元モンド最強騎士はそろそろ彼女を作りたい   作:白琳

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お待たせしました!!

最近悪い意味で忙しい事が多く、なかなか執筆する時間がありませんでしたが2月中にもう1本投稿する事が出来ました!

年度末という事で仕事も忙しいですが、なるべくテンポよく投稿したいです。


第12話

「アレンお兄ちゃん!」

 

入り口にいた兵士に顔パスで通してもらい、騎士団本部に入ると奥から走ってくる元気一杯な少女が見えた。勿論ここでそんな少女と言えばクレーしかおらず、俺の前で急ブレーキを掛けて止まった彼女は期待に満ちた表情を向けてきた。

 

「クレーを風魔龍の所まで連れてって!」

「ダメだ」

「えーっ!?」

 

いや、「えーっ!?」じゃないから。なんとなーく予想はしてたけどさぁ。ジンやアルベドに怒られる位にはクレーに甘い俺でも危ない場所には連れ出せないって。

 

「何で何で!?みんな、風魔龍のせいで困ってるって聞いたよ?ならクレーの爆弾の出番だよ!」

「……爆弾でどうすんだ?」

「ふふんっ!クレー特製巨大爆弾で風魔龍をドカーンするんだよ!」

 

まぁ、つまりはいつも通りと。通常の爆弾でもそこそこ威力が高いのに、それが巨大化したとなれば軽く地形は変えられるんじゃないか?前にだって、後先考えずにボンボン爆弾を大量に投げつけた結果、敵と共に山も半分崩したみたいだし。

 

「ク、クレー!急に飛び出していかないでよ……」

「あっ、スクロースお姉ちゃん!」

 

クレーを追い掛けてきたらしく、走ってくるスクロース。という事はさっきまでアルベドやスクロースと一緒にいたのか。おそらく風魔龍退治に出掛けようとするクレーに目を光らせてもらう為、ジンが2人に頼んだんだろうな。

 

「よっ、スクロース」

「アレンさん、ごめんなさい……クレーってば窓から貴方が見えたと思ったらすぐにアルベド先生の研究室から出ていっちゃって」

「あ~……うん、そんな事だろうなと思ってたからいいぜ。クレーのあの元気っぷりを止めるのは難しいからなぁ」

 

俺に迷惑がかかってると思ったのか、謝ってくるスクロースの頭をポンポンと撫でて顔を上げてもらう。クレーはアリスと似て自由だ。思い付いた遊びがあればすぐに実践し、それが爆弾絡みならジンにより反省室へと入れられる。そして『反省しました』という短い反省文と絵を描き、1日をそこで過ごした後はまた最初に戻るという繰り返しだ。“反省してない“というよりは、子供特有の好奇心がそれを上回るんだろう。ただアリスは反省してない。絶対にしてない。

 

「クレー、研究室に戻ろう?ジン団長から言われたでしょ、アレンさん達の邪魔をしないようにって」

「クレーだって火花騎士だもん!アレンお兄ちゃん達と一緒に戦えるよ!」

「でもジン団長からの指示だし……」

 

う~ん……クレーの騎士としてのその心意気は良いもんだがなぁ。しゃーない、俺が出るか。

 

「なぁ、クレー。お前のその気持ちは嬉しいぜ。でもな?人助けにも適材適所ってもんがあるって知ってるか?」

「てきざ……えっと、な、なに?」

「例えばだ。クレーが使おうとしてる巨大爆弾……確かに風魔龍に当たれば効くかもしれない。だけど相手は空中にいて、しかも自由に飛べる」

「うん!クレーも見てたよ!だから爆弾でドカーンして、下に落とすの!」

 

爆弾で撃ち落とすとか容赦ねぇなぁ。

 

「いい考えだな。だけどその爆弾、届かなかったり避けられたりして当たんなかったら?」

「へっ?……えーと…………落ちてくる?」

「んで爆発だな。しかも巨大なら被害はさらにでかくなる。そうなったらどうなるっけ?」

 

その後を考えたクレーの顔が青冷める。間違いなくジンによって反省室行きだろうな。もしかしたら更に罰が重なるかもしれない。

 

「待って。でもその爆弾なら道を塞ぐ岩や敵の根城を破壊したりできるんじゃないかな?」

「おっ、いいこと言うなぁスクロース。とまぁ、こんな風に誰だって自分の力を活かせる場所もあるし、活かせない場所もある。力を十分に活かせる場所にそいつを置くのが適材適所さ」

 

実際、クレーが武器にしてる“ボンボン爆弾“は火力は凄まじいが攻撃できる範囲や速度は、爆弾という重さがある事やクレーがまだ子供という理由から狭いし遅い。相手が空中を飛んでるならそもそも届くのかすら怪しい。

