戦姫と狩人   作:暇を持て余す火の玉

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第9話:怒り跳ねる無法者

「…それにしても、近くで見ると結講大きいデス!」

目の前に対峙するドスマッカォを見ながら呟く切歌。

 

「うん。

これで中型だってスィーヨさんは言ってから、大型だとどれ位の大きさになるんだろう…。」

「そんな事考えるのは後回しだ!

群がって来る小さいのはアタシに任せな!」

二丁のガトリングガンに変形させたギアを構えながら叫ぶクリス。

 

「そうだね。難しい事を考えるのは後…。」

「クリス先輩、お願いするデス!」

そう言うと同時に、調と切歌はドスマッカォに突撃して行った!

 

「…さて、アイツ等に頼まれたからには、先輩としてやる事をしなくちゃな!

邪魔はさせねぇ、吹っ飛べ!!」

そう言うと同時に引き金を引き、集まって来たマッカォの群れへ思い切り乱射した。

 

ー『BILLION MAIDEN』ー

 

放たれた銃弾の嵐は、マッカォの群れを情け容赦無く撃ち抜いていく。

中には銃弾を恐れて逃げ出すマッカォもいた。

 

「アイツ等の邪魔をしたいなら、まずはアタシを突破してみろ!」

挑発する様に言うクリスであった。

 

「クリス先輩が小さな群れを抑えてくれてる間に…」

「あたし達はこっちに専念するデス!」

そう言うと同時に、ドスマッカォを挟む様に分かれる調と切歌。

 

『グルッ!ギャァッ!!』

それに対し、ドスマッカォは調に先程の引っ掻き攻撃を仕掛ける。

 

「そんな見え見えの攻撃…当たらない。」

地面をアイススケートの様な動きで素早く滑り、引っ掻き攻撃を回避する調。

その隙に、背後に回り込んだ切歌が、死神が持つ様な大鎌を振り抜いた。

 

『グギャアッ!ギャギャッ!!』

背中を切り裂かれ、切歌の方に視線を向けるドスマッカォ。

しかし、それはもう1人に大きな隙を与える事になる。

 

「私がいる事も忘れないで。」

ブレードが高速回転するヨーヨーを飛ばし、ドスマッカォを連続で切り裂く調。

 

『ギャギャアッ!!』

混乱した様な鳴き声を上げるドスマッカォ。

 

「まだまだ序の口…。」

「本番はここからデス!」

そうして、戦いは続いて行く…。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「装者3名、マッカォの群れ及びドスマッカォとエンゲージ!」

「イチイバルがマッカォの群れを掃討しています。」

「へえ…クリスの武器は飛び道具系なんだな。」

「ハンターで言えば、アイツのタイプは“ガンナー”なんだな。」

「ガンナー?それは一体なんだ?」

聴き慣れない言葉に質問する翼。

 

「俺たちの世界で、ハンターの戦闘タイプには大きく分けて2種類あるのさ。」

「モンスターに接近して、集中攻撃を仕掛ける“剣士”と、

遠距離から攻撃して、モンスターにダメージを与える“ガンナー”、

この2種類に分けられるよ。」

「なるほど…。」

「因みに俺達は全員“剣士”タイプだ。」

「ガンナーは色々と強力な技を使えるんだが、その反面で扱いが難しい戦闘タイプだからな。」

「そうなの?」

「…ガンナーが使用する武器は、ライトボウガン、ヘビィボウガン、弓の3種類が存在する。

それ等に共通しているのは、撃つ為の弾の種類が多数だという事だ。」

「うん。

通常弾や通常矢に加えて、火、水、毒、麻痺、回復等多種多様な種類の弾を、その時の状況を瞬時に判断し、使い分けないといけないからね。」

「…えーっと…つまり覚えなきゃならない事が沢山あるって事?」

「ざっくり言うとそういう事だな。」

それを聞いて苦い顔になる響であった。

 

