元モンド最強騎士はそろそろ彼女を作りたい   作:白琳

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今回終盤のアレンの動きについて、「責任感がないかな」と思った為、文章を一部変えました。
次回の動きが変わってくる為、一度読んだ事があるという方ももう一度読んでおく事をオススメします。


第15話

元素は戦闘で様々な使い方が出来る。ただの攻撃だけでも単体に、もしくは広範囲に展開できるし武器に付与する事で威力を上げる事も出来る。他にも元素を固形化した武器で手数を増やしたり、自身を強化したり、体力を回復したり。もしくはそれぞれを組み合わせて強大な一撃を生み出す事だって可能だ。

 

例として、蛍が使う風元素────あの元素は他の元素と組み合わせる事で威力が増す事が多いから補助系に近いが、使いこなせれば様々な事が出来る。

例えば爆炎樹を攻撃するのによく使ってるあの風の渦。ただ敵を攻撃するだけじゃなく風圧を高めれば緊急時にその場から自身を押し出して離脱したり、“3つ目の足場“として移動などに用いる事だって出来そうだ。まぁ、蛍はそんな芸当が出来る程使いこなせてないみたいだが。

 

「風と共に……去れっ!!」

 

爆炎樹の火炎弾を避け、隙を見つけた蛍が降臨の剣を振りかぶると同時に風元素を集中させて一気に竜巻として解き放った。その竜巻は周囲の物を巻き込みながら進んでいき、爆炎樹を呑み込む。俺の“山嵐“とは違って元素がある分威力は高いだろう。

 

しかし────────

 

「──────ッ!!」

「……っ、弾き飛ばした!?」

 

4つあった花弁の内、2枚が散ったものの耐えた爆炎樹は炎元素を衝撃波の如く放ち、竜巻を強引に消し去ってしまった。……あの竜巻は強力な技だろう。だがあの元素生物の親玉みてぇな奴はそれでも倒れないタフさがあるのだ。

 

「きゃあっ!?」

 

強力な一撃を放った直後の為に動きが鈍くなった蛍を振り回した頭部で殴り飛ばす爆炎樹。間一髪剣の腹で防いだものの、勢いは殺せずに後ろへと吹き飛んだ蛍は宙を飛び────後ろで構えていた俺に受け止められた。

 

「……えっ?えっ!?い、いつの間にあっちまで行ったんだ!?」

 

元いた場所でパイモンが驚いてるが、動いたのは今だよ。走れば壁にぶつかる前に余裕で受け止められる距離だったからな。

 

「つえーだろ、あいつ。まっ、元素が使えるようになって日が浅い奴が簡単に敵う相手じゃねぇからな」

「えーっと……」

「神の目を持ってねぇのに元素が操れる……この世界の住人じゃねぇだろ、蛍って」

 

今まで元素を操る時に神の目が輝くどころかどこにも神の目は見当たらなかった。元素視角も使ったが反応がなかった為、蛍が神の目を隠し持ってない事も確認済みだ。

 

「な、何を言って……」

「それに。お前の兄とも色々似た部分があるからなぁ。……空って名前だろ?」

「っ!?どうしてお兄ちゃんの名前を────」

 

自身の正体を濁そうとする蛍だったが、兄の名前を出したら食い気味に詰め寄ってきた。その瞬間、咄嗟に俺は彼女を抱いたまま上へと跳んだ。爆炎樹が勢いよく伸ばした蔓がさっきまでいた場所を貫いて壁へと突き刺さったからだ。まだまだあっちは元気みたいだが、そろそろいいか。

 

「よっと。さて、蛍の強さは大体分かったし……そろそろ倒すか」

「ま、待って!それよりどうしてアレンさんがお兄ちゃんの事を知ってるのか話して!それにいつから私が────」

「悪いが話は爆炎樹を倒したら、な」

 

