元モンド最強騎士はそろそろ彼女を作りたい   作:白琳

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今回は短めで、久々に戦闘のシーンを書いてみました!


第6話

『アレン・グンヒルドは人間を超越している』と誰かが言った。これには誰もが頷くだろう。彼は西風騎士の一部からは“西風騎士数百人分“と評され、他国でも“本気で暴れさせたら国が1つ滅ぶかもしれない“、“天災そのもの“と噂された事がある。

しかし騎士団に入団した時から既に他を圧倒する強さを持っていた彼にとって、それは大きな枷にもなっていた。入団当初から『加減を誤り、訓練で本部の壁に穴を開けたり』、『大量発生した狂風のコアを倒そうとして手元が狂い、風立ちの地の神木を危うく斬り倒しそうになった』事もある。本気を出せば周囲への被害は想像も出来ない程酷いものになる故に、アレンは普段から力を抑えてきた。

本気を出さなければいけない相手がいるとすれば、それは彼と同じく“国1つの全戦力を相手に出来る怪物“くらいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー、おー……よくまぁ、こんなにいたもんだなぁ」

「ど、どうするアレン!?この数は流石にお前でもまずいだろ!」

 

ベニー冒険団団長のベネットは俺達を囲む十数体の遺跡守衛を見て数の圧倒的差に後ずさる。まぁ、フツーこの数に囲まれれば死んだも同然だよな。

何故こんな状況になってるのかと説明すると、最近発見された未知の遺跡を2人で探索していたのだ。元々はキャサリン経由で冒険者協会が俺に依頼してきたんだが、最近冒険が出来ておらず、やり取りを羨ましそうに見ていたベネットを俺が誘ったのだ。不運体質を理由に最初は断られたが、「俺がいれば大丈夫だって」と言って一緒に来てもらったのだ。

 

元々がAランクの冒険依頼だけあって、ベネットの不運も重なりなかなかの難易度になったが邪魔な装置は壊したり、ベネットが落とし穴の罠に嵌まった時には彼を抱えて穴から戻ったりして遺跡の最奥の大部屋まで進んできたが……その不運も最高潮に至ったらしい。

前後の扉が閉まり、降ってきた十数体の遺跡守衛に囲まれる。それが今の状況だ。

 

「まっ、どうにかなるだろ。こいつら全部潰せば開くとかな」

「でもこの数は騎士団でも大掛かりな準備をして相手をするレベルだぞ!?……くっ、俺のせいでこんな事にっ……!!」

 

自分の不運体質を恨むベネット。その背後で動き出した遺跡守衛が狙いを定めて腕を振り上げているが、それに気付かないベネットの腕を咄嗟に掴んで引き寄せる。

 

「うわっ!?」

「まっ、責めるのは後回しにしとけって」

 

迫る遺跡守衛の攻撃を雷砲で迎え撃つ。ガキィンッ!と直撃した遺跡守衛の拳が砕け散り、腕を貫通していく衝撃波がその先にあった頭も吹き飛ばした。更には付随する雷元素が内部を駆け巡り、回路を破壊していく。

 

「まず1体」

 

機能停止し、頭が抉り取られた場所から火花を散らす遺跡守衛を雷脚で蹴り飛ばす。数体の遺跡守衛を巻き込んだ爆発が起こった辺りでベネットもようやく落ち着いてきたようだった。

 

「そ……そうだよな!なんたって、こっちにはモンド最強がいるんだ!」

「元だからな、元」

「でもアレン以上に強い人なんてモンドにいないだろ?最近じゃモンド城に近付こうとする風魔龍をたった1人で撃退してるって聞いたけど、普通無理だって」

 

まぁ、ベネットの言う通りだけど。ただモンド最強の名はファルカに返上したんだからずっと名乗ってるのも変だろ。

 

「おっ」

「うげっ、撃ってきた!」

 

遺跡守衛達が一斉にミサイルを撃ってくる。アレ、ある程度追尾してくるからめんどくさいんだよな。走って振り切ってもいいんだけどベネットがあの数に狙われるとヤバイだろうし。

 

「せいっ!」

 

背後に出現した西風大剣を握り、勢いよく横に振り切る。ゴウッと発生した強い風が渦を生み、大きな竜巻“山嵐(やまあらし)“となってミサイルを全て吸い寄せて舞い上がらせ、空中で爆発させていった。加えて前へと進んでいく竜巻に巻き込まれた哀れな遺跡守衛が天井へと叩きつけられ、多数の瓦礫と共に落下してくる。

 

「……えっ!?ア、アレンが持ってる神の目って雷元素だよな?」

「おう」

「なら何でそんな風元素みたいな事できんだっ!?」

「風くらい誰でも扇げば起こせんだろ?それとおんなじだ」

 