「にしても、調と切歌の2人もすげえな!」

「ああ。

あの動きは、予め作戦を練った様な動きじゃない。

ずっと一緒にいたからこそできる即興の動きだ!」

「小さかった頃からずっと一緒に戦って来たからね。

それに、あの2人が纏うギアの力もあるわ。」

「確か、調さんが“シュルシャガナ”、切歌さんが“イガリマ”だったよね。」

「ええ。

あのギアは元々、2つで1つの聖遺物なのよ。」

「2つ揃う事で真の力を発揮する武器か…。

それなら、あの連携にも納得だな。」

「…しかし、油断はできない。」

「うん。ドスマッカォの危険度は“★3”だしね。」

「危険度…?」

「モンスターの危険レベルを数値で示した物だ。

オレ達ハンターにとっては、そのモンスターを狩猟する難しさを示す物でもある。」

「マッカォの危険度は“★2”なのに対し、ドスマッカォはそれよりも1つ高い“★3”だ。」

「危険度が1つ違うだけでも、狩りの難易度は大きく変化するからね。

危険度を知らずに挑むと、一瞬でやられる事も珍しくない。」

「…それは、シンフォギアを纏う彼女達も例外では無い。

いざという時には、我々が即時に出る。」

「そうならない方が良いんだけどな…。」

メインモニターを見ながら呟くアルニであった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はぁああっ!」

「デェエエッス!」

その頃、調と切歌は自慢のコンビネーション攻撃で、ドスマッカォを翻弄していた。

2人のコンビネーション攻撃は、即興による物が殆どなので、ドスマッカォも中々手が出せずにいる。

 

「切ちゃんっ!」

「オッケーデース!」

まさに阿吽の合図で再びドスマッカォを挟むと、一気に距離を詰める。

その瞬間、調のツインテールを覆う装甲が変形、中から巨大な電動ノコギリが姿を現す。

同時に、切歌が振り払った大鎌から、緑に光る刃の波動が放たれる。

 

ー『γ式 裂擦刃』ー

ー『怨刃・破アmぇRゥん』ー

 

2つの刃は、ドスマッカォの体を切り裂くー

ーその直前だった。

 

『ギャアッ!!』

一声鋭く鳴くと、バックステップをしてその攻撃を回避した!?

 

「っ!?」

「デデデッ!?」

コンビネーション攻撃を回避され、2人は驚きを露わにする。

なんとか体勢を立て直すと、2人はドスマッカォに目を向ける。

 

『ギュラアッ!!!

グルルォワァアアアオオオオオォォッ!!!!!!!!』

最初よりも荒々しい咆哮をあげるドスマッカォ。

その途端、後頭部の鶏冠が大きく逆立ち、まるで王冠の様になった。

 

「頭の羽が…!?」

「なんだか雰囲気が変わったデス!?」

「…だけど…私達なら!」

「やってやるデス!」

再びドスマッカォに突撃する2人。

今度はドスマッカォの周囲をグルグル回る様に走る。

そして、調が一気に距離を詰める。

距離を詰めて来た調に対し、迎撃態勢に入るドスマッカォ。

しかし、それが調の狙いだった。

 

「今デス!!」

調に目線が集中した瞬間、切歌が背後から飛び上がり、大鎌を振り下ろそうとした。

 

『ギャオギャオッ!ギャギャアアオッ!!!』

 

ーバンバンッ!バァンバンッ!!ー

 

「デェエエッス!?」

その瞬間、突然ジャンプをしながら尻尾を地面に思い切り叩きつけるドスマッカォ。

ドスマッカォの尻尾は、マッカォよりも大きく強靭に発達している。

その尻尾の近くにいた切歌はモロに喰らってしまい、そのまま地面に叩きつけられてしまった。

 

「切ちゃん!?」

『ギャオギャオッ!ギャギャアアオッ!!!』

 

ーバンバンッ!バァンバンッ!!ー

 

「くっ!?」

叩きつけられた切歌に気を取られた調も、ドスマッカォの尻尾叩きつけ攻撃をモロに喰らってしまう。

2人を叩きつけたドスマッカォは、遠くでマッカォを掃討しているクリスに目を向ける。

 

『ギュラアッ!!』

仲間を次々と倒しているクリスを睨み付けると、距離を詰めて行く。

 

「まずい…!」

「クリス先輩…!」

叩きつけられた調達がそれに気付きクリスに注意を送るが、その時には背後まで迫っていた。

 

「ったく!コイツらどんだけ出てくんだ!?

話だと数頭だって聞いてたんだが!!」

『ギュラアッ!!』

「あん!?」

 

ードゲシャアッ!ー

 

「グハァッ!!?」

当のクリス本人も、発泡音が原因でドスマッカォに気付かなかったらしく、鳴き声に気付いて振り返った瞬間、ドスマッカォの蹴りを顔面に喰らってしまった。

無防備になっていた顔面を蹴り飛ばされ、そのまま吹っ飛ばされる。

しかし、なんとか受け身を取りダメージを減らす。

 

「くっ…クッソ…!」

立ち上がり銃口を向けるも、顔面を蹴られた衝撃で視界がぼやける。

だか、彼女の腕ならそれくらいの障害は問題はない。

 

『ギュアッ!』

その時、何を思ったかドスマッカォは、尻尾をバネの様に使ってピョンピョンと跳び跳ね始めた。

何をしているのだろうと首を傾げるクリス。

まさか、2メートル程あるあの距離から蹴りをするつもりか?

