戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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ライズの発売日は、日本で劇場版モンスターハンターが公開される日でもあるので、二つの意味で楽しみにしてる今日この頃です。


第12話:導蟲の導き

「そうだよ、コイツがあったじゃねぇか!?

バカかオレは!?なんで今までコイツを忘れてたんだ!?」

虫籠を腰から取り外しながら嘆くテイン。

 

「え…えっと…その虫籠の中身って…何なの?」

恐る恐る尋ねる響。

それに対し、虫籠を全員に見せながら話し始める。

 

「コイツは、“導蟲(しるべむし)”って言ってな。

ペイントボールの代わりになる特徴を持った蟲なのさ。」

「…???」

「…意味がわからねぇって顔してるな。

まあ、オレ自身もコイツの原理はよくわかってねぇんだけどな!」

「…先程、“ペイントボールの代わりになる”と言っていたが、どういう事なんだ?」

「うーん…口で説明するよりも、実際に使ってみた方が早いな。

シャロン、ちょっと髪の毛をもらっても良いか?」

「えっ!?」

突然の言葉に、目を丸くするシャロン。

 

「大丈夫、別に丸坊主にする程の量が欲しい訳じゃないからよ。」

「待って!なんでシャロンちゃんの髪の毛が欲しいの!?」

シャロンを庇う様にしながら響は尋ねる。

 

「導蟲がどんな物なのかを説明する為に必要なんだよ。」

「それ、私じゃダメなのかな?」

「別に響でも良いんだが、お前はちょっと体がデカすぎるからな…。」

「待て。

これから何をするつもりなんだ?」

「一言で言えば、“かくれんぼ”だな。」

「…へ?かくれんぼ…?」

「そう、かくれんぼ。

ただし、“導蟲を使った”かくれんぼだ。

導蟲を使うためには、隠れた奴の一部分が必要なんだよ。

変な事には使わねぇから安心しろって。」

「本当に…?それなら…。」

「ありがとな。そんじゃ失礼して…。」

そう言うと、ナイフを使ってシャロンの髪の毛の先を少しだけ切った。

 

「これで良しだな。

そんじゃ、オレは司令室の外に出るから、シャロンはここのどっか適当な所に隠れてくれ。

シャロンが隠れたら、誰か呼んでくれよ。」

「わかった。」

響が答えると、テインは司令室の外に出て行った。

 

…3分後…

 

「隠れたよ!」

「おっ、そうか。」

響が言うと、テインは司令室の中に入った。

一見すると、シャロンの姿はどこにも見当たらない。

 

「一応確認だが、シャロンはこの司令室のどっかに隠れてるんだよな?」

「ああ。」

「翼が言うなら間違いないな。

そんじゃ早速、導蟲を使ってみるぞ。」

そう言うと、先程切り取ったシャロンの髪の毛を虫籠の中に入れる。

その途端、虫籠の中から、蛍の様な光を放つ虫が数匹飛び出した。

飛び出した導蟲はそのまま床に降りていくと、小さな子供の足跡を映し出した。

 

「!?これって…。」

「シャロンの足跡…か?」

響達がそう呟いた時、再び導蟲が飛んで行き、また床に降りて足跡を映し出す。

 

「ほうほう…こっちの方に行ったのか…。」

それをテインは追いかける。

そして、それを繰り返している内に、導蟲はオペレーターの“友里あおい”の椅子の下の方に飛んで行った。

その下を確認するとー

 

「おっ!見つけたぜ、シャロン。」

「!?」

その下にしゃがみ込むシャロンを見つけた。

目を丸くしながら椅子の下から這い出るシャロン。

 

「すごい!本当に見つかっちゃった…!」

「へへへっ!

…とまあ、こんな感じに、コイツは“特定の存在の痕跡を追跡してくれる”のさ。」

「先程シャロンの髪の毛が必要だったのは、その“痕跡”が必要だったからなのか。」

「そう言う事だ。

そして、この導蟲は“空を飛んでる奴も追跡してくれる”って言う特徴もある。」

「!それって、つまり!」

「そうだ!

この導蟲を使えば、ゲリョスを追いかける事が出来るし、ゲリョスの巣も見つけられるって事だ!」

「だが、その為にはゲリョスの痕跡が必要なのではないか?」

「そこも心配すんな!

さっき渡した宝石が、ゲリョスの痕跡になる筈だぜ。」

「えっ、なんで?」

「響。

ゲリョスは盗んだ物をどうやって運んでると思う?」

「えっ?えーっと…足で掴んで運ぶ…のかな?」

「いや。

この映像で見た限りだと、ゲリョスの足は走るのに向いているけど、何かを掴むのは苦手に見える。」

「という事は…口の中に入れて運んでいるのか?」

「そうだ!

さっき渡した宝石はゲリョスが巣に運んでいる途中で落とした物。

つまり、あの宝石にはゲリョスのヨダレやら毒液やらがベッタリついてる筈だぜ。」

「え…ええ…。」

頭の中で嫌な想像をしてしまい、響達は苦い顔になる。

 

「では、あの宝石を使えば追跡できるかもしれないという事か。」

「ああ。

さっき話した草木が腐った場所の土やら木の一部やらがあれば完璧だな。」

「…わかった。

では、装者一同、そしてテインにはゲリョスの巣の捜索、及び、ゲリョスの討伐を頼む!」

「こうしている間にも、また宝石店に被害が出ているかもしれないんですよね…。

分かりました!」

「了解です!」

「おっしゃあ!そんじゃ、行くぜ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

…その後、響、翼、テインの3人は昼間にゲリョスと戦った公園に来ていた。

時刻は深夜の為、人の気配は無い。

響と翼はモンスターと遭遇した時に備えてギアを纏っている。

テインもハント装備を着ていた。

 