自分から言ってなんだがこんな事言えば蛍が困惑するのは分かってた。ただこういう場面でもなきゃ言い逃れしそうな気がしたからなぁ。

 

「……なら力を貸して」

「おう。あ、ならよ、さっきの竜巻ってもう一度撃てるか?」

「撃てるけど……風元素を剣に集中させないとだから、すぐには無理だよ」

「なるほどなぁ」

 

だけどさっきの竜巻を見て俺と蛍とで試してみたい技を思い付いたんだよな。う~ん……よし。

 

「だったら俺が爆炎樹を相手するからよ、蛍は撃てるようになったら教えてくれ」

「いいけど……さっきの様子だと倒しきるのは無理だと思う」

「まーまー、俺に考えがあるからよ。んじゃ、よろしく頼むぜっ」

 

蛍が構える降臨の剣に風元素を集中させ始め、俺はその間の時間を稼ぐ為に爆炎樹へと走り出す。倒そうと思えば俺1人でも爆炎樹は楽勝な相手だが、やってみたい技がある以上倒してしまうのはもったいない。それに爆炎樹と戦ってるのは蛍で、俺は『力を貸す』だけだ。手助けの俺が1人で倒してしまったらダメだろう。

 

「──────ッ!!」

「そいっ」

 

爆炎樹が俺目掛けて複数の火炎弾を放つが、最初に放った火炎弾は雷砲で殴り付ければ一瞬にして消し飛んだ。更に雷元素を伴った衝撃波が一筋の線となって後ろを飛んでいた火炎弾を貫き、一番奥にいる爆炎樹の頭部を支える茎を抉った。

 

「────ッ!?」

「よっ」

 

自身の攻撃が効かず、逆に傷を負った爆炎樹は困惑したまま頭部を振り下ろし、俺を叩き潰そうとする。だがそれは回し蹴りの要領で放った雷脚に遮られた。横へと蹴り飛ばされた頭部に引っ張られ、根がミシミシと地面から抜けようしてるが、手加減したし耐えられるだろう。

 

「さてと……」

 

襲いかかってくる蔓を後退すると同時に西風大剣で斬り落とす。跳んで蛍の隣に着地すると降臨の剣には十分に集まった風元素が渦を巻き、今にも解き放たれる時を待ってるようだった。

 

「準備は整ったか?」

「うん……!」

「な、なぁ!一体どうするつもりなんだ?」

 

いつの間にか蛍の傍に来ていたパイモンが尋ねてくる。まっ、さっき撃って倒せなかった攻撃をもう一度やろうとしてれば疑問に思うか。

 

元素連携(げんそれんけい)をやってみたくてな」

「元素……連携?」

 

俺の指示通り元素を集め、技を撃とうと構えていた蛍もその言葉に首を傾げていた。だが知らなくて当たり前だ。異なる元素同士を反応し合わせる事で威力を上げたり、行動を封じたりする元素反応(げんそはんのう)は広く知られてる。しかし元素連携は力の扱いが難しい上に組み合わせが決まってるわけじゃないから神の目を持ってても知らない奴の方が多いのだ。

 

「簡単に言うと、元素による攻撃を同時に複数組み合わせて放つって事だ。俺の“山嵐“と蛍のさっきの竜巻……俺のは元素使ってねぇけど、それでも相性はいいと思うんだ」

 

元素を使ってない以上、俺の“山嵐“は相手を吹き飛ばす事は出来ても傷を負わせる事は出来ない。しかしその規模や風速は元素を宿した攻撃と同等か、それ以上だ。それを蛍が放つ風元素が宿った竜巻に合わせれば威力は格段に上がるはず。

 

「なるほど……いいよ。どうすればいいの?」

「俺と同時に竜巻を撃ってくれ。タイミングずれてても俺が合わせるから心配すんな。……そういやあの技って名前あるか?」

「“激風(げきふう)(いき)“って名前だけど?」

 

“激風の息“か……それと“山嵐“……ふむふむ、なるほどなるほど…………よしっ、決まった!

