戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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アウトローという言葉には「無法者」という意味があるそうです。
「跳躍のアウトロー」は、「跳ね回る無法者」という意味なんですね。


第8話:踊り跳ねる無法者

「大きな…マッカォ…?」

メインモニターに映り込んだモンスターを見て、未来は思わず呟いた。

それは、一言で表すと“大型化したマッカォ”だ。

ただし、身体に生える羽毛や顔の色が、マッカォよりも鮮やかになっている。

また、後頭部からは非常に目立つ羽飾りの様な黄色の鶏冠が生えており、尻尾も強靭に発達している。

まさに、“マッカォのボス”と言った見た目のモンスターだった。

 

「確かに、普通のマッカォとは明らかに違うな…。」

「ああ。しかし、何なんだ?」

「もしかして、ボスマッカォ!だったりして?」

「流石にそんな単純な名前じゃないと思うけど…。」

その姿を見て様々な推察が飛び交う中、アインス達はそのモンスターを見て呟いた。

 

「やっぱり、あのモンスターもいたんだね。」

「昨日のあれだけ巨大な群れだ。

いるとは思っていたが…。」

「…君達は、あのモンスターを知っているのか?」

その言葉を聞いた弦十郎が尋ねる。

 

「ああ。

よ〜く、知ってるぜ。」

「アレは、“ドスマッカォ”だよ!」

「…ドスマッカォ?

それがあのモンスターの名前なの?」

「詳しく教えてもらえますか?」

「勿論だよ。」

そう言うと、一同の前に立ちモニターに映り込んだモンスターを指差しながら話し始める。

 

「アレは、“ドスマッカォ”というモンスターだよ。

鳥竜種に分類される中型モンスターで、

“跳狗竜(ちょうくりゅう)”とも呼ばれているんだ。」

「名前にマッカォが入ってるって事は、マッカォの仲間なのか?」

クリスの質問に対し、スィーヨは微妙な表情を浮かべた。

 

「あー…マッカォの仲間…というか、

マッカォとドスマッカォは同じモンスターなんだよ。」

「同じモンスター?」

「そう。

マッカォは、群れを形成して行動するモンスターなんだけど、その中で体が大きくなったオスの個体がドスマッカォって呼ばれるんだ。」

「平たく言えば、マッカォの群れのリーダーって事さ。」

「じゃあ、本当にボスマッカォだ!」

「ああ。

俺達の世界では、群れを形成するモンスターのリーダー格になった個体には、基本的に名前の前に“ドス”を付けるから、ボスマッカォも間違いではないな。」

「名前がドスから始まるモンスターって意外といるんだよな…。」

「それで、他に何か情報はないのかしら?」

「あるよ。

ドスマッカォの最大の特徴は、なんといっても後頭部の冠羽と大きく発達した尻尾だね。

敵が現れた時や興奮した時、オス同士の争い等の時に、あの羽を逆立てて威嚇するんだ。」

「でも、1番の特徴は大きく強靭な発達を遂げた尻尾だよな。」

「確かに、かなり大きな尻尾ね。

トゲも生えてるし、当たったらかなり痛そうだわ。」

「…いや、まあそうなんだけどそれだけじゃないんだよ。」

「というと?」

「あの尻尾は…」

続きを話そうとしたその時だった。

 

ーブァーン!ブァーン!ー

 

司令室内に、警報が鳴り響いた。

 

「どうした!」

「待ってて下さい…これは!?

マッカォの群れが現れました!」

「反応座標、絞り込みます!

…まずいわ!

マッカォの群れが、リディアン音楽院に侵入した模様です!」

「なんだとっ!!?」

侵入場所を聞いて、響達も驚きを露わにする。

 

「リディアンにマッカォが!?

クソっ!おっさん、わたしが行く!」

「私達も、」

「一緒に行くデス!」

「わかった!

クリス君達は、至急現場に急行してくれ!」

「「「了解(デース)!」」」

そう言って、司令室から出て行くクリス達。

 

「俺達も行くか、アインス?」

「…いや。取り敢えず待機していよう。」

「行かないのか?」

「どうしてもって時には、即出動するよ。

それに、あまり人数を割くと、予想外のトラブルに対応できないでしょ?」

「…然り。

ここに残った者達と同様、いざという時に備えておく。」

「それに、アイツらがどう戦うのかも見てみたいのさ。

この世界の装者達の、お手並み拝見とさせてもらうぜ!」

「…わかった。

だが、いざという時には援護を頼むぞ。」

「了解だよ。」

そう言って、メインモニターに顔を向けるアインス達であった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー私立リディアン音楽院ー

響達が通う、小中高一貫型の私立校。

そんな音楽院は現在、カオス極まる地獄絵図と化していた。

 

『ギキィ、ギキャァアッ!!』

「いやぁあっ!!こっちこないで!」

「ちょっと、押さないでよ!?」

『ギャギャッ!!ギャアッ!!』

「なんでこうなるのよ!!?」

楽院内に響き渡る悲鳴、それに入り混じるけたたましい鳴き声。

マッカォの群れが、逃げ惑う生徒達を襲っているのだ。

 

「アレってなんなの!?

なんか恐竜っぽいけど…!?」

「現代に生き返った恐竜とでも言いたいの!?

