戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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今回、テインのちょっとした昔話が入ります。
もしかしたら、似たような経験をした人もいるかも?


第11話:テインとゲリョス

「さて、3人とも集まったな。」

二課本部にて八鉱は響と翼、テインの3人を集めた。

 

「あの…シャロンちゃんは…?」

「メディカルチェックの結果、特にこれと言った怪我はしていないとの事だ。」

「じゃあ、無事なんですね!

良かったぁ…。」

ホッと胸を撫で下ろす響。

 

「しかし、あんなモンスターが存在するとはな…。」

「あそこで目眩しをしてくるとは思いませんでした。

申し訳ありません。」

「いや、翼が謝る事はねぇよ。

オレがあの時ちゃんと話しときゃ良かっただけだからな…。」

「しかし…。」

「しかしもかかしも、駄菓子もねーよ。

今後の為にも、今はアイツを狩猟する事だけを考えろよ。

オレも知ってる事話すからさ。」

「彼の言う通りだ。

今我々がやるべき事は、あのモンスター…ゲリョスを追う事だ。

その為にも、君が知っている事を知ってる範囲で良いので、教えて欲しい。」

「当たり前だ!

つっても、オレ自身もあまりモンスターには詳しくねぇからな?」

「構わない。我々に今必要なのは、ゲリョスの情報だからな。」

「それなら話すぜ。

えーと、まずはあのモンスターが何者か、だな。

名前は“ゲリョス”。“毒怪鳥”って呼ばれてる大型の鳥竜種モンスターだ。」

「鳥竜種…って、ランポスやマッカォと同じ仲間って事!?」

「一応そうらしいな。

あんな図体だが、性格は意外と臆病らしくて、基本的に走り回ってる事が多いらしいぜ。

オマケにスタミナもアホな位多いから、四六時中走ってもケロリとしてやがるんだ。」

「あの大きさで臆病なのか…。」

「別名が“毒怪鳥”って呼ばれてる時点でわかるかもしれねーが、アイツは口から毒液を吐き出して攻撃するのも特徴だな。

しかも、一度に吐き出す量もかなり多いし、毒性も強いから厄介なんだよな。」

「毒性が強い…具体的にはどのくらいなのだ?」

「確か、スィーヨの話だと…毒液を浴び続けると小型モンスターは死んじまうって言ってたか。

シャロンみたいな子供が浴びたら、マジで命を落とす可能性が高いな。

実際、あそこの森の奥で、草木が腐っちまってる場所があっただろ?

あれ、ほぼ間違いなくゲリョスの毒液が原因だぞ。」

「ええ!?」

「つまり、植物を枯らしてしまう程でもあるという事か。」

「まあ、そうだな。」

「ゲリョスが放ったあの閃光は?」

「あれも、ゲリョスの得意技の一つだよ。

詳しい原理は知らねーけど、ゲリョスは頭に生えてるトサカを打ち鳴らして、強烈な閃光を放つ事ができんだよ。

この閃光もまた強力でな、普通に瞼を閉じて目を瞑っても効果ない程だからな。」

「確かに、あの閃光はただ目を瞑るだけでは防げなさそうだったな。」

「それと、ゲリョスの最大の特徴なんだが…アイツは臆病である反面で、好奇心旺盛な一面もあってな…。

対峙した人間の持ち物に興味を示して、つっつき攻撃の時にそいつが持ってる荷物を強奪する事があるんだよ。

盗む物は、回復薬や携帯食料と言った食べ物系と、鉱石や一部の光を放つ虫等といった光沢や艶のある物だな。

特にアイツは光沢のある鉱物に目が無くて、鉱石とかを見つけるとそれを積極的に奪い取ろうとするぜ。」

「あれ?じゃあ、シャロンちゃんが攻撃された理由って…。」

「首飾りについてたマカライト鉱石を狙ったんだろうな。

…っと、そうだ。

ドタバタしててすっかり忘れてたぜ。」

ふいに何かを思い出した様に言うと、ポーチの中をゴソゴソと漁り始める。

 

「えーっと…どこにやったかな…?

確かこの辺にしまった筈だが…あったあった。」

呟きながらポーチから取り出したのは、宝石の装飾品だった。

それを見て、翼と八鉱は目を丸くした。

 

「これは…!?」

「間違いない、宝石店から盗まれた物だ。

しかし、これをどこで…?」

「さっき草木が腐ってた場所の話をしただろ?

