いいじゃないの、暴君明君限らずに生き方を楽しく知れるんですもの。
FGOの世紀 古代ローマ帝国
偉大なるローマ帝国において最も讃えられる皇帝は誰であろうか。
最も品位ある時代はいつであったろうか。
アウグストゥス朝の初代であるアウグストゥス帝か、はたまた五賢帝の治世、よもやディオクレティアヌス帝であろうか。
否。
ローマの誉高き市民は口を揃えてこう答える。
"シュルカヌス=ネロ"の御代であったと。
"ネロ帝"
そして彼女の最大の理解者、"ケルクヌブス・シュルカヌス"こそが最高のローマの"第一人者"であったのだと。
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伝記
「〜賢治の元勲〜シュルカヌスの真実」より
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藤丸立花は目の前に広げられた書物に釘付けになっていた。
宝石が無数に嵌め込まれ、紙一枚一枚が金銀で飾られている。
かつてないほどに贅が尽くされたこの尊大な書物は 彼 の権威と人気の高さをこの上なく強く現代に生きる全てに訴えかける。
書物の中でも特に丁重に飾られているのはネロ帝とともに寄り添うように彫られているネロと彼の名前だ。
貴重な大粒の蛍石に当時の技術の粋を集めて彫られた人物の名前は
"ケルクヌブス・シュルカヌス"
ローマ帝国第五代皇帝ネロ・クラウディウスの第一の腹心として彼女の統治を公私共に支えた人物だ。
シュルカヌスという人物は古くより絶大な人気を誇っているにも関わらず、生没年が不確かであり、その点が今もなお神聖視される所以でもあるという。
一説では光に包まれて消える間際に帰還を予言し、実際に帰還したという記録も残っている。
また彼の前半生に関する資料はほとんど残っておらず、些か若者には馴染みが浅く認知度は高くない。
かくいう立花が彼を知ったのも最近だ。
たまたま 虹色の素敵な石 から現れた、ローマ帝国第五代皇帝本人がいの一番に聞いてきたのが 彼 のことだったのだ。
「シュルカヌスはおらぬか⁉︎」
挨拶も忘れてそういうものだから、同性として何か感じるものがあったのだ。
シュルカヌスという人物を話の種にすれば、ネロはその整った口元をだらしなく緩めては惚気を吐き出すのだ。
彼女曰く、彼は現れたり消えたりする人物であったらしい。物理的に。
ポッと温かい光と共に消えては、どこぞから違う女の匂いを漂わせながら再び現れるというのだ。
立花は 彼 に会ったことがなかったものだから、その胡散草さ満点の話のせいであまり好きになれそうにはなかった。
実際、ネロは時たま寂しそうな表情をするものだから。
立花は、最初はあまり望んだ結婚ではなかったのかもしれない、とそう思っていた。
だが、目の前の豪華絢爛な書物をネロから読み聞かせてもらうとその印象は徐々に変わらざるを得なかった。
まず特筆すべきは彼の経歴だ。
半生がほぼ全く分かっていない彼。
彼についての最初の記録は、ローマ元老院のものだと考えられるネロ帝統治時代の合議場の跡地から発見された、今でいう履歴書や伝記を書く際に参考にされた資料だと考えられているものだ。
そこを根拠とすると彼の栄達は以下の通りである。
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アンツィオの地でローマ軍から不審者として拘留される
20年 人違いで宮殿の給仕になる
23年 小ドルススの健康悪化が噂され給仕も入れ替えられる シュルカヌスが給仕・警備兵に任じられる
24年 宮殿において給仕として働いていたとされる 小ドルススの杯を事あるごとに盗み飲んでいた事が発覚したため解雇処分される 小ドルススの健康改善
*のちに毒杯をシュルカヌスが飲んでいたためにティベリウス帝の親衛隊長官セイヤヌスによる小ドルススの暗殺未遂で防いでいたことが発覚
25年 小ドルススにより呼び戻されるも仕官を辞退 宮殿の清掃を担う役職につくも掃除が筆舌なつかし難い程に下手であったため解雇
26年 セイヤヌスの逆恨みにより無実の罪で拘留される
29年 <小アグリッピナ(ネロの母)に気に入られ彼女の側に仕える>
拘留を解かれたのち、彼女の私人として仕える
小アグリッピナから給仕長に任命される
大アグリッピナを流罪地から密かに連れ出す 以降大アグリッピナは死の床につくまで娘 小アグリッピナの元に匿われる
ティベリウス 大アグリッピナの失踪に際して小アグリッピナを詰問するも シュルカヌスを覚えていたティベリウス帝の息子 小ドルススの弁護で事なきを得る
シュルカヌス ティベリウスの親衛隊長官セイヤヌスから暗殺されかけるもこれを撃退
気絶したセイヤヌスを連行 ティベリウスがセイヤヌスの身辺調査を命令
31年 <セイヤヌスの小ドルスス殺人未遂が発覚 セイヤヌス処刑>
小アグリッピナ シュルカヌスをティベリウスに 無二の勇者 と紹介する
ティベリウス セイヤヌス捕縛の功、のちに毒殺を防いだ功によりシュルカヌスを自身の終身護身官に任命
同年 ティベリウス シュルカヌスを自身の終身近衛隊長官に親任
大アグリッピナの名誉挽回をシュルカヌスが上奏する
32年 ティベリウスにより大アグリッピナの名誉回復
33年 <大アグリッピナ死去>
33年 小アグリッピナより自身と二人きりの時でも帯剣を許される
34年 ティベリウスの邸宅での専任護衛官に任命される
37年3.16 <ティベリウス死去 カリグラが帝位に就く>
小アグリッピナの護衛官としてカリグラと対面
二度目の対面の際にカリグラに頭から酒を被せる無礼を働く 元老院より処分の声が上がるも これをカリグラが取り下げさせ咎められず
