戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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小説タイトルを変更しました。


第13話:盗人毒怪鳥を懲らしめろ!

「ここか…。」

夜闇に佇む廃アパートを見上げながら、テインは呟いた。

 

「ここにゲリョスの巣があるのか…?」

「導蟲がこの建物の中に向かっているから、間違い無いだろうな。」

「でも翼さん、ゲリョスって結構大きなモンスターでしたよね?

あんなに大きなモンスターがこのアパートの部屋の中に入れるんですかね…?」

響の言った通り、目の前のアパートは小さめのサイズだ。

ゲリョスは大型モンスターなので、そのアパートの号室に入るには体が大き過ぎる。

そんな時、一同に八鉱から通信が入った。

 

[その事なのだが、この廃アパートの中は解体工事により殆ど空洞になっているらしい。]

「空洞になっている?」

「つまり、部屋がないって事ですか!?」

[その通りだ。

調べてみた所、解体工事中に事故が起こり、その工事の責任者が重傷を負った為、責任者が回復するまで一旦工事を取りやめにしたらしい。]

「その期間の間に、ゲリョスがここを見つけて巣を作り、そのまま居着いちまったって事か。

…そんじゃ、そろそろ中に入るか。」

「ああ。」

[中にはゲリョスがいる可能性がある。警戒をする様に。]

「了解です!」

そうして、一同は空いていた窓から無人の廃アパートの中に足を踏み入れた。

 

「…よっと…。

あのおっさんの言ってた通り、中は骨組みだけだな。」

中に入ったテインの第一声はこれだった。

廃アパートの中は、建物を支える柱以外は何も残っていない、がらんどうの状態だった。

 

「ゲリョスはいないな。」

「どうやら、お留守にしてるみてぇだな。」

「…あっ。2人共、あそこを!」

声をかけながら奥を指差す響。

そこには、木の枝で出来た巨大な鳥の巣があった。

ただし、木の枝の間や巣の中には、煌びやかな宝石が大量に埋め込まれていた。

 

「この光っているのって…今まで盗んできた宝石!?」

「こんなに盗んでいたのか…!」

「おいおい…どんだけ沢山盗んでんだよあの野郎!?

もう呆れを通り過ぎて尊敬するぜ…。」

「…本部、聞こえますか?こちら翼です。

ゲリョスの巣を発見、今までに盗まれて来た宝石類も発見しました。」

通信機で本部に報告する翼。

そんな中、響はゲリョスの巣の中を漁っていた。

 

「ん?何やってんだ?」

「えっと…この中にシャロンちゃんの首飾りもあるかもしれないと思って…。」

「マカライト鉱石か。

それならもう見つけたぜ。」

「えっ!どこにあったの!?」

「オレの足元に転がってた。」

そう言った瞬間、導蟲の光の色が緑から赤に変化した。

 

「!」

「テインさん、導蟲が!」

「モンスターが近くにいるサイン…でも、何処だ!?」

「2人共、背中合わせになれ!

全方位を警戒するんだ!」

「わ、分かりました!」

「おう!」

背中合わせになり、翼は刀を、テインはハンマーを、響は拳を握りしめる。

静寂が辺りを一瞬包み込んだと思った時ー

 

『グァーッ!』

 

ーバサッ!バサッ!バサッ!バサッ!ー

 

「!

お前ら、上だ!!」

「「!」」

散り散りになる様に転がる翼達。

そこへ、翼を羽ばたかせながら黒い影ーゲリョスが舞い降りて来た。

 

『ッ!?

グァアッ!!?』

老朽化と経年劣化によって天井に空いていた穴から降りて来たゲリョスは、何故かいた響達の姿に気付き、驚いた様に鳴き声を上げると、一番近くにいたテインに飛びかかって来た。

 

「うおっと!?いきなり攻撃して来やがった!」

飛びかかりついばみ攻撃を転がって回避するテイン。

 

「はぁあああっ!!」

そこへ翼が斬撃を叩き込む。

斬撃に弱いゴム質の皮膚を持つゲリョスにとって、その攻撃はかなりのダメージになった。

 

「ナイスだ翼!」

「これくらい、どうと言う事はない。

さて、作戦はどうする?」

「昼間に言ったが、オレと響ではゲリョスにダメージを与えるのは正直言って困難だ。

だから、翼が攻撃の中心になってくれ!」

「承知した!」

「私達は?」

「オレと響はゲリョスの頭部、つまりトサカを部位破壊するぞ!