そこにゴロゴロ転がってたぜ。」

「あそこに!?」

「待て。じゃあ、ここ最近この近辺で起こっていた連続強盗事件は…!?」

「間違い無くゲリョスの仕業だろうなぁ…。

あの辺りには、ゲリョスが大好きな光沢のある物が沢山あるし、ゲリョスが狙わない理由がないぜ。」

「ゲリョスは盗んだ物をどうするの?」

「食べ物系の物を盗んだ時は、その場で食っちまうらしい。

だが、鉱石系の物を盗んだ時は巣に持ち帰るみたいだぜ。

メスへのアピールの為ってスィーヨが言ってたな。」

「確かに、自分の巣を飾り付けしてメスへプロポーズをする鳥がいるな。

それと同じような物か。」

「まあ、そんな感じだな。

…そういえば…。」

突然声のトーンが変わるテイン。

同時に体がプルプルと震え始めたので、翼達は首を傾げる。

 

「…?」

「ど、どうした…の…?」

「いや…ちょっと昔の事を思い出してな…。」

「昔の事?」

「オレがまだ駆け出しのハンターだった時…納品依頼で“ホワイトレバー”っていうアイテムを集めた事があったんだ…。

ホワイトレバーはケルビってモンスターから剥ぎ取れるんだが、ハンマーみたいな打撃系武器だと集めるのがむちゃくそ大変なんだよ。

それでも、必死になってケルビを倒しまくって、ようやく納品する量であった5個を集められたから、帰ろうとした時…ゲリョスが姿を現しやがった。」

「ゲリョスが…。」

「ああ。

オレはゲリョスと戦ってなんとか討伐出来た。

それで、キャンプに戻っていざ納品しようとポーチの中を見てみたら…必死になって集めたホワイトレバーが全部無くなってやがったんだ。」

「えっ!?まさか…。」

「ご察しの通り、ゲリョスがオレのポーチから強奪しやがったんだ!

オレは急いでホワイトレバーを集めようとしたが…その時にはクエストの終了時間で、結局その依頼は失敗しちまった…。」

「そんな…!」

「あの時…あの時ゲリョスがホワイトレバーを強奪していなけりゃ…オレは依頼をこなせていたのに…!

…あーっ!クソッ!!

思い出すだけで腹が立ってきたコンチクショーッ!!!」

怒りの叫びを上げながらダスダスと地団駄を踏みまくるテイン。

その力はかなり強く、床が軽く凹む程だった。

 

「ちょちょっ!?テインさん落ち着いて!?」

「悔しい気持ちはわかる。

だが、過ぎた事を今悔やんでも仕方ない。

今は、一旦落ち着いて欲しい。」

アワアワとする響と冷静な口調で翼は地団駄を踏みまくるテインをなだめる。

 

「…わーってるよ。

今更こんな事してもしょーがねーしな。」

「では、ここ最近起こっていた連続強盗事件は、ゲリョスが引き起こしていた物としよう。

盗んだ宝石類は、ゲリョスの巣にあるという事で良いな?」

「そーいうこったな。」

「じゃあ、今からゲリョスの巣に行きましょう!」

「待て。そのゲリョスの巣がどこにあるのかわかるのか?」

「…あ。」

翼に指摘され、ピキッと固まる響。

 

「そこなんだよな…。

今まで盗んだ物はアイツの巣にあるってのは間違い無いんだろうが、問題なのはその巣がどこにあるのかなんだよな…。」

「これまで我々の方でもずっと探しているが、未だにそれらしき物は見つかっていない。」

「警察犬とか、犬の鼻で追えないんですか?」

「立花、ゲリョスは空を飛べるんだぞ?」

「あ…。」

「テインは、何か良い方法は知らないのか?」

「そうだなあ…“ペイントボール”ってアイテムを使えば、追えるかもしれないが…今手持ちに入ってないんだよ。」

「ふむ…どうした物か…。」

「何か、ゲリョスを追跡できる物があればいいんだが…。」

うーん…と考え込む一同。

 

「響お姉ちゃん!」

その時、司令室の扉が開き、シャロンが入って来た。

それに気付き、響はパッと明るい表情になる。

 

「シャロンちゃん!もう大丈夫なの?」

「うん!」

「大きな怪我もしてないみたいでホッとしたぜ。」

優しく微笑むテイン。

 

「ねえ、テインお兄ちゃん。」

「お、お兄ちゃん!?」

唐突なお兄ちゃん呼びに思わず大声をあげるテインに、シャロンはビクッとする。

それに気付きテインはハッとする。

 

「あ…えと、別に嫌じゃないぞ、その呼び方。

お兄ちゃん…お兄ちゃんか…。(ボソボソ)」

「え、えっと…テインお兄ちゃん。

その光ってる物は何?」

テインの腰の辺りを指差しながら尋ねるシャロン。

そこには、小さな虫籠のような物が腰からぶら下がっており、中には蛍の様な光を放つ小さな蟲が入っている。

 

「ん、これか?

これはな…………あ?」

虫籠に目を向け説明しようとするが、その言葉が途中で止まり、動きもピキッと固まる。

 

「テインさん…?」

「どうかしたのか?」

「テインお兄ちゃん…?」

首を傾げる一同。

 

「あ…?あ…!?

…あぁあああああああっ!!!!?」

『っ!!?』

突然大声をあげるテインに、思わず目を丸くする一同。

そんな事にはお構いなしに、テインは叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“導蟲”の存在、忘れてたぁああああああああああっ!!?」




補足の為に説明すると、テイン達は“新大陸で活動していたハンター”なので、常に導蟲を装備しています。
今まで使わなかったのは、使う機会が無かったのと、現大陸のモンスターが多く登場していたので、その事をスッカリ忘れていた所存でございます。
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