カリグラの私的な相談役となる
カリグラから金と剣を与えられるも、金のみ受け取り剣を返した
与えられた金を困窮するキリスト教徒に寄付するもカリグラから咎められることはなかった
カリグラから式典時の近衛隊に選出される
この頃からカリグラの健康の相談も受けるようになる
同年 カリグラの食事内容の管理を任せられる以後カリグラは健康を回復し、シュルカヌスへの信頼は不動となる
カリグラ シュルカヌスを皇帝直属の専任神祇官へと親任
カリグラ シュルカヌスを儀式を執り行う際の警備責任者に親任
37年12.15 <ネロ帝誕生>
この日、ネロ帝生誕の祝福の儀を執り行ったのはシュルカヌスであった
ネロ帝の誕生に伴いカリグラと小アグリッピナの関係が徐々に悪化し始める
40年 <小アグリッピナがポンティアエ諸島に流罪にされかけるも、シュルカヌスがカリグラに上申。カリグラはこれを取り下げる。>
小アグリッピナの護衛官長として独任される
カリグラの近衛隊長官として親任される
シュルカヌス 近衛隊にキリスト教徒とユダヤ教徒を編成する 元老院より批判を受けるも カリグラはこれを咎めず
カリグラ帝から自身神格化後の最高神祇官へ任命されるも辞退
カリグラ帝から 真の友 と称される
カリグラ帝より執務の相談・決定においての助言及び補佐を最も近く担う 執務長官 の位を用意される これに就任
カリグラの過度の公共建築事業を諌める
カリグラ帝 シュルカヌスを帝国の公共建築監督官に親任
カリグラ帝 シュルカヌスに譲位を勧められる このことはクラウディウスから好意的に受け取られた
41年1.23 <カリグラ譲位 クラウディウスが帝位に就く>
ネロ帝の教育長に小アグリッピナから任命を受ける 当時ネロ帝7歳
小アグリッピナから自身の専任神祇官及び近衛長官に任命される
同年、小アグリッピナにより領地を下賜されるも此れを返納
小アグリッピナからシュルカヌスに属州総督への就任の声が上がるが、本人が辞退
43年から44年 <ブリンタニア遠征>
遠征に際しローマ軍の主力軍総司令官(レガトゥス・レギオニス)に小アグリッピナから推挙されるもクラウディウスが却下
50年 クラウディウス ネロを養子にする
シュルカヌス 小アグリッピナの推挙でクラウディウスより法務官(プラエトル 上から3番目の公職)に任命される
シュルカヌス クラウディウスへキリスト・ユダヤ教への緩和策を上申するも却下・叱責される
シュルカヌス クラウディウスからの賄賂を拒み法務官(プラエトル)の位を剥奪される
小アグリッピナ クラウディウスと対立
小アグリッピナ シュルカヌスに代わりクラウディウスにより任命された親衛隊長官を解任
クラウディウス シュルカヌスの全ての称号・身分を剥奪
54年 クラウディウスにより投獄される
シュルカヌス ネロの声を受けて名誉回復ののち牢から解放されるも職権一切の剥奪は覆らず
シュルカヌス 解放され自由市民の位のみ与えられる
引っ越した先の隣家がキケロ宅
54年 <ネロ帝 通例通りに成人する>
ネロ シュルカヌス以外のものによる祝福を受け付けないと宣言 この日の儀は延期された
3日の後 シュルカヌス クラウディウスにより職権の一切が回復される 神祇官シュルカヌスの名の下にネロの成人の儀を執り行う
同年 <クラウディウス急死 ネロ帝即位>
彼女の成人後に帝国最高神祇官及び彼女本人と小アグリッピナ両者の近衛隊(プラエトリアニ)を統べる近衛長官(プラエフェクトゥス・プラエトリオ)に独任される
同年に帝国軍の練兵長官及び首都ローマの執政官(コンスル)に就任
ネロ帝 シュルカヌスのために独裁官(ディクタートル)の制度を改定・復活、これにシュルカヌスを親任する
皇帝付き大顧問官及びローマ帝国軍史上唯一の終身将軍位(大ドゥクス=元帥相当)を与えられる
独裁官長(独裁官及び執政官の頂点として創設された。任官したのは史上彼一人)に親任
皇帝命令でリクトル(要人警護官)100人が護衛として常置される
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ここまでが彼の経歴に関して残っている全てである。
また、彼が如何にローマ市民に愛されていたかがわかる記録も残されていた。
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"偉大なるシュルカヌス"として讃えられ、"伝記〜賢治の元勲〜シュルカヌスの真実"においてもネロ帝最大の理解者、ローマの伴侶、ローマ軍団の慈父、自由信仰の守護者、救世主の写し絵などと讃えられた
*彼が就任した独裁官・独裁官長というのはカエサルを死に追いやった類の包括的権力をもつものではなかった。シュルカヌス本人が市民に対して皇帝の信頼による名誉職であることを宣誓し、この誓いを破ることはなかったため、市民はシュルカヌスにおいては例外的にこの位を歓迎し、終身任官をも認めた。元老院はシュルカヌスを一種の皇帝への対抗装置としての役目を負わせるものと考えたため黙認。これはシュルカヌス・ネロという強大な双璧による皇帝権威の安泰を約束する結果を生んだ。
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立花はネロが朗々と読み上げるシュルカヌスの偉業に耳を傾けながら、彼の最後はどのようなものであったのだろうと考えていた。
ここはカルデア。
ここにいればいつか会うことも叶うかもしれない。
そう淡い期待と好奇心に心躍らせながら。
崇勘は、後世に汚名を残すことは決してない。
しかし、彼の内面もまた後世に伝えられるものはない。