だが逆にその火力は邪魔となる障害物を容易く破壊する事が出来る。スクロースの言うように、ヒルチャールの巣を壊すにはクレーの爆弾が一番手っ取り早いしな。

 

「うぅ~……でもでもぉ……」

「……クレー。誰にだって出番はあるけど、ない時だってある。だからクレーの力が必要だって時にその爆弾で助けてくれよ」

「助ける……アレンお兄ちゃんを?」

「ああ。俺だって、何でもかんでも1人で出来るわけじゃねぇからな」

 

戦う事でならモンドで右に出る奴はいないが、それ以外となると誰かの助けが必要になってくる。誰の協力も得ずにあらゆる事が出来る奴なんていないだろう。

 

「うん……分かったよ!クレー、アレンお兄ちゃんが困ってたら助けてあげる!だから色んな爆弾をたくさん作って、待ってるからね!」

「おう。その時はよろしく頼むぜ」

 

そう言って騎士団本部の奥へと走っていくクレー。爆弾を作りすぎてジンに怒られないか心配だが。

 

「アレンさん、ありがとう。クレー、ダメだよって言ってもなかなか納得してくれなかったから」

「クレーなりに爆弾をどう使えばみんなの為になるか考えてくれてるからなぁ。そのやり方をちょっとずつ分かってくれればいいんだが」

 

何でもかんでもただ爆発させれば解決に導かれるなんて事はないからな。ちゃんと使い道を考えないと、人助けの為になんてなれない。

 

「……あっ、そうだ。アレンさん、ジン団長の所に行くんだよね?さっき、ガイアさんとアンバーが団長室に入っていくのを見たよ。それから金髪の女の子と……なんだか変わった生き物も一緒にいたような?」

「そりゃ蛍とパイモンだな。モンドに来た旅人だよ。落ち着いたら話してみたらどうだ?面白い話とか聞けるかもしんねぇぞ」

「えっと……た、旅の話は興味あるけど、遠慮しとこうかな。それじゃあこれで」

 

そう言ってクレーと同じ方へと走っていくスクロース。まだまだ人見知りを克服するには程遠いかぁ。人見知りが悪いわけじゃないけど、出来ればスクロースにはもっと……というか、普通程度には色々な人と関わってもらいたい。様々な疑問を実験や観察で答えを出してきたスクロースでも知らない事はある。それを人々は知ってるかもしれないし、逆にスクロースが知ってる事をみんなは知らないかもしれない。植物や動物の他にも興味を向けてほしいが……ま、スクロースがやる気を出してくれるのを気長に待つかぁ。

 

「よっ、待たせな」

 

団長室に入ると今回の中心となる人物が集まっていた。代理団長であるジンに図書館司書のリサ、騎兵隊長のガイアと偵察騎士のアンバー……それから今回の事件に巻き込まれた旅人、蛍とパイモン。

 

「兄さん、来てくれたか。その様子だと用事は済んだみたいだな」

「おう。で、どこまで話は進んだ?」

「ガイア達から城内での出来事は聞いた。風魔龍を撃退してくれた事、モンドの民全員に変わって感謝するよ。本来なら兄さんには栄誉騎士(えいよきし)の称号を授けるべきなんだが……」

「持ってるもんな、俺。ま、感謝の言葉だけで十分さ」

 

栄誉騎士──────モンドに多大なる貢献をした人物に与えられる称号であり、それはすなわち“モンドの英雄“と言っても過言ではない。ただ俺が魔龍ウルサを討伐して以来、誰も授かってない事から分かるように称号を得る為の貢献の度合いはとても大きいものだ。

 

「えっと、兄さんって……」

「そっか、蛍は知らないもんね。アレンさんとジンさんは兄妹なんだよ!」

「!……そうなんだ」

 

アンバーから俺とジンの関係を聞いた蛍がこちらを凝視してくる。行方を探している兄の空(仮)と自分を俺達に重ね合わせたか、それとも容姿が似てない事が気になったか?

 

「お前がアンバーが言ってたアレンなんだな!さっきは自己紹介できなかったけど、オイラはパイモン!よろしくなっ!」

「おう、よろしくな~ 」

 

さっきの場でお互いに自己紹介できなかった者同士で名前を言い合う。しかし、パイモンねぇ……本当に不思議な奴だよな。一体……どこから来たんだか?

 

「さて……兄さんも来て必要な人員は揃った。作戦を練るとしよう」




ゲームでは主人公が栄誉騎士の称号を受け取りましたが、ここでは活躍をオリ主に持ってかれてる為、蛍が栄誉騎士になる事はありません。

あと、本編以前の話(西風騎士団所属時代や2年間の旅など)を『元モンド最強騎士 ACT.PREQUEL』(仮タイトル)として別作品で準備・執筆をしています!楽しみにしててください!
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