 

「いくぞっ?」

「うん……!」

 

俺は西風大剣を振り払って“山嵐“を、蛍は降臨の剣に集まった風元素を解放して“激風の息“を放った。タイミングはバッチリであり、2つの竜巻は重なるように合わさっていく。

そして完全に合わさった瞬間──────

 

「うわわっ!?」

「っ……す、凄い……」

 

一気に大きくなった竜巻はもはや災害の一種であり、パイモンは吹き飛ばされそうになって咄嗟に俺の服を掴み、蛍は踏ん張ってどうにか耐えてる。

この部屋全体に広がるまでに規模を大きくした竜巻は前へと動き、その中心が爆炎樹へと迫る。火炎弾を撃って食い止めようとしてるが、一瞬にして掻き消されて爆炎樹は自身より数倍大きな竜巻に呑み込まれようとしている。よく見れば地面に亀裂が入り、砕けた破片が次々と呑み込まれては粉砕されていってるなぁ。

 

ㅤㅤㅤㅤ「元素連携……狂嵐(きょうらん)(つばさ)だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、巨大な竜巻に呑まれた爆炎樹は地面ごと掘り起こされ、空中で無数の風の刃にどんどん切り刻まれていった。結果、竜巻が過ぎ去った後に残ってたのは爆炎樹がいたはずの地面に出来た穴だけである。その上がった威力に蛍とパイモンは驚くどころか若干引いてたぜ。

ちなみにトワリンに力を送っていた元素の塊も“狂嵐の翼“が消し飛ばしてしまったらしく、元素視覚を使ってもどこにも反応はなかった。まっ、元々壊すもんだったからいいんだけどよ。

 

さぁ~て……次は、と。

 

「どこから喋るとすっかなぁ……?」

「どこからでもいいよ。お兄ちゃんの情報なら少しでも手に入れたいの!」

 

目的を達成してモンド城へと戻りながら、俺は蛍と約束した通り空の事について話そうとするがどこからどこまで話すか迷っていた。俺もあいつの全てを知ってるわけじゃないが、少なくとも蛍よりも現状について詳しいのは確かだ。だが教えれば蛍が間違いなくショックを受ける内容───アビス教団の王子である事など───もある。それはただ蛍を混乱させ、彼女を大きく悩ませる事にしかならないだろう。それを知るには蛍はまだ早すぎる。

 

「そもそも俺と空が会ったのはたったの2()()だけだぜ?1回目は結構昔に、2回目は半年前まで七国を旅してた間の時だ」

「私の事は……お兄ちゃんから聞いたの?」

「ああ。2回目の時にあいつに妹がいるって教えられたんだ」

 

確か────“俺の妹がモンドに現れた時。それがこの世界に未曾有の危機が訪れるカウントダウンの始まりだ“────だったか?そんな予言みじた話、あまり信じてなかったが実際に妹である蛍は現れた。それはつまりテイワット大陸の危機というのもあながち間違いじゃないのかもしれない。

それに……蛍が現れる前でも後でも、テイワットの各国で様々な事件が起こってるのは事実だ。

 

スネージナヤの執行官・“博士“による非人道的な実験の数々

 

“博士“の部下であるクソッタレな伝道師に実験の被験者にされたコレイが暴走の末に引き起こした黒焔(こくえん)騒動

 

雷電影が命じている稲妻の鎖国

 

目覚めたトワリンがドゥリンの毒とアビス教団の仕業により引き起こしてる龍災

 

かつてモラクスに封印された若陀龍王(じゃくだりゅうおう)が復活を果たす為に鉱夫を操り、璃月に再び牙を剥こうとした鉱夫失踪事件

 

他にもあるが、まっ、色々起きてるのは間違いないってわけだ。それも中には人命や国の未来に関わる大事件だってある。そんなのを“危機“と呼ばずに何て呼べって言うんだ。

 