トサカを破壊しちまえば、ゲリョスはもうあの閃光攻撃を使えなくなるからな!」

「わかった!」

「そんじゃあ、おっ始めるぞ!!」

それぞれの得物を構えて、一同はゲリョスと対峙する。

 

『グァアーッ!!』

 

ードボォアッ!ー

 

対するゲリョスも、自分の住処に侵入して来た響達を追い払おうと、口から毒液を吐き出した。

それを散開する様に回避するテイン達。

ゲリョスはその際に一番近くにいた響に駆け寄ると、ついばみ攻撃を仕掛ける。

 

「足元がお留守になってるぜ!」

その隙に、テインはゲリョスの懐に潜り込み、ゲリョスの足にハンマーをフルスイングした。

足に強烈な一撃を叩き込まれたゲリョスは、バランスを崩して転倒する。

 

「響!翼も続け!!」

「行きます!!」

「いざ、推して参る!」

転倒した所に、響が掌底を打ち込む。

更に間髪を入れないタイミングで、翼が斬撃を打ち込んだ。

 

『グァアーッ!』

 

ーバチンッ!バチンッ!バチンッ!バチンッ!ー

 

その連携攻撃を耐えてなんとか立ち上がると、閃光を放とうとトサカを打ち鳴らし始めた。

 

「っ!あれって確か!?」

「閃光攻撃の前触れだ!

アレを喰らったらまたピヨピヨ状態になっちまうぞ!」

「何かないか…!?

…!!あれは…!」

周囲を見回す翼の視界に、建物を支える太い柱が目に入った。

それに気付くと同時にテインと響の腕を掴み、疾走する。

 

「うわっ!?」

「つ、翼!?何すんだ!?」

「説明は後だ!」

走りながら叫ぶと、そのまま柱の裏に飛び込む。

 

『グァアーッ!!』

 

ーッ!!!!!!!!!!!!!

 

それと同時にゲリョスが閃光を放ち、廃アパート内が一瞬強烈な光に包まれた。

 

「…どうやら、上手くいったな。」

閃光が収まると、翼は小さく呟いた。

咄嗟に柱の陰に隠れた事により、3人は閃光を直視するのを避けられたのだ。

 

「…なるほど、柱を遮蔽物にして閃光を防いだのか。

中々やるじゃねぇか、ハンターの素質あるかもしれねーぞ?」

「咄嗟の事だったので…しかし、これであの閃光を防げるな。」

「そうだな。

これでより効率的に狩りをする事が出来るぜ!

さあ、行くぞお前ら!!」

そう言うと同時に、テインは柱の陰から飛び出してゲリョスに突撃する。

装者の2人も続いた。

 

『グァーッ!!』

対するゲリョスも、3人を近付かせまいと尻尾を鞭の様に振り回して牽制しようとする。

 

「そんな物!」

 

ーガッシィッ!ー

 

『グァッ!?』

しかしあろう事か、響はその振り回された尻尾を逆に掴んでしまった。

 

「はっ!?

おいおい、マジかよ!?」

これには流石のテインも驚きを隠せない。

 

「このまま…うぉおおりゃああああ!」

尻尾を掴んだまま、響は体を全力で回転させ始める。

尻尾を掴まれたままのゲリョスの体も引っ張られる。

抵抗しようと暴れるも、そのまま体が宙に浮かび上がり、まるでハンマー投げのハンマーの如く振り回されてしまう。

 

「テインさん!このまま一発お願いします!!」

「っ!!

なるほど、おもしれえ事考えやがるなお前はよ!!」

ゲリョスを振り回しながら叫ぶ響に対し、その言葉の意図を理解したテインは、ハンマーを構えながら全身に力を込める。

そして、最大まで力を溜め切った時ー

 

「てぇりゃああああああっ!!!」

『グァアーッ!!?』

ゲリョスの尻尾を掴んでいた手を離し、テインに向けて思い切り投げ飛ばす。

投げ飛ばされたゲリョスの目に映ったのは、全身を回転させながらハンマーを振り回すテインの姿だった。

 

「今まで散々悪さしやがって!

喰らいやがれオラァアアアアアッ!!」

怒りの叫び声を上げながら、飛んで来たゲリョスの顔面にハンマーを振るうテイン。

 

ーゴッシャァアッ!ー

 

フルスイングされたハンマーは、ゲリョスの顔面に思い切り叩き込まれる。

勢い良く投げ飛ばされたスピードとフルスイングされたスピードがぶつかり合い、その衝撃でゲリョスのトサカが豪快な音を立てて砕け散った。

 

「後は頼むぜ!」

「翼さん!!」

「わかっている!ゲリョス、覚悟!!」

顔面に強烈な一撃を叩き込まれ、混乱状態になったゲリョスにギアを大剣に変化させた翼が、とどめの一撃として『蒼ノ一閃』を打ち込んだ。

 

『グァアーッ!グググググ…グァァ…。』

その瞬間、ゲリョスの体がグラリと傾き、そのまま力無く地面に倒れた。




次回、シャロン世界編最終話です!
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