遺跡守衛と戦うベネットに簡単な説明をしつつ、遺跡守衛の弱点である目を西風大剣や雷脚、雷砲で貫いて次々に破壊していく。そして半分以上減った遺跡守衛が固まって一気に俺達に押し寄せてきた。

 

「チャンスだな。ベネット、ちょっと下がってろ」

「あ、ああ。何するんだ?」

「一気にぶった斬る」

 

西風大剣を大きく振りかぶり、刃に雷元素を纏わせて溜めていく。隙が生まれるが相手は動きの遅い遺跡守衛である為、心配はいらない。それに溜めが必要とはいえ元素の扱いに長けている俺にとっては数秒もあれば十分だ。

 

(だい) (らい) (じん)!」

 

西風大剣を振り払い、勢いよく放った雷の斬撃は名前の通り雷刃を強化したもの。この大部屋の幅一杯に広がった巨大な刃は、並んだ遺跡守衛達の体を上下に分け、それだけに留まらず奥にある扉をも壁ごと切断してずり落としていく。

雷刃とは比にならない範囲の広さと威力が特徴の技なのだ、これは。

 

「ジンに見つかったら怒られそうだな~ありゃ。歴史ある遺跡を壊すなって」

「は、ははっ……頑丈な遺跡の壁をあんな容易く斬るとか、相変わらず次元の違いを見せてくれるよなぁ、アレンは」

「だから言っただろ?大丈夫だって。さぁ~て、あの先に宝はあるかな?」

 

遺跡守衛の数と部屋に閉じ込められた事を考えるとここが最後の試練である可能性は高い。そう思いつつ、ベネットと共に扉だった物を飛び越える。入った小部屋には仕掛けはなく敵もおらず、奥の方にポツンと地面に突き刺さる物体が見えた。

 

「ん?」

「え、これって……」

 

たぶん()()がここの宝なんだろうけど……外れだな、ここ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────それでその大剣を持ち帰ってきたのね」

 

騎士団本部の広間で会ったリサに見せたのは遺跡から持ち帰った宝……と言っていいのか微妙な大剣。錆びていた為、ワーグナーに頼んで錆を取ってもらったが彼や報告したキャサリンにも『どこにでもあるようなちょっといい剣』と言われてしまった。宝ならもっといいものを隠せよ。しかもちょっと重たいし。俺はともかく、ベネットが両手で引きずってどうにか動いたって事は数人いなきゃ持ち運ぶ事すら困難だって事だ。

 

「ベネットから俺の好きなようにしていいって言われたし、レザーの特訓にでも使うか」

「あら、どう使うの?貴方が使ってもハンデになんてならないだろうし、あの子に使わせたら目標が更に遠くなるわよ?」

「いいじゃねぇか。この重さに耐えられればレザーはもっと強くなるだろ。そうすりゃ目標にだって結果的には近付けるし」

 

レザーとは、モンドの中央にある奔狼領(ほうろうりょう)という森で多くの狼と共に暮らしている銀髪の少年だ。レザーにとって狼は種族は違うものの家族(ルピカ)であり、彼らを守る力が欲しい彼の為に実戦練習に付き合っている。強くなる為に俺とレザーの間で決めた目標もあり、それは『俺に傷を1つでも付ける事』だ。今んとこ傷どころか俺の動きを目で捉える事すら難しそうだけど。

 

「指導すんのもいいけど、やっぱ誰かと特訓するなら相手が強くないと面白くないしな。張り合いがないんだよ、レザーじゃまだ」

「貴方と張り合える相手なんてテイワット中探してもなかなかいないと思うけど」

「そうなんだよなぁ~」

 

旅をしていた頃、他を凌駕する実力者と戦った事は何度もある。ファデュイのスカラマシュなどの執行官。稲妻の神である雷電将軍もとい雷電影(らいでんえい)。アビス教団の“怪物“共……他にも色々いるが戦いの結果は様々であり、程度の差こそあるが俺に本気を出させた相手達だ。

あいつらぐらい強くないとまずまともに戦えない辺り、俺もなかなかにヤバい奴だよなー。ただそういう奴に限って国の重要人物だったり、あちこちに行ったりするからなかなか会えないんだよなぁ。

 

「まっ、いなくてもいいさ。昔聞いた話によれば……もう少しすれば、そうも言ってられない相手がどんどん出てくるらしいからな」

「……どういう事よ、それ」

「そのまんまだよ、そのまんまの意味」

 

聞いた限りじゃ()()()がモンドに現れた時が始まりらしいが……さてさてさ~て、これから誰が現れて何が起こるのやら。




前に序章開始までにモンドの女性キャラ+ウェンティの話を書くと言いましたが、ちょっと変更で、次回ウェンティとの話を書いたらその次から序章に入りたいと思います。他の女性キャラとの話はその後に書いていく予定です。
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