そんなのはアニメの中だけにしてよ!」

「珍しく板場さんの意見に同意ですわ!」

“安藤 創世”、“寺島 詩織”、“板場 弓美”の3人は、そんな事を言いながら必死になって逃げていた。

その時ー

 

『ギギャアッ!』

「うわっ!?」

一頭のマッカォが、弓美にタックルをしかける。

後ろからのタックルを喰らい、地面に倒れてしまう。

起き上がろうと寝返りをうつも、そこにマッカォが馬乗りになり、動きを封じられてしまう。

 

「くっ!離れてよっ!!」

滅茶苦茶に暴れて抜け出そうとする弓美。

しかし、マッカォの全長は弓美とほぼ同じ位な為、抜け出せない。

そして、そのまま弓美に喰らい付こうとする。

 

「…たぁああああああっ!!」

 

ーボゴッ!ー

 

『ギャッ!?』

まさにその瞬間、詩織が持っていた学生バッグをハンマーの様に振り回し、マッカォの顔を思い切り叩いた。

中にノートや教科書が詰め込まれた学生バッグは、地味に質量がある。

小型モンスターであるマッカォを怯ませるのには充分な威力があった。

 

「詩織!?」

「ユミ!今の内に、早く!」

「わ、わかったわ!」

創世の手を掴み立ち上がると、再び3人は走り出す。

 

「詩織、さっきのナイスだったよ!」

「本当だよ!テラジ、ナイス!」

「む、無我夢中でしたけどね…。」

そんなふうに話している内に、避難シェルターが見えて来た。

 

「君達で最後です!早く入ってください!」

「急いで!追って来てるよ!」

警備員やクラスメイトが叫ぶ。

3人の後ろからは、マッカォの群れが追ってきていた。

ゴールは目前、3人同時にシェルターへ飛び込もうとしたー

その時だった。

 

『ギュオホホホホッ!ホホホホホホホホッ!!』

 

ードズンッ!ー

 

「「「ッ!!?」」」

その道を遮る様に、黒い影が詩織達の前に降り立った。

マッカォよりも二回り程大きな体は、鮮やかな緑色の羽毛で覆われ、素肌が露出している赤い顔にも、後頭部から立派な黄色の鶏冠がはえている。

そんなモンスターは、“尻尾で立ったまま”、3人に軽く蹴りをして牽制すると、両足を地面に下ろした。

マッカォのボス、“跳狗竜 ドスマッカォ”だ。

ドスマッカォは、寺島達を見下ろすと、唸り声を上げながら近寄って来る。

 

「っ!」

咄嗟に詩織と創世の前に立ち、両手を大きく広げる弓美。

2人を庇おうとしているのだが、その足は恐怖でガクガク震えている。

勿論ドスマッカォにはそんな事は関係ない。

 

『グルル…ギャオッ!!』

「ッ…!!」

鋭く鳴きながら、前足の爪で弓美を引っ掻こうとする。

思わず目をギュッと閉じる弓美。

…だが、その爪が弓美の体を切り裂く事はなかった。

 

ーZeios igalima raizen tronー

ーVarious shul shagana tronー

 

ーキイッン…ッ!ー

 

美しい歌声が響いた瞬間、鋭い金属音がこだまする。

 

「…?」

恐る恐る目を開ける弓美。

その目に映ったのは、

聖遺物『イガリマ』のギアを纏った暁切歌と、

聖遺物『シュルシャガナ』のギアを纏った月読調の2人が、ドスマッカォの爪を受け止めている光景だった。

 

「ふぅ…ギリギリだったデス!」

「板場さん、大丈夫?」

「あっ…大丈夫よ。」

「ここは私達が引き受けるデス!」

「早くシェルターへ!」

「わ、わかったわ!」

そうして、弓美達3人はシェルターの中へ駆け込んでいった。

 

『グルル…ギュアォホホホホッ!ホホホホホホッ!!』

イラついた様に唸り声をあげると、先程の遠吠えを放つ。

それに反応して、マッカォ達が調達に駆け寄ろうとした。

…が、

 

ーKillter Ichaival tronー

 

ーズドドドドドドドドドドォオンッ!!ー

 

『ギキャアッ!!!!?』

歌声と共に、広範囲に及ぶ大爆発が起こり、マッカォの群れの半数が吹っ飛んだ。

 

「ギャーギャーうるさいんだよ!

この群れ雀どもがっ!!」

怒鳴り声と共に上から降りて来たのは、

聖遺物『イチイバル』のギアを纏った雪音クリスだ。

 

「っと。

…さて、お前があの群れのリーダーなんだってな?

だったらお前を倒せば、この騒動は一旦おさまるって事なんだろ?」

「私達の学校を荒らす事は許さない…!」

「その首を刈り取らせて戴くデス!!」

それぞれの武器を構えながら言葉を放つ装者3人。

 

『ギュルァッ!グォヮァアアアォオオッ!』

3人を敵と認識したドスマッカォは、咆哮をあげて戦闘態勢に入る。

踊り跳ねる無法者と戦姫3人による戦いの火蓋が、切って落とされた。




ドスマッカォの鳴き声がちゃんと表現出来てるかが心配…。
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