「さて、早速始めるとするか。」

「ああ。」

「まずは、ゲリョスの痕跡を集めるか。

宝石を入れて…と。」

呟きながら、虫籠の中にルビーのイヤリングを入れる。

その途端、導蟲が虫籠から飛び出す。

暫く飛んで、地面に降りると、地面に何か液体の様な模様か現れた。

 

「これは…。」

「昼間ゲリョスが吐き散らした毒液の跡だな。

これも立派な痕跡になるから、回収するぞ。」

そう言って、毒液が染み込んだ土を虫籠の中に少しだけ入れる。

その途端、導蟲が再び虫籠から飛び出し、今度は足跡を浮かび上がらせた。

 

「ゲリョスの足跡?」

「足跡は痕跡の代表格だな。

こうやって導蟲にそのモンスターの痕跡を覚えさせて行くんだ。」

「そうすれば、ゲリョスを追いかけるという事か。」

「そういうこった。」

足跡の土を虫籠に少しだけ入れながら答える。

再び導蟲が飛んで行くと、今度は小さな水滴の様な後を浮かび上がらせた。

 

「こんな小さな物まで…!?」

「恐らく、あいつのヨダレか何かだな。

或いは、狂走エキスか…。」

回収しながら呟くテイン。

回収すると、再び導蟲が飛んで行った。

 

「良し。この調子でどんどん痕跡を集めていくぞ!」

 

…それから20分後。

テイン達は公園にある森林区域の中に入っていた。

 

「あれから結構経ったけど、まだ追いかけないのかな?」

「うーん…結構集めたと思うんだが…まだ足りないっぽいな。」

そう呟いた時、突然導蟲の光の色が緑色から赤色に変化した。

 

「っ!お前ら止まれ!」

片手で静止をするテイン。

 

「どうしたの?」

「シッ!

導蟲の色が変わった…近くに何かモンスターがいるぞ…!」

「そんなことまでわかるのか…!?」

「ああ。

さっきは言ってなかったが、導蟲は痕跡の種類や近くにモンスターがいたりすると、その色が変化する特徴がある。

赤色になった時は近くにモンスターがいるサインだ。」

「…ねぇ、そのモンスターってアレじゃない?」

目の前を指差しながら尋ねる響。

その先には、黄色い体色の蟻の様な昆虫が3匹歩いていた。

ただし、昆虫にしては異常な程大きく、子供と同じ位の大きさはある為、モンスターで間違いない。

 

「あれで間違いないな…。テイン、あれは?」

「…“オルタロス”だな。小型の甲虫種モンスターだ。」

「甲虫種…。

どうする?このまま進むとオルタロスと鉢合わせになるぞ。」

「…いや、アレは大丈夫だな。

アイツらが向かう先を見てみろ。」

指を差しながら答えるテイン。

見てみると、3匹のオルタロスはキノコの周りに群がっている。

さらによく見ると、腹部が大きく膨らんでいた。

 

「腹部が大きく膨らんでいるみたいだが…。」

「ああやって、腹の中にキノコやら木の実やら栄養を溜め込むんだよ。

それに、オルタロス自体は、夜になると少し攻撃的になるが、基本的にちょっかいをかけなければ襲ってくる事はないモンスターだから、そのまま通っても大丈夫だ。」

そう言うと、草むらから出て行き、オルタロスの前を通り過ぎて行く。

響達も後に続くが、オルタロスは全く反応しなかった。

そうして、テイン達は痕跡を集めながら森の中を進んで行った。

 

…それからさらに30分後、テイン達はゲリョスの毒液によって荒廃してしまった場所に到着した。

 

「ここが、さっき話した草木が腐っちまった場所だ。」

「話には聞いていたが…これは酷いな…。」

「うん…。」

「最初の痕跡として使った宝石もここで拾ったんだ。

この辺りにはゲリョスの痕跡が沢山ある。

ここで一気に痕跡を集めるぞ。」

そう言うと、木の幹や葉っぱ、土などを虫籠に入れ始める。

暫くして、ある程度集まった時、突然導蟲が虫籠から飛び出し空へと飛び始めた。

 

「!?」

「導蟲が…!?」

それに気付き、翼と響は上を見上げる。

そして、ある程度の高さまで上昇すると、導蟲は何処かへと進み始めた。

 

「あれって…!」

「導蟲がゲリョスを追跡し始めたみたいだな。

よし、追いかけるぞ!」

そうして、3人は導蟲を見失わない様に注意しながら、走り始めた。

森から飛び出した導蟲は、そのまま街の方へ移動した。

暫くすると導蟲はショッピングモールの前や店の前を通り過ぎて行く。

一部八百屋や肉屋といった食品専門店の前も通り過ぎだが、基本的には宝石店が殆どだ。

 

「ゲリョスの野郎…この辺りにある光沢のある物を手当たり次第に集めてるっぽいな。

食べ物屋の前を通り過ぎているのが気になるが…。」

「…この辺りの食べ物の味を覚えているのではないか?」

「それって、まずいんじゃ…?」

「ああ。素人のオレでもヤバいってわかるぜ。

そうなったら、被害が拡大しちまうぞ!」

「その通りだ。

だからこそ、ゲリョスを討伐する必要がある!」

「はい!」

「だな!」

そうして走り続ける事数分…

一同は、商店街の外れにある無人の廃アパートに到着した。




追記:2021/01/19:タイトルを『戦姫と狩人』に変更しました。
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