KAMEN RIDER ERUPT / 仮面ライダーイレプト 作:YAMA_Tokusatsu
ベッドに腰掛けた壮介は、持ってきたアタッシュケースを見つめた。
(勝手に開けるのはマズいよな・・・・・・そもそも誰のか分かんねぇし・・・・・・でも・・・・・・)
気にしないように目を逸らし、それでも気になって目を向け、目を逸らし、目を向け。そんな葛藤を五分程続けた後、壮介は覚悟を決め、それをゆっくりと開けた。中には見慣れぬ機械と小さな小箱、そして『壮介へ』と書かれた手紙が一つ入っていた。
「手紙・・・・・・俺宛て? こんなもの誰から・・・・・・」
壮介は手紙の封を丁寧に、慎重に切り、袋から手紙を取り出してじっと読んだ。
「『壮介へ。ロストドライバーとガイアメモリを送ります。壮介に危機が迫った時、これを使えば道が開けるはずです。大切にしてください。檜山清佳』・・・・・・姉さんから!?」
檜山清佳。
九歳上の壮介の姉である。学生時代からの夢を叶え、大手製薬会社に勤めることとなった清佳だが、三年前に謎の失踪を遂げた。優秀な研究員だっただけに、製薬会社も大混乱。警察も手を尽くしたが、結局発見には到らず、現在に到る。
所謂お姉ちゃんっ子だった壮介にとって、姉の失踪はショッキングな出来事だった。それでも壮介は、いつか姉が帰ってきたとき心配をかけないように、と明るく振る舞い、失踪のことを忘れようとしていたのだった。それだけに、突然届いた姉からの手紙に、動揺を隠せなかった。
(なんで姉さんから? というかロストドライバーって、ガイアメモリって、こいつらのことか? 何だこの訳の分からない機械? 危機って何だよ? 何が何なんだ!?)
壮介は謎の小箱を手に取り、じっと見つめた。
(これだ・・・・・・これが俺を呼んでいたんだ・・・・・・。USBメモリみたいな形・・・・・・ってことはこれがガイアメモリか? で、あっちがロストドライバー?)
壮介は謎の機械――ロストドライバーを手に取った。
(変な形の機械だな・・・・・・何にどうやって使うんだ? ・・・・・・この穴は何だ? ガイアメモリがちょうど入りそうな大きさ・・・・・・ここに挿すってことか?)
試してみようとして、玄関のチャイムが鳴った。
「壮介ー、ちゃんとプレゼント持ってきてやったぞ」
「あ、悪い悪い、今玄関開けるよ!」
壮介は急いでドライバーとメモリをケースに片付け、玄関へ向かった。
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二〇二〇年九月五日。
東風都高校の体育館では、新学期の始業式が行われていた。
「こうして、長期休暇の間も、自分に甘えること無く努力できた人こそ――」
壇上では、白髪の校長が辿々しく原稿を読み上げていた。
「長ぇ・・・・・・何回同じ事言ってんだよ・・・・・・」
同じ内容を繰り返すばかりの校長の話に嫌気がさした仁は、隣に座る壮介に小さな声で話しかけた。
「10分・・・・・・最長記録更新か、これ。原稿あるなら推敲してから来いよ・・・・・・」
壮介も眠い目を擦りながら、小さな声で答えた。
既に全校生徒のほとんどが集中を切らし、眠っているか駄弁っているかであった。
「いつも思うけど読むの下手じゃね?」
「練習してないだろ絶対」
いたる所でそんな会話が飛び交っていた。壇上の校長も生徒達の飽き飽きした雰囲気を感じ、いつも以上に大きな声で原稿を読み上げた。
「ですから! こうしてグローバル化、情報化が進む現代において! 必要とされる人材というのは! やはり自堕落にならず、ストイックに努力できる人材であると――」
「うるせぇよ・・・・・・」
「早く終われよ・・・・・・」
「さて! そんな皆さんは、新学期についてどういった目標を――」
校長の大声作戦は、より生徒達の不満を買った。体育館内が重苦しい空気が溢れたその時、体育館後方から大きな爆発音が響いた。
「何だ!?」
壮介達が振り返ると、体育館出入り口は崩壊して燃え上がっており、その炎の中から異形の怪人が現れた。
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
突如として逃げ惑う生徒達で溢れる体育館内。冷静に逃げることを指示する教師達の声も虚しく、もう片方の出入り口に向かって、生徒達が我先にと押し寄せていた。
「うわぁぁぁぁぁぁっ! 助けて! 助けて!」
逃げ遅れた男子生徒が怪人に頭を掴まれると、彼の身体が真っ赤に発光し、膨張を始めた。怪人はそれを軽々と持ち上げ、逃げ惑う生徒達へ投げつけた。生徒達に当たった瞬間、それは強い光を放ち、大爆発を起こした。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
爆発に巻き込まれ、原形をとどめない姿で倒れる生徒達を見て、一層混乱を極める体育館。混乱の中、壮介達はなんとか体育館から逃げ出した。
「皆急いで! 校庭に避難してください! 早く!」
教師の指示を聞き、校庭へ駆けだした壮介は、教室に置かれたあの荷物のことを思い出して立ち止まった。
(姉さんからの大事な贈り物・・・・・・取りに行かなきゃ・・・・・・!)
壮介は姉からの手紙通り、ドライバーとメモリを毎日持ち歩いていたのだった。逃げる生徒達の流れに逆らい、壮介は一人校舎の方へ駆けだした。
「壮介! 何やってんだ! 早く逃げるぞ!」
逆方向に走っていく壮介を見て、仁が叫んだ。壮介は「ちょっと荷物取ってくる!」とだけ答えて、校舎へ走っていった。