「どうかしたのか?」

「…あれ?シャロン。

お前、首飾りはどうした?」

「え?」

首元を確かめるシャロン。

その首には先程までかかっていた筈のマカライト鉱石の首飾りが無くなっていた。

 

「あれ…?ない!」

「あっ!首飾りが無くなってる!?」

「さっき落としたのか?」

「でも、閃光を放つ前にはありましたよ!?」

「という事は、ゲリョスに突かれた時に落としたのか?」

「…いや、待てよ。

もしかして、ゲリョスの狙いって…。」

何かに気付いた様に小さく呟くテイン。

その瞬間、その体がプルプルと震え始める。

 

「?」

「あ…あの…?」

「どうした?」

「あ…あ…あんのヤロウ…!」

拳を握りしめながら呟く。

それと同時に震えも大きくなる。

そして、それが最大になった瞬間ー

 

この世界でも“盗み”をしやがったぁあああああああああっ!!!

心の底から絶叫をあげるのであった。

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