「それじゃあ、アレンは蛍のお兄さんが今どこにいるかは知らないのか?」

「残念ながら、な。例え知っててもそこにはもういねぇかもしれねぇけど」

 

今から半年以上前だからな~。現在、アビス教団がモンドで暗躍してるとはいえ、空もこの国にいるって保証はないし。逆にもしかしたらどっかに隠れてんのかもしれねぇけど……言ってた通り自分の妹がモンド現れたんだし。

 

「……ねぇ、アレンさん。ならお兄ちゃんは……元気だった?どこか怪我したりしてなかった?」

「あぁ、元気だったぞ。蛍の事も今どこにいるのか心配してたしな」

「!……そっかぁ……」

 

兄が無事だった事に安堵したらしく、蛍はホッとため息をついた。……これで背後にアビス教団がいなかったら本当に良かったんだけどなぁ。兄の無事を伝えられた事を素直に喜べんだけど。

 

「お兄さんが今どうしてるかは分からないけど……無事って事が分かって良かったな!」

「うん。いつか会えると良いな……」

 

俺も……多分また空とは会うんだろうなぁ。アビス教団の面々はともかく、空自身は俺を仲間に迎えれば天理と戦える十分な戦力になると考えてるみたいだし。

 

「おっ、モンド城が見えてきたな」

 

辿り着いた丘の頂上からようやくモンド城が見えた。出発した時はトワリンの暴風に包まれていた場所だったが──────

 

「あっ!暴風が消えて元に戻ってるぞ!」

「どうやら他のみんなもうまくいったみたいだな」

 

これで強くなったトワリンの力を削れるし、今頃清泉町に西風騎士をジンが向かわせてくれてるはずだ。天空のライアーも明日にはこっちの手元に来る予定だし、あとするべき事は、と……あぁ、そうだ。今日の内にディルックに明日の夜に作戦会議をやる事を伝えておかねぇとな。

 

「んじゃ、モンド城に戻ってジンに報告しに行こうぜ~。きっと暴風が消えて安心してるだろうよ」

「おうっ!早く行こうぜ!」

 

まっ、まずは騎士団本部に戻って……ガイア達も戻ってれば各神殿で何かあったか情報共有もしておくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃──────風龍廃墟にて。

 

 

「ッ……!?これは……」

「どうした?」

 

風魔龍……トワリンは根城にしてる風龍廃墟で傷付いた体を休めていた。しかし突如感じた違和感に驚き、その正体に気付いた。その様子を見ていたアビスの魔術師が近寄り声を掛ける。

 

「……四風守護の神殿から流れてきていた力が……途絶えたっ……!」

「なにっ……?」

 

トワリンの言葉をアビスの魔術師はすぐには信じられなかったが、アレン・グンヒルドがいる以上ありえない話ではないと判断した。

 

(それに先程から北風の狼の神殿に潜入してる仲間からの連絡も来てない……これはやはり……)

 

アビスの魔術師は唸った。神殿からの力の供給が途絶え、トワリンが弱体化した以上これまで返り討ちにされてきたアレンを倒すなど到底無理な話である。トワリンを完全に決別させる為にモンド城を破壊させようにも勝負にならずに倒される未来しか頭に浮かんでこないのだ。

 

「ふむ、どうやら手詰まりのようだな」

「っ……はい……」

 

近くで話を聞いていたアビスの使徒が動き、トワリンに近付く。魔術師の手が尽きた以上、ここから先は自分が出るべきと判断したのだ。

 

「風神と国に裏切られた哀れな龍よ。お前にチャンスをやろう」

「チャンスだと……?」

「そうだ。我が王子から授けられた()をお前に託そう。その力はお前を蝕む毒にさらなる力と痛みを与え────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ㅤㅤ真の“風魔龍“へと変えてくれるだろう




原神には合体技がない為、自分で作りました!その名も元素連携!アレンの方は元素使ってませんけど気にしないでください。
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