降り注ぐ雨。
黒い服を着た人々。
あたしに差される傘。
…これは、なんの記憶?
目を開けると、目の前には白が広がっていた。
寝ていたのだろうあたしは、そのままの状態で周りを見る。
しかし、周りを見たところでそこにも白があるだけだった。
「ここは…どこ…?」
見覚えのない場所に戸惑う。
床に寝ていたのだろう、あたしはゆっくりと起き上がり、自分の手を見た。
握ったり開いたりを繰り返し、次に足を動かす。
どこも怪我はしていないようだ。
知らない場所にいるから、誘拐でもされたのだろうかと思ったのだけど。
それならそれで拘束なりはされているかと思い直し、立ち上がろうとして、体が固まっているのに気づく。
少しぎこちなさはあるが、眠っていた反動だろうと自分を納得させた。
下を向き、自分の服装を見る。
真っ白いワンピース。
なんの装飾もされてはいない。
「…趣味じゃない」
こんなのを着ていたら、あいつに笑われそうだ。
そう思考して、ふと、あいつは誰だったか思い出そうとした。
そして、
「あれ?」
自分が何者か、あいつはなんだったのか、どうしても思い出せなかったのだ。
「え、なんで? あたしは、誰?」
ここはどこ以前に、自分が誰かもわからないなんて。
そんな馬鹿なと混乱に陥る。
「いやー、ごめんねー。お小言が長引いちゃってー」
後ろを振り返ると、何もない空間からボディビルダーよろしく、筋肉マッチョが現れた。
声は結構高めで、姿を見なければ子供だと思ってしまうくらいに。
「え…あ…」
「どうかしたの?」
顔は仁王像みたいなのに、口元に手を当てて首をかしげる。
可愛い仕草なのに、あまりのギャップに鳥肌がたった。
「いえ、別に…」
「そう? あ、君死んじゃったから転生することになったよ。良かったね!」
何が、良かったね! なんだろうか。
今流行りの異世界転生って事だろうけど、今はその問題は横に置いておきたい。
「あなた、神様? それにここはどこ? あたしは誰? なんで記憶ないの? 転生って、どこに転生させられるの? そもそも、なんであたし死んだの? 今すぐ説明してよ!」
不安を苛立ちに変えて叫ぶ。
「少し落ち着いてほしいかなー。1つずつ答えていくとだね? 僕は神様だけど、下っ端なんだー。星を一個任されてはいるけれど、そこの人達には干渉することが出来ないし、出来るとしたら君みたいな子をその世界に送ることぐらいなんだよー」
ぽちぽちと、神は手元のタブレットを見ながら説明を続ける。
「ここは転生するための一時的な場所、って覚えとけばいいよー。転生する先は異世界サンクロード。魔法と剣がある世界だから、君にはあんまり馴染みのない世界になるかもだねー。記憶ないのはちょっと話せないことで死んじゃったから。名前は…あ、まだ伏せなきゃいけないの?メンドくさいなぁ…」
頭を掻き、眉を寄せながら神は虚空に向かって喋った。
いったい誰となんて考えるまでもない。
先ほどこの神は自分は下っ端だと言った。
なら上司もいるということだ。
「そこにいるなら、出てきて説明してくれないの?不親切すぎない?」
あたしは神が見ていた場所を睨む。
しかしながら、やはり上司は出てこない。
「彼は別の世界担当だから、君の前には出てこれないかな。それで、君はどちらから始めたい?赤ん坊からか、それともそのままからか。ちなみに両方記憶はあることとするよー」
ニコニコ笑いながら神は言う。
しかしこの神は胡散臭い。
日本人だから輪廻転生の概念はある。
だが、六道を通ってからのはずだ。
橋渡しだろうが、道案内なんだろうが、信用におけない。
あたしがなんの返答もしないことに、神は首を傾げた。
「どっちが良い? 返答がない場合、赤ん坊からのスタートになるけど」
「このままの状態と、赤ん坊からの状態、どちらが好待遇なのかしら?」
流石にハイリスクは勘弁してほしい。
この神が嘘をついている可能性も、無きにしも非ずだが。
「そうだねぇ…赤ん坊からだと、どこに生まれ落ちるかは、こっちで定めることはできないかな。運が良ければ王室のお姫様だし、運が悪ければスラム街の貧困層の住民だと言う可能性もある。まぁ、そこは君の運次第かな?」
あはっ、と笑いながら神は言った。
くじ運は悪い方ではなかったと思いたいが、その記憶さえも今のあたしには無い。
「このままの状態だと、落とす場所は決められないけど容姿とかステータスとかはいじれるよ? 神様権限で特典もつけてあげられる。まぁ、特典は赤ん坊スタートでも付けてあげられるけど」
「その特典でこちらに不利なことは?」
ないない、と神は大袈裟なジェスチャーをする。
本当かどうか怪しいところではあるけれど、鑑みるに赤ん坊よりもそのままの状態の方が、異世界転生しても生き残れる可能性は高いかもしれない。
「なら、そのままで。ステータスをいじれるのなら、その世界で誰にも負けないくらいの力が欲しい。転生した先で殺されたら嫌だし。それに容姿か…その世界の人にはない色がいい。絡まれるのは嫌だけど…」
今まで話してて思った。
何か胸の辺りがモヤモヤする。
目立つ容姿をしていれば見つけてもらえるかもしれない。
しかし、それは誰に?
あたしは、誰にあたしを見つけてもらいたいと願っているのだろう?
胸に手を当てて考えていたからだろう。
神がタブレットを操作しながらとんでもないことを言いやがった。
「あ、胸がぺったんこなの気にしてるの? なら胸の方は大きくしてあげるね! あと髪は青で目は紫! あとはー…めんどくなったから、自分で調べてね! ステータス検索機能とか調べられる機能とか付属しておいたから、これで多分生き残れると思うよ! じゃあ、いってらっしゃーい!」
誰の胸がまな板なのかと問いただそうとした時、あたしの足元から床が消えた。
重力の作用とともにあたしは穴の底へと落ちていく。
アリスの落ちた穴ではないけれど、円がどんどん小さくなっていき、ついには見えなくなった。
落下死というのは勘弁してもらいたい…死んでるとは言われていたけれど。
そのままの状態でいると意識が遠のく気配がする。
あたしがいく異世界は、平和であることを願った。
お久しぶりです
イベ走り頑張りました
諸々ゲームの方が落ち着いてきたので、小説の方も練習を兼ねてポツポツ上げていければなと思っています
これはエブリスタで書いていた転生じょしこーせーの物語です
アカウントが一回凍結してメアドも変えてしまったので、入れなくなってしまいました
なのでリメイクも兼ねて、書いてみようと思い立ちました
次はいつになるかわかりませんが、頑張ります