そう思った次の瞬間

 

『ギョアアッ!!』

 

ードドドドドドドッ!ー

 

「なっ!?マジk」

ーゲシゲシャッ!ー

「グフゥッ!」

2メートル程ある距離を尻尾で跳ねながら猛スピードで接近、その勢いのまま跳び蹴りを打ち込んだ。

 

「このっ!!」

跳び蹴りを喰らい、蹴り飛ばされながらも銃の引き金を引く。

その銃弾は、ドスマッカォの尻尾の棘に当たり、撃ち砕いた。

ドスマッカォはそれに気付かない。

蹴り飛ばされたクリスはなんとか着地するも、足がふらつく。

 

「ギアを纏っているとはいえ、守りが薄い部分を攻撃されたらキツイな…。」

顔をしかめながら呟く。

しかし、マッカォの群れは殆ど撃ち倒した。後はコイツだけ…。

そう思った瞬間だった。

 

『ギュオホホホホホッ!!ホホホホホホホホッ!!!!』

先程の遠吠えをした。

その瞬間、装者全員に通信が入った。

 

ー[マッカォの群れがさらに出現!

まだ集まってくるわ!]ー

「「「っ!?」」」

かなり減らしたというのにまだ集まって来る。

やはり、目の前のボスを倒さないとキリがない様だ。

しかし、3人共思わぬ攻撃によるダメージで、体力の限界が近い。

その間にも、ドスマッカォが再び尻尾で跳び跳ね始める。

狙いを定め、再びクリスに突撃して来たー

ーその瞬間だった。

 

「皆っ!!顔を隠して、目を守って!!」

鋭い大声と共に、ドスマッカォとクリスの間に小さな物が飛んで来る。

声に従い、装者3人が顔を隠した瞬間ー

小さな物が破裂。辺りは一瞬、閃光に包まれた。

 

『ギュルオッ!?』

至近距離くらの強い光に驚いたドスマッカォは、その場で転倒した。

小さな物が飛んできた方に顔を向けると、そこには片手剣を背負ったアインスと、狩猟笛を背負い何かを投げた様な体勢のスィーヨがいた。

 

「危なかったぁ…。

閃光玉があって良かったよ…。」

「皆、お待たせ!ここからは僕達も戦うよ!」

「お前ら…!

他の3人はどうしたんだ?」

「他の皆もいるよ。

今はマッカォの群れを相手してるけど、落ち着き次第合流するよ。」

「アインス!切歌さん達にこれを飲ませて来て!」

「わかった。クリスさんにも飲ませるね!」

スィーヨから黄緑色の液体が入った小瓶を受け取ると、切歌達の元へ走って行く。

 

「さあ、クリスさんもこれを飲んで!」

「コイツは?」

「回復薬グレートだよ。

それを飲めば、ダメージをかなり回復できる。」

「グレート…か…ありがたくいただくな。」

そう言うと、小瓶の蓋を口で開けて中身を一気飲みする。

その途端、クリスの体から疲れや痛みがみるみる内に消えて行った。

その効果の強さに、クリスは目を丸くする。

それは調達も同じだったらしく、遠方で2人共目を丸くしている。

切歌に至っては「デデデデース!?」と叫んでいる。

 

「…なるほどな。

グレートの名は伊達では無いって事か。」

「…いける?」

「ああ。すっかり元気になったからな!」

「私達も…」

「同じデース!」

そう言うと、一同はドスマッカォを睨み付ける。

ドスマッカォは、立ち上がるや否や喧しい鳴き声を上げながら跳ね回っていた。

 

「全く、本当にやかましいな!

そろそろ良い加減にしやがれ!」

「大好きな切ちゃんをあんな目に合わせた事…後悔させてあげる。」

「それはあたしも同じデス!

調をあんな目に合わせて、許さないデス!」

「さあ、クエストを再開するよ!

種類は“討伐クエスト”、達成条件は“ドスマッカォ1頭の討伐”!」

「皆、行くよ!反撃開始だ!!」

ここから、狩人と装者達の反撃が、始まるのであった。

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